ルーントルーパーズ〜国防軍漂流戦記〜   作:匿名

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Q.アトランティスってなーに?
博:ワシが説明しよう!

愛:博士ぇ〜

博:今作に登場するアトランティスとは大西洋に位置するアトランティス大陸を支配する大陸国家のことじゃ。正式名称は帝政アトランティス。
大日本帝国に次ぐ国力と大日本帝国以上の人口を有するんじゃ。アトランティス民族至上主義を掲げておりアトランティスによる世界支配を目指しているんじゃ。アトランティス人の9割は人類とは異なる遺伝子や内臓を持ち、ある程度の放射線耐性を獲得しているんじゃ。
技術的アドバンテージに関しては大日本帝国優勢じゃが、人的アドバンテージに関してはアトランティス優勢じゃのう。ちなみに12000年前に帝政アトランティスの先祖にあたるアトランティス皇国とムー大陸を支配していた古代ムー帝国との全面核戦争を起こしムーは大陸ごと消滅しアトランティスは滅びたんじゃ。
えっ?ムーは絶対にあの作品のことだろって?うっせぇ!お前と楽天カードマンとの同人誌作るぞ!

伊吹の挿絵投稿しました。


戦乱の後に2

伊吹の会議室では各艦の艦長とのリモート会議を開いていた。

「災害派遣で展開させた陸軍と海兵隊は当面待機と?」

「瓦礫の撤去作業も中断、医療活動も収容している患者だけで当面中心だ」

フィルボルグ継承帝国による侵略戦争で荒廃したマリースアの王都セイロードの復興を支援するために送り込んだ陸軍と海兵隊の部隊は、拠点となっている宿営地に内地軍の包囲により軟禁状態となっている。

セイロード湾に停泊している国防海軍派遣艦隊も水軍の艦隊と内地軍の巨鳥部隊に包囲されている。陸軍と海兵隊の上陸拠点となっている浜辺沖に停泊している揚陸部隊も同様だ。

 

「駆逐艦と巡洋艦にとってはこの距離は脅威だな」

「前世界のような自爆特攻はないにしろ魔法がありますからね。当たり所によっては大破ですよ」

加藤達が懸念しているの装甲がないに等しい巡洋艦や駆逐艦が、近距離まで接近し攻撃され甚大な損害を被ることだ。

前世界では巡洋艦や駆逐艦が小型艇の自爆特攻で大破もしくは廃艦処分になる事案があり、特に1980年代から1990年代中期にかけて帝国を震撼させた宗教組織が連続軍艦特攻事件を起こし増加傾向を辿ることもあった。

この世界には爆弾を載せて高速艇で特攻するような物はないが魔法がある。爆弾に相当するような攻撃魔法があってもおかしくないのだ。

 

『まぁ海軍は、これを機にCIWSとは別で機関砲の追加装備されましたからね』

この事件があってから、国防海軍は小型艇の近距離の攻撃に対して、CIWSとは別で国防海軍艦艇全艦に25〜40mmクラスの機関砲と14.5mm重機関銃を追加で装備した。戦艦や空母などの大型艦には40mm4連装機関砲が、量産型の巡洋艦や駆逐艦などの中・小型艦には25mm単装機関砲が、そして全艦艇に14.5mm重機関銃が追加搭載されていった。戦艦に至っては復活したと言う側面もある。

 

『蕪木司令の命令通りに速射砲、CIWS、機関砲、重機関銃をマリースア軍籍の艦艇と巨鳥に向けています。もし、こちらに理由なしに近づこうとすれば警告射撃を、強硬するようであれば敵対行動と見做し撃沈するべきです。艦と兵士の安全を守るためにも』

「マリースアの重臣達が集まった会議で、内地軍の上級将校が我々と一戦を交えないと主張したとの事です。あちらが殺る気があるならこちらも相応の対応を取るべきかと...」

