ルーントルーパーズ〜国防軍漂流戦記〜   作:匿名

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マリースアの騎士って近世の騎士ぽいような

キュクロプスの壁って電力供給特化型のエヴァみたいに進撃してそう

ところでエヴァの全てを理解するにはどうすれば良いのだろうか。
エヴァを考えるとシンエヴァ×ルンパの二次も書いてみたいと思ってしまう。


異変に潜む影2

「市民の避難は完了したか?」

「もう少しよ!子供と老人を優先して逃してる!ここから3ブロックはほぼ無人よ!」

 

キュクロプスが現れた当該区域内では内地軍のとある部隊が市民達の避難誘導をしていた。

白馬に乗った騎士達の権威に、市民達からは大きな混乱を見せずに従っている。

 

短時間で、王都と言う人口密集地の数ブロックの市民を丸ごと避難させるには無理がある。

普通なら、騎士達は歩みの遅い市民達に苛立ち、敵に向かって勇猛果敢に吶喊するところだ。

 

「きゃ…!」

「大丈夫か?」

 

幼い女の子が転び、甲冑姿の騎士が馬を降り駆け寄った。

女の子を抱き抱え母親を探し始める。

 

騎士が平民の子供のために膝を折り、母親を探すと言う手間をかけている姿に、周囲の市民達は唖然としていた。

傍若無人な貴族に幼子が斬り捨てられる事件こそあれ、平民のために貴族が汗を流す行為はあり得ない事だった。

 

「あ、ありがとうございます!ああ…な、何というご無礼を…」

「いいんだ」

 

親子に向かい、侮蔑などなく騎士はニッコリと笑った。

 

「我々は本物の義を触れ、それを実行してるだけだ」

「は、はぁ…」

 

騎士の予想外の言葉に親子はキョトンとしている。

 

「さ、早く向こうへ。ここはじきに戦場になる」

 

内地軍白戦馬騎士団は内地軍の指揮系統から逸脱寸前の作戦行動を執っていた。

彼らは数日前、異世界の軍勢が乗る巨大船から戻ってきた若者達によって指揮される部隊だ。

内地軍は市内にモンスターが現れた場合、敵を優先して倒す事が通達されている。

今の彼らは敵の撃滅よりも市民の生命を優先している。

騎士として弱者を守るのも建前上任務の一つなので、命令違反をしているわけでもない。

 

女の子を助けた騎士ユラウスは一息つき隣の魔法騎士ディアナに言った。

 

「上出来だ、これで彼らさえ来れば━━」

 

そんな彼の声を遮るように鋭い声が響いた。

 

「見損なったぞユラウス!」

 

甲高い女の声がした方向を見ると、羽毛を鮮やかな真紅に染め上げ鎧を施した戦陣衣装の陸鳥に乗る軍団。

騎乗する騎士の背中には、派手な羽棍飾りが装備されている。

それは内地軍の中でも、勇猛さで知られる騎鳥戦士“シパーヒー”達だ。

 

彼らを率いる女騎士がユラウスを睨み付ける。

短い金髪と火の鳥(フェニックス)の家紋の入った額当て。

それを見たユラウスは、彼女の事を思い出した。

 

「ヴァレン?ヴァレンではないか!」

「久しいな、王立士官学校以来か?」

 

ユラウスは彼女の元へ駆け寄り、懐かしさが込み上がっていた。

かつての同期であり、騎士の絆を結んだ、親友とも呼べる女。

 

「気安く我が名を呼ぶな!痴れ者!」

「いきなり何よヴァレン!私達、同期でしょうに!?」

 

ディアナが割って入る。

ユラウスら見る騎鳥戦士団の視線には殺気が籠っていた。

指揮官であるヴァレンは裏切り者を見るかのように冷酷な目を向けている。

 

「知っているぞ、お前たちがあの異世界からやってきた連中の手先になっているとな!」

 

ヴァレンはルーントルーパーズを脅威と見做す内地軍派の騎士だ。

対するユラウスとディアナはルーントルーパーズとの友好を支持する水軍派だ。

 

「ベレンゲル将軍から聞いたのか?」

「ふん、将軍閣下に聞かずとも、内地軍の中では有名だ。あの船に乗った連中は魂を抜かれて帰ってきたとな。一体奴らに何を吹き込まれたのか、この恥晒しめ!それでも栄あるマリースア内地軍騎士か!」

