どうか、読者様の娯楽になれれば幸いです。
暫く走り、最初に居た図書館に辿り着く外には丁度今から避難を開始するのか心美君が先陣を切っていた。
「心美君!この子も頼んでいいかな?」
「令華先輩?大丈夫ですけど…あちらの方はやっぱり…」
君が悔やむ事ではないと言おうとしたがそれでも彼女は悔やむのであろう、どうにかしてもっと救えなかったのかと、彼女は引きずり続けるだ、が今は僕たちが生き残る為に前を向いて貰うしかないその時だった。
「令華先輩…あれ…」
震えた声で彼女が僕の後ろ強いては、亀裂の方を指さす。そこまで動揺しているということはまたあの隕石のようなものだろうか思い振り返るしかし、そこに居たのは隕石ではなく巨大なイタチを思わせるバケモノが亀裂からのっそりと体を出そうとしている。
それを見た僕は、守らなくてはと、彼女を彼女が守りたいと思う者を守らなくてはいけないと心の中で強く想う、想った所で何かが変わる訳ではないが自分の意志表示の為にそう思わず居られなかった。その時だった、一面の景色が変わるのは。
何処までも続く綺麗な青空に地面は砂で、薄い水の様なモノが張っている、とても居心地の良い空間ここはどこだと辺りを見回す、足を動かそうとするが体は動かない、そこにこの場にあるべくしてあるような少女が現れる。とても美しいと心を奪われる、まるでここに居る自分は異物で、ここは彼女だけの空間であるかのように彼女にとてもあった雰囲気をしていた。
「」
ここが何処なのか聞こうとするが何故だか言葉が出てこない。
あ な た に た く し ま す
そう頭の中に声が響き元の私が居るべき世界に戻ってくる。どれ程止まっていただろうか?しかし不思議と巨大イタチは先ほどの場所から動いておらず、心美君も先ほどの位置から動いていない、まるであの時間は一瞬であったかのようにそこで意識をはっきりとさせる。
「心美君、君は皆を連れて先に行っていてくれ、頼んだよ」
「令華先輩はどうする気ですか?まさかアイツの足止めをするなんて言うんじゃ?」
「そう、その通りさ、なぁに心配は要らないよ君の為だと思えば簡単に事だ」
「ダメですよそんな事したら、それじゃ令華先輩は…」
瞳に涙を溜める彼女と言っても恐らくここで何もしなかったら全滅は不可避であろうならばあの景色を見せられた僕にしかできない事があるはずだ。
「それじゃあその先輩を立たせる為に進んでくれたまえよ、なぁに僕は死にはしないさ」
行け!と力強い声で言い彼女は、なんとか前に進む。本当に死ぬ気はないさ、君の幸せを見るまで君が善意というもので、使い捨てられないよう見守るつもりだからね。どうするべきか僕はもうわかっているはずだ。
「僕の願いは、彼女の願いだ。優しく健気な彼女の人類愛、それを果たす事が私の願いそれを、今ここに証明する『天成』」
光が私を包む、先ほどまで着ていた服はいずこへと消えていき、真っ白な死に装束の様な和装が僕を新たに包む。両手に盾を持ちその下には太目の剣が入りそうな鞘がある。
「盾はまだしも鞘はどうしろと言うんだ?そもそもあのバケモノの前まで行けないぞこのままじゃ」
そう口に出すと鞘から、エメラルドグリーンとも呼んでいい光る粒子が飛び出してくる、まるでそれを推進力として空を飛べと言っているかのように。
「冗談だろ?それに武器はどうするんだ?盾で殴ればいいのか?」
そう言うと粒子が剣の様な形を取り変形する、成程冗談でもなく本当にこれで飛べと言うのか、いいだろうやってやる。どの道彼女を助ける為にはこれくらいの事をやらなくては、助けられないのだから。
腕を下に向けると自分の体が宙に浮く、不思議な感覚だ地球には重力があるはずなのにそれをものともせず体が宙に浮いている気がする。まぁこれで移動手段もできた、武器もあるならば後は、戦うのみ。
「さぁイタチの様なバケモノの君、彼女を此処まで追い詰めた君を僕が許すと思うかな?答えはバラバラにしてやる…だ」
そういい僕は不思議な粒子を使い空へ舞う、僕が丁度バケモノの目線に来た時バケモノも漸(ようや)く亀裂から抜け出してきたらしい、20mもあるイタチなんてどのような力を持っているか考えたくもないが、一先ず言える事は攻撃を貰わずこちらの攻撃のみを当てるそれに限るであろう。
最初から猪突猛進に攻撃などせず様子を見る、相手はどう攻撃してくるかを見極める事それが一番重要であると考える、幸いな事に僕には空中での機動力がある。