『ああ、伊吹にいるマリースアの女性将校のことですね』

『味方が無いに等しい状況で我々を弁護したとか』

ある者は好奇な目で、ある者は関心するような目で、またある者は蔑むような目で、伊吹の艦内会議室に同席しているマリースア軍の女性将校を画面越しに見つめていた。

 

「港付近は閑散としてますね」

船外カメラから送られて来る映像を見ていた加藤が港に人が少ない事に気づいた。

昨日まで派遣艦隊の物珍しさから、港には見物で来た現地住民が大挙してお祭り騒ぎだった。今は内地軍が港を押さえたことにより立ち入りが規制され見物している住民が見当たらない。

 

「ハミエーア女王は非常に苦しい立場に置かれている」

蕪木は岬の上に建つこの国の女王の居城であるセイロード城に視線を向けた。

戦争に勝ったのは良いが、この国は直接首都を攻撃された挙句、国の重鎮や彼らを擁護する貴族のほとんどが戦争で死に絶え混乱に陥っている。

今は、あの幼き女王の手腕を信じるしかない。

 

「そろそろ立ってもらえませんかな?飲み物も用意してますので」

蕪木は横で片膝を突いて頭を垂れている姿勢をしている草色の髪の女性声をかけた。

「私のような身分の者にはお気遣いはもったいない限りです。カブラギ将軍」

マリースアの女性将校──カルダが顔を上げ、応じた。

 

(召喚されし異世界の軍勢の将軍がどんな男かと想像していたが...)

先日に戦勝式典は内地軍の乱入により途中で中止したため蕪木とは顔を合わせていなかった。

 

(初老の男ではないか。着ている物は他の者とは変わりないし…)

身分や階級を視覚的に理解させるため、軍装には明確な相違をつけるのがこの世界の軍事的常識だ。

蕪木と加藤と、画面の向こうに映っている艦長達と軍装がほとんど同じなので違いがわからなかった。

 

「司令もこう仰っている事ですし、立ってくださいよ」

「な、なりません!私のような者が、そのような訳には…」

「良いんですよ。この人、私服で基地内や国防総省の中を歩いても、誰からも司令と気付かれなくて敬礼してもらえないんだよ」

「余計なお世話だ」

『加藤中佐だって秋葉原やコミケで軍装着たまま混ざっても、ミリオタかサバゲーマーの軍服コスプレでしか認識されてないのよ?笑っちゃうわよね』

 

この規律の緩さはなんだ。

加藤とは、最初の接触で面識があった。

先の戦いで、奇想天外作戦を立案し、国や人種や組織と言う垣根を越え皆を引っ張り、滅亡の危機に瀕していた国を救った。

能力通りに将軍の右腕のようであるが、将軍に対して無礼がすぎる。不敬罪に問われて良くて階級降格か減棒処分、悪くて一族諸共僻地の駐屯地に飛ばされるか、監房送りだ。

 

「このバカの言うことはさておき、非公式ならお互い目線が同じ方が、良い話ができるような気がするんだがね」

ここまで来れば、聞き入れない訳にはいかない。恐る恐る立ち上がり、加藤から席に座るように促される。

席に座った彼女はカップに注がれている紅茶に口を付け緊張感を解す。

 

「どうですかな?イギリス産の茶葉を使用している物です。お口に合えば幸いなのだが」

「いえ、これほど美味しいものを頂き、光栄であります」

 

(恐ろしい船だ…)

船と呼ぶには、巨大で頑丈だ。

鉄でできているのにも驚いたが、予想外なのは快適な居住性だ。

海の上に居るとは思えないほど揺れてない。地上に居るのと変わらないくらいに違和感がない。

 

次に驚いたのは船の中の明るさだ。

窓の少ない外観から、内部はきっと暗いと想像していた。

光の精を閉じ込めているのではないかと思っていた。

 

ここへ来るまでに感じたのは快適なほどの涼しさだ。

エアコンのエの字も知らない彼女は、艦内のどこかに巨大な氷を蓄えて居るのではないかと勘ぐっていた。

 

