ルーントルーパーズ〜国防軍漂流戦記〜   作:匿名

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・コソコソ話
この大日本帝国、元々日本国召喚の二次創作国家として設定してました。一応時系列というか世界線は同じです。


戦火の中で2

伊吹CIC

 

ここ伊吹のCIC内にて蕪木と艦長と情報参謀部と作戦参謀部が作戦指揮台にて会議を開いていた。伊吹のCICは他艦のCICより広めに作れておりスペースは余裕だった。

 

「地上兵力は確認できただけでで1000。そのウチの半数以上が小隊が戦線を張っている中庭に集結し現在も増加している模様」

「航空兵力は例の巨鳥の巨大種と白竜と黒竜の3騎種。総数約100騎です」

「歩兵の武器も槍、弓、剣などの中世レベル。白兵戦に持ち込まれたら厄介です」

情報参謀部からの報告を聞き蕪木は尋ねる。

 

「空からの奇襲ということか」

「ええ、陸軍の空挺旅団のような運用方法です。現場からは巨鳥の巨大種に兵士を載せてたとか」

「なるほどな...」

 

「別方向に飛行していた早期警戒機からマリースアに向けて時速60ノットで飛行している飛行艦船を捕捉したようです。これがその飛行艦船です」

情報参謀はそう言い蕪木の前に数枚の写真を渡す。大航海時代の帆船が空を飛行している写真だった。それに群がるように白竜と黒竜が共に飛行していた。

 

「...この世界にも海軍の月読命級や絵鞆級のような飛行艦船があったとはな」

「速度に関しては海軍の飛行艦船と同等の性能、兵装も大砲らしき砲口を舷側に20門配していると見られ50門級戦列艦に匹敵すると思われます。ビーチング機構を有した飛行艦船も確認され輸送揚陸艦と推測しています。この程度であれば艦隊の現有兵装でも対処可能ですが対空・対艦装備を有してない小隊には脅威です」

「揚陸艦も地上戦力が乗り込んでるとしたら今の倍の戦力に膨れ上がると思われます」

「敵飛行艦隊のマリースア到達予想時刻は?」

「速度と距離から見て、あと20分で到着するかと思われます」

情報参謀からの結論に蕪木は苦い顔をする。対空・対艦装備を有してない小隊には荷が重すぎる。それに敵地上戦力がそれ以上に増えるかもしれないからだ。このままでは小隊どころか避難民に危険が及ぶ。

 

「作戦参謀部、作戦はどうだ?」

次に蕪木は作戦参謀部に問うた。

 

「作戦に関してですが、抽出する戦力は空母桜龍の2個戦闘攻撃飛行隊20機、2個戦闘飛行隊20機、1個早期警戒飛行隊2機の計42機、伊吹、初音、DDS116、DDS138の計4隻を作戦に投入します」

「早期警戒機の指示の元に戦闘飛行隊の空対空ミサイルによる竜と巨鳥の航空戦力の撃破、戦闘攻撃飛行隊の空対艦ミサイルによる飛行艦船の撃破、伊吹ら分遣隊による撃ち漏らした敵戦力の排除です」

「確か、飛行艦船にも空対艦ミサイルでの対処は可能だったな」

「はい99式空対艦ミサイル“グングニルⅡ”は対水上・対飛行艦船に対処可能です」

「近接支援飛行隊を出さないのだ?万が一敵地上戦力が膨れ上がった時に有効打のはずだが」

「一度考えましたが、住宅街に逃げ遅れた一般市民を巻き添えにする危険性があるので却下しました」

「コラテラルダメージでどうにかならんかね?」

「後々、現地民から心象を悪くしてしまうのでなんとも…」

 

「救出部隊は?」

「陸軍から輸送ヘリを含めヘリ3機、海兵隊からは陸軍同様に13機の計16機が参加します。また、小隊の武器弾薬の補給に加え板井大尉の中隊指揮下の2個小隊を増援として派遣します」

