現代に蘇りし超戦艦「大和」   作:クローサー

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まさかまた、日本国召喚の二次創作を書く日が来るなんてなぁ…
でも書きたくなってしまった以上、書きたい事は書く。


本編
その艦の名は


世界は、大きく変わりつつある。

その始まりは、中央暦1639年8月の事だった。第二文明圏ムー大陸の西…西の果てに突如としてある国家が現れる。

 

その国の名は「グラ・バルカス帝国」。 

通称を第八帝国とする彼等は、周辺国の第二文明圏外国や列強国への接触を開始。しかし第二文明圏の多くの国が攻撃的であり、尚且つグラ・バルカス帝国への認識が文明圏外国ということもあって各国にさんざん軽くあしらわれ、遂には第二文明圏列強国「レイフォル」の保護国である「パガンダ王国」が、国交開設に出向いていた皇族を含んだ使者団を処刑する事件が起きた。この事件にグラ・バルカス帝国は遂に怒り、パガンダ王国を含んだ第二文明圏への侵略を開始。パガンダ王国を僅か4日間で滅ぼす。保護国を滅ぼされた第二文明圏列強国 レイフォルはこの行動に怒りを表し、グラ・バルカス帝国に対して軍事行動を開始した。列強最弱国とはいえ、それでも100門級戦列艦や竜母を含んだ43隻の艦隊。これだけでも並の文明圏の海軍は敵わなかっただろう。

 

しかし、グラ・バルカス帝国はそれを遥かに超える超兵器を投入したのだ。

レイフォル艦隊殲滅の為に出撃したのは、「グレード・アトラスター」単艦のみ。しかし300mを超えるその巨体に搭載された武装と能力は恐るべき戦闘能力を発揮し、レイフォル艦隊を20分足らずで殲滅。その勢いそのままに、グレード・アトラスターはレイフォル首都 レイフォリアに向かい、全力攻撃を開始。その結果レイフォリアは灰燼に帰し、レイフォル皇帝は居城にて砲撃に巻き込まれて死亡。残存した軍部はグラ・バルカスに対して無条件降伏。戦争勃発より僅か3日間でレイフォルは滅亡。グラ・バルカス帝国はレイフォルを自国領に編入し、入植を開始。

グレード・アトラスターが単艦でレイフォル艦隊43隻を撃滅し、その足でレイフォル首都レイフォリアを焼き尽くして列強国を滅ぼした事は、この世界の歴史に激震を起こし、グレード・アトラスターは世界最大最強の艦として恐れられる事となった。

 

 

それから約1年後。今度は東の果て、第三文明圏にて新たなる世界の激震が「2つ」走ることになる。

第三文明圏列強国「パーパルディア皇国」が、グラ・バルカス帝国のように突如世界に姿を現した謎の新興国「大日本帝国」に降伏。74の植民地は全て独立。本国も大日本帝国の属国とされ、列強国から転落する事となる。

 

もう一つの衝撃は、「エストシラント沖大海戦」に於いてパーパルディア皇国の3個艦隊が大日本帝国の1個艦隊に殲滅されたというもの。

これだけの言葉なら世界にまで広がる衝撃かと言われると怪しい所はあるが、双方の艦隊の内訳を見ると話は全く変わってくる。

 

パーパルディア皇国の3艦隊は木造艦船600隻から構成されるのに対し、大日本帝国は僅か11隻の艦船。つまり大日本帝国は約55倍の物量差を叩き潰したという事だ。これは先のグレード・アトラスターのが確認された「ムー大陸西方海域海戦」の43倍の物量差を上回るのに加え、パーパルディア皇国が降伏して大日本帝国の降伏文書に調印する際、外交官などを載せてエストシラント港に現れた1隻の超巨大戦艦。

その姿はグレート・アトラスターにも劣らない巨体を誇り、僅か11隻の中にこれが含まれていたのならば、確かに殲滅する事など容易な事だろうと目撃したあらゆる者達を納得させると共に、もう一つのグレート・アトラスターの存在を知る事となった多くの文明圏国は、その事実に恐怖する事になる。

 

 

グラ・バルカス帝国と大日本帝国。

世界秩序を破壊し、新たなる列強国として現れた二国の邂逅は、すぐに訪れる事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先進11ヶ国会議。

神聖ミリシアル帝国の港町カルトアルパスにおいて、2年に1度開催される各文明圏の有力な文明国による国際会議であり、世界に多大な影響力を持つ大国が参加。参加国のみが今後の世界の流れを提案して議論し、決定することができる。

それは参加するだけでもこの世界では名誉なことであり、世界中から「大国」として認識される。

 

しかし今回の先進11ヶ国会議は、今までと少々勝手が違う。

前回まで先進11ヶ国会議の固定参加国として参加していた第二文明圏列強国レイフォル、第三文明圏列強国パーパルディア皇国が相次いで滅亡。レイフォルの領土と周辺国家は植民地となり、パーパルディア皇国の元植民地は独立し、本土は属国「パーパルディア連邦」として建国。僅か1年で前回制定した世界運用の方針は完全崩壊し、主催国の神聖ミリシアル帝国は急遽、大日本帝国とグラ・バルカス帝国を暫定的な参加国としてそれぞれ招待。両国はこれに応え、先進11ヶ国会議に出席する事も決定している。

