戦艦復帰の設定が余りにもフンワリとし過ぎたなー、と反省。
どっかのタイミングで、設定を少し改訂しよう。
相変わらずのフワフワ進行で今回もやってくぞ。日本国召喚はこんくらい気楽にやるのが良い。
「さて……」
港町アルトカルパスから出港し、即席で編成された世界連合艦隊の最先頭でマグドラ沖を目指す大和。
その船内、バイタルパートで守られたCICにて船長の瀬戸 衛は状況を改めて整理していた。
・大日本帝国 イージス戦艦大和
・神聖ミリシアル帝国 魔導巡洋艦8隻
・ムー 戦艦2隻、装甲巡洋艦4隻、巡洋艦8隻、空母2隻
・トルキア王国 戦列艦7隻
・アガルタ王国 魔法船団6隻
・マギカライヒ共同体 機甲戦列艦7隻
・ニグラート連合 戦列艦4隻、竜母4隻
・パンドーラ大魔法皇国 魔法船団 8隻
以上61隻の大艦隊となり、この陣容に殆どの各国の担当者は自信を持っていた。
「………改めて見返すと、一体何の罰ゲームだ?」
だが、大和乗組員全員がこの陣容に対して自信を抱くどころか、殆ど
「百歩譲ってムーの艦隊やミリシアル帝国の巡洋艦は良いとしても……いや、それでもムーの艦は
「かと言って戦力外と言って追い出すのも、政治的にも不可能です。結果的にとはいえ、無能な味方は敵よりも厄介ですな」
「全くだ」
相手は、第二次世界大戦相当の技術を持った近代的な艦隊。そんな相手に戦列艦をぶつけたらどうなるかなど、議論するまでもない。魔法という不確定要素があれど、しかしこの戦いに於いては完全に役立たずだろうという事は、これまでの戦役と他国の交流で察してはいた。
「とはいえ、嘆いていても状況は変わりない。この即席で脆い艦隊で、グラ・バルカス帝国の艦隊に勝利しなければならない」
「問題は、相手の艦隊がどのような規模になるかですね」
「空母がいれば、初手は必ず航空攻撃で打撃を与えてくる。そうなればミリシアル帝国とエアカバーに入る予定だ。空戦で撃墜漏れした航空機を、我々が迎撃すればいい。不味いパターンは、戦艦中心の艦隊で組んで来る事だ」
「そうですね…ミサイル構成が従来の対空攻撃に重視したものとなっているので、対艦ミサイルが足りれば良いのですが」
現在、大和のミサイルVLSに装填している殆どのミサイルが
その理由は転移後のロウリア戦役及びパーパルディア戦役。転移後の仮想敵国では、対艦ミサイルは完全にオーバーキルかつコストパフォーマンスが極悪を極め、対艦攻撃ならば艦砲のみで十分に過ぎる。そしてワイバーンに対する長距離攻撃手段として対空ミサイルが最適という結論の元、一時期はVLSが対空ミサイルのみで占有していた。しかし、グラ・バルカス帝国や神聖ミリシアル帝国等の技術レベルが判明するにつれて対艦ミサイルの搭載は必要という事で、16発だけだが12式対戦艦誘導弾が再搭載されていた。
今回の派遣の際も「行き来の際に原住生物の襲撃が無い限り、戦闘も発生しないだろう」という事で、対空重視のまま出港していた。しかしこの判断を非難するのは余りにも酷だろう。この時グラ・バルカス帝国が全世界に対して宣戦布告を行うなど、全知全能の神でも無ければ分かるわけが無いのだから。
「カルトアルパス海軍基地より連絡。グラ・バルカス帝国と思われる航空機が接近中。距離約130km、機数約200」
「艦隊の発見報告は?」
「ありません。他にはアルトカルパス海軍飛行隊基地より、ミリシアルの戦闘機『エルペシオ3』42機が離陸したとの事」
「200となると…正規空母2隻、いや3隻と言う所だな。エルペシオ3の機影は捉えられるか?」
「たった今補足しました。数分後、後方より艦隊上空をフライパスします」
「さて、世界一と名乗るに相応しい実力を見せてくれ。神聖ミリシアル帝国」
…
十数分後。
「………なぁ、副長」
「はい」
