ルーントルーパーズ〜国防軍漂流戦記〜   作:匿名

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仮にヴィレ漂流戦記を書くとしても海上戦力(ヴンダー&古今東西の軍艦)や航空戦力(大量のブラックホーク)は良いとして陸上戦力をどうするべきだろうか。ああ、エヴァと言う手があったか()



今まで登場してきた陸戦兵器やミサイルや人物や用語をまとめた設定集を制作してるので本編は遅れるかもしれません。


異変に潜む影3

「久世隊長、負傷者を確認!内地軍の騎士です!」

 

軽装甲機動車の上面ハッチから周り警戒していた機銃手が叫ぶ。

 

「観測ヘリの報告通りだったか。厄介な事になったな」

 

久世が部下の報告を聞きボヤく。

 

一般市民に被害者がいない事は不幸中の幸だと思っていたが、国防軍とは度々対立している内地軍の将兵の被害に焦っていた。

内地軍の勢力圏で、国防軍が作戦行動を取るのは無理がある。

国防軍の行動を許可している勢力と許可していない勢力がない交ぜになっている。

 

幸いなのは今の時点で死んでいるものはいないところと、万が一に備えて救急トラックを連れてきた事だ。

 

「救助班は要救助者へ!攻撃班は配置に着き次第攻撃を開始!救助作業中に接近させるな!」

 

赤十字マークが付いた2両の74式救急トラックが負傷している内地軍の方へ向かう。

 

74式救急トラック は74式5トントラックの派生型で救急搬送用に改造した車両。

最大9名の負傷者を収容可能で、各種衛生装備や医薬品類が装備されており“大型アンビ”と言う愛称で呼ばれている。

 

反対に01式装輪装甲兵員輸送車や60式高機動車が一つ眼巨人の方へ向かった。

 

01式装輪装甲車は2式装輪装甲車の後継として開発された装輪装甲兵員輸送車。

2式より優れた防御力と機動力、派生型開発のしやすさで10種類以上のファミリー車が開発され各部隊に配備され01式で構成された機動旅団も編制された部隊もあるほどだ。

 

01式装輪装甲車2両のの車内から遠隔で操作している03式無人銃塔のM2重機関銃が起動する。

更に60式高機動車2両の上面ハッチに搭載されているM2重機関銃も動く。

全ての銃口が1つ眼巨人に向けられいつでも撃てれるようになっている。

 

「全車、射撃開始!」

 

久世の号令で4門のM2重機関銃の銃口が火を吹く。

重い発射音が辺りに響き渡る。

 

「ゥロォオオオオオオオオ!!」

 

一つ眼巨人の身体に14.5mm徹甲弾が突き刺さりその痛みが伝わる。

それだけでは致命傷は与えられず、急所である目をかばい踏み留まっている。

 

「小銃班は建物を盾にして側面へ回れ、対戦車班は俺に続け!」

 

各車両に搭乗していた兵士は降車し、市街地戦装備で小銃や携行対戦車火器を担ぎ小銃班と対戦車班は、久世の指示の元迅速に展開する。

 

『こちら衛生班。久世少尉、負傷者した内地軍の指揮官が頑なに救助を拒否してまして…」

 

久世の無線機に衛生班の無線が入る。

 

「こちら久世。分かった、今から説得に向かう!市之瀬、東、すまないが僕について来てくれ!西本、対戦車班の指揮は任せた!」

 

久世は市之瀬と東を引き連て救助班の方へ向かう。

そこには、苦痛に呻く騎士、痛みでのたうつ騎士、気を失っている騎士達で溢れ返っていた。

赤十字マークや腕章を付けた衛生兵が、担架に載せた騎士を74式大型救急トラックに運び込み、鎮痛剤を騎士に投与していた。

 

「久世少尉、来ましたか!」

 

衛生班の指揮官である先任曹長が久世に声をかける

 

