幻想縁起   作:葬炎

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知識なんてなかった

「ここは……?」

 

気がつくと、辺り一面四方八方は木に囲まれていました。……あれ?

俺は確か店を出た後駅のホームについて、電車に乗って、座席に座った後ちょっと眠くなったから寝て……

ああ、どういうことだ。きづいたらよくわからない森の中だなんて。誘拐か? 電車の中で? なんのために? 電車が脱線でもして死んだのか? ここは死後の世界? じゃあここは天国? いや、特に善行を積んだ覚えはないから地獄?

いやちょっと待て、落ち着こう。こういうときに一番の敵は混乱だってエロい人が言ってた気がする。KOOLだ、KOOLになれ俺! あれ?COOLだっけ? まぁいっか。

 

俺は後藤(ごとう) 桂一(けいいち)。某なく頃にのK1と名前よく似ていると言われるが俺は認めない。舌先三寸は得意だが軍隊を騙せるほどの技量なんて持ち合わせてない。

自分の容姿については、まぁ普通。かっこよくもなければ不細工ってわけでもない(と自分は思っている)。

高校3年生で、もうすぐ就職の試験が始まるってときにこんな事態になった。……就職試験間近なのに『暇だー』と言っていたことに触れてはいけない。こんな大切な時に半額セールなんてしてしまうミ◯ドがいけないのだ。これはもう買って食うしかないじゃないか。

身長はそこそこ、クラスでは中間くらい。初恋したのは―――っと、そこまで思い出す必要もないか。

さて、一番重要なことだが、現在の周囲の状況は、

 

 

右:見渡すかぎり森林

 

 

左:見渡すかぎr(ry

 

 

後ろ:見w(ry

 

 

正面:m(ry

 

 

……うん、理解できない。状況から判断するに、ここは森。というほど規模はでかくないのかな? 上から見れるわけじゃないからわからないな。まあ日本にそこまで大きい森林があるわけないはずだし、山中というわけじゃないようだからすぐに出れるだろ。

さて、ここから選択肢が出てくる。それは『動く』か『動かない』かだ。

こういう場合のセオリーは『動かないで救助がくるのを待つ』なんだけど、そもそも俺がここ(見知らぬ森? の中)にいるということを知っている人がいないだろうから、待っていても無意味だと思われる。かと言って動くにしても、俺にはこういう、遭難、と言ってもいいだろう状況のときに気をつけなきゃいけないことなんて知らないし、水も食糧もない。さて、どうするかだが―――

 

「どーも、ね。……嫌な予感しかしないわけなんですねはい」

 

実はというと、さっきから後ろのほうでガサガサ音がなっていたりする。これが風だったり気のせいならいいんだが、俺は普通の高校生。野良犬でも集団で襲ってきたりなんかしたら普通に負けてしまう程度の戦闘力しかないわけで、こんな森の中で得体のしれない動物に襲われたりしたらどうしようもできなくなるわけで、結果どうすればいいかは、

 

「迎え討つぜ!」

 

そのへんに落ちていた頑丈そうな木の枝を拾って後ろへ振り向く。どうやら相手はまだ茂みの中にいるようだ。

なんで戦うのを選んだかって? 逃げても犬だったりしたら逃げきれないだろうし、そもそもここは日本。そこまで恐ろしい動物もいないはず。だったら正々堂々と、手っ取り早く退治してしまえばいい。そうすれば安全と考える時間が手にはいる。はず。

俺は学校の体育で習った通り棒を正眼に構える。さぁこい、来た瞬間地面と熱いキスをさせてやろう。

そのときだった、茂みからすごい勢いで飛び出てくる物体があった。それを叩き落とそうと―――

 

「っ、は?」

 

『〜〜〜〜!』

 

そう、茂みから飛び出てきたのだ。いっぱいの小人、いや、妖精が。それはとても小さい人間のような姿をしていて、羽が生えている。

そのような生物が多数茂みの中から飛び出してきたのだ。なにが来ても退治してやろうと振り上げた棒を所在なさげに下ろした後、ついポカーンとしてしまった。

そんな大口を開けた俺が珍しいのか、興味津々といった表情を浮かべた妖精がこちらに近づいてくる。数は6人といったところ。

 

『〜〜!』

『〜、〜〜』

『〜〜〜〜!!』

 

なにか話し合ってるようだが、どうやら危害を加えてくるようではないようなので放って置くことにした。色々と疑問はあるが、妖精なんかより今はとりあえずここから出ることが先決なのである(ただの思考逃避)。

ふーむ、どうやればこの森から脱出できるか、……一番のセオリーは川をみつけて、か? 人は水がないと生きていけない、つまり町でも村でも川からそう遠く離れていないところにある物だ。現代でそれが通じるかはわからないが、候補として頭にとどめておくとしよう。

他には……この妖精らしき生物に案内してもらう……? そこまで知恵があるかわからない妖精に頼るのはあまりにも危険、一応候補の一つにはしておくが、これは没でいいだろう。

さて、他は偶然人と出会って案内してもらうだが、そんな奇跡は早々起きないだろう。よって没。

さあ、どうするか。他に案は……特に思いつかない。よって案の一つである『川沿いに人の住んでいるところを探す』だな。しかし川といってもどう探すか……適当に歩くか? 危険だな。

と、なぜか妖精たちは俺の頭の上へ乗っかってきた。数が減っているところを見るに、数人は帰った? のであろう。

 

『〜〜〜〜〜!』

『〜〜〜〜〜!』

『〜〜〜!』

 

「……」

 

なにやらわーわーきゃーきゃー騒いでいるが、当然理解できるはずが―――ん?

