漆黒の騎士と白の魔術師   作:源さん

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大変、更新が遅れてしまいました。いや〜、今回はとんでもなく大変でした。
それでは第2話始まりです!


第2話

 「ううっ。ここは⋯⋯?」

 

 ドルモンが目を覚ますと見知らぬ場所にいた。

 捕まったのかと思い、一瞬パニックに陥るが、ロイヤルナイツに捕まったのなら殺されているはずだと考え、落ち着きをとりもどしてあたりを見渡す。

 どうやら木造の家の一部屋らしいが家具は花瓶が置いてある棚と自分の寝ているベッドぐらいしかない。

 まわりの様子を確認してから、自分の身に何があったのかを思いだそうとする。

 

 「え〜と、たしかオオクワモンに襲われて⋯⋯」

 

 そこでドルモンは不思議に思った。たしかに自分はオオクワモンに襲われ、かなりの大怪我をおったはずだ。

 

 それなのになぜ死んでいないのか。

 そのことに気がつき自分の身体を改めて見ると包帯や湿布などが巻かれている。どうやら誰かが自分をここまで連れてきて治療したようだ。

 一体誰が治療したのかと考える。

 その時、部屋のドアが開いて一体のデジモンが入って来た。

 

 「おっ、目を覚ましたか」

 

 驚いて臨戦態勢を整えようとしたが身体に痛みがはしり、そのまま倒れる。

 

 「まだ無理をしない方がいい。大丈夫、傷つけるようなことはしない」

 

 そう言いながら入ってきたのは、魔術師の姿をした人形だった。手には湯気の立つお椀を持っている。

 恐らく彼が自分を助けてくれたデジモンだろうと思いつつもドルモンは問う。

 

 「⋯⋯あんたは?」

 

 命の恩人に対してずいぶん失礼な聞き方だと思うが相手は気にする様子を見せず答えた。

 

 「ん、私か?私は種族名はウィザーモン、個体名はウィザードだ」

 

 ドルモンとしてはそういう事を聞きたかった訳では無いのだが、今の言葉の中に1つ疑問に思ったことがあった。

 

 「個体名?」

 

 デジモンというのはそれぞれの種族に誇りを持ち、名のる時は種族名を名のるのものだ。それで個体名というのに疑問を持った。

 

 「ああ、この付近の村にはなぜか生まれたデジモンに個体名をつける風習があってな、それでだ」

 

 そう答えながらドルモンの近くにより包帯をめくって傷口を見始める。

 

 「うん、クワガーモンたちにやられた傷はだいぶ治ってるし、骨折していた部分も変にならず治ってきてるな」

 

 そう言って包帯を取り替え始めた。

 

 「最初に君を見つけた時はもうだめかと思ったが、なんとかなったな」

 

 いいながら、包帯を交換し終えていた。とんでもない速さだなと感心していると目の前に米の粥が入ったお椀が突き出される。

 

 「そろそろ腹が空く頃だと思ってな、一応粥を持って来たのだが食べるか?」

 

 そう言われ、初めてとても自分がとても空腹だと気付いく。しかし、なぜここまでしてくれるのかという警戒心がありなかなか手をつけ辛い。

 その様子を見て、少々苦笑しながらウィザードが口を開く。

 

 「毒などは入っていないから安心しろ。それにこの粥に毒を入れて君を殺すぐらいなら寝ている間に殺している」

 

 それもそうかと思ったドルモンはお椀に顔を近づけ粥を食べ始める。粥は蜜か何かで味付けしてあるのか、ほんのりと甘みがありとても美味しかった。

 

  ー5分後ー

 

 お椀にはかなりの量が入っており、お椀そのものも大きい物だったのだがドルモンは米の一粒も残さず完食していた。

 

 「⋯⋯よほど腹が空いていたようだな」

 

 そうウィザードが言葉を発するが、満腹になってリラックスしたドルモンは少し驚いたような顔のウィザードには気付かずそのままベッドに寝転がる。

 その様子を見てウィザードは少々呆れ気味の表情を作った後、思い出したように問いを発する。

 

 「そういえば、まだ君の名を聞いていなかったな。なんという名なんだ?」

 

 相変わらずドルモンはベッドの上に寝転がったままその問いに答える。

 

 「オレの名前はドルモンだよ」

 

 ウィザードはその名を聞き考え込むような表情になる。

 

 (ドルモン⋯⋯やはり新種のデジモンか?)