「やあ、先任曹長。件の指揮官は?」

「あちらです」

 

先任曹長が指差した方向を見る。

 

「やめろぞ!私はお前達の情けなど受けない!」

 

勝ち気そうな短い髪をした女性騎士だ。

見ると大怪我をしているではないか。

おそらく将校のようだ。

自分と同じ将校なら説得できるかもしれないと判断し先任曹長が呼んだのだろう。

 

「状況はわかった。僕に任せてくれ。君は指揮に戻ってくれ」

「すみません、お願いします」

 

久世は彼女の方へ駆け寄った。

 

「貴女が壊滅した部隊の指揮官ですか?自分は討伐部隊の指揮官です。すいませんね、自分らは“1人の犠牲者も出さずに怪物を殲滅せよ”と命令されてるので、貴女には嫌でも生きてもらわないと困るんですよ。じゃないと僕が怒られるので」

「ならばなおのこと、私は生きているわけにはいかぬ」

「話の分からん人ですねぇ…」

 

久世は、気丈に振る舞う彼女に呆れた。

どうしたものかと思案し答えが出る。

 

「放せぇ!私は生き恥など晒さぬぞぉ」

 

久世は先任曹長を呼ぶ。

 

「何でしょうか、久世少尉」

「呼び出して申し訳ない。責任持つから、この人にちょっと多めに鎮痛剤打っといてくれないかな?」

「なるほど、わかりました」

 

市之瀬と東そして衛生兵が女性騎士を押さえる。

先任曹長の指示で衛生兵が押さえられた彼女に多めのモルヒネを注射される。

 

モルヒネを打たれた彼女は、痛みが嘘のように引いてていくのを感じ、猛烈な眠気に襲われ意識が朦朧として来る。

 

「私は…騎士として誇りを…だから…」

 

彼女はうわ言のように呟く。

久世は彼女を気の毒に思った。

自分もこんな形で部下を失ったら、どう思うだろうか。とても他人事とは思えない感情を抱いた。

今後の事も考え、暴行されたと言い出されないように、彼女の耳元で話す。

 

「立派な事です。貴女のような人が、この国に必要なんですよ。ここで意味なく死んじゃだめだ。その命之捨て場所はここじゃない」

「…私が…必要…?」

「ええ、そうです」

 

久世は自分達を敵視し対立してきた内地軍に対しても気の毒だと感じた。

内地軍でも国防軍に対する見る目はある程度変わってきるとは言え、国防軍の大多数の兵士は内地軍の事を良く思っていない。

久世以外の部隊だったらこの惨状を見れば、“ざまあみろ”と思っていただろう。

 

「生きていれば、恥や悔いをそそぐ機会だってある。必要なのは、諦めない事だ」

「諦め…ないこと?」

「復興が必要なこの国には、貴女のような誠実な騎士を失う事を望んでいるわけがないでしょう?」

「わ、私は…私は…」

 

鎮痛剤で眠気が襲ってきたのか彼女はうつらうつらしてきた。

 

「大丈夫、きっと助かります」

 

久世は先任曹長の方に顔を向ける。

 

「先任曹長、後は頼んだ」

「わかりました、久世少尉。ありがとうございます」

 

久世は彼女の方を優しく叩き、持ち場に戻る。

その彼の手をぎゅっと握り、ヴァレンは尋ねてきた。

 

「あ、あなたの…名前を…聞かせて…」

「久世啓幸といいます」

 

関係の良くない部外者とは言え名乗るくらいなら問題ないだろう。

 

「部下を…頼む…」

 

彼女はそう言い残し意識を失う。

 

「なんだかなぁ…どうしてこう背負わなくていいものを背負わされるんだろう、俺…」

 

隣で久世を守るために狙撃銃を手にしていた市之瀬が意地の悪い笑みを浮かべる。

 

「人徳じゃないっすか」

「やかましい」

 

久世らは持ち場に戻る。

 

 

