ルーントルーパーズ〜国防軍漂流戦記〜   作:匿名

13 / 74
コソコソ話

・大日本帝国について
内容は濁しますがGDP・軍事・技術において世界一の超国家です。
支配領域は環太平洋地域に該当する箇所。
人口は62億人ですがこの世界では世界2位の規模です(1位は現在の地球に匹敵)


アルゲンタビス4

ラロナが王城に来るのは、軍に入ってすぐ、初めて閲兵式に参加した時以来で2回目だ。

 

緊張で足が震える。閲兵式では城内広場までしか入らなかったが、今回は王座の間にまで足を踏み入れてからだ。

近衛部隊からの視線も恐ろしく感じていた。だが、それと同時に直に陛下と謁見できる栄誉に感動していた。

彼女は上官のカルダが報告してるのを、頭を垂れた状態で見事な刺繍の絨毯を見つめながら聞いていた。

 

「王城並みの巨大船群ね...」

 

陛下の側近であろう男の声が聞こえたが、どこか疲弊を感じるような声であった。

 

「それを帆を張らずに海を進んでる...でありますか」

 

今度は女官らしき女の声が聞こえたが、さっきの側近同様の声だった。

 

「その巨大船の上に駐騎していた竜が、今回この王都に襲来した竜と同様の物だとはな」

 

軍の高官らしき低い声の男はため息混じりな声で言ってた。

 

「貴方には分からないと思うが、ここに居る者達は昨日の騒ぎで各所の対応に追われたり継帝からの宣戦布告でピリピリしている」

 

カルダからの説明にラロナは理解した。

 

「練戦士、本来君の報告を聞いたところで、ここに居る我々は嘲笑してるか真面目に話なんか聞いてないだろう。彼女の言う通りに昨日の騒ぎであの竜を目撃して以来、信じるしかなくなったんだ」

 

数人の大臣は軍の高官からの話に同意するかのように頷いている。

 

「興味深い報せじゃの」

 

そこに老獪な口調をしたまだ幼い少女の声が響いた。

 

声の主はこの王座の間にある玉座からだ。

王座では見事な細工の扇子で自らの小さな顔を扇ぎながら、足を組みこちらを見下ろしている。

ハミエーア・ルアナ・マリースア

このマリースア南海連合王国を統べる女王である。

 

「して、その巨大船群は...」

 

顔を扇いでいた扇子を、パタンとたたみ女王は尋ねた。

 

「どこの国の船にして、何の目的があって現れたと判断するのじゃ?カルダよ」

 

そして、玉座からおり、歩いてくる。

この場に居る、全ての者が平伏した。

 

「畏れ多くも申し上げます。陛下」

 

カルダは判断に迷ったが、女王への忠誠心故に正直に結論を出すことにした。

 

「皆目見当つかない、と言うのが本音でございます」

 

「ほぉ、なるほど…」

 

ハミエーアは目を細め、クスリと笑う。

 

「お主、なかなか有能じゃな?」

 

「ならば、やるべきことは決まっておるな」

 

ハミエーアは微かに笑みを浮かべた。

それはまるで、悪戯を企むよ幼児のような笑みだが、その裏には大人でも考えつかない深謀が隠されていた。

 

「カルダ、その者達の正体を暴いてくるのじゃ。敵でないなら、妾の前へ連れて参れ」

 

ここに居る者達がざわめいた。

 

「正体不明の者を陛下の御前に!?」

「竜で王城の上空を我が物顔で飛んでいた奴らですぞ!?」

「それはなりませぬ!」

 

ハミエーアの命令に側近達は反対の意を唱える。

 

「なぜじゃ?その竜は強行偵察を図っているかのような行動だったとそうじゃが。敵ならとっくのとうに攻撃しているはずじゃ。ならば敵ではなかろうとは思うがのじゃが?」

 

「しかし…」

「それとも、もし敵ないと騙り妾の命を狙おうとした場合、妾を守れぬとお主達は申すのじゃな?そんな者をそばにおいたつもりはないのじゃがのう」

 

そう言われては側近達は、もう何も言い返せなかった。

 

ハミエーアは神妙な顔になってここにいる者達に言う。

 

「ここにいる者達は、フィルボルグから宣戦布告されたのは周知の事実。奴らに対抗できる唯一の国家だった千年帝国プロミニアも滅び、この国が滅びの道へ進んでいる。正体不明でも何でも良い。敵でない事を確かめるのが重要なのじゃ」

 

彼女は颯爽と背を向け、玉座へ戻ろうとする。

 

