あと魔法の説明や設定はあとがきに書いてあるのでよろしくお願いします。
それでは、第1話スタートです!
さてと、そろそろいくか、と呟くと、ドルモンは休憩していた木から立ち上がった。あの夜から五日ほどたつが幸いなことにまだ追いつかれてはいないようだ。
そう思いながらまわりの森を見渡す。
ちなみに五日経っているのにまわりが森なのについては理由がある。
その理由とは空から発見されるのを防ぐためだ。別に迷ったわけでは無い。そもそもここは神の森ではない。
それとついでだから、この世界の説明もしておこう。
ここはデジタルワールド。全ての物質、物体がデータ、つまり情報で構成された世界である。そこにはデジタル生命体であるデジモンが住んでおり、その種類はとても数え切れないほどだ。
そして、デジモンという生物はそれぞれ必殺技という攻撃方法を持ち、独自の成長の仕方をする。進化という成長方法だ。しかし、デジモンの場合は進化というものは私たちが知るものとは少し違う。
例えるなら脱皮に近いだろうか。ただし、ただ大きくなるわけではなく、その形質や種としての名前まで変わる。
一応、その進化にも法則があり幼年期から成長期といった世代ごとに進化していく。進化する順に世代を並べると、幼年期、成長期、成熟期、完全体、究極体という順になる。
ちなみにドルモンは成長期にあたる。
そのような不思議生物が大量にいる場所である。
この時点でかなり複雑だがデジモンだけが住んでいるわけでも無く、私たちの世界に生存するものと似たような生物も存在する。
まあ、簡単に言うと、インターネットのような場所に私たちの世界の生物プラスデジモンが暮らす世界だと思ってくれればいい。
そしてインターネットのような世界だけに、他の世界の影響を受けやすい世界でもある。
⋯⋯そのせいでここまで複雑化した可能性もあるが。
さて、話を物語に戻そう。
(前は油断してて見つかっちゃったしな。今度は気をつけないと)
ちなみにここのドルモンの思考に1つ間違いがある。
前回に見つかった理由としては油断というよりは、自分で消したつもりだった痕跡が残っていたからである。
まあ、それについては後で知ることになるのだが。
それから1時間後、ドルモンは今度は見事に迷っていた。
それもそのはず、この森は入ると方向感覚が狂い、必ず三日は迷う魔の森と噂される森なのだから。
しかも、火のない所に煙は立たない。ここの森はかなり密集して木が生え植物の種類も少ないためどこまで歩いても景色が変わらず、だんだんと方向感覚がなくなるため三日とはいわずともへたをすれば一日は迷う。
そんな森にとんでもない運でもなければ、予備知識も方角を知る手段もなしで簡単に抜けられるはずがない。
一応、果物などはあるので食べものは困らないが、問題は水だ。
近くに川はなさそうだし、どの植物から水分を取れるのかはドルモンには分からないうえ、いつ森を抜けられるかも分からない。
どうしよう、と思っていると一人の騎士が思い浮かんだ。まだ施設のような場所にいた頃、唯一自分に優しく接してくれた騎士である。
そして、あそこから逃げ出すことに協力してくれた。あの騎士がいなければもうすでに自分は死ぬか、気が狂うかしていただろう。
それほどその騎士はドルモンにとって大きな心の支えとなっていた。だからこそあの騎士が今この場所にいてくれたなら、と思ってしまうのだ。
だが、無いものねだりしても仕方がないし、騎士が自分を助けたせいで現在まわりから疑われている可能性もある。
やっぱり、自分でなんとかしなくちゃ、とそう気持ちを奮いたたせた時だった。
「ギシャァァァ!」
まわりからハチの姿をしたの巨大なデジモンと同じように巨大な赤いくわがたのデジモンが数体ずつ現れた。
「げっ!クワガーモンとフライビーモン!」
それぞれ昆虫形といわれるデジモンの成熟期である。
どうやら彼らの縄張にいつのまにか入っていたらしい。だがまだ成熟期が数体なら隙をつくって逃げるチャンスもあるだろうと考えた時だった。
「グギャァァァァ!」
空中から飛んできたさらに巨大な灰色のクワガーモンに吹き飛ばされた。
「うわぁ!オ、オオクワモン!?」
そう、クワガーモンが完全体に進化した姿のオオクワモンであった。
完全体まででてきてしまってはかなり不利になってしまう。そう考えている間にもオオクワモンたちは攻撃してキタ。
その攻撃を必死に避けながら突破口を探す。そしてフライビーモンが一体しかいない場所に必殺技を放った。
