幻想縁起   作:葬炎

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時間なんてなかった

すんなり人里に着いた。

人里の大通りを歩きながら一言物申したかった桂一が言葉を発する。

 

「……昨夜さんや」

「咲夜です」

「なんで漢字違うのわかるし。そうじゃなくて、最初から妖怪退治しててくれればあんな手間取ることなかったんじゃ」

「お腹空きましたね」

「……覚えてろよこのPADちょ―――」

 

ガシッ

 

ぐしゃっ

 

「さて、まだお昼には早いですが軽くお団子でも頂いて、ついでに手土産に少し買ってから神社向かいましょうか」

 

スタスタと歩き去るメイドの後ろには、

顔面から地面に突っ込み埋まりかけてぴくぴく震えてる一昔前のギャグ漫画みたいな格好をした桂一の姿があった。

 

その後数十分ぴくぴくしてる桂一を木の棒でつっつく遊びが子どもの間で流行ったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

 

悲しみに身を墜とした私こと桂一です。

あの強制土下座のような体制からなんとか復帰できた俺は5人がかりで俺のぷりちーな尻を棒でつっついたり蹴っ飛ばしたり挙げ句の果てにはカンチョーの構えを取っていた糞ガキどもを追い払い、落ち着いたところで咲夜さんの行方を探すことにした。

ちなみに地面に突っ込んだのは顔面だったので頭の上にいる妖精たちには被害がない。『じぇっとこーすたーだー』と言っている妖精になんでそれを知ってるかわからないが俺と同じ痛みを知るべきと思ってしまったのは致し方ないことだろう。いわゆるコラテラルダメージというやつである(全然違う)。

 

すごい勢いで地面に突っ込んだため吹き出た鼻血を止めつつ、歩みは止めない。というか地面を砕き埋まるほどの勢いで叩きつけられたのに鼻血しか出てない俺ってすごい。これも子どもの頃からずっと歯磨きを続けてたおかげだろう。うちのおとんが『歯磨きを続けてたら新しい彼女ができました』って言ってたし。その後どこからか出てきたお母さんがすごい笑顔でどっか連れてったけど。あれってなんだったんだろう。

 

ということで前に咲夜さんがいた団子屋に向かった(唐突)。

あ、あとそういえば刀は抜き身だと危ないので鞘に入れて侍みたいに腰に挿して手はそれに添える感じになってる。おかげで片手しか使えないが。

 

「おー、けっこう繁盛してんなー。でも咲夜さんはいないっぽい?」

 

向かってる最中で視界に入る距離まで近づいたので少し遠目に確認するも一見団子屋の中には咲夜さんの姿が見えず。あんなものっそい目立つ銀髪を見間違うはずがないんだけどなーと頭をガシガシ掻きながら向かう。

 

「いらっしゃい! 今日はなんにしやしょー?」

「ああいや咲夜さんを探しにきたんですけど、知りません?」

「……こいつはおでれーた」

「……? どういうことですか?」

 

咲夜さんの行方を探るため聞き込みをしようとすると、心底驚いた顔をした団子屋の店主になんでかと聞き返す。

すると彼はこんなことを言ってきた。

 

「坊主が人に普通に物事を聞くなんてことができるなんて……!?」

「……いやあんた誰だよ!? 俺あんたとまともに話したことねえよ!?」

 

心底驚いたのは桂一もいっしょだったが。

この店主、こんな反応をしたが話しかけるのは初めてである。初対面になんでこんな反応されなきゃいけないのかと桂一は嘆き悲しんだ。

ちなみに桂一が反応する前に少し間が空いたのは(まさかもう一人の僕が体を乗っ取って勝手に……!?)なんてことを考えてたからだ。馬鹿である。

 

「いやーまさか坊主がまともな受け答えできるようになるたぁなぁ……時間の流れってぇのを感じるぜぇ」

「いや本当にあんた誰だよ! 俺人里にくんの2回目なんでぃすけどぉ!?」

「……? おめぇさんは3丁目の角の豆腐屋の隣に住んでる山田さんとこの坊主じゃねえのけ?」

「誰っ!?」

 

まさかの人違いである。これには桂一もびっくり。

 

