本小説はwordから直接コピー&ペーストしているのでルビ振りの残骸があるかと思いますが、そこら辺は気にしないでいただけると幸いです。
作品向上の為アンケートに答えていただけると幸いです。
1度1話を試験的に上下に分けてみます。1時間後に下は投稿されますので、一日一話という縛りは変わりません1話分毎日投稿します。
一瞬の間を置き彼から動き始め、一度に間合いを詰めてくる、それを受ける為に弓を薙刀に変形させ、その斬撃を受け止める。
「ねぇ覚えてる?」
彼が口を開く。
「俺が流氷さんを3年生と間違えて刃菜子先輩を1年生だと思った初対面の日」
彼の木刀の重みが少し和らぎ、彼を弾き返す。
「覚えているわっ、私も彼女本人の口から聞くまで信じられなかったものっ」
弓を構え限りなく彼が回避できない状況の時の未来を視て矢を射る。
「あの日にラーメンを食べて」
彼は放たれた弓を避けるのではなく、木刀で叩き落とす。
「次の日には一緒に死地に行って友人になって」
彼はそう話している最中にもこちらへまた詰め寄る、完全に近づかれる前に彼の通る道を、未来を視て矢を射るが、彼は狼の時同様、私が視た景色とは違う行動で避ける。
「本当に死にかけたけど嬉しかった」
「私もっ!よっ」
薙刀に変形する時間は無いので弓でそのまま受ける、しかし彼は攻める気配は見せずそのまま話を続ける。
白鳥先輩達が壊滅して気分が意気消沈した事、それを機に、車石先輩が一緒に食事に行こうと言い出したり、アミューズメント施設に誘われ一緒に行った話も今では懐かしい話という物が、記憶がいくつも出てくる。
「あの時も車石先輩が私達を気遣ってくれたわねっ」
「あの時って?」
体制を立て直し再び弓を構える。
「貴方が人型レイダーを人間そのものって言ってきた後よ」
あぁーっと彼は少し目を逸らす、その瞬間に矢をできる限り射る、その隙に薙刀へ変形させ今度はこちらから彼に詰め寄る。
「貴方のせいで私達の関係性が壊れかかっても、車石先輩は必死に繋げとめようとした。自分が一番辛かっただろうに」
「そうだったね」
「貴方わかってる?本当に私達ショックを受けて、食事も喉を通らないレベルだったのよ?」
彼に対して少々の怒りをぶつける、あの時彼には確固たる覚悟を持ち、曲がらぬ意志を持っていた、私達にはその覚悟を持てなかった。
「それは…本当にごめん」
彼は本当に申し訳なさそうな顔をする。
「本当に反省しなさい!あの時貴方は、もう前しか見ていなかったんだろうけど、私達は頭がどうにかなりそうだった、皆を守る為の行為が人殺しだったなんて信じたくなかった!その中でも彼女は…先輩は…なんとか場を繋ごうとしてくれていたの!」
貴方にわかる?という問いを口に出す前に私の武器は弾き飛ばされ、喉元に木刀を突き立てられる。
「わからないよ、わからないけど、やっぱりこれから…刃菜子先輩の居ない生活は…考えたくないよ…」
大粒の涙を流しながら彼はこちらを向いている、それを見た私の頬にも、水が滴るなんだろうと、頬触りどこから流れているかを確認する。何度も涙は流したはずだ、もう涙なんて枯れる程泣いていたはずだ、それなのにどうしてここまで悲しいのだろう?
