八丈島の全島民避難から5日過ぎた。
運が味方してくれたのかは分からないが避難民を乗せた艦隊は、無事に本土の港にたどり着く事が出来た。
しかし、私達の艦隊は、被害が大きかった。
ミサイル駆逐艦「はたかぜ」を失っただけでなく、多数の死傷者を出した。
報告書だけでも殉職者25名、重軽傷者40名近くに上った。
第一独立艦隊は、再編成を行っている。
5月20日 横須賀
睦月「私達は、無事に帰って来る事は、出来たけど・・・」
吹雪「はたかぜとその乗員は・・・・」
睦月「あれ?」
吹雪「どうしたの?」
睦月「あそこ、埠頭に人がいるよ」
吹雪「本当だ、行ってみよ」
埠頭
???「ふぅ―、気分転換に喫わねぇとやってられないな」
吹雪「あの」
???「うん、何だ君達は、俺に何か用か?」
吹雪「いえ、ここで何をしているのかと・・・」
???「あぁ、一服だよ、作戦が終わってから気分転換ってな、おっと名前を言ってなかったな、俺は、八島秀二、はたかぜの元”艦長”さ」
睦月「はたかぜの・・・」
八島「親しんだ部下だけでなく艦まで失っちまった」
吹雪「・・・あの」
八島「敵機25機の迎撃に当たっていた君達は、悪くない、そもそもこの国の軍隊は、何十年も何処の国とも戦火を交えていない」
吹雪・睦月「・・・・」
八島「だが、例え、自らが攻めなくとも相手は、関係なく攻め込もうとする。自らを守る為には、最低限の武力は必要だ、すまん、変な話になったな」
吹雪「い、いえ」
睦月「あの八島さんは、今後、どうするんですか?」
八島「まだ分からん、艦がなければ、作戦参加も出来ん」
同時刻 八丈島沖の海底
深く冷たい海底に沈んだ駆逐艦「はたかぜ」が横たっていた。傷ついた艦体と誰もいるはずのない艦橋から謎の声が響いてくる。
冷たい・・・・
痛い・・・・・
寂しいよ・・・・
皆に会いたいよ・・・・
それはまるで幼い子供の泣き声の様に、
その日から八丈島近海を通る船舶からの通報が多発するようになった。
通報した船員達に話によれば、
「誰もいないのに小さな女の子の泣き声が聞こえて来るとの事だった。」
この事は、すぐに海軍に伝わり、その海域で何らかの現象が起きているのではないかと考えられ、横須賀司令部は、第一独立艦隊に対して、当海域の調査を命じた。
吹雪は、この異常現象に対して、思う事があった。
それは、彼女(艦娘)達がこの世界に来る前に類似した事に遭遇していたからである。
”変色海域”
吹雪達がいた世界で起こった現象、徹底海峡において海が血の様な色へと変わり、深海棲艦除く生物は全滅だけでなく艦娘の艤装を損傷させてしまう程の危険な海域。
この事態に艦娘総出で対処し、収束した。
その出来事がこの世界でも起こったと思ったが報告によると海は変色していない事から”何かがいる”というだけでしか分からない。
吹雪達は、日ノ出艦隊と共に再び八丈島海域へと向かった。
続く