 

 ドルモンというデジモンは何度も旅をしていたウィザードにとっても見たことも聴いたことも無い。その様子を見て不思議に思ったのかこちらの様子をうかがうように訊ねてくる。

 

 「どうしたんだ?」

 「ん、いやあまり聴いたことの無い種族だったのでな。少し考えていただけだ。」

 「そうか⋯⋯」

 

 そして、ドルモンも考え込むような表情になる。

 いままでロイヤルナイツの施設に閉じ込められていたので知らなかったが、どうやら自分の種族は珍しいようだ。

 珍しいということは、名や姿を覚えられやすく目撃情報からロイヤルナイツに追いつかれる危険性も高くなる。

 そうドルモンは考え、さきほどウィザードに名をあかしたことを後悔し始めていた。いくら命の恩人だからといってロイヤルナイツに話さない保証はないのだから。

 しばらくそんな沈黙が続いた後、ウィザードが口を開いた。

 

 「そうだ、急な提案になるのだが、この村に私と一緒にしばらく住まないか?」

 「はっ?」

 

 なんだろうと思ったが本当に急な提案である。ドルモンは思わずまぬけな声を発していた。

 

 「⋯⋯なんでだ?」

 

 普通いきなり見ず知らず者に一緒に住もうと言われ、はい、いいですよと答える者はいない。むしろ警戒心を抱く者の方がだろう。

 自分でもいきなりすぎたと思ったのかウィザードが理由を説明しようとする。

 

 「え〜とだな。まあ理由としては⋯⋯」

 「私が提案したのですよ」

 

 突然、ウィザードの言葉を遮り入ってくる者がいた。

 

 「⋯⋯クロス様。」

 

 クロスと呼ばれたデジモンがドルモンの目の前に来た。片方ずつ白と黒の翼をもった人のようなすがたのデジモンである。様付けで呼ばれていたから、この村ではそれなりの地位にいるのだろう。

 

 「⋯⋯あなたは?」

 

 ドルモンの問いに相手は物腰のやわらかげな声で答える。

 

 「私の種族名はレイヴモン、個体名は先ほどウィザードが言った通りクロスと言います。この村で村長をしている者です」

 

 どうやら、この村の中での最高権力者らしい。そう思った後ドルモンは聞きたかったことを訊ねる。

 

 「どうして、そんな提案を?」

 「理由なら単純ですよ。私があなたはここにいた方がいいと思ったからです」

 

 その断言するような言い方にドルモンがイラッとして怒鳴ろうとした時、クロスが先に口を開いた。

 

 「まあそれは冗談として、一つはあなたが旅慣れていないと思ったからですよ」

 

 自分が旅慣れていないことを知られているのに少し驚いたがなぜそれだけで、とさらに問おうと思った時だった。

 

 「それともう一つあなた、追われているでしょう?」

 「⋯⋯!」

 

 そう言われドルモンはかなり驚いた。

 旅慣れていないことはともかく、なぜ追われていることまで知っているのか。

 その疑問を読み取ったようにクロスが話し始める。

 

 「まあ一つ目の理由はウィザードにあなたが迷いの森の近くで倒れていたと聞いたからです」

 

 おそらく迷いの森とはクワガーモンに襲われたあの森だろうと思いながら話を聞く。

 

 「あそこの森は迷いやすいと言われていて、この近くを旅する者たちで知らないデジモンはいないし、通るデジモンもあまりいないんですよ。それにあなたは旅に必要な水や食糧を入れる物を持っていませんでしたしね」

 

 その言葉にドルモンがなんとなく反論する。

 

 「森のことを知らなくて通ったのは、オレがその森を知らないくらい遠くからきたのかもしれないし、入れ物はクワガーモンたちに襲われた時に無くしたのかもしれないじゃないか」

 

 そこにしばらく黙っていたウィザードが言い返す。

 

 「まずあの森のことは以外と遠くまで知られていてな、もし知らなくても途中でよった町や村で聞くはずだ」

 

 それにクロスが言葉をつなぐ。

 

 「それに私があなたが寝ている間に森に行って隅々まで見てみましたが物を入れるのに使うような物はありませんでした」

 

 そこまで言われればドルモンは返すことができない。そこにクロスが二つ目の理由を言う。

 

 「森に行ったのも実際これを確かめるためなんですよ」

 

 そして、森に行った理由と一緒に説明を始めた。

 

 「まず私はあなたが急に旅を始めた理由を考えました。そこで思いつくのは住んでいた所がなんらかの被害⋯⋯例えば災害や盗賊ですね。そう言ったものにあってしまい逃げてきた、というものでした。しかし、この辺りでそのようなことは起こっていませんから、先ほどの森を知らなかったこと含めて、あなたはかなり遠くから来たことになります。そして成長期のデジモンが一人で、何の宛ても旅の知識も無くさまよえば、ここに到達する前に野垂れ死ぬ確率の方がずっと高い。そう考えてこの思いつきは無いだろうと思いました」