「メタルキャノン!」
フライビーモンが避けたところを全力で走る。
だが、すぐに、オオクワモンに追いつかれてしまい、攻撃を受ける。
「ぎゃぁ!」
他のものも追いつき、ドルモンに攻撃をし始めた。
しかし、ボロボロになりクワガーモンの鋏で攻撃された部位から血があふれても、ドルモンは走り続けた。この場で走るのを止めればせっかく助かったのに死んでしまうという、冗談にならないことになってしまう。
しばらく、必死で走っていると太陽の光が当たる場所に出た。運良く森を抜けたらしい。
「ぬっ、なんだ?」
ドルモンが朦朧とした意識で最後に見たのは魔法使いの姿をした人形だった。
鬱蒼と木が生い茂る森にそった一本道を歩きながら、魔法使いの姿をしたデジモンは二日前に旅立った町のことを考えていた。
「あまり見てまわれるような雰囲気ではなかったな。なにかあったのだろうか⋯⋯」
そう独りごちている彼は、本来住んでいる村よりも、旅に出ている時間の方が多いと言われるようなデジモンであった。
そのため、同じ村のデジモンでも関わりの無い者たち、特に幼年期の者には不気味がられているが知識が豊富で見た目通り魔法を使え、さらには以外と人(?)当たりもよいので一部の者たちにはとても好かれていた。
そして今回、その一部の者から旅のついでにあの町の特産物の紙と墨を買ってきて欲しいと頼まれたのだ。しかし、着いてみた町は多くの旅をしてきた彼にとって不自然だった。
町というだけあって彼の村よりも大きく栄えてはいるのだが、市場には活気がなかったのだった。
どんなに小さい市場であっても、商人たちとその客たちによる活気や喧騒が必ずある。
そのような市場特有の騒がしさが無く、売り買いする時の話し声さえもぼそぼそと聞こえるだけである。
そのため居心地が悪くなり頼まれた紙と墨を買い、自分で調合して作った薬を売ってすぐに出てきたのだが、
「少し話を聞けば良かったな⋯⋯」
いまさら気になり始めたのである。だが二日かかってここまで来たのを引き返すのも面倒だ。
相変わらず鬱蒼と木が茂る森を見つめ、しばらく立ち止まった。だが森を見つめた所で町までの距離が短くなるわけでも無い。
溜め息をついた時だった。赤と紫のなにかと数体のフライビーモンとクワガーモンが森から出てきた。
「ぬっ、なんだ?」
少しの間それがデジモンだとは気づけなかった。それほど血で汚れていた。そして、クワガーモンたちはそのデジモンに襲いかかっている。
突然のことに一瞬思考が飛んでしまっていたが、このままでは、まだ生きているとしても襲われているデジモンはすぐに死んでしまうとかんがえ、魔法を使った。
「ランク1、マジックミサイル!」
十本程度の輝く光の矢ができ、クワガーモンたちに飛んでいった。
「「「ギギャァァァ!」」」
全ての矢がそれぞれ一体ずつあたりクワガーモンたちが悲鳴をあげ、何体かはそのまま倒れた。
そしてすぐに倒れているデジモンに近づき治癒系統の魔法をかけ始めマジックミサイルをすぐに放てるように準備する。
クワガーモンたちは突然の攻撃と魔法に驚いて警戒をしているのかこちらの様子を窺っている。そのような膠着状態のなか嗄れた気味の悪い声が響いた。
「ナゼ我ラノ邪魔ヲスル、魔術師ヨ」
その声を聞きクワガーモンたちはすこしさがり、入れ替わるようにオオクワモンが出てきた。
「オオクワモンか⋯⋯。ならば逆に問いたい、なぜ君たちはこのデジモンを襲おうとするのだ?」
「簡単ナコトヨ。ソヤツガ我ラノナワバリニ入ッテキタノダ」
オオクワモンは何か文句でもあるかとと言いたそうな声で答えた。
「そうか。ならオオクワモンよ、1つ頼みがある」
「ナンダ、魔術師」
「私と君が勝負して私が勝ったらこのデジモンを許してやってはくれないか」
この提案は向こうにとってかなり以外だったらしい。オオクワモンの声に驚きの響きが混じる。
「我ト闘ウトイウノカ」
「ああ、その通りだ」
次にはオオクワモンは笑っていた。
「ギャハハハハ!オモシロイ、ソノ度胸気ニイッタ!闘オウデハナイカ。タダシ、オヌシガ負ケタラオヌシモ殺サセテモラオウ。ソレデイイカ?」
「⋯⋯いいだろう。では始めようか」
そう言ってからまわりに浮遊していたマジックミサイルを消した。
「オヤ、消シテシマッテ良イノカ?」
「ああ、君にはこの程度の魔法ではダメージがないだろうからな」
「ホウ、デハイクゾ!」
そう言ってオオクワモンがかなりの速さで飛び込んでくる。それを避けながら新しく魔法を準備する。