 

ユラウスは罵倒に動じず、確固たる信念を宿した目を彼女へ向け断言する。

 

「ああ、そうだ。騎士だからこそ、俺は彼らの忠を尽くすのだ」

「そうよ。真の騎士道に殉じんがための事」

 

ヴァレンは、優秀な魔法騎士で内地で有数の大貴族の出身のディアナが、裏切り者のユラウスに追随するディアナに愕然としていた。

誰よりも貴族のプライドが強かった彼女が、平民どものために騎士があるのだとほざいている。

今の彼女の容姿は以前見た時は違う事から異世界の連中に何かされたのだろう。

ヴァレンは彼女に目を覚ましてほしいと思い説得に試みる。

 

「真の騎士道だと?見ろ、何だあの姿は!ガキや老婆を背負って駆け回るのが騎士の姿か!?」

「そうよ。民あって騎士。騎士が守らんは民草」

「ふざけるな!騎士あっての民であり国家だ!鳥が卵から生まれるのと同じで、逆はない、真理だ!」

「ヴァレン、貴様の部隊も避難誘導を手伝ってくれないか?そろそろ彼らが来てくれる。そうなれば大きな戦闘が…」

 

彼女の配下は抑えきれなくなった感情を爆発する。

 

「馬鹿を言うな!今の王都を守るのは我ら内地軍!」

「敵は強大、相手にとって不足なし!」

「蛮族に魂を売った貴様らは万死に値する!」

 

失望感でユラウスが黙っているのをヴァレンが鼻で笑う。

 

「ふん、それに奴を倒せば阿呆な平民どもも誰のおかげで平和に暮らせるのか分かって、我らに感謝しようというものだろう?そんな不様な事をするよりずっといい」

 

彼女はそう言い部下を引き連れてキュクロプスに向けて進軍した。

数十羽の陸鳥が砂埃を立てながらその場を去る。

 

その後ろ姿を、ユラウスはじっと見送る。

彼の隣にディアナがそっと側に寄り添う。

 

「彼らなら、何と言うのだろうな…?」

「そうね…きっと私達でも考えつかない事よ」

 

ディアナは小さな手でユラウスの大きい手を握った。

 

そんな雰囲気をぶち壊し、ブロロロロと言う音が聞こえてきた。

音がした方向を見ると緑の斑模様をした自走する箱の車がここに向かって来てる。

 

「来たか…ルーントルーパーズ、異世界の軍勢よ」

 

先頭の軽装甲機動車がユラウス達の前に止まり、それを横目に他の高機動車や装輪装甲車や赤十字マークが付いた大型トラックが通り過ぎる。

 

「マリースア政府から要請を受け出動しました国防陸軍第2陸軍遠征旅団の久世です。私の部隊の他に、沖合の空母“桜龍”からも攻撃ヘリコプターがこちらに向かっています」

 

 


国防陸軍の72式攻撃ヘリコプター“アパッチ・ガーディアン”4機が海上を飛行していた。

 

72式攻撃ヘリコプター“アパッチ・ガーディアン”

3式襲撃ヘリコプターの後継機として開発された攻撃ヘリコプター。

機関砲弾にも耐えられる防御力、損傷しても飛び続ける耐久力、1000以上の目標を探知できる探知能力、空戦能力を有している。

優れた性能から国防陸軍以外にも20ヵ国以上の軍隊で採用されている。

採用されてからも改良が続けられており今も尚進化しているベストセラー機だ。

 

今、飛行しているアパッチ・ガーディアンは最新型のE型だ。

 

「“ジェロニモリーダー”より各機へ、現地到着予定時刻1318」

『こちらジェロニモ2、コピー』

『ジェロニモ3、コピー』

『ジェロニモ4、コピー』

 

ジェロニモは第2陸軍遠征旅団第2遠征航空騎兵連隊が原隊の飛行隊だ。

 

「池田はんや、先行している“ハンゾー”から、目標を確認したってよ」

「目標はどんなだで?」

 

ジェロニモを指揮する指揮官機のアパッチ・ガーディアンのタンデム複座の操縦席内で、パイロットの小山陸軍中尉ととガンナーの池田陸軍大尉が訛りのある方言で会話をしていた。

 

