幻想縁起   作:葬炎

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落ち着きなんてなかった

「……ほぇー」

「口を閉じたほうがよろしいかと。気持ち悪いですよ?」

「言い方がストレートですね!」

 

あまりに率直すぎて泣きそうだ。

 

 

 

 

紅魔館の内部は高級そうな置物がそこらに置いてあり、うかつに触ると自分の首が消し飛ぶ(主に賠償金を求められて)のじゃないかと戦々恐々しながら歩いている。そのあまりの恐ろしさに、たまにメイド服を着た妖精たちが壊しそうになっている物を移動させたりして守ってしまうくらいだ。

あと、歩いていると妖精たちが集まってくる。理由は、

 

『なに これ?』

『集まってる 異変?』

『遊び?』

『私も 遊ぶ!』

 

といった感じで勝手に集まってくるのだ。頭の上は妖精で溢れかえっていて、腕にしがみつく妖精もちらほら。

 

「あなたは妖精に好かれていますね。イタズラとかされなさそうで羨ましいですわ」

「あはは……」

 

これを『好かれている』とは解釈できるのかなー……

まぁ妖精の言葉がわからない人から見ると、妖精たちが俺にじゃれついてきているだけなので好かれているように見えるのだろう。だがしかし、実はというと興味本位で近づいてきただけという真実。やるせねえ……

 

「そろそろお嬢様のいらっしゃる場所に着きますので、服装を整えておいてください」

「あ、はい」

 

お嬢? この館の主は女性なのだろうか? それに、服装を整えろっつわれても私服なんだが……今現在の服装はジーパンにTシャツといういつも通りの格好だ。これではどこを整えたらいいかわからない。

 

「さ、着きました。この扉の先にお嬢様がいらっしゃいます。私はお茶を淹れに行きますので、この先は一人でお願い致します」

「あ、はい。……大丈夫かな?」

「さぁ? お嬢様の気分によりますね」

 

この先どんな生物がいるかわからない不安な状態で、思わずこぼした言葉に素敵な笑顔と共に返してくれるメイドさん。しかし返してくれた内容はただ俺の不安を掻き立てるだけだった。

 

「……ん?」

 

気づくと、そこにいたメイドさんはいなくなっていた。おかしいな……もしかして、あのメイドさんも人間じゃなかったりするのだろうか?

俺は一瞬館から逃げ出そうかと思ったが、逃げたところで出入り口には紅さんがいるはず。万が一紅さんがなにもしなくとも、俺は人里の場所がわからない。だからここにいるわけだし。

ようするになにが言いたいかというと、手詰まりだ。

 

「……行くしかない、か」

 

俺は目の前にある巨大な門に手をかける。そして一気に引き開けようと―――あれ?

開け―――開けようと―――開けっ!

 

「……無理!」

 

目の前の門は重すぎて俺には開けれなかった。

開かないなら仕方ないよな。どうにかして自分で帰り道を探しながら歩くか。いや、もう一回妖精たちにかけてみるのも「なにをしてるんですか?」……。

 

「帰ってくるの早いですね」

「そうでもありません。それよりそこでいったいなにをしていらっしゃるのですか? さっきからお嬢様が『なにしてるんだこいつ』って目をしながらこちらを見てますよ?」

「あ、すんません。すぐそちらに行くんで待ってください」

 

実はというと、俺が手をかけた時点で扉が開いてたりする。でも部屋の中は真っ暗で見えなかったし、だから適当に脳内で理由をこじつけて帰りたいなーと。

しかし向こう側からはこっちが見えていたようだ。当たり前か。

 

「さっさと歩いてください。私もあまり暇ではございませんので」

「はーい……」

 

俺は真っ暗な部屋の中に足を踏み入れた。そのあとに続くメイドさんが完全に部屋に入ったところで背後から扉が閉まる音が聞こえる。もう退けないか……

赤いカーペットの上を歩いていると、小さい3段くらいの階段が見えてきた。その上には豪華そうな椅子が置いてあり、そこに座っているのは―――

 

「ようこそ客人。私はこの館の主であるレミリア・スカーレットである」

 

―――足を組んで偉そうに座っている幼女だった。

……。うん、普通に可愛い。だが残念、俺にはロリ属性はないからあまりときめくことはなかった。女性と言われるくらい成長してから出直すんだな!