「……だぁはははは! まぁそうだよなあ。昨日会ったけどまだ初めて立ち上がったばっかで『ばぶー』とか『おかー』とか言ってたもんな! いやーすまんすまん」

「それってどう聞いても赤ちゃんですよねえ!? どこをどう間違えたら俺になるんだよ!」

「いやーなんつーか、雰囲気?」

「こん馬鹿野郎ッッッッ!!」

 

まさかの赤ちゃんと見間違えられる桂一。これには二度目びっくり。いや、IQ的には同レベルかもしれないが。

思わず勢いで刀を抜いて取り出しそうになってしまったがそこは気合と友情とそれっぽい不思議パワーでなんとか抑えた。

 

「落ち着け俺、きっとなにかの勘違いだったんだ。そう、山田さんちの坊主は赤ちゃんプレイが好きな19歳(♂/独身)の超イケメンのかのうせいだってある……!」

 

そんなイケメン嫌だ。

 

「んー、じゃあ山田さんちの向かいに住んでる佐藤さんの……」

「……佐藤さんの……?」

 

だが恐るべきことにまだ店長のターンは終了していないッ!

 

「……犬小屋に住んでる坊主だっぺ? あいやありゃ犬か―――」

「目を食い縛りやがれこの野郎!!!」

 

ゴッ!

と、何かを叩く鈍い音がする。さすがの桂一さんも犬と同列扱いにはキレざるえない。言わずもがな俺の黄金の右腕が店長の左頬を―――

 

「甘いわぁ!」

「なん……だと……!?」

 

捉えれたわけでもなく、避けられた上に、俺の伸びきった右腕に店長の右腕が被せるように振り抜かれててこちらの左頬を思いっきりぶん殴っていた。俗に言うクロスカウンターである。なぜ団子屋の店長がそんな高等技術を……ていうか客ぶん殴る接客業ぇ……

 

「かはぁっ!?」

「ふん。私に勝とうなんて二日早いわぁ!」

 

それって明後日やん……

という声にならない突っ込みも虚しく、見事に決まったクロスカウンターのダメージで俺の意識は闇に沈んでいった。

俺また気絶するんかい……と自分にも突っ込みを入れながら。

 

 

 

 

「んなわけあるかぁ!」

「おっと。いきなりなんだ坊主。元気だな」

「誰のせいじゃボケェ!」

 

倒れかけのとこをなんとか踏ん張って耐えた桂一は澄まし顔で反応してる店長に文句を言う。

俺が突っ込みに回るしかないだと……!? と戦慄を覚えるが、このままだと話しが進まないので無理やりだが本題に入った。尺稼ぎOKです。

 

「んっん、いやだから、銀髪の美人でメイド服を着たチャンネーを見なかったの? って聞きたいわけですよケーイチさんは」

「銀髪でオシャンティなチャンネーだと? そいつぁいつも団子買ってくれる常連客さんのことかい?」

「いやいつものことかは知らないけど、オシャンティで胸になんか詰めて―――いやなんでもない。とにかくたぶんそのチャンネーで合ってる」

 

なにか言いかけたが、今までの経験から嫌な予感がしたのか止めてしまったようだ。残ね賢明である。

それは置いといて、どうやらお前らは何世代だと言いたくなる会話を終えて意思疎通は無事成功したようだ。店長はうーん、と唸っている。

しばらくすると思い出せたのかポンっと右手で左手の平を叩く仕草をして話し始めた。実際にこの仕草をする人は芸人ぐらいである。

 

「ああそいや今日も来てくれたねえ。坊主がくるちょっと前まで店先で団子食べてたが、食い終わったと同時にどっか行っちまったよ」

「そうか……ありがとう。さっきのカウンターの報復はいつかするけど今日はMPが足りないから勘弁してやる。感謝するんだな」

 

綺麗にクロスカウンターされたのが地味にショックだったのか目線を逸らしながらする報復宣言はとてもださかった。

そんな桂一に鼻でハッ! と笑った店長は大通りの先を指差しながらこう言った。

 