案内してくれた女性水兵にこの船は特注なのかと質問した。

帰ってきた答えは「いえ、伊吹は金剛級打撃ミサイル巡洋艦の姉妹艦で、伊吹以外にも30隻以上の姉妹艦を建造され配備されてます」──とのことだ。

一瞬、立ちくらみに合いそうになったが気合いで絶えた。

 

女性水兵がさらに言葉をでついに我慢できなくなった。

「これでも伊吹の力はまだまだです。ここには居ませんが、伊吹以上の大きさと攻撃力を持った戦艦と呼ばれる艦種を30隻配備しています。これ以外にも宇宙と呼ばれる空より上の空間を行き来する戦艦以上の攻撃力を持った宇宙戦艦を多数保有しています」

これを聞いてカルダはその場で気絶してしまった。

 

竜騎士団を一瞬で殲滅したこの船が、それもこの船以上の力持った船が彼らの祖国に60隻以上も居るのだ。

この世界の戦争の常識を変えるどころか世界の均衡を崩しかねない船を持った彼らの祖国と世界は修羅の世界なのだろうか。

そういえば、クゼ殿が過去に世界規模の大戦を経験したと言うのを思い出して納得した。

 

(やはり、彼らを敵に回すなど自殺行為だ)

彼女の目の前の、艦隊最高司令官であるカブラギに正対した。

 

(カブラギ将軍は何を考えてるのだ。何が望みだ?金、名誉、あるいは女か?)

カルダの脳裏に、ある予感が過った。

(生贄か?)

これだけの力を動かす魔導兵器の動力に生き血が居ると言われれば納得してしまう。

 

カルダに彼ら国防軍兵士達に憎しみや悪意を持ってるわけでもない。不思議な彼らの人柄に好意と好奇心さえ抱いている。

そんなことを彼らがしないと思う反面、この魔導兵器が自分の国に牙を剥くのではないかと言う怯えもある。

(ああ、ベレンゲル達は、この違和感と不安感と不快感に突き動かされていたのだな...)

一歩間違えば、ベレンゲル達同様に彼ら異世界人を恐れ、疑心を抱き大義名分をかざして排除しようとしかねなかった。

 

「…カブラギ将軍」

「何ですかな?」

「貴方達が怖い」

不敬を承知の上で問いかけた。

蕪木は、カルダの真剣な表情に微かな苦笑を浮かべて彼女を見つめた。

 

「まあ、無理もないと思いますよ」

「ですが私は、貴方達のことが好きでもある。こんな気持ちになるのは初めてだ...」

だからこそ、これからの極秘会談を成功しなければならない。

彼らと言う存在を理解不能な敵のまま終わらせてはならない。

「あなた方に“英雄の証”を立てていただきたい」

 

 


災害派遣部隊として強襲揚陸艦とドッグ型輸送揚陸艦から送り込まれた陸軍と海兵隊の部隊は、都市中央の公園に宿営地兼装備置き場を、王都守備隊の駐屯地跡に野戦病院を、浜辺に上陸拠点の駐屯地を設置していた。

野外炊具車をフル稼働させ被災者への食糧供給を、野外衛生システムや医療用天幕を動員して負傷したマリースア市民の医療活動を、工兵部隊の重機による瓦礫の撤去を行なっていた。

しかし、そこに内地軍がやってきてから、あらゆる支援活動を中断せざるを得ない状況になっていた。

 

「あんのわからんちんどもがっ!」

公園に駐留している部隊の司令部の天幕に陸軍の迷彩野戦服を着込んだ第2陸軍遠征旅団の旅団長である土居孝太郎陸軍准将が荒々しく入ってきた。

彼の後ろに数名の陸軍将校と海兵隊の迷彩野戦服を着込んだ第1海兵遠征師団の師団長である習茜海兵准将と数名の海兵隊将校が続いて中に入ってきた。

 

土居は見事な口髭を蓄えたような逞しい体躯で、習は銀髪のツインテールをした華奢な体躯をしていた。

絵に描いたような陸軍将校とアニメに出てくるような海兵隊将校だ。

 