私達は赤の他人だった、それが友人になって、離れる事の出来ない戦友となって、私は彼にそして彼女らを自分の家族として見ていたのかもしれない。そう考えるとここまで悲しいのも納得できる。だからここまで胸が痛いのだと。
その瞬間彼が私の横に倒れる。
「青池君!?」
急ぎ安否を確認するが彼からは寝息が聞こえるだけ、当たり前の事だった。体は疲れ果て、精神も疲れ果てていた。それなのにこれ以上体を動かしたら寝落ちするのも無理はない、その彼の姿を見て安心できたのか私も眠たくなる、ああ今日の事が夢であればいいのにと考えながら。
「おやすみ」と笑う車石先輩が見えた気がした。
*
誰かに揺すられている、起きてくださいと言われている気がする、もう少し寝かせてほしい、動きたくないと思いその揺すられている手から逃れるように寝返りを打つ。
「…ん……ぅ…ん…瞬!」
「刃菜子先輩!?」
瞬と呼ばれた気がして飛び起きる、俺の事を瞬と呼ぶのは刃菜子先輩だけで昨日のは、悪い夢なんじゃないかと思ったが目に入ってきた光景がそれを悲しくも否定する。
「瞬君、私は刃菜子さんじゃありませんよ」
目の前に居るのは心配そうな顔をする早雲さんとその後ろに居る車椅子に乗った白鳥さんだった。
「あれなんで、早雲さんと白鳥さんが俺の部屋に?」
「瞬君の部屋じゃありませんよ、ここは」
当たりを見渡すと確かにそこは自室ではなく、稽古場であった。何をやっていたんだっけと昨日の夜を思い出す、そういえば流氷さんと戦っていたような記憶が朧気に残っている。
「ん?じゃあ流氷さんは?」
「そこに」
早雲さんが指を差した先に外出用の身支度をし、いつでも外に出られる準備を完了して、スマホを弄っている彼女が稽古場の扉前に立っている。そこで思い出す彼女と約束をしていたのを。
「今何時!?」
慌てて時間を聞く。
「9時です」
早雲さんは簡潔に答えてくれる。よかったと心から思う、自分から食事に誘っておいて、自分が寝坊して約束を破るなんて言語道断だ。
「よかったぁー着替えてきます」
自室に戻り私服を引っ張りだし着替える、ふと思うなんで早雲さんと白鳥さんが居たのだろう?早雲さんはまだしも白鳥さんはあの怪我を負って絶対安静にしてなくてはいけないのではないだろうか?着替えが終わり部屋の外に出ると流氷さんを含め全員が出かける準備完了と言った感じで玄関で待っていた。
「流氷さんはともかく、早雲さんと白鳥さんもどこかに行くの?」
「お前らがラーメン行くってさっき弓から聞いて、アタシも行くって病院に言ってきた」
「私が絶対に彼女がはしゃがないようにとお目付け役を任され一緒に来ました」
「医者が不憫でならないわ、かわいそうに…」
流氷さんがそう言っているのが気になり小声で聞く。
「どういうこと…?」
「白鳥先輩、医者に今日外出を認めないと今回も立て籠もるぞ?って脅したらしいのよ」
「あぁー…それは…それは…」
確かに医者が不憫だ、前回は精神的ショックもあったとはいえ、立て籠もり事件を起こした本人だ、冗談でもなく本気で病院として困るだろう、守人という事で邪見に扱う事もできないだろうし。
「脅しだなんて人聞きの悪い、アタシはただお願いしただけだよ?今日だけでいいからお願いって」
「その交渉材料に前科を引き出していたら、脅し以外の何物でもないよ」
「まぁそう言ってあげないでください、これでも銃美さんはどうしても刃菜子さんのお見送りをしたかったというのが、本心なのですから」
「ちょっと…理恵さん…」
彼女の本心がバラされ、彼女の顔は真っ赤になる。
「普段はキツイ口調だけど優しい一面もあるじゃない」
「そうだね」
流氷さんがそう呟いたので同調しておく。
「それじゃあ行こうかあのラーメン地獄に、全部とは言わないけどこの時間から始めたらそこそこの数は行くんじゃない?」
流氷さんと早雲さんの顔が青ざめる。
「私やっぱり先に準備して、葬儀場へ行くことにするわ…守人だし…」
「銃美さん、私達もそうしましょうか」
「え?理恵さん?皆でラーメンを食べるのは、楽しみですって言ってなかった?」
ほほぅ、それは良い事を聞いた。
「いやぁ、楽しみしてくれていたんですね早雲さん!刃菜子先輩が作ったラーメン街道制覇」
「あのぅ、そのぉ。それではなくて一番美味しかったラーメンを食べにいくのかな?なーんて、思っていたんですけどぉー」
抜き足差し足で逃げようとしている流氷さんの首根っこを掴みこちらに引き戻す。
「約束したよね?昨日俺が行く?って聞いたらそうねって言ったよね?」
「確かにぃ…確かにぃ、言ったけれど、あれをもう一度やるなんて考えただけでも恐ろしいわ…」
「なんで弓も理恵さんもそんなに慌ててるんだ?ラーメン食うだけだろ?」
「知らない貴方は黙ってて」「銃美さん流されないでください」
今度は俺ではなく白鳥さんに白羽の矢が向く。
「銃美さんわかっていますか?ラーメン街道制覇の意味が」
「いやそりゃ知らないけど」
「車石先輩が早雲先輩のラーメンを食べた事により始まった、三食ラーメン生活…まだそれだけならよかった、けれどラーメン街道制覇は…」
彼女達は勿論ラーメンを食べたくない訳ではない、刃菜子先輩との思い出も詰まっているラーメンを食べるなら、例えダイエット中だったとしても食べたがるだろう。けれどラーメン街道制覇は違う。
「つまりね、白鳥さんラーメン街道制覇は、刃菜子先輩が美味しいと思ったラーメンを一日で全部食べるって言う苦行なんだよ」
「ラーメンを食べる苦行?確かに腹はキツくなるだろうけど言っても刃菜子の事だ2,3杯だろ?」
「刃菜子さんが特段美味しいと思ったラーメン屋10件」