 

 そこまで話し、ついてきていけているか確認するようにこちらの顔を見てから説明を再開する。

 

 「そして、もう一つ思いついたことがあなたが元々どこかに閉じ込められていてそこから逃げ出してきた、という考えでした。こう考えると色々と辻褄が合うんですよ。どこかに閉じ込められていたのなら遠くから来たり、生まれた時からずっとその中でしか過ごしていたのなら迷いの森を知らないことも頷けますし、そこから無理矢理、脱走したのだったら、何も持っていないはずです。そう思ってあなたが旅した道を逆に辿ってみることにしたんですよ。まあ全ての道を辿るのは時間がかかり過ぎますから、迷いの森だけに留まり最高でも五日間だけと決めていましたけどね。そしたらあなたのものと思われる痕跡とそれを消そうとしている跡が、がっつり残ってましてね、理由も無く他のデジモンの痕跡をわざわざ消そうとするようなデジモンはいませんから、これはあなたがしたことになります。それに痕跡を消すということは何かに追われているということですから、やはりあなたは追われていたのだという結論になりました」

 

 あまりにも一気に話され、しばらくドルモンの思考が停止するがなんとなくその推測がほとんど当たっていることは分かっていた。

 そして思考回路が元に戻った時、一つのことに気がつく。

 

 「⋯⋯えっ、残ってた!?」

 

 残っていたとは痕跡のことである。自分ではしっかり消していたつもりだったのだ。

 その問いにクロスが冷静に答える。

 

 「ええ、残ってましたよ。足跡にしても匂いにしても。というか逆に分かりやすくなってましたよ」

 

 その答えを聞いてドルモンが肩を落とす。自分ではかなり自信があったのだ。

 そこにウィザードが慰めの声をかける。

 

 「まあ、追われている状況で、痕跡のことに気を使ったことは初めてであまりできることではないし、私はすごいと思うぞ。それに、そういったことはこれから私が教えていくからゆっくり覚えていくといい」

 

 そういう問題では無いと思ったが、ドルモンは気を持ち直し、次の質問をする。

 

 「なんで、あなたじゃなくてウィザードなんだ?」

 

 旅に必要な知識や痕跡を消す方法を教えるのならばクロスの方が良いのではないか、と考えたのである。

 それにクロスが再び答える。

 

 「実はウィザードはこの村でおそらく一番、旅をしているデジモンでしてね、そういった知識は彼の方が知っているんですよ。それにあなたを拾ったのもそもそも彼ですからね。⋯⋯ではこれで私は失礼します」

 

 そう言って、クロスは部屋から出て行ってしまった。しかもかなりの速さである。

 ドルモンとしてはもう少し聞きたいこともあったのだが、引き留める間もなかった。

 ドルモンがそ変な人だなと思いつつ、少々呆然としているとウィザードから声がかかる。

 

 「⋯⋯あの方はいつでもああいう感じでな、根は良い方なんだが⋯⋯気を悪くしたのならすまないな」

 「えっ、いや気を悪くなんて、そんなこと無いです。むしろ色々ありがとうございます」

 

 そう言うと、ウィザードは少し安心したような顔を作る。

 

 「そうか、そう言ってもらえるとありがたい」

 

 そのようなやりとりをし終えた時だった。

 

 ゴォーーン

 

 大きな鐘のような音がし、その音に驚いてドルモンがビクッと身を震わせるがウィザードは驚きも何もせず意外そうな声を出す。

 

 「おや、もうこんな時間か。この音は村の中央にある鐘で鳴らしていてな、時刻を知らせるためのものだ。結構その鐘が有名でな、近くの村や町から見に来る者も何人かいるんだ。今は6時程度かな」

 

 その説明を聞き、ドルモンが感心していると、

 

 ギュルルル⋯⋯

 

 鐘の音とは違う音がドルモンの腹の辺りから鳴った。

 ドルモンはそれを聞いて恥ずかしくなり、ウィザードは笑い出す。

 

 「あははは!そうか、もう腹が空いたのか。まあ確かに食べてから三,四時間経っているしな。よし、今から何か作ってこよう。しばらく待っていてくれ」

そうして、ウィザードも部屋から出て行った。

 

 

 

 ドルモンは一人になってから悩んでいた。

 ウィザードたちは自分が追われているということを知りながらも自分に良くしてくれているし、確かに自分は旅に必要な知識などはほとんど知らないから、おそらくここにしばらく居た方が良いのだろう。