物理法則なんてものは存在しないかのように、空中を歩きこちらににじり寄るバケモノの攻撃手段は恐らく本来のイタチ同様のモノか、それともここまで来たら僕同様なにかのエネルギーを用いて攻撃してきても驚かない。目に見えてわかるのは異常に発達した牙と爪。あれをくらえば僕の様な貧相な体では、一裂き一噛みで木端微塵になるであろう。
バケモノが攻撃を仕掛けてくる、しかし警戒していたほどではない速度であったこれならば後ろに回って…。
「そこ!」
後ろに回り背中を斬る、しかし攻撃が浅かったのか気にもせずバケモノは振り返り、噛みついてくるが今度も急上昇して回避する、今度はもっと粒子を一点集中させてコイツの背中を貫く。
「甘いよ!」
噛みつきを回避しもう一度背中に回り除細動器を使うように両手を心臓近くに手を当てる、除細動器といっても背中だが…それでも一点に集中する。今度は一撃で心臓部を貫くように粒子を成形させ一度に放出させる。
「ハアッ!」
まるで発勁の様にゼロ距離で衝撃を与えるイメージを持ちながら攻撃をする。するとイメージ通り、粒子でできた刃は相手を貫き通す。バケモノは力なく、ぐったりしたと思うと消滅していった。
「なんなんだったんだ、コイツは…でも周りから見たら僕も、このバケモノとさして変わらないか…」
そんな自嘲している場合ではない、僕はいち早く彼女の元へ向かわなくてはならない。
空を飛び彼女が移動している方向へ飛び立つ、その時に周りを見たが僕が今いる辺り周辺は酷いものであった、周りにはバケモノが荒らした形跡がよく見え、空中から見ているだけでもかなりの人の亡骸を見つけてしまうその中に彼女が居ない事やまだ生き残っている人を探しながら、彼女の元へ飛び立つ。
彼女が先導している一群を発見する、ここに着くまで先ほどの巨大なバケモノとは違い小型なバケモノも居たが、それを何とか狩っていき彼女の元へと到着した。
「心美君!大丈夫だったかい?」
「令華先輩、私は大丈夫です、今は忍野村の方へ向かおうかと思って…」
「忍野村に?態々そこまでいかなくても避難場所はあるんじゃ?」
「そうかもしれませんけど…声が聞こえるんですそこに安全があると、そういう声が聞こえるんです」
彼女がそこまでの自信を持っていうのであれば、そうなのであろう僕は彼女を信じるだけだ。
「わかったよ、君がそう言うのであれば僕が守ってあげるさ」
「ありがとうございます令華先輩、それにしてもその姿はどうしたんですか?」
その姿?はて、なんの事だろうかと考え腕を組もうとするが何かが当たって腕を組めず、自分の腕を見る。ああなんだこの姿の事か、もう暫くこの姿でいるから気にならなくなっていた。
「ああこの姿かい?実の所、僕もよくわかっていないんだ、疑問に答えてあげられなくてごめんね」
そんな事より移動を優先しよう見たところ怪我人も居るようだ。
「忍野村に行けば助かる、君はそう言ったね」
「はい」
短く彼女は答える、その瞳には一切の濁りはなくこんな状況なのにとても澄んで綺麗な瞳、彼女が聞いた声というモノは僕にはわからないが彼女はその声を信じている。ならば僕ができる事はただ一つであろう。
「わかった、足に酷い怪我を負った人は僕が空を経由して運ぶその方が君たちも円滑に忍野村までいけるだろう?」
「ありがとうございます、令華先輩」
どの人達が怪我をしているかを聞き、怪我人はここに残ってもらい僕が一人づつ運ぶ、そういう話で決まった。
「失礼するよ」
「は、はい」
女性を抱きあげ空を飛ぶ、彼女は普段見る事の無い高さに居る為か、それともこの余りの惨状に怯え絶叫をあげているのかは、わからないがこの女性一人に時間をかける訳には行かないそのまま、空を飛び忍野村へ到着する。彼女の言う通り、忍野村は安全らしいこの騒ぎによって住民達が騒いではいるがバケモノの姿も、家屋が崩れた様子もなかった。これならば一時的に避難する事は可能であろう。
ここがまだ襲撃を受けておらず、安全に見えるだけかもしれないが、それでも外よりは間違いなくましであろう。
そう考え怪我人を何度も往復し運び続ける、いつまでこの状態を保っていられるかは、わからないが僕が彼女に提案をし、渋々ながら怪我人を置いていく事を了承してもらったんだ。残り二人という所まで来たところで最悪な状況に陥る、怪我人の周りにとても可愛らしいとは言えないリスが群がっている、リスが群がっていたところでそこまで危惧するべき所ではないが流石にそのリスの体長が、人をも超えるデカさであれば危惧もしなくてはならない。
