ルーントルーパーズ〜国防軍漂流戦記〜   作:匿名

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ルーントルーパーズ ヴィレ漂流戦記
自律強襲方舟ヴンダー率いる古今東西の海軍艦艇と第三村がルンパ世界に召喚される。
隕石をエネルギー貫通弾で破壊し冥府の世界に突入しN2爆弾搭載型宙対宙艦船流用式誘導弾をぶっぱなすヴンダーと原子力空母をサーフ代わりにする新弐号機と改八号機

これ誰か書いて欲しい。ワイは今投稿しているので精一杯だしエヴァはまだ理解できてないから詳しい人に書いて欲しい。これに関しては映像化して金払ってでも見てみたい。


あるべき姿1

「今宵は良い風が吹いておる...船乗りには吉兆じゃな」

 

海洋民族であるハミエーアにとって良い風が吹くのは縁起の良い事だと思っていた。

夜に吹く良い風は不確かな未来と言う意味も込められている。

 

「船乗りには吉兆、か。そうであって欲しいですね」

「くふふ...じゃが、お主達の船は、風がなくとも海を渡れると言うではないか?」

「ま、AD動力炉のアサヒダイトとガスタービンエンジンの燃料のおかげですがね」

「あさひ...がす...なんじゃと?」

「軽口が過ぎるぞ、加藤中佐」

 

初老の男──蕪木が部下である加藤を窘めた。

加藤は表情を引き締め頭を下げた。

 

「失礼しました、女王陛下」

 

蕪木と顔を合わせたのは式典の時だが、加藤とは宴や先の戦いでも何度か会っている。

先の戦いで感じたが、この男はなかなか食えない。

 

「うむ、苦しゅうないぞ。異世界からの客人よ」

 

ハミエーアは優雅に加藤と蕪木が正対した。

加藤の胸あたりまでしかない身長の幼い女王だ。

 

「妾はハミエーア。マリーシア南海連合王国第16代女王である。前にお会いした式典では人目があったのでな」

 

 


日没後、攻撃型潜水艦“伊203”に乗り短い距離を水中で移動しセイロード港の桟橋に着いた蕪木と加藤ら4人の海軍将校と立検隊装備に身を包んだ護衛の水兵8名は、カルダによって王城へ案内され女王との会談に臨んだ。

 

(それにしても...)

 

蕪木は戦勝式典で彼女を初めて見た時冗談だと思っていた。

帝国で言うなら内閣総理大臣か天皇、アトランティスで言うなら皇帝。そんな存在が年端もいかない少女であるはずがない。

 

「加藤、俺は未だに信じられんのだ...」

「この国はいわゆる王国です。王族が世襲によって統治してきた国なんでしょう」

「あの歳じゃあ、ウチじゃ次期総理候補と次期天皇陛下ぐらいだぞ」

 

蕪木は加藤にそっと耳打ちをした。

 

「くふふ。妾のような小娘が国王と名乗るのはまるで冗談のようじゃ、といった顔じゃのう?」

 

ハミエーアは蕪木の心中を読み取り笑った。

蕪木は驚きを隠せず彼女を見つめる。

自分より遥かに歳下、世間一般的に蕪木とハミエーアはおじいちゃんと孫のような立場だ。

老獪な口調と身に纏うオーラは彼女がお飾りの権力者ではない事だ。

蕪木は彼女に対する認識を改めた。

 

「失礼をお許しください、ハミエーア陛下」

 

蕪木は深々と頭を下げた。

 

「ところで、先の戦いで生き残ったフィルボルグの竜騎士団の竜騎士をカブラギ将軍の鉄船に収容してると聞いたが、容態はどうなのじゃ?」

「収容された竜騎士12名はジュネーブ条約で傷病者として空母桜龍で治療し回復に向かっています。その中で2名が驚異的な速度で回復し歩けるまでに回復しています。ただ、1名はPTSDを発症し先日、専門医による薬物療法を開始しました」

「そうかのう...」

 

彼女は扇子で口元を隠し蕪木に視線を送る。

 

「ふむ...カブラギ将軍よ」

「はい」

「部下からある程度の報告は受けておるが確認を取りたい。少々、話を整理させてくれぬか?」

「どうぞ心ゆくまで。我々もそのために今日は参りました」

 