「ランク2、フレアボール!」
火の玉を相手に向かって投げつけるが躱される。
そして、しばらくお互いに睨み合った。
オオクワモンは睨み合っている間に、速攻で勝負を決めた方が良いと、結論を出していた。
デジモンにはそれぞれ苦手な属性というものがあり、オオクワモンを含む昆虫形デジモンたちは火の属性が苦手である。
そして魔法は習得さえしていればどんな相手でも苦手な属性を出すことができるチート的な技術なのだ。
しかし、魔法もただ強いだけではなく、魔力というものを消費しなければ使うことが出来ないうえ、体力も奪われる。
そのため、持久戦に持ち込むこともできるが、相手がどの程度の魔法を習得しているか分からないのに、持久戦に持ち込むことは危険だと考えたのだ。
そう自分のなかで決めた後は簡単である。
「シザーアームズΩ!」
自らの必殺技をくりだしながら突進していった。
「ランク3、ウォール・オブ・アイス。」
魔術師がそう言ったかとおもうと目の前に氷の壁が作られる。
「ムダダ!」
必殺技を使っている時のオオクワモンの鋏は金剛石すら切り裂く。そんな技に氷の壁など紙同然だ。
それは向こうも知っているだろうに⋯⋯と思ったが、そのまま氷の壁を切り裂いてゆく。しかし、魔術師は不敵に笑っていた。
「ランク2、アイスコントロール」
すると砕けたはずの氷が再び集まり⋯⋯
オオクワモンごと氷の壁に戻った。
「ナッ!」
オオクワモンの必殺技はその鋏で切り裂く技だ。鋏が当てられなければなんの意味もない。
最初から無駄だと分かっている氷の壁を出現させたのもこれが狙いだったのだ。
そう分かり、オオクワモンは歯噛みするがもう遅い。
「これで終わりだ!ランク4フレアストーム!」
「グアァァァ!」
火炎の嵐が吹き荒れオオクワモンは氷の壁ごと吹き飛ばされた。
弱点の属性である、火の魔法を直接くらいオオクワモンは吹き飛んでいった。
おそらくこちらの魔法をあまり使わせないために一気に攻撃を仕掛けてくるだろうと思い、すぐにあの戦略を組み立てたのだ。
ちなみに相手が持久戦に持ち込もうとしても時間はかかるが、相手の動きを止める魔法を使えるのでそういったことではオオクワモンのとった行動は正解だった。
しかし相性が悪かった。
オオクワモンが遠距離の必殺技を持っているか、氷の壁を迂回すればこちらも別の作戦をとらなければならなかっただろう。
⋯⋯まあ、こちらもオオクワモンという種族の性格上そのようなことはしないだろうとふんでとった行動なのだが。
「さて私の勝ちだ。約束は守ってもらうぞ」
「ウググ⋯⋯。イイダロウ我ラハ退散シヨウ」
そう言うとオオクワモンは傷を庇いながら森に消えていった。
どうやら他のクワガーモンたちはリーダーが負けたのを見て、速くも逃げたようだ。
まわりを確認してから、倒れているデジモンの様子を見る。切り傷などは魔法によってすでにふさがり始めていた。
「問題は毒だな⋯⋯」
フライビーモンの針によって体内に入った毒を治療することができないのだった。
毒を消す魔法もあるのだが自分は解毒薬を作れるから必要を感じなかったのだ。しかし、前の町で薬を売ってしまっている。こんなところで必要になるとは思っていなかったのである。
ここから一番近い町でも一日はかかるが、もうすでにかなり毒がまわり高熱が出ている、そんな時間はかけられないだろう。
「しかたないな⋯⋯」
そう呟くと、そのデジモンの手を取り呪文を唱え始める。そして、呪文を唱えるごとに周囲が光り始める。
そして、その光が収まったあとには誰もいなくなっていた。
そこは不思議な空間だった。
まわりにはほとんど明かりがなく、唯一の光源は空間全体を覆う電子機器の回路のような複雑な模様からもれる光だけだった。
そこに一人の騎士がたたずんでいた。以前ドルモンを追いかけていた騎士である。その空間に騎士とは別の方向から声が響いてきた。
「あいかわらずの仏頂面だな、オメガモン。許可は取ったのか」
現れたのは真紅のマントを身につけた騎士だった。許可とはおそらく神の森に入る許可だろう。
騎士、いやオメガモンがが声を発した。
「仏頂面は余計だ、デュークモン。許可ならもうすでに取った、貴様の報告待ちだ」
デュークモンと呼ばれた騎士は少し笑いながら答えを返す。
「フフッ、冗談だよオメガモン。ロイヤルナイツの中で一番のワーカホリックと言われる貴公がこんなに行動が遅いはずが無いな。」
その少々ふざけたような返答にオメガモンは苛ただしそうに目を細める。