「海軍は、泥臭い現場を分っとらんようだった。予想通り、嫌な予感が当たりやがった」

付き合いの長い彼の部下達は、彼の性格を理解しているので、悪意があってのことではない言い方ではない。

「本来、情報収集や現地住民とのコネクションの確保、時間をかけなければなりませんからね」

「戦災の直後で、四の五の言ってられんかったしな。蕪木司令と栗林司令の判断は間違ってねぇ」

彼が言う栗林司令は陸・海兵隊の混成部隊を束ねる地上部隊の最高司令官のことで、国防総省から派遣された制服組の軍人だ

「まぁ、地震や戦争で官民一体で復興を経験した我々からすると、居ても立っても居られませんからね」

 

「畜生!あの内地野郎どもめ!」

「いくら何でも酷すぎる!」

「ヴァイパーかコブラであの腐れ野郎どもをこの世から消してたのに!」

アニメ声で汚い言葉でキレているのは習准将だ。

それに続き彼女の部下数人も怒り心頭となっている。

今まで我慢していた怒りを吐き出しているように。

 

「習准将、大丈夫か?」

そんな彼女を土居は心配そうな声でかけている。

彼は習がキレいる理由を大方察していた。

 

「土居准将、先程はありがとうございます」

「今にも殴りかかりそうだったからな」

彼女がキレている理由は、交渉で出席した数人の内地軍の男性将校が彼女に対して、女だからと舐められた態度や言動を取られていた事だ。

 

マリースアにも習のような役職に付いている女性将校がいるのだが、男性将校から「貴族出身なのか」と言う質問に習が「帝国に貴族制度はない。私は平民出身」と答えた途端に態度を一変し彼女に舐め腐った態度や言動を取ったからだ。中には彼女の人格や家族を否定してくるような言動を取っていた。

 

彼女と数人の海兵隊将校達が今にも殴りかかりそうだったのを見た土居が何とか堪えさせていた。挑発に乗れば、それを理由に内地軍の締めつけがさらに強くなる。相手の思うツボだ。

 

土居は、フと思い出し若い陸軍将校にに尋ねた。

「そう言えば、久世少尉。あれはどうだった?」

「…確認取れました」

「結果は?」

「案の定です。してやられました」

久世からの答えにその場に居た者達は、やっぱりかと言う顔をしていた。

 

久世は被災者に炊き出し作業をしている時に“異変”に気づいたのだ。

大量の食事を被災者へ配給する作業は、作った陸軍ではなく光母教教会が担当していた。

教会からの申し出で、作業効率化、被災者の受け取りやすさを考えた結果、彼らの申し出に応えたのだ。

遠巻きで疎ましそうに見ていた教会関係者が親切で協力的だったのか。

 

教会は、陸軍が作った食事を教会に頼ってきた被災者に対して、自分達が作った食事だと偽って配給していたのだ。

食事はいつも、朝早くに教会の裏から搬入し彼らが去ってしばらくして、神への祈りの声と共に歓声が上がってた。

食事を教会の裏から搬入させたのはそのためなのだ。

 

久世は今日こっそりと、朝食を搬入した後に部下を数人引き連れて教会前の広場での偵察を敢行した。

そこには、デップリと太った高位の神官であろう人物が、集まった大勢の被災者達に向かって演説をしていた。

 

『神は、教会は、困窮する信徒を見捨てはしない!理不尽な継承帝国の侵略を撃退した今、教会はこの守り抜いた食糧を信徒に分け与えようと思う!さぁ、神への祈りの言葉を!教会への感謝を!』

彼が言ってることは真っ赤な嘘で、教会が設置した配給所に並ぶスープの給食缶には、陸軍の備品であることを示す桜のマークと陸軍葦原方面管区の黄色い星のマークが刻印されている。

被災者達は、そんなことを知る由もなく感想を漏らす。

 