「そして車石先輩の好みのラーメン、杯数にして13杯を食べる」
「まぁこれがラーメン街道制覇だね」
白鳥さんが思わず絶句している、こんな気の抜けた彼女の表情を見るのは初めてなので少し面白い。
「わかっていますか?銃美さん、貴方が了承しようとしている、ラーメン街道制覇はこれほどまでの苦行の道なんですよ?」
「あぁ、ハイ、スミマセン」
余りの早雲さんの気迫によって完全に押しつぶされる白鳥さん。そろそろこの会話も終わらせなくては、楽しくはあったがこのままじゃラーメンを食べる時間も無くなってしまう。
「まぁラーメン街道制覇は冗談として、皆でラーメン食べに行きましょ、早くしないと食べる時間も無くなりますし」
「一体誰のせいよ…全く…」
長い間の茶番が終わり、刃菜子先輩が特段に気に入っていたラーメン屋に入りそれぞれ好きなラーメンを食べる。
陽は落ち通夜の準備の為寮に戻り制服に着替え斎場に向かう。親族ではないが守人として刃菜子先輩の親族の居る控室に挨拶へ向かう。彼女が守人としてどうだったか等を話し、守り切れなかった事を誠心誠意謝罪した。
それから先の事は余り覚えていない、あれだけ昨日も泣いたというのにずっと泣いていたと思う、流氷さんも早雲さんもそして白鳥さんも全員が涙を流していた。理由はなんだったのだろう、俺の様に大事な時に戦えなかった事への後悔か、それとも戦いに参加すらできないで彼女一人に任せっきりにして待った後悔か、それとも守人として生きると彼女に決めさせた後悔か、後悔が頭の中をぐるぐる回り何も考えられず通夜は終わりを告げた。
通夜が終わり寮に戻ろうとした時、恐らく刃菜子先輩の母親であろう人に話しかけられた。どれ程の罵詈雑言も受け入れる覚悟はあったが、彼女が発したのは感謝の言葉だった。
「娘を変えてくれてありがとう」と「実家に帰ってきた時、あんなに楽しそうに思い出を語る娘を見たのは、初めてだったから」と彼女は語る、どうしても聞いておきたい事がある。
「貴方は、俺達の事を恨んでないんですか?娘さんを守れなかった俺達を」
「恨むだなんてとんでもない、あの娘はずっと父親の事を、後悔していたんです」
貴方には話したってメールで来ていたんですけどあってます?と確認を取られたので、父親の話だったら聞いていますと返す、自分は父親の様になりたかったと言っていましたと伝える。
「あの事故は決してあの娘が悪い訳ではないんです、帰る時間になっても、帰ってこなかったからと、あの娘は言うでしょうけど、それでもあの時間は決して常識外れの時間でもなかった、ただどうしても心配になった夫が探しに行った時に、飲酒運転をした車が歩道に突っ込んだ、そういう話なんです」
続けて彼女は言う。
「それをあの娘は、自分のせいだと思い込んでしまって、夫の様になると息巻いて、ボランティアに参加したり、果ては守人になったり、あの娘は夫の代わりになる事を目標としていました。あれ程嫌々やっていた勉強も自分でするようになって、嬉しい事でもありましたけど悲しくもありました、それを貴方が変えてくれんだと娘は電話越しですが、言っていました、夫の代わりではなく。あの娘自身が、貴方の憧れになりたいとそう言っていました、だから私は貴方に感謝したいのです、あの娘を変えてくれてありがとうと」
その言葉を聞いてまた涙が出そうになったが、必死に堪える、本心を、本音をこの人に伝えようと、刃菜子先輩が俺にとって、俺達にとってどうであったかという本音を。
「刃菜子先輩は俺の、いや俺達の命の恩人です。俺達皆が彼女の優しさ、強さ、逞しさに救われました、だからこちらかも言わせてください」
もう刃菜子先輩に直接伝える事は、できないけれどそれでも。
「刃菜子先輩は誰よりも、恰好よかったです」
そう言い深々と頭を下げる、俺は大切な事を伝えられてよかったのか、翌日の葬儀や火葬で変わり果てた刃菜子先輩を見ても涙を流す事はなかった。
第九話完
本日はこの小説を読んでいただき更に後書きまでも来ていただき本当にありがとうございます。
あらすじでも、申し上げたようになろうでも投稿はしていますので一日一話投稿はしていきますが待てないという、大変ありがたい感情を持って頂いた方は、なろうに行けば今書けている部分までは投稿されています。
そして毎度毎度ではございますがよろしければ、この作品の私的でも構いません、あんまり小説を読んだ事無い方でも構いません、できれば読みづらかったり、理解しづらかった文があればお教えいただけると幸いです、一先ず完結まで残り数歩という所まで来ているので直すのはすぐには出来ないと思いますが、ご指摘頂いた所を直せるよう精進していく所存であります。
厚かましいですが、できればこの作品に対する評価をお願い致します、評価を頂く事で自分の励みにもなりますし、低ければ文の書き方の訂正にも繋がりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
小説の文字数について
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このままの文字数でよい
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5000字の方がよい
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3000字の方がよい
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2000字の方がよい