このデュークモンは自分の盟友でもあり根は騎士のかがみとも言えるほど真面目なのだが、たまにこのようにふざける時があるのだ。
まあ、オメガモンがワーカホリックというのはあながち間違っていないことはオメガモン自体自覚しているのであまり言い返せないのだが。
「⋯⋯そういうことが余計なのだ、さっさと報告をしろ」
ワーカホリックと言う言葉が精神的にダメージを与えたようだ、少し黙り込んでから口を開く。
「ふむ、まあ、そうだな。ダークエリアのアヌビモンに確認した結果はドルモンは死んでいないようだ」
ダークエリアというのは全てのデジモンの死後に行く場所、つまりあの世である。
そして、アヌビモンというのはそこの閻魔大王的なデジモンである。そこにドルモンが死んでいるかどうか調べてもらったのだ。
なぜそんな場所の存在に会いに行けるのかというと、彼らの所属している組織に関わっている。
彼らの組織、ロイヤルナイツは現在のデジタルワールドの最高神「イグドラシル」に仕えている騎士団である。
それと同時に、ロイヤルナイツはこの世界の守護をするものであり、そのためアヌビモンのような存在とも会うことが出来るのだ。
似たような組織に四聖獣や三大天使という組織が在るがその説明はまた後でしよう。
「そうか⋯⋯」
デュークモンの答えを聞きオメガモンは顔をしかめる。
もうあの夜から五日⋯⋯いやあと少しで六日になる。こんなに時間が経っては追跡を再開するのも大変だ。
そう考えながら顔を上げる。その時デュークモンが話しかけてきた。
「⋯⋯なあ、オメガモンよ、このことはやはり他の守護デジモンにも話すべきではないか?せめて同盟関係の四聖獣だけでも⋯⋯」
このこととはドルモンのことだと理解するのにオメガモンはしばらく時間がかかった。しかし、分かった瞬間嘲るような声を出した。
「ふん、他の守護デジモンなどただの軟弱者の集まりではないか。そんな者たちに話してなんの意味がある?」
そして次には厳しい声を出していた。
「それにあの者はロイヤルナイツの闇ともいえるものだ。貴様もそれを忘れてはおるまい」
オメガモンはそう言ってからデュークモンの顔を見つめる。
「どうした?」
「いや、貴様最近おかしいぞ」
「⋯⋯どういうことだ?」
デュークモンが疑問の声をあげる。
「このごろ落ち着きが無いぞ。それにさきほどのことにしてもそうだ、貴様もドルモンのことは他の者に言うことができないのは知っているだろうに。何か隠していることでもあるのか?」
「何を言っている。貴公に隠し事などしたら、あとが怖い、私はそんなことはしないよ。このごろ任務続きであまり眠れなかったからからな、疲れているのだろう」
そう言って欠伸をする。
「そうか、それならいいが⋯⋯」
「ではな、オメガモン。私はこれからまだ我が君に報告することがあるのでこれで失礼する。あと、任務に精を出すのはいいが体を壊さぬようにな」
そう言い残し、デュークモンは立ち去っていった。
「やはり、おかしい⋯⋯」
そう呟いて、オメガモンはデュークモンの歩いていった方向を見つめていた。
いつもなら冗談でも言って笑い飛ばそうものを今回は随分と真面目な返答をしたこともそうだし、まるで逃げるように話を切り上げっていったのも不自然だった。
だがデュークモンが自分に嘘をつくとはあまり思えなかった。オメガモンは彼が言っていたように疲れていたのだろうと思うことにする。
そして、思考を切り替え任務のことに集中する。
「我が主の命だ、絶対に仕留めてみせる!」
そう声にして、決意を新たにし、その場から立ち去った。
⋯⋯なんか説明が多くなりました。すみません。え〜では魔法の説明などを書いていきます。
魔法
四大元素と闇と光、それと魔力をもとにした術式。
魔力によって自然の力などをいじくるのが基本なため魔力が必要不可欠だが、使う度に体力が奪われるためそれなりの体力も必要。
魔法によってランクがあり数字が大きいランクほど効果が大きい。現在あるランクは1〜9。
マジックミサイル
魔力を空気中で形作り相手に投げつける。魔法では大体これから習得する。
フレアボール
火の玉を作る魔法。本当はファイヤーボールにしたかったんだけど、すでにギルモンの技であるのでこの名に
ウォール・オブ・アイス
氷の壁を作る。ただそれだけ。色々使えて便利だけど。
アイスコントロール
すでにある氷を自在に操る魔法。
フレアストーム
炎の嵐を巻き起こす魔法。フレアボールの強化版。