「この国には、味方が必要なのじゃ。近隣諸国と足並みが揃わない今、攻め込まれたら…」

そして、皆には聞こえない小さな声で、続きを呟いた。

 

彼女は、セイロード湾を一望できるテラスを見やった。

美しい国なのだ。

そんな美しい国を自分は心から愛している。

 

「この国は、滅ぶ。町は焼かれ、民は奴隷にされるじゃろう…」

 

フィルボルク継承帝国の使者が突きつけてきた最後通牒には、属国として誓えだった。

交易都市として栄えるこの国の収支の大半の献上、ハミエーアら国の重鎮の家族を帝都アガルダに住まわせる事、戦時における兵力供給義務などを要求された。

 

おまけに、それに従ったところで帝国が約束通りに自分達の命を保障するとは思えない。過去に同じ要求を受け入れた国が、帝国の増税に応えきれなくなった途端、反乱の疑いありとして命を取られた人々もいる。

もはや戦う道しか残されてない。

 

しかし、この国には強大な帝国に立ち向かう戦力がない事も事実であった。

周辺諸国と反帝国同盟を組み帝国との戦争に備える予定だった。だが帝国がマリースアにしか宣戦布告してないのが災いし、戦争に巻き込まれたくないと、帝国との戦争に協力的な国が少ないのだ。

 

今は藁にもすがる思いだ。

彼女はテラス向こうの空を見つめた。

 

「んお?」

 

空の向こうから、何かがやってくるのを見つける。

 

(なんじゃ…あれは?)

 

彼女は思わず、テラスの方へと歩き出した。

 

「へ、陛下!?どうされたのですか!?」

 

大臣の1人がハミエーアに問いかけるが、彼女はそれを睨んだまま微動にしない。

徐々に奇妙な羽音のようなものが聞こえ始めた。

 

「な、何の音だ?」

 

側近達は、聞いたことのない音に動揺を隠せなかった。

空気を叩くような音だった。

徐々に音が大きくなる。音の主が近づいてきてるのだ。

 

「あ、あれは一体…?」

 

海の向こうの空から4つの物体が飛んでくるのを、その場の全員が認識した。

商用アルゲンタビスなどではなかった。

アルゲンタビスがあんな羽音を響かない。

 

「ま、魔物か?」

「巨大な虫?」

「昨日の竜と言い、巨大船群と言い、一体どうなってるのだ…」

 

カルダはハッとする。

あの飛行物体は、こちらへ向かってくる。

騎士の責任感からハミエーアへ申告した。

 

「私が出ますゆえ、陛下はどうか室内へ!」

「遠眼鏡を持って参れ」

「へっ!?」

「早うせい」

 

唖然とする重鎮達を尻目に侍女が慌てて、普段都や海を眺めるのに使うドワーフ職人製の高級遠眼鏡を差し出した。

それをハミエーアは目の当てた。

空を飛ぶその物体を観察する。

 

「なんとなんと、鉄の竜、巨大船群の次は鉄の虫とはのう」

 

彼女はややあって、不適な笑みを浮かべる。

 

「カルダよ」

「は、ここに」

「こちらから赴く手間が省けたわい。あの物体の正体と一連の出来事を知りたい。妾の命を果たして参れ」

「なっ!?」

 

愕然とする臣下達を尻目に、ハミエーアはは空を眺めた。

 

 


「見えた!陸地だ」

 

パイロットが快哉を叫んだ。

久世や他に乗り込んでる兵士達も外を見ると、陸地のはっきりした輪郭が確認できた。

 

「街だ...」

 

久世は誰に言うまでもなく呟いた。

 

「こちら指揮官機より各機へ調査大陸に侵入。該当国家機構の首都を確認」

 

親善部隊は陸軍のオオトリ2機とブラックホーク1機がチヌークを囲む三角形の編隊を維持しつつ行動を下げていく。

高度を下げるにつれ、陸地の全体像がはっきりしてくる。

 

都市は三日月型の地形に沿って建てられており地中海の街並みを思わせるような石畳に木や石で出来た建物で構成されている。久世が普段から目にするアスファルトで舗装された道路や現代建築物の象徴である超高速ビル群が見当たらない。

久世達は改めて自分達が地球ではない並行世界に迷い込んだんだと自覚した。

 

「レーダーに感あり!十一時方向より飛行物体が急速接近中!IFF(敵味方識別)反応なし!」

「なっ!?」

 

久世はサイドドアに張り付くようにして状況を確認した。

 

「あの巨鳥だ!!」

 

