幻想縁起   作:葬炎

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幻想なんてなかった

「第一班、窓掃除! 第二班、床拭き! 第三班、なんか適当に遊んでろ!」

 

『『『『『〜!』』』』』

 

 

よし! 今日も頑張るぞっと!

.....はっ、いつの間にか馴染んでいる俺がいる!?

 

幻想郷にある紅魔館にたどり着いてから一週間、俺は未だに紅魔館でメイド妖精のまとめ役? 教育係? をしていた。内容はメイド妖精たちに指示して問題を事前に防ぐこと。

妖精たちはお菓子で釣ればすぐに言うことを聞いてくれる。なので、妖精たちを3班に分け、1班は休み。残りの2班が仕事。という分担で、仕事している2班のうちより頑張ったほうにお菓子を与えるという方法でなんとかやっている。

 

 

『〜〜〜〜?』

 

『〜〜!』

 

『〜〜〜、〜〜!』

 

「やめなさい!」

 

 

俺は妖精たちがやろうとしていることを止める。今のは訳すと『なに これ?』『壊す!』『うーんん、壊す!』だ。ちなみに壊そうとしていたのは巨大な壺。何円するかわかったもんじゃない。

こういうことがよくあり、ものすごく大変だ。だがそのおかげなのかーー

 

 

「桂一、お疲れ様。お茶よ」

 

「あ、ありがとうございます咲夜さん」

 

「桂一、今度巫女のとこにお茶をたかりに行くの。あなたもついてくる?」

 

「巫女....? 行けるならついて行くよ」

 

「よろしい」

 

 

紅魔館の人たちにはけっこう気に入られてたりした。今目の前にいるのはメイド長である咲夜さんと、この館の主でお嬢様のレミリアだ。レミリアは500歳ぐらいとか聞いたが、見た目がとうていそう思えないので呼び捨てで呼ばせてもらっている。

この場にはいないが、紅さんと、その他二人とも知り合った。まぁそちらは会ったときに説明しよう。

 

 

「それじゃ、予定は明日よ。出かける準備をーーあなた、荷物もなにもなかったわね」

 

「そうだな。いつでも出られるぞ」

 

「わかったわ。出かける時間になったら咲夜に呼びに行かせるわ」

 

「了解。咲夜さん、お願いします」

 

「しょうがないわね。メイド妖精たちの世話頑張ってちょうだい」

 

 

二人は立ち去った。さてと、巫女がどんな存在か知らないけど楽しみにしておこう。巫女っていうくらいだから、おしとやかで日本美人って感じかな? やべ、今からおらワクワクしてきたぞ!

俺は明日を楽しみにしながら仕事を続ける。さて、今日は早めに寝ないとなー。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「桂一、準備はいいかしら?」

 

「ちょっと待ってください咲夜さん、まだ髪型のセットが....!」

 

「そんなの今までしてなかったし必要ないでしょ。ほら、行くわよ」

 

「あ、ちょ!」

 

 

今日は巫女さんと会う日だ。別に意識してるわけではないが髪型を整えていると咲夜さんに引っ張られる。くっそ、まだ服装も整えてないのに....!

 

 

「あなたがなに考えてるか知らないけど、あの巫女はそんなこと気にするような人間じゃないわよ」

 

「?」

 

 

それはおおらかな人とか、そういう意味だろうか?

うーむ、いよいよ告白する言葉でも考えるか....

 

 

「....とんでもない勘違いしてるわね? まぁいいわ。実物見て絶望しなさい」

 

「???」

 

 

意味はわからないが、とりあえず咲夜さんについて行く。

さてはて、どんな人だろうか。

 

 

 

 

 

 

「ようやく来たわね。遅いわよ」

 

「申し訳ございません。桂一が無駄な準備をしていたせいで遅れてしまいました」

 

「....否定できないが、否定できないがそこまで言わなくても....」

 

 

心が折れそうだ。

ここはレミリアの応接間というところだろうか? 俺が最初道に迷って来たときに呼ばれた、レミリアが偉そうに座っていたところだ。どうやら行くメンバーはここに一回集まってから行くらしい。どうやら行くのは俺、レミリア、咲夜さんだけのようだ。

 

 

「他の人たちはいかないの?」

 

「美鈴はそもそも門番、パチュリー様はめんどくさい、妹様は引きこもり。なので私たちだけです」

 

「はぁ、美鈴は仕方ないとしてパチュリーはもうちょっと外に出ないかしら。最近贅肉がついてきたの気にしてたのに」

 

「できれば私も紅魔館で待っていたいのですが」

 

「駄目よ。あなたは私のメイドなんだから」

 

