ルーントルーパーズ〜国防軍漂流戦記〜   作:匿名

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勝手に拗ねて投稿を一時期辞めてしまい申し訳ありませんでした(ジャンピング土下座)




戦火の中で5

「一体どうなってると言うんだ!?」

陣地で指揮を執っていたリヒャルダは声を荒らげていた。

「攻略部隊の壊滅に続き空中艦隊と竜騎士団の全滅!しかも短時間の間にだぞ!?見た時には爆発をあげていたと言うでは無いか!」

「将軍、我々も動揺しております。言わば万単位に匹敵する戦力が一瞬の内に失ったことに...」

「目撃していた兵士は光る槍の様なものが飛行戦列艦や竜に当たるや否や爆散していたと言ってました。攻撃直後にこのマリースアに飛来した鉄の竜達の攻撃かと思われます」

「...して、こちらに残った兵力は如何程か?」

徐々に平静さを取り戻したリヒャルダは側近に尋ねる。

「地上兵力はおよそ1000、2個竜騎士団のみです」

「ふむ...王城攻略に関しては問題ない戦力だが、あの鉄の竜が飛来したら終わりだな」

「代々伝わる秘宝の剣を使うか」と側近には聞こえない声で呟く。

「部隊の再編と竜騎士団を集結せよ。総力を持って王城を攻略するぞ」

「御意」

頭の中では混乱しながらも部下に命令していく。

「この世の物とは思えぬ異形だったな...マリースア共め、まさか冥界の魔王とでも契約を結んだとでも言うのか」

攻略前の諜報活動でマリースア自身が何らかの力を得たという情報はなかった。となれば、我々の知らない所でマリースアは力をつけていたのか。いや帝国の諜報力は高水準の精度だ。短期間かつ隠密にマリースアがこれほどの力をつけるのは考え難い。もしくはマリースアが何らかの特別な存在を味方につけたのか。

「冥界との扉は継承戦争の折に封じれたはずでございます」

耳障りな声がした。いつからそこにいた、と不愉快に感じる。

「そんなことは知っている。ならばあれはなんだ?この戦いはなにかがおかしい」

「さぁ、私には分かりかねますか」

「ならば下がっておれ!」

激昂したリヒャルダがゲンフルを睨みつけた。

「しょ、将軍っ!」

「何事だ!」

部下の叫び声を聞き振り返ると全員、海の方を見ていた。

ただ呆然と。負傷者までもが。

燃え上がる都の炎に照らされ赤く染った海。

そこに“ 何か”が浮いていた。

「なんだ...あれは...?」

この世界の人間には目にすることなどありえない存在。

決して交わることの無い世界に存在する、大日本帝国と言う国の軍艦であることを理解出来る訳がなかった。

だが、都の炎に反射して赤く揺らめく船体は自ら戦うための船であることをヒリャルダに教える。

「今度は海から来ると言うのか」

恐らく城に陣取る集団と鉄の竜の仲間だとリヒャルダは直感的に感じた。

あの存在が謎の部族であるか異形の傭兵団か、正体はこの際どうでもいい。

覇道を突き進む帝国軍人として、今この状況を見極めるべきはただ一つ。

目の前の存在が敵か味方どうかだが、状況からして異形の船も敵であろう。

「竜騎士団の集結は整っているか?」

「はっ!黒竜騎士団及び氷雪騎士団の残存戦力が集結済みでございます」

「作戦変更だ。全竜騎士団の力を持って、あの船共を沈めろ」

「し、しかしあの船が鉄の竜の仲間だとすると光る槍を撃ってくるかもしれませんぞ!」

「承知の上だ。全竜騎士団は各騎散開して、あの船共に纏わりつかせて攻撃しろ。できるな騎士団長?」

「...わかりました。この命を変えてでも奴に一泡吹かせてやりましょう」

彼女の宣言に竜騎士団への出撃を命じる笛が吹き鳴らされた。待機していた竜騎士達が、その音に鋭敏に反応する。

「出陣ー!」

「団旗をかざせぇ!」

角笛の音色は空中で待機していた竜を興奮させ禍々しい竜の咆哮が大地を震わせた。

 