──「カブラギ将軍の率いる艦隊は、正体不明の少女によってこの世界に召喚され、我が国に辿り着いた。そして、戦乱に巻き込まれ帝国軍を破った。これに相違はないか?」

「ございません」

「妾が最も疑問じゃったのは、この国を救った理由じゃ...元の世界に帰還するために救ったと言うのは理解できる。それと同時に“使命”だったからと聞いておるが?」

「国防軍は国連軍として国や民族問わず無力な一般市民を守るために、継承帝国軍の非人道的な侵略行為から、帰国の民間人...王国民を守るために戦いました」

 

ハミエーアはしばし思案顔になり、パタンと扇子を閉じた。

彼女は周囲に人がいないことを確認し地面に片膝を突く。

 

「へ、陛下!?」

「いきなりどうしたのですか!?」

「良いのじゃ!頭を下げさせて欲しい」

「陛下...」

 

「ありがとう...我が民を救ってくれて...彼らを守れなかった王として...妾にはこんなのとしかできぬ」

 

彼女の膝上に涙が落ちてることに気付く。

 

「我が民は今も生きておる...あの街の灯を見よ...この国は終わらなかった...その事に妾は嬉しい」

 

蕪木は彼女の前へ歩み寄りてを差し出す。

 

「お立ち下さい。我々には過ぎた礼節です」

「カブラギ将軍...」

 

立ち上がった女王の相好は年相応の少女。

絶望的な戦いの中、彼女はなにを思ったのか。

自分達異世界からの存在をどう見ているのか。

 

「話しを続けましょう。我々にも、貴女が必要だ」

 

 


カツーン...カツーン...

 

足音が反響して消えていく。

セイロード王城の地下深くへと続く螺旋階段。

直径は20mはあるだろうか、長門型戦艦の51cm3連装砲のバーベットの直径に匹敵しそうな空洞だった。

壁には発光性のあるコケが生えており照明の代わりとなっている。

 

「カブラギ将軍、貴官らは実に良くない立場に置かれておる」

「内地軍と水軍と教会ですか?」

 

ハミエーアの問いに加藤が蕪木に代わり返答する。

 

「うむ。内地軍はその面子にかけて、水軍は内地軍に合わせ、教会は俗物のゲオルドとその配下どもの思惑でルーントルーパーズを許す気hないようじゃな。既にゴタゴタも起きていると聞いた」

「邪教徒や蛮族扱いされてますからね...一神教を信仰している兵士もおりますので宗教間でのイザコザは避けたいです」

 

艦隊参謀部の1人、情報参謀は苦い顔しながら現状を知らせる。

 

「陛下、水軍は内地軍に合わせていると言うのは...」

「この世界の情勢は知っておるかのう?」

「えぇ、ある程度は」

 

「ならば話は早いようじゃのう。この世界はフィルボルグの脅威に晒されておる。フィルボルグの台頭により各国は反帝国陣営を結成することになりフィルボルグは世界の敵と言う共通認識となった」

「世界共通の敵ね...」

「第三次世界大戦のヘルヴォルカ帝国、太陽系防衛戦争の帝政ニョルゲニアを思い出しますね」

 

元いた世界で敵国だった第三次世界大戦の天空国家“旧ヘルヴォルカ帝国”と太陽系防衛戦争の星間国家“帝政ニョルゲニア”。

この2国のおかげで世界が四極化し超大国が睨みあっていた冷戦は集結し、指揮系統がバラバラだった各国の宇宙軍を一部国連軍指揮下に収める、地球共同防衛構想で指揮系統が統合化されたり、良くも悪くも世界は滅亡の危機から脱したり変革をもたらせたりしていた。

 

「この余波はあらゆる組織にも影響をもたらされた。意見が対立する軍部、行政機関。内地軍と水軍も御多分に漏れずじゃな」

「なるほど...」

「要は我々を共通の敵と認識してるって事ですか?」

 

ハミエーアはその場で立ち止まりため息を付く。

 

「少し違うのぅ」

「それはどう言う意味でしょうか?」

「水軍はどちらかと言うとそれほど敵視してないのじゃ」

「「「「え?」」」」

 

予想外の答えに蕪木達の声は重なった。

 

「内地軍と水軍は反帝国陣営が設立する前までは犬猿の仲だった。だがフィルボルグの台頭と反帝国陣営の設立により両軍は結束力を高め交流を深めた」

 

「水軍はカブラギ将軍らを庇護する意見をして、ようやく手に入れた両軍の結束力と関係を崩れるのを恐れて内地軍に合わせているのじゃ。それに水軍にも光母教会の信者もおる。教会から異端者扱いされたくないのじゃよ」

 

蕪木らはこの国の複雑な組織間での立ち振る舞いを理解した。

 