ここで、俺に異変が起きる。よく耳を澄ますと、

 

『人間 でかい!』

『発進 行けー!』

『怖い〜!』

 

……はて、病気なのだろうか。あまりに非・現実的で頭がパーになってしまったか? どうやら俺は妖精の言葉らしきものが幻聴で聞こえてきているらしい。わけがわからないよ。

 

『通じる程度の能力』

 

―――わけが、わからないよ。今急に頭に思い浮かんだのもきっと気のせいだろう。俺はなにもわからないし知らない。

いや、しかしこんな妖精なんかがいるところで常識人ぶってもなにも解決しないのは事実、だったら今思い浮かんだ能力? を信じて使ってみるしかないだろう。通じる程度の能力って、要するに言葉が通じるようになる能力ってことでいいんだよな? だから妖精の言葉が理解できるようになった、と。

 

「……妖精さんよ、こっちの言葉がわかるか?」

 

『キャーーシャベッターー!』

『人間! わかるか?』

『言葉 わかる!』

 

なにやら更に騒がしくなる妖精たち。どうやらこちらの言葉は通じているようで一安心。

だけど、どうしようか……それなりに知恵はあるようだし、人里への道のりでも聞くか?

 

「通じてるのか。少し聞きたいことがあるんだけど」

 

『人間 話すの初めて!』

『イタズラ する?』

『今は しない!』

 

む、聞いてないな。うーむ、……ああ、要するに、妖精は興味を持ったこと以外はどうでもいい感じかな?

だとすれば妖精が興味ありそうな……あ、そういやポケットの中にアレがあったな。

 

「んー、あった。ほら、この甘いチョコレートやるから俺の話しを―――」

 

『『『『『甘い物!!』』』』

 

「うおっ!?」

 

頭の上で騒いでいた妖精たちは俺の言葉に反応し、取り出したチョコに群がってくる。ふっ、やっぱ甘い物に興味を持ったか。しかし、こんなところで腹減ったときのために買っておいたチョコが役に立つとは、人生なにが起きるかわからないものである。

 

『おいしーね!』

『おいしー!』

『もっと!』

 

「わかったわかった。もっとあげるから、欲しかったら俺の言うことを聞いてくれ」

 

さて、妖精たちは色よい返事をくれるかな?

 

『言うこと?』

『なんでも聞く チョコ!』

『従う だからチョコ!』

 

「......」

 

なんていうか、苦笑するしかないな。だけど妖精たちが言うことを本当に聞くかはわからない。だから案内させてからチョコをやるとしよう。

 

「じゃあ、人里まで案内してくれ」

 

『人里?』

『知ってる?』

『知らない チョコ!』

 

どうやら俺の賭けは負けに決定したようだ。結局チョコを無駄に消費しただけで終わった。

うーん、どうするか……妖精に人里の場所聞いても駄目だったし……ん? だったら、

 

「じゃあ川がどこにあるかわかるか?」

 

『川?』

『水?』

『湖?』

『だったらこっち!』

 

まて、どう考えたら川から湖に変わった。俺が知りたいのは湖じゃなくて川だ。

しかし言うことを聞けばチョコをもらえると思っている妖精たちの力は思った以上に強く、俺はおそらく湖のあるであろう方向へ引っ張られていく。さてはてどうしたものか……ま、とりあえず湖に着いてから考えるか。

色々と諦めた俺はされるがままに引っ張られていった。それがどういう結果になるかなど、このときは知りもしなかった…………

 

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

 

「なあ、こっちで合ってるのか?」

 

『こっち こっち!』

『湖 もうすぐ!』

『チョコ!』

 

どうしたものか、俺は妖精に引っ張られてるのだが、妖精たちの言う湖のある方向には濃い霧が立ち込めていた。これでは一寸先は闇、とまではいかなくとも5〜6mくらい先からはぼやけて見えるほどの霧と言えばどれだけ濃いかわかるだろう。俺は都会人だったのでここまで濃い霧を見るのは初めてだ。

 

『霧 いつもより 濃い!』

『チルノちゃん 誰かと遊んでるのかな?』

『遊びたい! チョコ!』

 

なにやら一匹はすでにチョコが口癖のようになってるけど大丈夫だろうか。お兄さん心配。

と、そんなことより気になる単語があった。『チルノ』、人名なのだろうか? 少なくとも固有名詞なのは間違いない。妖精にはそれぞれ名前があるのだろうか?