 

「……今、失礼なこと考えなかった?」

「滅相もない」

 

自分から不利になるようなことを言えるはずもないのでキリッとした顔と共に言葉を返す。

よく見てみると、幼女の背中には蝙蝠のような羽があり、口元にはとても長い八重歯―――牙がはえていた。どう見ても吸血鬼だ。本当にありがとうございm(ry。へたなことをしたら吸血しつくされる……!

 

「それにしても、面白い人間ね。そんなに妖精に好かれるなんて。うちのメイド妖精もいっぱいいるし」

「そうですね。仕事に戻りなさいと言ったのですが、無視されました」

「あら、だから少し不機嫌なのね。自分の言うことを聞かない妖精たちが彼にひっついてるのを見て嫉妬かしら?」

「冗談はおやめくださいお嬢様」

 

.……心配はないかな? 会話をみるに、けっこうフレンドリーな感じするし。

よし、こうなったら菓子折りでも出して穏便に済ますしか―――

 

「……あれ?」

 

今日だけで何度目だろうか、またもや予定外のことがおこった。能力で生み出す菓子が出ないのだ。あるぇ〜?

それに、わずかだが立ちくらみもする。まさか、この菓子創造の能力はチョコ一個つくるのが限界だというのか!? だとしたらまずい、最悪考えていた『私なんかよりこのお菓子のほうがおいしいですよ!』作戦ができなくなる。どうすればいい、どうすればいいんだ!

 

「あら? そんな首をかしげてどうしたのかしら? これは私に血を吸ってほしいという催促?」

「いえいえいえ違います! ただちょーっと予定外のことがおきまして。それより、私はそちらのメイドさんをお借りして人里へ行きたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

よし、見事に低頭な言い方ができた。これならあのフレンドリーそうな吸血鬼のお嬢さんも思わず『いいよ』と言ってしま「駄目よ」……ガッデム! 神は死んだ!

 

「あのー、事情をお聞きしてよろしいでしょうか?」

「簡単よ。食糧である人間をみすみす逃す手はないわ。そうじゃなくとも私は暇だし、なにか暇つぶししてからでないと帰す気にはなれないわね」

「あははー」

 

死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだしn(ry

なんちゅうことだ! どうにかして逃げ出せないと、俺に明日はない……!

しかしどうする。入口は閉まっていて開けている間に捕まるだろう。窓は……なぜかこの部屋には存在しない。吸血鬼だから日光に弱いとかかな?

妖精と協力してっ……どこまで役に立つだろうか。確か妖精たちの言う『強い妖精』のチルノちゃんは紅さんに普通に倒されていたはずだ。だとすると、このこたちはあまり役に立たないかも。

くそっ、こうなったら……!

 

「お嬢様、少しよろしいでしょうか?」

「あら、なにかしら?」

 

結論 : 交渉

なんとかして五体満足で人里まで送ってもらう約束を取り付けるんだ……! こういう大物の悪役っぽいやつはたいてい約束を破ったりしないはず! つまり、一回ちゃんとした約束を取り付けれればなんとかなる! はず!

 

「えー、私はなにも面白味のないただの人でして、このようなつまらぬ者を相手にするよりかぱっぱと追っ払って他のことを―――」

「私は『妖精に好かれる人間』ってだけで興味深いのよ。それに本当につまらなそうな人間だったら、……そうねえ、妹の食糧になってもらってたわね」

 

興味を失わせて脱出作戦 : 失敗

どうやら完全に興味がなくなってもゲームオーバー 一直線だったらしい。あっぶな! 俺あっぶな!