無数に巨鳥が城らしき施設から飛び立つのが見えた。

どうやら滑走路も城に併設されているようだ。そこから巨鳥が飛び立ち、上昇気流を捉えて一気に高度を上げている。

巨鳥の背には人が乗っていた。彼らは見事に統制が取れた編隊を組み前方よりヘリ部隊の下を潜り抜け、急旋回して後方から追い上げてきた。生物だからこそできる芸当だ。

 

「なんて旋回性能なんだ…!?」

「トム戦よりすごいぞ!」

 

パイロットの呻くような声が久世に聞こえた。

特使であり部隊の最高責任者である加藤がパイロットに話かけた。

 

「機長、各機に編隊を崩さず相手を刺激するような行動を慎むようにしてください」

「りょ、了解した加藤中佐!」

 

久世はごくりと喉を鳴らした。

確かに彼らはこの国の人間だ。突然やってきた自分達にスクランブルをかけるのは当たり前だ。この大陸に調査した桜龍の艦載機も同様だ。帝国にも正体不明の飛行物体が現れたらら同じことを国防空軍が行うのだ。非常事態とは言え自分達がやってることには非がある。敵対行動なども相手から攻撃してこない限りもっての他だ。

同乗している海軍参謀の判断は間違ってない。

 

「い、いいのかよ、このまま撃墜されたら…」

「まだ未練があるのに…」

「その時は皆仲良く、あの世行きだな!笑え笑え!ワッハハハハ!!」

 

部下達からは不安がる声や気分が最高にハイになっているなど様々だ。

久世は無線機に向かって叫んだ。

 

「全員聞け!落ち着くんだ!相手に向けて武器を見せるような事はするな!向こうはまだこちらに敵意を向けてない!」

 

部下達に指揮官の声を聞かせて動揺を防いだ。

 

「本当にここは並行世界なんすね…何かゲームに世界に来てる感じ」

市之瀬が驚きと感動の混じった表情で久世に囁く。

 

空の上から見ても湾にいる船舶は全部木造の帆船かガレー船ばかりだし、道路に至っては馬車や大きな鳥の引く荷車ぐらいだ。

 

「あれは…?」

 

一匹の黒い巨鳥がヘリ部隊の進路を塞ぐように前へ出た。

 

背中に乗っているのは黒いコートらしき物を身につけ長い槍を背負っている背の高い女性のようだ。

片手に部隊の個別旗のような物をかざしており、その姿はどこか死神を連想連想させた。

久世は彼女と一瞬、目があったように感じた。

草色の髪に端正な顔立ちで整った美人であった。年齢的に自分と同じか下ぐらいだ。

彼女の口が動いた。

 

(ワレニシタガエ)

 

そう言ったような気がした。

気がしただけで確固たる証拠はない。

だが行動を見るに、そう言っていた可能性が高いと感じた。

 

「加藤中佐、こちら久世です。報告があります」

「はいはい、加藤です。何かありましたか。久世さん?」

「あの巨鳥に乗った集団の指揮官らしき女性、我々をどこかへ誘導していると思われます」

「ああ、それは僕も薄々感じてたんだ。意見が一致したようだね。じゃあ誘導に従おうか」

「り、了解」

 

久世は緊張した面持ちになった。艦隊が並行世界に迷い込んで初めて人間と接触するからだ。

それが吉と出るか凶と出るか久世には分からない。

 

加藤の決断により、ヘリ部隊は黒い巨鳥の誘導に従い降下を始めた。

眼下に広大な城が見えてきた。

 

 


城の中庭に集まった衛兵や城の関係者達は、その奇怪な物体にまず驚き、次いで巻き起こった猛烈な風に怯んだ。

アルゲンタビスの比ではない。

 

「バ、バケモノだぁ!?」

「隊長、海賊がやってくると言う話だったのでは!?」

「鳥...いや、虫か?」

「中央の虫は大きいわね」

 

正体不明の何かがやってくる。

 

それだけが、彼らに与えられた情報だった。

敵意がなければ攻撃するなと言う命令だったが彼らには、この突風さえも敵意の表れに思えてしまう。

4匹の奇妙な虫、それどころか生物なのか分からない存在が美しい花の咲き乱れる中庭に爆音を立てて降りてきた。

強烈な風は次第に収まっていく。

 

その場は静寂が支配した。

 

女王陛下からはあれをここへ連れて来いとの命を受けたが追い返すわけにはいかない。

衛兵らは顔を見合わせ困惑した。

奇妙な虫に続き今度は飛行軽甲戦士団のアルゲンタビスが強行着陸してきた。

本来は城の反対側にある駐屯地と併設している鳥台場に降りなければならないが急を要したため無理にここへ降りてきたようだ。

 