『肉入りのスープを無料で貰えるなんて教会は素晴らしいわ』

『本当だぜ。戦争で教会に入れてもらえなかった時は、どうしようかと思っていたけどよ』

『うまいスープだ。こんなに美味いものを、これだけ大量に毎日作ってるんだから教会には頭が上がらないよ』

『それにしても、あの公園にいる外国人傭兵だが邪教徒だかは、いつまで居座る気なんだい?教会も一段落ついたら考えて欲しいねぇ』

『噂をすれば、邪教徒達がこっちを見ているよ。気持ち悪い』

『公園に居座るだけの癖に、教会のスープが欲しいって言うのかい?図々しいこと』

教会の偽りを信じてしまった感想や久世達陸軍・海兵隊に対する忌々しげな感想に聞くに堪えなくなり途中で引き上げた。

 

「帰り道、部下が悔し涙をしてましたよ。宥めるのに苦労しましたが」

彼はゲンナリしながら報告を終えた。

戦争で教会に避難してきた民衆を見捨てて教会に立て籠った関係者が、その時の事を帳消しにしようと躍起になっている。

教会は国防軍が民衆に対して事実を叫んでも、信仰心の拠り所である教会が事実を否定すれば、民衆は国防軍の言葉を信じないことも織り込み済みである。

 

「その事に対して兵士は大丈夫か?ウチにも神道やキリストなどの宗教を信仰している兵士が居るし、邪教徒扱いされたらまずい事になるぞ?」

「信仰心が強い兵士による教会と現地住民とのいざこざは避けなければなりませんからね。それが原因で民間人との武力衝突に発展するかもしれませんし。それに乗じて内地軍が介入するかもしれません」

「女神様も意地が悪い」

 

天幕内では大きな溜息が出ていた。土居や習、その場にいる両軍将校達の物であった。

 

もちろんだが彼らも指を咥えて状況を見守るほど馬鹿ではない。

もっと目に見える活動で信頼を得ようと、数日前に工兵隊の油圧シャベルや中型ドーザを揚陸させて瓦礫撤去に投入、工兵隊による仮説住宅の設置も検討されたが、内地軍の包囲で不可能になった。

 

「揚陸した食糧もそろそろ尽きそうです。兵站部隊もこれ以上の食糧供給も限界と嘆いています」

「野戦病院もです。包帯や医薬品などの消耗品も尽きそうで満足した医療支援も不可能になりかけてます」

土居は指で眉間を押さえ習は机に突っ伏していた。

女王が約束した補給を信じて活動していた。内地軍のゴタゴタのせいでそれが叶わなくなった。

 

「提案があります」

「何だ、板井大尉?」

土居が両肘を立てて口元に両手を持ち、習は腕を組み、板井に視線を向けた。

 

「この状況を打開するために、情報収集と現地協力者の獲得を目指すべきです。順序が逆になったとは言え急務です」

「内地軍に包囲されて宿営地の出入りを監視している状況でか?」

「少数による偵察を行います」

 

「行けるわよね?久世少尉」

「え…?」

「返事は?」

 

「あ…ああ…」

どこかの近所に原子力発電所を設置されたボイスロイドのような悲鳴が上がりそうになりがら久世の脳裏に彼女が浮かべた笑顔で酷い目に遭った記憶が蘇ってきた。

 

“国家公認の乱闘騒ぎ”“死者が出ないのが奇跡”“棒倒しレベル100”として有名な葦原国防大学校の大隊対抗棒倒し大会で、穏便にやり過ごそうとしていていた久世の願いを板井は笑顔で却下した。

久世は死を覚悟して敵チームに1人で特攻して150人に殴られて蹴られ、ボロボロになりながら棒に食らいつき、その後の医務室で肋骨にヒビが入っていたことがわかり病院送りにされた。

 

「い…」

トラウマで過呼吸を起こしかけたが堪えて言葉を絞り出す。

「行けます」

肯定の意を伝えたが目は死んでいた。

 

「だそうです、土居准将」

土居は板井が自分の部下になった時に、セクハラが起こらないように注意していた。

今は彼女がパワハラを起こしてないか心配になった。

 

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