それにしても、妹ねえ。吸血鬼の妹だから当然吸血鬼か。この場にいないのは部屋にいるからか? まぁいい。

 

「でも、私にゃなにもできることがございませんし」

「あら、だったら用無しってことで妹の食糧に―――」

「不詳桂一、一発芸やらせていただきます!」

 

危なかった。もうすぐ吸血 → ゾンビ化END になるとこだった。いや吸血されてゾンビになるか知らないけど。

思わず口に出してしまった一発芸、どうする? 今できることと言ったら、

 

① 声真似(外の世界の人の真似なので幻想郷の者はおそらく知らない)

 

② 菓子創造(エネルギー切れ? によって現在使用不可)

 

③ 舌先三寸(一発芸ではない)

 

どうやら詰んだようだ。どうしようもない。

 

「ほら、早くしなさい。私を楽しませなければ罰ゲームよ」

「hjq)¥おんq>]+n"ぎえj!?」

「なんて言ってるかわかんないわよ。ちゃんとした言語をしゃべりなさい」

 

これは、もう諦めるか……

いや、希望を捨てるな! まだなにか方法はあるはず!

 

「よし、見てろ! これが俺の全力全開DA!!」

 

俺はもはや自暴自棄になり、上に向かって手をかざす。なにか出ろと念じながら。

すると、俺の手のひらにナニカが集まってきて―――

 

「ってなにやってんの?」

 

『〜〜!』

『〜〜〜〜〜〜!』

『〜〜!』

 

ナニカとは妖精たちだった。俺がかざした手に興味を持って集まってきたようだ。さっきから『なにするの〜?』『遊ぶ 弾幕?』『ぶっぱなせ〜!』やら騒いでいる。ええい、こうなったら!

 

「妖精たち! 上空に向かっていっせいに放て!」

 

『『『『『〜〜!』』』』』

 

すると、妖精たちは俺の手が向いているほうに振り向き、なにか光った弾のようなものを生み出す。

いっせいに放つ多数のそれは、一瞬合体したあと、天井にぶつかる前に四方にばらけていった。まるで花火のようにーー

 

「……ほぇ〜」

「へぇ……」

 

『〜〜〜!』

『〜〜〜!』

『〜〜〜〜!』

 

妖精たちの騒ぐ声や、さっきまで恐れていた(?)吸血鬼の感嘆する声は聞こえていなかった。ただ"綺麗"だと思い、ほうけていたのだ。これが弾幕、なのか?

 

「うん、まぁ及第点ね。普通にやってたらアレだけど、妖精たちにやらせたというとこを評価してあげるわ」

「……え、マジで?」

 

まさか、人里へ行けるのか!?

 

「ええ、その妖精を使う能力を充分に評価して、ここ、紅魔館で働かせてあげるわ」

「やった! 人里にっ……へ?」

 

どうやら一筋縄ではいかなそうだ。なぜこうなった!

 

「あなたは特別に妖精メイドたちに指導する大事な役割をあげる。これで咲夜の負担も減るわね」

「ありがとうございますお嬢様。妖精たちの扱いは本当に大変ですので。ええ、それはもう」

「へ? へ?」

 

どうやら今しばらく帰ることはできなさそうである。

 

 

 

 

背景外の世界にいるだろうお父様、お母様。

 

私はいったいなにか悪いことはしたでござんしょか? 今度からはあまり文句を言ったりしないので、帰りたいです。ど う し て こ う な っ た !




今回は東方系SSでよくある主人公、執事になる(?)の巻。平穏はしばらくなさそうです。
あと、仲良くなることはあっても恋愛は無しにする予定です。希望があればわかりませんが。

フランそうやって出そうかなー。

キャラの性格は原作でのセリフによって自分の中で妄想し作り上げてます。文句・批判はいつでも聞く。変えるつもりはありませんが。
次回は日常になるかな。


感想・意見・批判、いつでも募集中。
ついでに自分の小説の評価見たら妥当すぎて泣けた(評価0に評があった)。


あ、一応書いているときは文章の最初に一文字分開けているのですが、保存するとなくなってしまいます。誰か原因知っていたら教えてくださると嬉しいです。それではまた!



追記
ここまで文章を改定しました。あとは気が向き次第改定していきます
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