 


打撃ミサイル巡洋艦伊吹以下4隻の分遣隊は桜龍航空部隊とすれ違うかのように、王都セイロードの近くに到着していた。

桜龍航空部隊が撃ち漏らした残党戦力の撃滅と戦意喪失を狙った示威目的のためである。

当初は敵航空戦力と敵地上兵力の掃討を視野に考えていたが敵地上兵力に対する対地攻撃の流れ弾が小隊の篭城する城に着弾することを避け敵航空戦力の掃討のみとなった。

艦内中心部のCICにて蕪木が指揮を執っていた。

「司令!敵航空戦力の出現を確認!数およそ50!」

「おいでなすったか...」

「目標群、こちらに向けて接近中!最短目標との距離、約6マイル!」

伊吹の乗員の半分は数々の実戦を経験してきた者達が占めているが、残りの半分は実戦を経験していない者達が占めている。それもあってか不安な面持ちをしている。

「とりあえず力を抜け。落ち着いて訓練で受けてきた通りのことをしろ。だが、これは訓練ではないことを忘れるな」

蕪木からの言葉を受けた実戦未経験の者たちは普段通りの面持ちになる。

「全艦、対空戦闘用意」

「対空ぅ戦闘用ぉー意!」

蕪木からの指示を受けた砲雷長が部下に叫ぶ。

それと同時に戦闘配置が発令されたことを表す警報音と鐘の音が艦内に鳴り響く。

装備を装着し点呼を確認し艦内各所の隔壁ハッチが自動的に閉鎖されていく。

「攻撃モードは半自動モードに設定。最短目標に対しては速射砲、最長目標に対してはミサイルで対処する。向かって来るものは全て叩き落とせ!」

「了解しました。伊吹に近づく物は全て叩き落とします!」

伊吹の銀河システムがレーダーで探知した敵騎に脅威度順位が表示されていく。

「速射砲及び短SAM(短距離艦対空ミサイル)発射準備!」

伊吹の両舷に配置された4基の15.5cm速射砲の自動装填装置から即応弾が装填されいく。

『駆逐艦初音、戦闘準備完了』

『こちらDDS116、いつでも撃てます』

『こちらDDS138、ご命令を』

他の3隻に搭載されている15.5cm単装速射砲と12.7cm単装速射砲でも同様の作業が行われ戦闘準備完了の報告が舞い込み伊吹分遣隊は戦闘準備が完了した。

 

 


空中では残存した精鋭の氷雪竜騎士団26騎と黒竜騎士団26騎

が飛んでいた。

50騎もの竜が空を飛ぶ姿は、ある者からは壮観の一言を、ある者からは恐怖の感情を抱く。

氷雪竜騎士団の竜騎士であるエリヴィラはセイロード湾に浮かぶ正体不明の船を観察していた。

あれを船として形容して良いのか迷う。船であるにも関わらず帆やマストを用いず風よりも早く進んでいるからだ。

その物体は船と言うより岩で出来た島のような印象を受けた。帝国軍の巨大な軍船の倍の大きさもある。それも4隻だ。

「エリヴィラ、あの船ひょっとして鉄でできてるんじゃないのか?」

エリヴィラに言ったのは戦友のアルノリドだ。熊のような顔にお調子者の表情を浮かべて軽口を叩いていた。この調子なので、いつも上官に怒られているが、エリヴィラとは同期であり腐れ縁の仲だ。

「鉄が水に浮くなんて初耳よ」

「しかし、何だってあんな色に塗ってんだ?あれだけのドンガラを作るにしても、一体どうやって水に浮かべてるんだ」

船はまるで乾いた灰のような色をしていた。継承帝国の軍船も敵に恐れさせるために赤や黒で塗っている艦は見た事あるが灰色は聞いたことない。そこ船体にしても子供が積み木で組み立てた角張りのおもちゃのようだ。