「うむ...作戦は聞いての通りだ。事態は一刻を争う。直ちに各艦・各部隊は兵士との作戦と情報を共有せよ」

 

「蕪木司令…」

 

「直ちに作戦を開始せよ。伊吹分遣隊はマリースアに向け進路を取れ。全艦最大戦速よーそろー。各艦、対空・対水上・対潜警戒を厳とせよ」

 

かくして最高指揮官である蕪木が作戦開始の命令を発した。

CIC内の兵士らが各艦、各部隊に指示を出していく。

 

『航海艦橋、了解。最大戦速よーそろー』

『こちら桜龍、既に兵装換装に取り掛かっています。換装終了まで10分はかかる模様』

「換装次第、直ちに発艦せよ」

『駆逐艦初音、最大戦速で航行中』

『DDS116、こちらも最大戦速で航行』

『DDS138、最大戦速で航行中。兵士の士気も良好』

「副旗艦の羽黒に艦隊防衛の任を任せる」

『こちら羽黒艦長、森脇。艦隊防衛の任、承りました』

 

「加藤中佐に作戦開始を知らせ」

 

 


「おーい、久世少尉。艦隊からの連絡だよ。艦隊は作戦を開始し戦闘体制に移行したそうだ。中庭の確保と制空権の奪還が完了次第、救出部隊のオスプレイとチヌークがここに来る。手術が必要な重症者を優先でオスプレイに乗せよう」

「了解です」

部隊の後方で通信を担当している加藤から報告を受け久世は一息つく。

 

バリケードの構築が終わり即席の迎撃態勢が整った。

久世は部下に指示を出していく。

 

「植野兵長、山本兵長、機銃を左右に据えろ。古手川伍長と笹島伍長は60mm迫撃砲の設置を頼む。各員、手榴弾を取り出しやすい位置に装着しておけ。安全ピンの露出に注意しろ」

「久世少尉、小隊の半分以上はまともな野戦服と防具を着用していません。現在の小隊の脅威である弓兵隊を先に叩くために迫撃砲を撃ちまくりましょう」

「それもそうだな。分かった、大塚軍曹の通りに迫撃砲は弓兵隊を最優先目標とする。八重樫伍長は直ちに敵弓兵隊の観測に取り掛かれ」

「了解!」

 

中庭にの向こうに陣取る帝国兵を双眼鏡で眺めた。膠着状態はしばらく続かないだろう。

バリケードの横に長身の女騎士カルダが立っていた。

現代歩兵の防御陣形であるバリケードの横に、堂々と立つ女騎士の構図は異様である。

 

「カルダ団長、どうしました?」

「何故そこまでする?」

カルダはポツリと尋ねていた。

 

「...指揮官である僕なら弱き者を救いたいからですかね」

「ほぉ?」

「軍全体の意思だと助けることで自分達に利があるからだと思います」

 

「まぁ、艦隊のほとんどの兵は僕と同じ考えだと思いますけどね」と久世は苦笑しながら付け足した。

「そうか...」

今はちょうど、弾薬の分配や配陣のために人が出払っており2人きりの状況だ。

 

「ここで帝国軍を食い止めるのか?」

「そうですね。ここにいる避難民を救うにはそうするしかないです。しばらくすれば援軍が来ますよ」

しばらくの間に沈黙が続く。

その沈黙を破るかのようにアルメナが割って入った。

 

「クゼ殿、マリースアへの加勢ありがとうございます」

「礼は自分ではなく蕪木司令に言ってください」

アルメナからの感謝の言葉に久世は苦笑しながらそう答える。

アルメナのおかげで状況が打破できたカルダは久世に少しだけからかうような口調で言う

 

「クゼ殿、見たところ貴公は実戦が初めてだろ?」

「分かりますか?」

「ああ」

「ま、まぁウチの小隊には世界規模の戦争に2度も参加している兵士はいますけどね。その兵士のおかげで助かっています」

 