「あの銀髪美人が行ったのはあっちの阿求様の屋敷のほうだ。なんの用事かは知らねえが、たぶんまだいるんじゃないかねえ」

「fmfm。阿求様ってーと、確か教えてもらったな……人里の重要人物なんだっけ?」

「おうよ。阿求様はそれはそれはたいそう可愛くてな。思わず風呂場をのぞ―――おっと。いやなんでもないぞ」

 

満面な笑みでなにかを言いかけた店長に桂一は気づかなかったのか、反応することなく阿求について聞いたことを思い出そうとがんばっている。

阿求様……阿求様……確か稗田阿礼がどーたらこーたら、そんでエラくてロリの人……つまり

 

「エロい人だってことだな!」

「よくわかってんじゃねえか坊主ぅ!」

「? あったりまえだろう!」

 

肩をバンバンと叩かれながら褒められた理由はわからないがとりあえず褒められたのでドヤ顔で返す桂一。

 

「あんがとよ! じゃその阿求様って人んとこ行ってくるわ! アデュー!」

「おー! チャンスがあったら今日の下着の色を、って聞こえてねえか」

 

なんとなしにお礼を言った後全力ダッシュでその場を離れて店長が指差した方向に行く。思い出したがたしか阿求様の屋敷ってのはものっそい目立つって話しだし流し見しながら走ってれば見つかるっぺ。と考えながら。

 

桂一がいなくなった数瞬後にその会話を聞いてた店員及び客が呼んでいた慧音がきて、店長を引きずってどこかに向かい、その後店長の姿を見た者はいなかった。

ちなみに桂一は間一髪ですでに阿求の屋敷に行ってためギリセーフだったが、彼がそのことを知ることはなかった。

 

 

ちなみに団子屋は奥さんと娘さんが継いだのは完全な余談である。

そしてその奥さんもやけに幼く見えるのはもっと余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ……か……?」

 

団子屋を後にして数分はしりつづていた桂一は一つの屋敷が目に入った。

いやなんてーか

 

「でっか。ギャルゲに出てくる和風お嬢様の家かよ」

 

なんか漫画とかに出てきそうなくらいでかい(確信)。

具体的にいうと入り口のご立派な門の前まで行くと視界の端から端まで壁が続いてたりする。中はまだ見えないが。てかどうやって入ればいいというか聞き込みすればいいんだろこれ。

とりあえずでかい馬車用とかの門の隣にある人サイズの扉を叩いてみることにした。

 

「すみませーん。どなたかいないですかー。いないなら返事してくださーい」

 

するとしばらく待ってるとパタパタと駆け寄る音が聞こえた。

 

「はいはいどちら様でしょうかー」

「あー私桂一ともうする者でっせ。咲夜ゆぅチャンネーがおるんやったら大人しく出しんさいや。おお?」

「ええと、咲夜様でしたら確かに今ございますね。少々お待ちください」

「……負けた」

 

orzと落ち込む桂一を横目に出てきた召し使いさん? はパタパタと屋敷の中に戻っていった。

桂一が落ち込んでる理由は団子屋で突っ込みしっぱなしでボケキャラというアイアンティティーが失いかけてるとよくわからない理由で焦ってとりあえずボケてみたらまるでなにごともなかったかのように全部スルーされたため人生の敗者になったとでも言うくらい落ち込んだのだ。

実際敗者である。

 

そして数分後、召し使いさんが戻ってきた。

 

「桂一様。阿求様がお呼びですのでどうぞこちらにおいでください」

「……あ、はい」

 

orzの体勢のままなのも一切反応されることなく呼び出しを受けた桂一は悲しい現実に打ちひしがれながらも大人しくついていった。

 

 

今日の幻想郷は平和である。

 




あと二ヶ月で1年放置になるとこだった(白目)どうも葬炎です。
ギャグで書くのが久しぶりすぎて感覚が掴めません。

そういえばギャグを書いてる時どんな表情をしてるかなのですが、

葬炎「ははっ、わろた(真顔)」

なんですよね。ギャグ系書いたことある人ならわかるとおもうのですが。なので面白いかどうか自信がまったくないので駄目なら駄目って言ってもらえると嬉しかったり悲しかったりします。

あとなんかいいモチベの上げ方を知ってる人がいたら是非教えてください。葬炎っした。
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