 

少々会話したあと、巫女さんのところへ行くため歩き出す。

 

 

 

 

目の前に紅さんが見えてきた。どうやら門についたようだ。

ああ、俺は紅魔館で世話になることになった日に紅さんと正式に(?)顔を合わせた。ちゃんと自己紹介をして、そのときに『生きてたの?』って感じに驚かれて泣いたのは内緒。そして慰められてもらって泣いたのも内緒。

 

 

「ああ、お嬢様に咲夜さん、桂一さん。お出かけですか?」

 

「ええ、博麗の巫女のとこに行くの」

 

「美鈴、私たちが留守の間ちゃんと門番してなさいね」

 

「大丈夫ですよ咲夜さん。そもそも紅魔館に侵入しようとするのなんて妖精たち以外いませんし」

 

 

妖精たちが侵入....? してどうするのだろうか。

ああ、あと俺についてきてた妖精たちはまだ俺の周りをうろちょろしてる。そんなにチョコが欲しいか。言うこと聞いてくれるし可愛いからいいけど。今いるのは....計5匹。ポケットの中で寝てたり頭の上で会話してたりしてます。

 

 

「そう。ならいいわ。それではお嬢様、桂一。行きましょう」

 

「ええーーって咲夜! その日傘は昨日穴が空いたやつでしょ! 新しいの持ってきなさい!」

 

「あら? 捨てたつもりだったのですが....少々お待ちください」

 

 

どうやら出発はまだ時間がかかりそうだ。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「......咲夜さん」

 

「なにかしら」

 

「この階段、登るんですか?」

 

「ええ、そうよ。私とお嬢様は飛んで先に行ってるから頑張りなさい」

 

「薄情者ー!」

 

 

俺の目の前には頂上が見えないほどの階段があり......巫女さんのいる博麗神社というのはこの先にあるらしい。そしてレミリアと咲夜さんは俺を置いて飛びだって行くと。....歩いて登りきるのかー。....もう諦めて紅魔館に帰ろうかな....? あ、紅魔館の方向わかっても道わかんねえorz

 

 

「....はぁ、しょうがない。行くか」

 

 

俺は諦め、登ることにした。俺も空を飛べたらなー....

.........ちっ、『菓子を創造する程度の能力』のときみたいに考えると能力が発現するかなーと思ったけど、そうでもなかったようだ。

ああ、能力の概要は咲夜さんとレミリアに聞いた。どうやらこの『幻想郷』では普通に存在するものらしい。珍しいものではあるそうだが。

 

 

「しかし......長いなー」

 

 

けっこう色々考えながら登っているのだが、まだまだ先は長そうだ。

しょうがない、なにも考えないでもくもくと登るか。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ぜー......はー......」

 

 

はー、すー、はー。

......落ち着いた。

この階段、とても長い....

 

 

「あら、桂一。ようやく来たのね。遅いわよ」

 

「無茶......言うな....」

 

 

階段を登った先には咲夜さんが呆れた顔で立ってました。一瞬殺意が芽生えたのは秘密。

俺は階段を登りきり、神社の入口にある鳥居によっかかる。ふう、息を整えたら巫女さんとの出会いがーー

 

 

「なにそのいまいちさえない顔の男。レミリアの言ってた新しい紅魔館の住人?」

 

 

いきなり神社の中から現れた巫女さんのその一言。

俺は自分の心の中の、なにか大切なものが壊れた音がした。....これが現実か。

 

 

「......ああ、はい。私が紅魔館で世話になることになった桂一ともうすものですぅ」

 

「......気持ち悪い反応ね。まぁいいわ、そこにいたら参拝客の迷惑だから早く帰るか来るかしなさい」

 

「あら、この神社に参拝客が来た時なんてあったかしら?」

 

「うっさい」

 

 

俺の心に会心の一撃! 俺の心は壊れた!

....いや本当、現実を見せつけられた感じだな〜......本物の巫女さんってことで幻想を持ちすぎてたか。リアルじゃこんなもんだよなぁ......

 

 

「....そんな泣きそうな目で見られても困るんだけど。まぁいいわ、ついてくるんならきなさい」

 

「はぁい....」

 

 

俺はおとなしく巫女さんについて行く。

さて、どうしようかな......






さてはて、桂一君は見事に自分の中の幻想が壊れましたね。
まぁ、ドンマイとしか言いようがありません。これが霊夢じゃなくて早苗さんだったらまだよかったものの……

時代設定的には紅魔郷が終わってレミリアの性格が丸くなり、フランが館をうろうろしてるあたりですかね。

それではまたノシ
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