「高さ30m、筋肉モリモリマッチョマンの怪獣やねん」

「それほどの筋肉なのか。でも何でコマンドーの警官?」

「さっきまで見てたからやろ?」

 

そんな2人の会話に女性の声が割り込む。

 

『筋肉ですか?目標の上腕二頭筋がどれほど立派なのか気になりますなぁ』

「ジェロニモ2、あんたさん筋肉大好きやったな」

「着いてからのお楽しみだで」

「せやな」

 

ジェロニモは王都セイロードに現れた召喚獣と呼ばれる敵性生物を殲滅するために現場に向かっているところだ。

今回は2体現れたらしく、1体は地上部隊が担当し、もう1体はジェロニモが担当する事になっている。

 

「ところで小山、担当する地上部隊はどこだで?」

 

小山はパイロット席のディスプレイを確認する。

ディスプレイにはジェロニモ以外の部隊の情報が共有されている。

 

「…22連隊の久世小隊やで」

「久世小隊か。最近旅団内でも話題が断ち切れない部隊だで」

「そんな部隊と怪獣退治できるなんて光栄やな」

 

小山は少年のような笑みを浮かべる。

 

「おっ、そろそろ着くで。ジェロニモリーダーより各機、攻撃陣へ」

 

 


「ぐ...ううう...」

 

キュクロプスに吶喊したヴァレンら騎鳥戦士団は壊滅していた。

キュクロプスが持つ巨大な棍棒によって陸鳥ごと薙ぎ払われた彼女らは死にはしななかたったものの気を失っていた。

 

陸鳥達はそうにはいかなかった。

彼女らとは違い棍棒で即死し、投げられた馬車の下敷きになり、キュクロプスに食われ養分となった。

自分達は目障りな害虫程度にしか認識されておらず、奴のエサにさえ不適合なのだと。

 

「クソ...クソお...」

 

ヴァレンは血を吐きながら涙を流していた。

部隊を全滅させてしまったことへの罪悪感に苛まれていた。

同時に腹部から伝わる痛みが死への恐怖となって彼女を襲った。

 

折れた肋骨が内臓に刺さっている。

それが致命傷となり、それが死への道だと理解し絶望した。

治癒魔法が間に合ったとしても回復は難しいだろう。

 

死にたくない、と彼女は拳を握り締め恐怖と痛みに怯えた。

名誉のために死ぬのだと覚悟していたはずだ。

死力を尽くして戦えば、倒せずとも手痛い一撃を加えれると信じて。

 

ヴァレンが忌々しく見ていた召喚されし軍勢は、戦士らしくないにも関わらず、いとも簡単に怪物どもを討ち取ってきたではないか。

名誉ある我ら精鋭の騎鳥戦士団が、そんな奴らに引けをとるはずがない。

そのはずが、この有り様だ。

 

「た、隊長…」

「マ、マリド、しっかりするんだ」

 

ヴァレンは倒れている副官のマリドの声を聞き、必死になって彼の側へ這い寄る。

彼の顔を見ると死相が出ており、彼女は絶望した。

 

マリドの腹には、破壊された建物の支柱が刺さり貫いている。

槍程の大きさだが、それでも生きて帰れる可能性は低い。

 

「じ、自分の、婚約者に、愛して、いると…」

「や、やめろ…そんな事を言わないでくれ…」

「で、ですが…」

 

彼はまだ20になったばかりの若者。

良家の娘との縁談がまとまり幸せな結婚が待っているはずだった。

 

「う…うう…」

 

彼女は今の惨状から目を背けるように空に視線を向ける。

快晴だった。

そこが神の住む世界なのかと納得できてしまう。

 

「な…なんだ…あれは…?」

 

彼女はある事に気づいた。

快晴の空に浮かぶ物体がある事に

その物体はこちらを伺うように空を回っていた。

 

バタバタと言う空を叩くような音が聞こえるたかと思うと、次の瞬間目にも止まらぬ速さで何かが通り過ぎた。

よく見えなかったが数は4つほどだったような気がした。

 

次に背中に何かがやってくる地響きを感じた。

陸鳥やキュクロプスの足音ではない別の何か。

 

痛む身体をよじり確認しようとした。

 

自分の目の前に緑色と斑模様の箱車がやって来て、悲鳴のような甲高い音を上げて止まった。

 

 

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