西本から指揮を引き継いだ久世は対戦車班を率い、キュクロプスの死角へ回り込もうと試みていた。

車両班がキュクロプスに対して牽制射撃を行い注意を引き付ける。

キュクロプスは一つ眼の召喚獣で死角が多く側面はガラ空きになる。

 

久世は裏路地と建物の合間を抜け、キュクロプスの後方に出る。

奴の側面を通る時は、部下に手信号(ハンドシグナル)で合図を送る。

 

キュクロプスは自身の力を過信しているのか、細かい事には鈍感で背後へ回るのは容易だった。

 

建物の角に身を隠し、部下へ2式125mm個人携行対戦車ロケット弾(フライングマーチⅣ)の発射準備に取りかかせる。

 

2式125mm個人携行対戦車弾は90式90mm無反動砲より強力な歩兵携行式の対戦車ロケットランチャーだ。

機甲師団同士との殴り合いを目的に開発され、国防陸軍随一の強力な防御力を有する80式戦車や81式戦車すらも破壊可能な対戦車兵器だ。

使い捨ての兵器なため再装填ができないが、対戦車弾の他に対人弾頭や対バンカー弾頭など用途に合わせた弾頭が配備されている。

 

2人の射手が照準器と一体化したグリップと肩に当てるストックを展開する。

安全装置(セーフティ)を解除し発射体勢をとる。

 

「車両班、今からフライングマーチIVを発射する。射角に注意するが、外れた場合に備えて一時後退しろ」

『こちら車両班、了解!一時後退します!』

 

装輪装甲車と高機動車が流れ弾に備えてバックを始める。

それを怯んだと捉えキュクロプスが吠え、棍棒を振り上げ車両班に襲いかかろうとする。

 

久世は奴の攻撃範囲に入った捉え攻撃を命じる。

 

「ロケット弾撃てェッ!」

 

久世と西本が後方の安全確認が取れた事を意味する「発射よし」の合図を2人の射手の鉄帽を軽く叩く。

発射の衝撃で周囲の埃が小さく舞う。

発射時の反動を相殺する衝撃緩衝材(カウンターマス)が後方に向けて噴射する。

発射された2発の対戦車弾頭がキュクロプスに目がけて進み、信管が作動し弾頭の成形炸薬が指向性爆破を起こし奴の両腕が爆砕した。

 

「ウロォオオオオオオオ!?」

 

キュクロプスは自分の両腕が消し飛んだ事に動転し、先程より増して建物を破壊しながら暴れまわる。

 

「退避!?」

 

久世が叫び建物の角へ引っ込む。

破壊された建物の木材や石材に破片が辺りに飛び散り兵士達に凶器となって襲い掛かる。

 

『小銃班、負傷者2名!』

『1号車、瓦礫が銃塔に直撃し沈黙!』

『3号車、フロントガラスにヒビが!』

 

久世の無線機には被害報告が上がる。

 

「負傷者は大型アンビに乗せろ!1号車は下がれ!」

『久世少尉、負傷者の収容完了!』

「分かった、野戦病院に移送しろ!」

 

負傷した陸軍兵士と内地軍騎士を乗せた74式大型救急トラック2両が、上部に付いている赤色警告灯と聞き慣れた音を辺りに響かせながら野戦病院に向けて進み出す。

 

「止めを刺すぞ!海原上等兵、奴の胴体を狙え!」

 

久世の指示で発射準備が整ったフライングマーチⅣを担いだ兵士がキュクロプスに照準を定める。

 

「撃てぇっ!」

 

久世が再び鉄帽を軽く叩く。

3発目のロケット弾がキュクロプスに着弾し弾頭の炸裂する音が街中に響いた。

 

キュクロプスは大きく仰け反り背後の建物に倒れ込む。

建物がキュクロプスの自重に耐えれきれず破壊される。

しばらくすると、キュクロプスの体が淡く光り消えていく。

 

 

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