 だが、いつかロイヤルナイツが自分を追って来る。

 その時に自分を匿っていたらウィザード達がどのような目に遭うか分かったものでは無い。へたをすればこの村そのものが消される可能性もある。

 そのようなことになれば関係の無い者たちも巻き込まれる形になるし、なにより恩を仇で返すことになる。それは絶対に避けたい。

 そうなると自分は今すぐにここを出た方が良いのだろう。

 しかし、今はまだ動ける体では無いし、なんの準備も無しに出ればロイヤルナイツに殺されるまでもなく野垂れ死ぬだろう。

 そしてドルモンはそれ以外にもここを離れたくない理由があった。

 ここから、正確に言うならばウィザードやクロスと別れたくなかったのだ。

 今までドルモンは一人でとても心細く不安だった。

そんな中で会ったウィザードたちは短い間でもドルモンにとって頼れる人物となっていた。それに、ドルモンはデジモンではまだ子どもである。

 そういった存在から離れたくないのも、当然といえば当然である。

 そのため、ロイヤルナイツたちはここに来ないかもしれない、という楽観的な考えさえ浮かび始めていた。

 そして、30分程悩んだ後、また今度にしようと、考えることを止めた。ようするに目の前の問題から目をそらしたのである。

 

 「お〜い、できたぞ」

 

 その時、ウィザードが料理を持って入って来て、そのままそのことはドルモンの中でうやむやになった。

 

 

 ドルモンが悩んでいた頃、同じように悩んでいる者がいた。

 自分の家に帰ってきたクロスである。椅子に座りながら難しげな表情を作っている。

 

 「⋯⋯さて、面倒なことになりましたね」

 

 そう言いながら見つめるのは手もとにある二つの紙だった。

 片方はドルモンの写真が貼られた紙、もう一つは手紙だった。

 写真が貼られた紙には、この者は大罪人であるためこの者を見つけ次第ロイヤルナイツに通報するようにと書かれている。

 つまり、指名手配書である。

 クロスはドルモンが追われているということを実際に知ったのは、この紙を見たことで知ったのだ。

 しかし、ドルモンに会った後もクロスはまだ通報していなかった。その理由は手紙の内容にあった。

 

 『貴殿のところにドルモンというデジモンが来たら、しばらく匿ってほしい。』

 

 文章は短く、差出人も書いてはいないがクロスにはこの手紙の主が分かっていた。

 自らもロイヤルナイツに所属しているのに、このような手紙を書くのは一体しか思い浮かばない。

 しかも、そのデジモンはクロスにとって命の恩人とも言える存在であり、そうそう無視できるものではなかった。

 ⋯⋯まあ、向こうもそのことが分かっていて自分に手紙を出したのだろうが。そのため、個人としてはこの手紙の通りにしたい。

 しかし、自分はこの村の村長という村のことを第一に考える立場の者とすれば通報した方が良いのは分かっている。

 そのような葛藤があり、まずはドルモンがどのような者か確かめてから決めようと思い、会ってみたのだがとても大罪人であるとは思えなかった。

 さらにこの指名手配書は町や村の最高責任者にしか配布されていない。

 そのためクロスはドルモンはおそらく、ロイヤルナイツにとってまずいことを知っているか、その存在自体がまずいのだろうと考えていた。

 そして、クロスはロイヤルナイツという組織は、自分達の主にとってまずいことが起こったと思ったら、その存在が間違ったことをしていなくともすぐに抹消することを知っていた。

 

 「さて、どうしますかね」

 

 いくらドルモンが悪く無くてもロイヤルナイツの力は強大である。このような村など、一瞬で地図から無くすこともできるだろう。

 しかし、だからといって何も罪が無い者を引き渡すことをしたくは無いし、手紙のこともある。

 そうして、10分程たった後クロスは椅子から立ち上がり、今居る部屋から出て別の部屋に入る。

 その部屋は薄暗く、呪文のようなものが書かれた札や人型に切った紙がぶら下がり、奇妙な植物や鉱物が置かれた不気味な部屋だった。

 その部屋にある椅子に座り、クロスは墨をすり始めた。

 

 「⋯⋯ウィザードに買ってきてもらった墨と紙が早速役に立ちそうですね」

 

 クロスはすり終えた墨を使い、紙に呪文を書いていった。




 自分はなんとなく日常のことなどを書くことが苦手なようです。精進、精進。

では今回出てきた設定の説明です。


デジモンの個体名

発祥した理由は同じ種族のデジモンを呼ぶ時に分かり辛いため。
使用している町や村は全体の半分程度。

今回はこれで終わりです。次回もよろしくお願いします。
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