 

「なあ、お前たちは名前があるのか?」

 

『名前?』

『名前 ない!』

『あるの チルノちゃん!』

『あと ついでに大ちゃん!』

 

ふむ、普通妖精には無い、と。

 

「そのチルノちゃんと大ちゃんは妖精?」

 

『そう! 強いの!』

『大ちゃん チルノちゃん 大きい!』

『チルノちゃん ⑨って人間に呼ばれてる!』

 

マルキュー? なにかの暗号だったりするのだろうか。意味はまったくわからない。

と、どうやら湖が近づいてきたようだ。なんとなくだが水の気配がする。はて、俺はこんなに感覚が鋭かっただろうか? まぁ、今はそれも置いておこう。しかし、湖に近づくと同時になにかがぶつかり合う音がするのがとても気になる。なんの音だ?

 

『やっぱり チルノちゃん 遊んでる!』

『相手は 中国?』

『中国! チョコ!』

 

「あー、はいはい。ここまで案内してくれてありがとな。約束のチョコだ」

 

『『『『『わー!』』』』』

 

俺がチョコを取り出すと、またもや嬉しそうにチョコに飛びかかっていく妖精たち。しかしチョコはこれで打ち止め、どうしたものか……もう、言葉が通じるようになる能力があるくらいならお菓子を生み出せる能力とかは無いものか―――

 

『菓子を創造する程度の能力』

 

……もう、俺はなにも突っ込まないぞ。とりあえず、これで食糧問題は解決しそうだな。菓子の中には主食の代わりができる物だってあるし。そうさ、パンがなければケーキを食えばいいんだ。なにも問題はない。

さて、そろそろこの異音の原因のとこに着くわけなんだが、これまた嫌な予感しかしない。うっすら空中に見えるのだが、二つの人影らしきもの、片方は子どもくらいで片方は成人してるかな? がなにやら大量の弾状のなにかを飛ばしあってるのが見える。非現実ここに極まり、だな。

 

『もっと チョコ!』

『なんでも聞く チョコ!』

『なんでも聞く 甘い物!』

 

しかし妖精たちはなにも怖くないのか、そのようなことを喚いているだけだった。俺が警戒しすぎなだけか……? いや、妖精がいて俺は変な能力が発現した、これだけでも充分警戒する理由になるだろう。俺は無害な能力だが、もしかしたら危険な能力もあるかもしれないし、それを危険な思想を持つやつが使っているかもしれない。その可能性は充分にあるわけで、妖精にしても今のとこ無害だが、妖精以外にも変な生物、それこそ日本で言うなら妖怪とか危険な生物? がいるかもしれないのだ。警戒するだけ損は無いだろう。

 

「なあ、あそこに見えるやつらは危なくないのか?」

 

『チルノちゃん? 中国?』

『チルノちゃん 強い!』

『中国 遊び相手!』

 

と、まったく当てにならないことを聞いた。今更だが妖精たちはそんなに頭がよくないようである。

しかし、強い、か。やっぱり戦闘的な意味で、だろうか? そうだとするとチルノという妖精が戦闘狂だったりすると戦闘力が1の俺は瞬殺されることになるんだが、大丈夫だろうか?

 

「ふぅん、もう後ろに向かって全速☆前進! したいとこなんだが、したところでこの濃霧の中。どうしようもない現実に全俺が泣いた」

 

『人間 壊れた?』

『人間 元気だせ!』

『人間 チョコ!』

 

おっと、あまりの現実に素が出てきてしまった。まだだ、まだ終わらんよ!

どうやら俺は本格的に壊れてきたらしい。こうなっては一回寝ないと直すことはできなくなるのである。自分のことながらなんとも厄介な……

 

「……んん?」

 

『あ』

『チルノちゃん 負けちゃった』

『チルノちゃん チョコ!』

 

子どもっぽいほうがなぜか『ピチューン』という効果音と共に落下していく。結構な高度があったが大丈夫だろうか? そしてさっきからチョコを連呼してばっかの妖精C、いい加減黙りなさい。

 

「あれは大丈夫なのか?」

 

『チルノちゃん? 大丈夫!』

『いつものこと!』

『妖精だから!』

『また出てくる!』

 

妖精たちの言葉はいまいち容量が得ないが、たぶん大丈夫なんだろう。

さて、こうなると未だに空中に浮かんでいる、妖精たちが言うに『中国』という人物? 妖精? に話しを聞かなければいけないわけで、鬼が出るか蛇が出るか、それは俺にはわからなかった。

 

「……よし、行くか」

 

『行くのかー?』

『行っちゃうのかー?』

『チョコー?』

 

俺は歩き出す。最悪いざとなったら妖精たちに救援を求める覚悟を決めながら―――




だいたいこんな感じで進みます。ちなみに、菓子創造の能力は完全に後付けですね。しかしこの能力があると後々色々と便利なので入れさせてもらいました。

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