「馬鹿馬鹿しい、ただのハリボテよ。私たちが全力で出撃るまでもない」

「だがよ、全滅した味方は光る槍でやられたよな。あの船も、あいつらの仲間かもしれんぞ。光の槍を撃ってくるかもしれんないぞ?」

アルノリドからの指摘にエリヴィラはバツの悪そうな顔をした。

「お前の言ってることもそうだな。だが、我らはフィルボルグ継承帝国の竜騎士団。たかが船が竜騎士団に叶うはずもない。それに、あれだけの攻撃をしたんだ。手持ちも少ないはず」

「それもそうだな。奴らに一泡吹かせよう」

エリヴィラの言葉を受けてアルノリドは勇気づけられた。

敵は52対4、それも船4隻で的が大きい。圧倒的ではないか。今まで同じような戦況を経験してきたが竜騎士団に蹂躙されてばかりだ。エリヴィラ達竜騎士団は絶対的な自信を持っていた。

「おっ、団長騎から散開する合図が来たぞ。じゃあなエリヴィラ、次に会うときは奴らを沈めてからだな」

「ヘマして死ぬなよ」

団長騎からの指示を受けエリヴィラとアルノリドはその場で別れ散開した。

「1騎でも多く奴らに近づけぇ!帝国の精鋭達よ!」

氷雪竜騎士団の団長が竜騎士達に激励した。滅ぼした国の数が10を超える氷雪竜騎士団自慢の老将。部下からの信頼も厚く、その言葉には重みを感じた。

「継承帝陛下万歳!」

彼らは敬愛する継承帝国の皇帝の名を三唱しながら異形の船群に突っ込んでいく。

それは自分たちの常識を打ち砕く戦いになるとは知らずに。

 

 


「目標群、本艦に向け散開しながら接近!」

レーダースクリーンを監視していた電測員が声を上げた。

「この行動は予想外でしたね」

「あぁ、だが迎撃には問題ない...全艦に通達。直ちに敵航空戦力への攻撃を開始せよ」

蕪木からの攻撃命令がくだった。

「対空戦闘。CIC指示の目標、速射砲塔群、撃ちぃ方はじめぇ!」

「撃ちぃー方はじめぇ!」

コンソール横に備えられたピストル型の発射装置を握る速射砲担当の射撃員がトリガーを引く。

すると、両舷に配置されていた4基の15.5cm速射砲が起動し自動装填されていた砲弾4発が目標に向けて発射された。

 

 


船から発射された砲煙をエリヴィラも見ていた。

「大砲を積んでいたのね...」

エリヴィラは驚きはしなかった。

撃ってきた距離からするとこっちには届かない。それに大砲は空飛ぶ標的に対して使うのは不向きな兵器だからだ。エリヴィラ達は大砲が自分たちの前に届かないだろうと安心していた。

「敵も必死ね」

だが、その安心感は間違っていた。

砲弾は氷雪竜騎士団の団長が騎乗する竜の鼻先まで届いた。

砲弾は接触前に爆発し凄まじい衝撃波と爆発を竜と団長を襲った。

「あ...え...!?」

エリヴィラは自分の目の前で起きたことに頭が着いていけてなかった。

炎となった竜が落下していく。そして黒煙を立ち上がらせながら海面に激突し巨大な水飛沫をあげた。

「団長ーっ!!」

部下からの信頼も厚く父のように慕っていた上官が命を落としたことにエリヴィラ達は愕然としていた。

「畜生!さっきの攻撃で4騎やられた!」

指揮を引き継いだ将校が団旗を掲げようとした瞬間、敵の攻撃が再び襲いかかった。

「そ、そんな!大砲がこんなに早く次弾を!?」

大砲を発射するのに数人がかりで砲口に砲弾や火薬を詰め込むのが常識だが、ほんの数秒で次弾を装填するのは常識外だ。

さらに巨大船の後ろを航行していた一回り小さい異形の船も攻撃に加わり損害は増すばかりだ。

「まぐれあたりじゃねぇ!」

アルノリドは血相を変えた。

自分達は狙われていることに。

驚愕している間にも敵は手を緩めず攻撃し味方は吹き飛ばされていく。

「クソッ!一体どうすれば...」

エリヴィラ達は敵の攻撃に恐れ距離を置きながら飛行していた。打開策を見つけるために。

 

 