10騎を超えるアルゲンタビスの飛来に、またもや混乱に陥った。

 

「奴らに動きは?」

 

そこに飛行軽甲戦士団の戦士団長カルダが颯爽と地面に降り立った。

 

「動きはありませんな。あれが生き物か何なのかさえ分からぬ...」

 

衛兵隊長が話していると、ガラとあの奇妙な物体の腹が開いた。

中庭に緊張が走る。

 

「怪物の腹の中から人?」

「どうやら、あれは乗り物だったようだな」

 

カルダは空の上で、あの奇妙な虫のようなものに人が乗っている事に気づいていた。彼らが見たこともない変な服を着ていることも。

 

「あれは空の上で見た男だな」

 

カルダは槍を手にした。

出てきたのは、奇妙な物体と同じ変な斑模様の服を着て黒い棒をささげた若い男だった。

次に出てきたは先ほどの若い男と同じ装いの男女1人ずつと眼鏡をかけた白い服を着た男が姿を現す。

物体の中にはもっと人が乗っているようだが、彼らは先に降りた4人を心配そうに見つめていたり興味津々にこちらを覗いてたりしている。

 

「止まれ!」

 

カルダはこちらへ向かって無造作に歩いてくる4人を制止した。

 

「え?今の日本語?」

「翻訳機使わなくてすみましたね」

「警戒しないでください!我々に敵意はありません!」

 

4人の内、眼鏡をかけた白い服の方が答えた。

流暢な四海陸共通語だ。訛りもない。

 

「名を名乗れ!」

 

4人はカルダの鋭い声に顔を見合わせると、ややあって頷いた。

 

「大日本帝国国防海軍所属、加藤海軍中佐」

「同じく国防陸軍所属、久世陸軍少尉であります。2人は自分の小隊の部下です」

 

4人は手の平を額の上にかざすと言う意味不明な動作を大真面目な顔で行った。

 

「ダイニッポン帝国?コクボウカイグン?コクボウリクグン?」

 

彼女は聞いたこともない単語に首を傾げた。

ダイニッポン帝国などと言う国は聞いたこともない。それに彼らのような黒い髪に茶色い瞳の人種にも、心当たりはなかった。と言うより、あんな物体を操るような存在そのものに心当たりがなかった。

 

「カルダ様!こいつらきっと帝国軍の暗魔兵団だ!」

「騙されちゃいけませんぜ!」

 

部下達の意見には、カルダも賛成したい気分だ。

継承帝国には支配下の国や部族から選りすぐりの暗殺者や特殊能力者で編成された暗魔兵団と呼ばれる特殊部隊が存在する。

彼らは見たこともない邪法や古に封じられた魔導兵器を操ると聞く。

思い当たる節はそれぐらいだ。

 

だが、カルダはそう断じるのに違和感を覚えた。

帝国の非道なる戦士のような雰囲気を彼らから感じなかったからだ。

 

1人は眼鏡をかけた人畜無害そうな男。

2人目は若いがどこか頼りなさげな男。

2人目の部下であろう者は、田舎から出てきたばかりのどこか垢抜けない眼鏡の女と体格はガッチリしてるが頼りなさげな長身の男だ。

4人ともそれなりか相当鍛えてるように見えるし、口調や動作は軍に置く者特有のものである。

 

だが、何かが物足りない。

 

殺気や隙のなさと言った緊張感を抱かせるものが無いのだ。

おそらく、槍で4人に挑みかかれば数秒と待たずに心の臓を突くことができる。

 

「その帝国軍とか言うのが何なのか知りませんが、少なくともウチの帝国とは関係ないと思いますし、そんな組織が国防軍11軍で保有しているとは聞いたことがありません」

 

雰囲気が悪化したことに焦っているのか、必死になって説明している。

 

「では、何の目的があってこの国へやってきた?」

 

「先日、こちらに調査目的で飛来したウチの艦隊所属の艦載機が領空侵犯を侵してしまったことへの謝罪です」

「昨日の騒ぎは其方達の仕業だったのか」

「はい、私はその艦隊司令の代理としてここに赴きました」

 

「貴様、陛下の御前と知ってのことか!」

 

そこに衛兵隊長が声を荒げ問い詰めてきた。

彼らは陛下に忠誠心を誓った者達だ。昨日の騒ぎで陛下を危機に陥れた存在が直接居る上に声を荒げるて問い詰めたい気持ちも分からなくもない。

 