「このレーダー反応は、私の見間違いか何かか?」
「残念ながら、現実です」
CICの画面には、青色に識別された神聖ミリシアル帝国の航空機と、赤色に識別されたグラ・バルカス帝国の艦載機が入り乱れて空戦を行なっている様子が映し出されている。
但し、グラ・バルカス帝国のレシプロ戦闘機が、神聖ミリシアル帝国のジェット戦闘機を
「想定を遥かに超えて酷いな、これは。ミリシアルのジェット戦闘機が
「にしても、まさかジェット戦闘機がレシプロ戦闘機の性能に
そう話しているうちに、レーダーの
「ミリシアル帝国航空機、全機撃墜されました。グラ・バルカス航空機の損害、確認出来ません」
「…さて、これで頼りになる戦力は我が大和を除いてこの戦場に存在しない事がはっきりした。ならば存分に見せ付けてやろう」
「大和こそが、世界最強の戦艦であると!対空戦闘用意!」
遂に、大和が三度の戦火を噴かせる時が来た。
「全対空ミサイル用意、目標敵艦載機」
「誘導限界数で撃ち込め、命中後は随時適当な目標に攻撃を継続。射程に入り次第、18cm砲及び76mm砲の対空射撃も実施せよ。艦載機の数は多い、必ず艦砲の射程に入り込んでくるぞ」
「了解」
「攻撃準備、完了!」
「撃ち方はじめ!!」
艦長たる瀬戸の号令を合図に、6基の10式垂直発射装置から対空ミサイル16発が連続で撃ち上がる。誘導能力の関係上、およそ200機を同時迎撃は出来ない。そんな事をすれば誘導能力のキャパシティを超過し、ミサイルの無駄撃ちに終わる。故にまずは、確実に
突如、世界連合艦隊の先陣を切って進む大和の船体後部から噴火の如く炎を吹き上げる光景を見ることが出来た、世界連合艦隊の人員は例外無く驚愕し、動揺した。
「な、何だ!?」
「いきなり爆発したぞ!!なんでだ!?」
「…いや、違う!!何かを打ち上げて…前に飛んでっている!」
その中でもある伝説の内容を知っている人物は、とある兵器を思い浮かべていた。
「……まるで、誘導魔光弾のようじゃないか……!?」
…
グラ・バルカス帝国東部方面艦隊の空母から発艦した艦載機200機。
彼等は防空戦力として出撃してきたミリシアル帝国のジェット戦闘機を難なく殲滅した後、乱れた陣形を整えて再びアルトカルパスへと進路を取っていた。
彼等の目標は、アルトカルパスより出航しているであろう敵艦隊への攻撃。正確に言えば、大和への攻撃だった。
大和さえ撃沈すれば、残るのは対空など一切考慮されていない時代遅れの船の群れ、殲滅するのは容易い。故に、最初の一撃の火力を大和に集中させ、一瞬の抵抗すらも許さずに叩き潰す。
『件のヤマトって奴はグレード・アトラスターと似てるって話だが、どんなもんかね』
『さぁな。ただ、大したことは無いだろう。情報によると対空兵装は貧弱らしい。防御力が高くても、対空戦闘が出来なければ意味が無い』
『そうだな。まぁ、戦艦を墜とせば勲章が貰えるし、良い稼ぎにはなるか』
編隊を組んで空を飛んでいる彼等は、適度な緊張をしつつも気楽な雰囲気で無線による会話を行なっていた。
この戦いの前にも、グラ・バルカス帝国東征艦隊は世界一と謳われている神聖ミリシアル帝国、その最高海軍戦力たる第零式魔導艦隊を消滅させている。
最早、グラ・バルカス帝国に敵う者なし。そう彼等は確信し、劣等なる現地文明達を舐めていた。
だからこそ、彼等は、グラ・バルカス人は想像する事を忘れてしまった。
『………ん?』
自分達以外にも、この世界に何かしらの文明が転移して来ているかもしれない、という想像を。
『どうした?』
自分達以上に、技術力が優れた文明が存在しているかも知れない、という想像を。
『何か、近づいてきて──!?』
自分達が今、今まで侮ってきていた「技術力に劣る蛮族」の立場に立っているかもしれない、という想像を。
安定の初手対空ミサイル。