「...陛下、時々耳にするルーントルーパーズと言うのは、この世界の我々の通称なのでしょうか?」

 

作戦参謀の疑問にハミエーアは答える。

 

「神話の世界、古代文明文献、様々な書物に登場する、異界から現れた軍勢の事を指してルーントルーパーズと呼ぶのじゃ。召喚獣、英傑の神、妖精の類でもなく、定義が難しい存在。総称してルーントルーパーズ、ルーン・レギオン、ルーン・キャヴァルリと呼ぶようじゃの」

「要はよく分からない存在の集団の事を指してるってことか」

 

「その複雑な事情と、今、降りている階段はどのような関係があるのでしょうか?カルダ戦士団長から英雄がどうのこうのと言う話を伺いましたが...」

「うむ、内地軍にせよ、水軍にせよ、教会にせよ、ルーントルーパーズが根無し草で正体が分からぬことが原因で騒いでおるのじゃ。炊き出し用の食糧を補給する件にしても同じこと。妾が約束したと言うのに反故してしまって真に済まぬ。内地軍を抑えきれなかったのじゃ。じゃから...」

 

ふたたび立ち止まり、ハミエーアはゆっくりと振り返り、蕪木達に強い意志の炎を宿した瞳で見据えた。

 

「将軍、あなた方に、“英雄の証”を立てて欲しいのじゃ」

「英雄の、証?」

「もう少しじゃ」

 

蕪木の問いかけに答えず、ハミエーアは再び階段を降り始めた。

 

「この地下へと続く階段はの、先人達がこの国を作った当時からあると言われておる」

「一体何のために?」

「非常時に海や隣の山地に抜けるための脱出路としても使用されてきたが、元々は別の目的で作られたのじゃ。あれを見よ」

 

ハミエーアがある場所を指した。

 

「何だこりゃ?地下に湖があって、その中央に神殿...ん?」

 

ギリシャの神殿を思わせるような建物が地下の空洞内に聳えていた。発光するコケによって地底湖は幻想的な輝きを放っている。

 

ハミエーアは地底湖のほとりに腰を下ろし、優しく水面叩く。

水の跳ねる音がこだまする。

 

━━「何者か?」

 

突如として聞こえた女の声に蕪木らは周囲を見渡す。

 

「ハミエーアじゃ、待たせて済まぬな。会わせたい者を連れてきた」

「失礼しました、ハミエーア陛下。王がお待ちしております」

「うむ」

 

ハミエーアは蕪木らを地底湖の神殿に続く道へと導く。

 

「あっ!!」

「どうした!?」

「司令、水の中!」

「なっ!?」

 

蕪木らは加藤が指差した先━━水面に視線を向ける。

数多くの鋭い目つきをした人間の“顔”。

水死体かと思ったが、顔には生気があった。

数十人のそれは、美しい女の顔で彼女らは兜や肩当てを身につけて武装していた。

 

「驚くことは無い。彼女らは海棲人(マーフォーク)、つまり人魚じゃ」

「「「「人魚ぉ!?」」」」

 

蕪木らは水中にある彼女らの下半身を確認する。

人魚そのもので流麗な魚の下半身が見えた。

護衛の水兵らは人魚が武器を持ってるのを確認し肩にかけていた89式突撃小銃をローレディポジションで構える。

 

「親衛隊よ、客人が驚く。そう怖い顔をせんでくれぬか?」

「お言葉ですがハミエーア陛下。そやつらは人魚の海の最奥から現れた。我らとて不安なのだ」

 

銛を手にしたマーフォーク戦士の1人が蕪木らを睨む。

 

「良いのです。どうかお通しを」

 

神殿の中から、美しく歌うような声が聞こえていた。

 

「すまぬな、水底の王よ」

 

ハミエーアは何の躊躇いもなく神殿の中へと入り蕪木ら海軍兵も彼女に続く。

 

「もしかして、ここって...」

 

水の上にある神殿が意味するもの。

 

「お初目にかかります。ルーントルーパーズよ、異世界からの使者よ。私の名はフランシアと申します...」

 

神殿の奥には特製のベッドにその魚の下半身をゆったりと横たえた美しい人魚の女王。

 

(ここは、人魚達との交流の場所だ...)

 

マリースアが、その長い歴史の中で密かに人魚と共に歩んできた事を。

茫然としている蕪木らに、透き通るような白い肌、貝殻や真珠の装飾を身につけたフランシアは祈るように両手を合わせて、蕪木に向かって懇願した。

 

「お願いします!助けてください!我ら、水底の王国を...!」

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