 

彼らを除く世界各国は、今回の先進11ヶ国会議は荒れるだろうと予感していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中央歴1942年4月22日。

神聖ミリシアル帝国 カルトアルパス港。

第一、第二文明圏内に於いては有数かつ広大な規模の港湾機能を持つ。その規模は、「神聖ミリシアル帝国の第二の心臓」と例えられる程である。故に其処は中央世界の貿易拠点となり、世界中の商人たちの生の声が聞けるため、その手の者達からは様々な情報が飛び交いスパイが集まる町としても知られる。

それはさておき、主催国の領土かつ大規模な港湾機能を持つこの都市は、先進11ヶ国会議に最適な開催地として選ばれており、今年も港湾は大賑わいとなっている。港湾管理者の元には、先進11ヶ国会議参加国の軍艦の情報が、次々と集約されてくる。

港に着いた艦は、魔導通信具を持つ港湾作業員が連携して誘導、着岸させていく流れだ。

 

『第一文明圏トルキア王国軍、到着しました!戦列艦7、使節船1、計8隻』

『了解、第一文明圏エリアに誘導せよ』

『続いて第一文明圏アガルタ法国、到着。魔法船団6、民間船2』

『了解、先に到着したトルキア王国軍船団の隣に誘導せよ』

「…この辺りのは代わり映えせんな」

 

魔導通信具からの報告を聴きながら、港湾管理者のブロントは、カルトアルパス港管理局の窓から港湾の様子を眺めていた。

軍艦が好きな彼にとって、この行事は仕事であると同時に祭りのようなものである。

 

「此処に第零式魔導艦隊がいれば、各国の艦隊も貧相に見えるだろうな」

 

第零式魔導艦隊とは、神聖ミリシアル帝国海軍が誇る精鋭艦隊。最新鋭艦が配備される花形の艦隊であり、神聖ミリシアル帝国の強さの象徴でもある。普段はカルトアルパスを拠点としているのだが、今日からは先進11ヶ国会議の場となる為に、この時期になると西にあるマグドラ群島にて訓練航海を行うのが恒例となっている。自国の誇りの象徴を他国に見せ付けられないのを残念に思いつつも、次の艦隊を待つ。

ブロントは今回、どんな艦を送ってくるのか楽しみにしている国が2つある。

 

一つは、西の列強国レイフォルを落とした新興軍事国家グラ・バルカス帝国。

一つは、第三文明圏列強国パーパルディア皇国を解体した謎大き国、大日本帝国。

 

両国とも一体どのような艦隊で来るのか、この時点で彼の胸の高まりは止まらずにいた。

アガルタ法国の船団が全艦着岸したその時。岬の塔の監視員が突然通信越しにわめき始めた。

 

『な、何だあれは!?』

『あれは艦…なのか?なんて大きさなんだ…!?』

「こちらアルトカルパス港管理局、報告は適切に行え。何が見えた?」

『あっ…失礼しました。大日本帝国国旗を掲げた巨大な艦が1隻、そちらに向かっております』

「了解した。…来たか!」

 

ブロントは魔導通信の発信を一旦切り、1人興奮気味に呟く。

しばらく待っていると、水平線の彼方から灰色の艦が見えてくる。接近と共にその姿は巨大となっていき、湾内に入ってくる頃には余りにも巨大な全貌を明らかにした。それは、世界一の列強国と謳われる神聖ミリシアル帝国の魔道戦艦のスケールに見慣れていたブロンドでさえ絶句する程の造形美と力強さを持った艦であった。

 

「これが、パーパルディア皇国の艦隊を殲滅した巨大戦艦…!!」

『だ、大日本帝国到着。戦艦一隻のみ』

『了解。第三文明圏エリアに…入るのか…?いや無理だ、第三文明圏エリアじゃどう考えてもそんなスペースが残っていると思えない』

「第二文明圏エリアに予備のスペースがある、そこに誘導せよ。あの巨体が身動き出来なくなるよりはずっと良い」

『了解しました』

 

誘導先の変更指示を受け取った湾岸作業員が慌ただしく動き、入ってくる巨大戦艦の誘導を開始。その指示に従い、ゆっくりとカルトアルパスへ着岸していく。

アルトカルパスの住民達は、その巨大で優雅な姿に圧倒されていた。

 

 

 

あらゆる者達を釘付けにしているこの艦の名は、大和。

 

大和型イージス戦艦 大和。

 

1940年8月8日に進水。第二次世界大戦勝利後、1970年に一度退役。2010年から大規模近代化改修が開始され、転移直前の2014年に再就役。転移後はロウリア戦役、パーパルディア戦役に参加。合わせて木造船数千隻もの撃沈戦果を持つ。

 

 

大日本帝国が誇る、世界最大にして世界最強の戦艦だ。




イージス戦艦として現代に蘇った大和と、現役として活躍し続けるグレード・アトラスター(もう一つの大和)

対決したらなんか面白そうだなぁ、と思ってやってみた。需要あるかどうかは知らん。

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