「我が艦隊はあらゆる連絡手段を失い現在位置を見失い異常事態に陥ってしまいました。そんな状況を打開するためにレーダーで探知した陸地の調査目的でこの国に飛来しました」

 

「貴様らの艦隊がそんな状況になったのは何故なんだ?」

 

衛兵隊長の問いに4人は顔を見合わせる。

怪しいが口裏を合わせようとしているのではなく、説明に困っているようだ。

 

「一応その状況に陥った原因は分かるのですが、それを話すと長くなるんですよ。ホントどう説明しようかな…」

 

眼鏡をかけたカトーを名乗る男が苦笑する。

 

「やはり怪しい。こんな連中を陛下の御前に出してたまるか!」

 

衛兵隊長の問いと同時に指揮下の衛兵が槍や剣を彼らに向けた。

カトー達4人は突然の出来事に酷く困惑した。

 

「衛兵隊長!何の真似をするんだ!陛下の命を無視するのか!?」

「カルダ戦士団長、いくら陛下の命とは言え怪しい者を陛下の御前に出すのは納得いきませぬ!」

 

そんな中カトーは必死に弁明する。

 

「本当に怪しいものではありません!意図せぬ領空侵犯でした!」

「しょ、小隊長どうしましょう?」

「正当防衛でのみの射撃でよろしいですか!?」

「僕が許可するまで撃つな!何とか説得させるしかない」

 

事の顛末を見ていたのであろう物体の腹の中からクゼと名乗った部下達が続々と降りてきた。

 

「久世隊長、大丈夫でありますか!?」

「う、撃ちますか!?八重樫伍長!」

「バカ撃つな!相手の心象を悪くすだけだ!」

「グレートですよこいつぁは」

 

中庭は一触即発状態に陥ってた。

そんな緊張状態の中である者の声が響いた。

 

「ほう、それは興味深いのう!中で話を聞こうか!」

 

カルダや衛兵隊長達は驚きのあまり、声の主の方に視線を見やった。

 

「「へ、陛下!?」」

 

ガルダや衛兵隊長の声は裏返った。

普段の冷静なカルダと寡黙な衛兵隊長から想像もつかない驚きようだった。

衛兵達は弾かれたように平服した。

 

「へ、陛下?」

「何の陛下だ?」

 

向こうも同じようだった。

侍女や近衛兵に囲まれたハミエーア女王は、くふふと意味深に笑うとカルダの横をすり抜け彼らの前に出た。

 

「妾はハミエーア。この国の王であるぞ」

 

「おう?」

 

彼らは小さなハミエーアを呆然と見下ろし、ややあって顔を見合わせた。

この女の子が王?

そんな顔をしていた。

 

「王ってウチの天皇陛下みたいなお方ってことでしょうか?」

「そ、そーみたいだね」

「ロリで女王なんてアニメでしか見たことない...」

「あ、敬礼しないと...いや待てよ、国防兵服務規則では元首には捧げ銃だったはず...」

「やべっ、やらなくちゃ!」

「小隊長!慌てて出たため銃を持ってません!」

「馬鹿野郎!何のために訓練したんだ!」

 

ハミエーアはそんな彼らに、目を細める。

 

「カルダと衛兵隊長、彼らが彼の帝国軍とは関係ない帝国のようじゃな?」

「は、はぁ、それはそうかもしれませんが...」

 

ガルダは異を唱えられない。

 

「それに衛兵隊長、妾の身を案じてくれるのはありがたい。だが、もうちょっと妾を信じて欲しいものじゃ」

「へ、陛下...」

 

衛兵隊長は複雑な面持ちになっている。

 

「それに、妾がこうして無防備に目の前におるのに何の害意も示さぬ。少なくとも敵ではないようじゃ」

 

ハミエーアの声にカトーは同意した。

 

「ええ、それだけは確約できますよ。女王陛下、お会いできて光栄です」

「なら、話は早いのう」

 

無邪気に笑い、ハミエーアは手をパンパンと叩いた。

 

「皆の者、客人じゃ。宴の準備をせい」

 

彼らは、トントン拍子に物事が進んでいるらしいことは分かった。

だが、それはどこか進みすぎている、と嫌な予感がした。

 

 




投稿が遅くなりすみません。バイトしたり課題や自主課題をやりながらで忙しいからです。おまけに就活です。受けようと思っている企業全部落ちる自信しかありません(ドヤァ)

億万長者になって好きなことしながら生きたい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。