久世からの答えにカルダとアルメナは目を丸くした。

彼らの世界では2度もの世界規模の戦争が勃発していた事に。自分達の今の状況が可愛く見えてしまう。

 

「よく、貴公の世界は滅びなかったな」

「大体の敵が世界共通の敵だったことで団結して勝ち抜いたらしいです。自分は子供の時と国防大学校在学時にテレビや新聞で見たぐらいです。あぁ、でも国防大学校の時は後方支援の人員が足りなくて自分にも召集令がかけられてましたね」

 

そう聞き終えカルダは槍を抱き空を不意に見上げた。

碧空を見つめながら静かに話しかける。

 

「...私の婚約者が貴公のようだったな。優しさしか取り柄のない男だった」

「旦那さんが?」

「いや、そうでも無い」

目を伏せ、その時のことを回想しているのか、どこか寂しげに呟いた。

 

「私の夫になる前に戦場で散ってしまった。私も彼も17の時に...」

話を聞いた久世とアルメナはかける言葉が見つからなかった。

戸惑いを見透かしたのか、どこかおどけて言う。

 

「私が、こんな喪服みたいな軍服を着るようになったのもそのためだ」

 

「だから死んではいけない。指揮官の義や軍の義も大事だが貴公の恋人か妻のためにも死んではならん」

それを聞き久世は思わず苦笑してしまった。

 

「どうした?何がおかしい?」

「いやー恋人にゃ派兵前にフラれました。行かないで欲しい、行くぐらいなら別れるって」

久世の失恋エピソードにカルダはハッとする。

 

「戦地へ行く貴公を捨てたのか、その女?」

「彼女は国内勤務をして欲しかったらしいですね」

「それでも、国のために行く貴公を支えてやろうとは思わなかったのか?」

「さぁ、僕を強引にでも止めたかったのかもしれませんが、実際のところは本人のみぞ知るですね...」

久世の答えに言葉が詰まってしまった。

思うところがあったようだ。

 

「...そうか、それはあるのかもしれんな」

ムキになってしまったことに後悔してるようだった。

 

「私の婚約者もそうだった...」

そう言うと久世の部下たちが帰ってくるのを見て腰を上げる。

去り際に小さく呟く。

 

「生きて帰ってきてくれさえすれば私はそれだけで良かったのに...」

切なく囁かれたそれは風に吹き消されそうだった。

 

久世は一瞬、彼女の横顔が少女にように見えた。

彼女が17の時の光景が脳裏に過ぎる。

館の窓際に佇み婚約者の帰りを待つ清楚で純粋な乙女。

 

だが婚約者は帰ってくることは無かった。

 

それから彼女は喪服のような服を着るようになった。煌びやかな装飾を競い合う貴族達の中、1人黒装束に身を包む。

婚約者を奪った戦争という存在を無くすために自ら戦場に立つ道を選んだこと。

感情を出さない彼女が久世に話しかけてきたのは、今は亡き婚約者と自分を重ねたからだろう。

彼女の細い背中を見送りつつ、そんなことを考えていた。

 

『優しさしか取り柄のない男だった』

そう言った彼女は、どこか嬉しそうだった。

 

「クゼ殿の恋人ってどんな感じでしたか?」

「えっとアルメナさん、そんなに気になります?」

「あの黒竜を倒したお方をフルような恋人が、どんな面をしてるのか気になります!」

アルメナは少し興奮気味に久世の元の恋人話が聞こうとしていた。こんな状況で恋愛話をしてくることに久世は関心してしまってた。

 

「確か、写真があったはずだけど...どこだったかな」

久世は元カノと写っている写真をポケットの中をまさぐる。

 

その時だった。

 

「なんだ?何かの笛の音?」

帝国軍の陣地から重く腹の底まで響いてくるような音が鳴った。

久世はバリケードから慎重に顔を出し双眼鏡を覗く。

敵陣地に動きが起こっていた。

 

決戦が近づいていた。

 

 

 

 

 

 

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