ルーントルーパーズ〜国防軍漂流戦記〜 作:匿名
静寂と絶対零度が支配する宇宙。
青く輝く星をバックに“それら”が居た。
灰色の楔型のリフティングボディの超巨大宇宙戦艦
艦首に巨大な砲口を3門備え大艦巨砲の究極を表した宇宙戦艦
次元を超えて批判が来そうな後部がトップヘビーな航空戦艦
恐れを知らない名を冠した宇宙戦艦
それらは大日本帝国宇宙海軍が保有する航宙艦艇群で惑星αに派遣される救出艦隊。
航宙艦80隻、無人艦110隻、民間船28隻の計218隻の大艦隊。
その中で一際目立つ灰色の超巨大戦艦は救出艦隊旗艦の“ルクシヲン”。
救出艦隊総旗艦だ。
世界最大の宇宙戦艦“ヱクセリヲン級”の3番艦として彼女は建造された。
全長7205m、宇宙海軍最大の出力を誇る6呂炉心式コスモタービンエンジン1基を搭載し、1600門の戦艦級の主砲と3000基の対空砲と高い防御力を備えた不沈艦だ。
あまりの大きさに艦内移動用のリニアモーター等の施設が整備されている。
「第1・第2前衛艦隊、前衛に布陣を完了」
「第101護衛艦隊は第1サルベージ艦隊の護衛に。第102護衛艦隊は第2サルベージ艦隊の護衛に着け」
「BBB戦隊、予定より前衛への布陣が遅れてる模様」
ルクシヲン艦橋ではディスプレイに表示されている艦隊の情報を通信要員が報告していく。
「宇宙で飲む紅茶は格別ね」
紅茶を嗜んでんている初老の女性はルクシヲンの艦長。
そして、救出艦隊の艦隊司令だ。
宇宙海軍の紺色の作業服に、“BBX03 LUXEON”の文字が縫われているパトロールキャップを被っていた。
「それにしても、これほどの大艦隊をお目にかかるのは太陽系防衛戦争以来ですな」
「そうね。状況は違うけど、あの時以来ね」
太陽系防衛戦争時には延べ2000隻の航宙艦が地球沖に集結していた。
今回編成された救出艦隊はその時の10/1程度の数たが、それでも多いのは間違いない。
「伊吹...死神に魅入られた軍艦。海軍内部ではそう言われてるのよね」
「えぇ、まぁ...ほとんどの迎撃部隊が迎撃に成功している中で完全に迎撃できず、中ノ鳥島の市街地に墜落させてしまい一般市民1300人が死傷しました。ですが、その後の第二波が押し寄せて来て、迎撃部隊は半分しか迎撃できず中央アジアとオーストラリア管区に敵の上陸を許してしまいましたよ。伊吹だけ“死神に魅入られた軍艦”と言われるのはどうかと思いますが」
「連合艦隊と敵艦隊の艦隊戦で優勢の所での出来事だったからね。伊吹のインパクトが強すぎたんだと思うわよ」
太陽系防衛戦争は彼我戦力1対15と言う絶望的的な戦力差の中で戦いに挑んだ。
惑星帯を活用した戦法、戦略兵器による攻撃、無人艦隊による特攻で優位に立っていた。
地球側ははイケイケドンドンの中で伊吹の完全迎撃失敗による民間人への被害は衝撃を与えた。
「そう言えば、ウチにもイブキ居たよね?」
「建造中の方ですかね?」
「違う違う、ドレッドノート級263番艦の方よ」
ドレッドノート級前衛航宙戦艦“イブキ”
ドレッドノート級の姉妹艦である。
主砲を貫徹力に特化した陽電子衝撃砲を搭載したブロックⅡに分類されイブキを含め240隻が建造された。
「あの迎撃戦にも参加してたわね」
「鬼神のような活躍で敵上陸艦隊を複数撃沈させましたよね」
「損傷が激しく、その後乗員が離艦したのよね」
イブキは“バトル・オブ・アース”で敵上陸艦隊の迎撃に参加した。
41cm3連装陽電子衝撃砲で敵艦を20隻以上を串刺しにする活躍を見せ、敵艦2隻の捨て身の接近戦で大破し、残った41cm砲2門で特攻した敵艦を仕留めた。
戦闘不能と判断したイブキの艦長は生き残った乗員達と共にイブキをその場で破棄。
戦後の回収作業で廃艦同然のイブキが見当たらず、行方不明のまま除籍された。
「何でイブキだけは行方不明になったのかしら」
「地球の軌道から外れて宇宙を放浪してんるんじゃないんですかね」
「そうかしら」
紅茶を飲み終えた一息ついた。
宇宙海軍省第2作戦室
薄暗い室内は青白い光で照らされていた。
正面には5枚の大型スクリーン、15席のオペレータ席が設置されている。
「救出艦隊、当該宙域に集結完了」
「航路上の安全を確認」
「艦隊出港まで残り0505。カウンドダウン開始」
スクリーンの上にあったデジタル時計が黄色から赤色に変わった。
「始まったな」
紺色の常装に20個以上の徽章と上級大将を表す5個の金色の菊花紋と4本線の階級章を着けた人物は、宇宙海軍省の宇宙海軍長官だ。
「ええ、前代未聞の救出作戦が、今始まろうとしています」
今回の救出作戦の作戦指揮を担当する大佐が答える。
「今回の作戦が、鬼が出るか蛇が出るか蛇が出るか」
「良い方向に出て欲しい物です」
宇宙海軍長官の言葉に大佐は苦い顔をしながら答える。
「そう信じよう」
第2作戦室から作戦開始の打電がルクシヲンに送られた。
「司令!作戦本部から作戦開始の打電来ました!」
作戦本部とのやり取りを担当していた通信員が艦隊司令に伝える。
帽子を被り直した艦隊司令が指示を飛ばす。
「作戦に変更はなし!全艦、ワープ準備!」
「全艦、ワープ準備!メインエンジンを通常航行から次元跳躍航行に切り替え!」
機関部担当の機関長が全てのエネルギー伝導管をメインエンジンに直結させるようタッチパネルで操作した。
「エネルギー充填開始!」
『機関、正常!フライホイール接続!』
『エーテル』
「進路上に障害物認められず!」
「」