一方の伊吹は搭載している三次元レーダーで敵の動きを捉えていた。

「目標群、速射砲の対応範囲外に退避した模様」

「...シースパロー発射用意」

敵は砲撃に恐れてか速射砲の射程外まで退避していた。蕪木はシースパローこと50式短距離艦対空ミサイルによる敵への攻撃命令を下した。

攻撃命令を受け取った砲雷長が叫ぶ。

「了解!VLS開放!」

「イルミネーターリンクス!」

砲雷長の言葉を受け銀河システムが自動的に攻撃目標を割り当てられたデータを射撃官制員が50式短距離艦対空ミサイルに入力していく。

伊吹が使用するシースパローはセミアクティブレーダーホーミング方式を採用した物だ。発射母体、つまり伊吹が探知したレーダーでの管制のもとミサイルに内蔵されたシーカーが探知し目標に進むものである。

レーダーで探知されたものなら大抵は捕捉できる。

「艦対空ミサイル発射用意よし!」

「リコメンド・ファイヤー!」

「サルヴォ!」

ミサイルの発射パネルが操作され伊吹の艦尾の甲板に組み込まれていたVLSセルのハッチが開いた。

セル内に格納されていたシースパローのロケットブースターが作動した。

 

 


「勝手に爆発した!?」

エリヴィラは目を見張る。

こちらは何も攻撃してない。ましてや1騎たりとも敵に近づけてない。

VLSでミサイルを一斉発射した光景は爆発したかのように見えた。

エリヴィラはその中から何かが飛翔していくものを目にした。

(あ、あれは光る槍!?)

エリヴィラは背筋に冷たい何かが流れていくのを感じた。

あれは確実に自分達を完全に抹殺しようとしていることを。

彼女は自然と回避行動を取ろうしていた。

「ひっ!?」

彼女の目の前を光る槍が横切った。

後ろで爆発が起きたかと思うと爆風や破片や赤い何かが襲いかかった。

後ろを飛行していた同期の竜騎士が竜と共に爆散していた。

さらに光る槍が飛来しほとんどの騎が回避行動を取るまもなく爆散し海に落下していく。

上を見るとアルノリドの騎が空へ上昇していくのが見えた。

その後ろを光る槍が追っていた。

「アルノリド!振り切れえぇぇぇぇぇぇ!!」

彼女の声も虚しくアルノリドの騎は爆散し海に落下した。

「嘘よこんなの...嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ!!」

竜騎士はこの世界では比類なき絶対の強者であったはずだ。帝国がここまで繁栄することができた1つとして竜騎士の活躍があったからだ。その竜騎士が、ここまで呆気もなく打ち捨てられていく。

「夢よ。そうこれは夢なのよ!あの娘が起こしてくるに違いないわ!」

とうとう彼女は現実逃避をするようになった。これは夢であることを言い聞かせて。

そんな彼女にも遂に超音速で飛翔する光の槍が飛来してきた。

(あ、あれ...夢のはずなのに痛い...)

 

 


「撃墜52を確認!」

「敵残存機なし!殲滅を確認!」

電測員からの報告に蕪木は戦闘集結を悟った。

ミサイルと艦砲射撃による戦闘は一方的な戦いだった。

「全艦に通達、攻撃を終了せよ。手動モードに切り替え。警戒を怠るな」

「了解」

「加熱した砲身の冷却と対空砲弾の補給作業に取り掛かれ」

「はっ!」

CICでは束の間の静寂が訪れた。

「駆逐艦は戦闘海域に急行し生存している敵兵を救出せよ」

『こちら駆逐艦初音、了解しました』

「ですが司令、あの戦闘で生存者が居るとは思えません」

「可能性はあるんだろ?だったらその可能性に賭けようじゃないか」

「...了解しました。伊吹も艦載艇と哨戒ヘリを出して生存者救出に当たりましょう」

「そうしてくれ」

艦長からの意見具申に蕪木は普段の温厚な笑みを浮かべて許可を出した。

砲雷長はレーダースクリーンに戦いを挑み散った敵兵に対して静かに手を合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




執筆状況見てると今年中には1巻分の話は終わりそうです。終わると良いなぁ!(ゲス顔)
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