現代に蘇りし超戦艦「大和」   作:クローサー

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加筆修正(前日譚投稿)。
モチベと衝動が赴くままに。少し前に「出撃準備」の加筆修正も行なっております。


前日譚
再臨の時


中国統一戦線の電撃的打倒。

欧米植民地化していたアジア諸国の解放。

大東亜共栄圏の確立。

第二次世界大戦の勝利。

 

これらを僅か8年で成し遂げた大日本帝国は、間違いなく繁栄を極めていた。しかしそれは、ナチス・ドイツやアメリカ合衆国も同じ事が言えるだろう。

 

 

アジア諸国を解放し、大東亜共栄圏として太平洋を手中に収めた大日本帝国(有色人種の希望)

ヨーロッパ全域を征服し、ソビエト連邦を崩壊させて東方生存圏を確立したナチス・ドイツ(狂気の最強軍事国家)

第二次世界大戦に敗北しながらも、圧倒的な経済力で成長を続けていたアメリカ合衆国(民主主義最後の砦)

 

 

三大国のイデオロギーの相違は、あっという間に世界を舞台とした戦わない戦争…「冷戦」となって顕現。

世界は分断され、数多くの国家は三大国が繰り広げる冷戦の舞台として利用され、数多くの革命、国家の分断、国家の再統一を生み出し、何億人もの尊き命が戦場で散って行った。

 

しかしどんな戦いにもいつかは終わりが来る。世代の交代によって、大日本帝国とアメリカ合衆国は融和の歩みを試みた。

最初は酷く小さな1歩だったそれは、長い長い努力の末、次第に大きくなっていく。やがて二大国は真正面から向き合って融和の握手を交わし、大日本帝国とアメリカ合衆国の二大国の冷戦の終わりを、世界に告げた。

 

2010年。大日本帝国とアメリカ合衆国の関係改善に水を差すかのように、ナチス・ドイツ3代目総統は「フリードリヒ・デア・グローセ」及び「グロース・ドイッチュラント」を大規模近代化改修の後に再就役する事を発表した。

 

何の前触れもない電撃的な発表は、全世界に衝撃を以って伝えられる。

この発表に対して、大日本帝国とアメリカ合衆国も呼応した。否、せざるを得なかった。何せ「敵が持つ兵器は自国も持たねばならない」というのは、軍事上の基本。

すぐさま大日本帝国は「大和」及び「武蔵」、アメリカ合衆国は「アイオワ」、「ミズーリ」、「モンタナ」を大規模近代化改修の後に再就役する事を発表。

 

此処に、戦艦の近代化大規模改修という名の三大国の威信を賭けた「第二次冷戦」が勃発したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2014年7月13日、横須賀本港。

 

その外縁には、東京湾を見渡せる場所を埋め尽くすかのように、数十万人もの日本人達が集結していた。

横須賀港に設置された式典には大日本帝国首相を始めとして、大東亜共栄圏に加盟している各国の要人の姿も見える。

 

彼等の目的は、此処に訪れる大和を一目見る為。

 

つい先日、大和が近代化大規模改修を終え、呉の造船ドックにて進水式が行われた事は記憶に新しい。

勿論進水式でも盛大な式典が行われていたが、今回はより大きな式典となるのは、規模を見れば一目瞭然だ。

 

現在、午前の10時27分。

式典では大和来航前に行われる一連のパフォーマンスや演説が終了する所に差し掛かっていた。ステージに立つ大日本帝国首相はマイクを手に取り、演説を行なっていた。日本国民に対する演説をしていた最中、右耳に付けられていたイヤホンに無線の声が入ったらしい。区切りの良いところで一度演説を切り、イヤホンから聞こえて来た声に応えるように小さく呟いた。

 

『……分かりました』

 

短く返事をした彼は再びマイクを持ち直し、演説へと戻る。 

 

『では、皆様!!彼方にご注目下さい!!』

 

その言葉をきっかけに、首相が指した先…即ち、本港地区の半島。その影から、数隻のイージス艦に護衛されながら横須賀港に近付く巨大な艦が現れる。

世界最大の46サンチ砲搭載艦にして、近代化大規模改修によってイージス戦艦へと生まれ変わった大和が、遂に姿を現したのだ。

 

『大日本帝国の象徴たる超弩級戦艦、大和!!彼女がイージス戦艦として今、此処横須賀に帰ってきました!!!!』

 

興奮を隠し切れない様子で叫ぶと同時に、大和の艦首に取り付けられてある旭日旗が大きく揺れる。

 

「おおぉっ……!!」

「大和だ、大和だ!!」

 

感嘆の声の後、歓喜の声を上げる観衆達。大日本帝国が誇る世界最強の軍艦の帰還を、誰もが待ち望んでいた。

 

『それではこれより、大和の46cm砲による祝砲が発射されます!とても大きい砲撃音となりますので、苦手な方は耳をお塞ぎ下さい!』

そう言い終えた直後に大和の46cm砲の砲身が上向く。そして会場に設置されているスピーカーからは、祝砲のカウントダウンが始まる。

そして。

 

『5、4、3、2、1……今ッ!!!』

 

 

──ズドォォォォォォォォォンッ!!!!!!

 

 

その瞬間、轟音が鳴り響いた。それは空砲であれど、世界最大を誇る46センチ砲弾を撃ち出す火薬量と全く同じ。

 

 

──ズドォォォォォォォォォンッ!!!!!!

 

 

祝砲の反動により、船体は大きく震える。しかし大和は、そんな事など意にも介さず。

 

 

──ズドォォォォォォォォォンッ!!!!!!

 

 

悠然と聳え立つその姿は、正に大日本帝国の誇りそのもの。

その雄姿に誰もが息を呑み、魅了される。

都合3度の斉射、計27発の祝砲*1が終わり、静寂が訪れる。

 

その静寂は、やがて人々の声によって打ち破られる。

それは一人一人が発する小さな声。しかしそれは感情を共有する人々に共鳴していき、やがて大きな歓声となって、横須賀本港に響き渡る。

 

「万ざぁぁぁぁい!!」

「大日本帝国、万ざぁい!!」

「大和、万歳ッ!!」

 

大和に向けて手を振り上げ、衝動がままに歓呼の声を上げる。

 

『万歳!!!!』

 

それはやがて、一つの声として統制される。

 

『万ざぁい!!!!』

 

歓喜の声へ。狂喜の声へ。

 

『万ざぁぁぁぁぁぁぁぁいッ!!!!!!』

 

全国民が一つとなって、海の女王たる彼女の再臨を祝福した。

*1
本来ならば21発が最大だが、全門斉射のままが見栄えが良いという理由で、特別に27発の祝砲が実施された。




Q.こういう式典って、多分こういう流れじゃなくね?
A.この世界の大日本帝国はこんなノリなんだ。
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