このままじゃ間に合わない、戦うしかないか…しかし僕自身の体力も、もう限界が近づき始めている賭けになるが駄目だったらその時はその時ここに残した二人と共に僕も死んでやろうじゃないか。
「下がって!」
大声を出すことは不得手だが、恐怖していて何も聞こえない可能性もある僕の持てる限りの声量を出し、怪我人の前に立つ。
「は、早く助けなさいよー」
「そ、そ、そうだぞ、その力でどうにかしてくれ!」
厚顔無恥とはこの事をいうのかというレベルでこの状況下で自分達が助かる事だけ考えている、それ自体はいいが僕だって命を懸けてここに立っている、先ほどまでは僕の所為で死んでしまうのであれば、僕も一緒に死んでも構わないと思っていたがそんな考えは捨てた。
「生きたいのなら少しでも邪魔にならない所に動いてくれるかな?戦うにしても邪魔だ」
リスの攻撃を受け止めながら、後ろに居る彼らに言う。
「そ、それが怪我人に対する言葉遣いっていうの?」
厚かましい。うんざりする。
「死にたいなら好きにすればいい、だからもう一度言う、生きたいならここから離れろ、邪魔だ」
「ヒッ」
そんな声が聞こえ彼らは渋々移動する、これで周りには僕一人気にせず戦える。そもそも彼らは、もともとは軽傷だった人達だ、その気になれば心美君にも付いていけたであろうに自業自得と言ってもいい、嘲笑いたくもなる。
リスの攻撃手段はわからないが空中戦が必要ないならこちらも相応のリーチを持てる、そう考えイメージする刺突剣位の長さをイメージし光の粒子で剣を形成する。
「行くぞ!」
一斉にリスの様なバケモノがこちらに向かってくるがその手が口が届くよりも先に僕の形成したブレードがバケモノたちを切り裂く。急所を的確に斬りそして突く、こんな武器で戦闘なんてした事もそもそも何かと命を懸けて戦うなんてした事もなかったが、それが嘘かのように体に良く馴染み、的確に自分の取りたい行動を取れている、この姿になったことでの身体強化も影響しているのかもしれないがそれは今考える事ではない。
「キャーーーーー!」
怪我人が逃げた方向から悲鳴が聞こえ、急いで向かう。そこには体の周りに輪っかが付いたバケモノが居た。
「クッ、間にっ会えっ」
全速力で向かうが、これでは間に合わない。
「“後ろに下がれ!”」
無意識に自分の願望を叫んでいた、しかしその意志が通じたのか彼女らは必死に後ろに差がる。
「ここしかない!」
両手のブレードをバケモノの中心に差し込む。間違いなく一発で消滅させれるように、ねじ込むが様子がおかしい消滅しない、嫌な予感がする。ブレードを解除し怪我人二人を抱え後方へ飛ぶその瞬間であった。背中に熱を持った風が当たる、熱いし勢いも強くそのまま抱えた二人の手を放し僕は吹っ飛ばされる。
「ぐえっ、っだっはっ」
吹っ飛ばされた勢いのまま地面を転がる背中が痛い、しかし僕は生きているがあの天成と呼んだか、あの姿は解けていてしまった。
急ぎ怪我人を離した所へ向かい確認すると、嬉しいような悲しいような彼らは無事であるようだった。
「何してくれてんのよ!もう!」
思い切り女性にビンタをされる、死ななかったんだから感謝してほしい程だ。しかしこの理不尽の状況にいきなり陥らされた怒りかそれとも困惑か、彼女は私の上に馬乗りになり何度も、何度も叩く。
数回ビンタされたところで僕は彼女の胸倉をつかみこちらに寄せ思いっきり頭突きをする。
「頭突きというのは、痛いな…けど君の僕に対する理不尽な暴力に対する代償としては安い方だろ?」
「頭に来た、いい加減にしなさいよ。その上から目線腹立つったらありゃしない、アンタ本当に、承知しないから!」
と言って女性は走り出してしまうそれだけ走れるのであれば最初から心美君と一緒に行けば、こんな目にも合わなかっただろうに。
「行先は忍野村だそうだよー」
彼女に聞こえるように声を張り上げる。頭に血が上って聞こえているのか聞こえていないのか知ったこっちゃあないが、彼女がそこらへんでくたばったとしても僕の知る所ではない。
「それで、君はどうする彼女同様歩いて行くかい?それとも、ここでもう一度僕が空を飛べるようになるまで待つかい?好きな方を選んでくれて構わないよ」
「あ、ああ、私は君に運んでもらうとするよ、彼女の様に自分の命が助けられた事を理解していない訳じゃないからね…」
「それはそれは、この危機的状況に置いてその理解、判断力は素晴らしいですね、何より恩知らずに恥知らずのまま死ぬ事程、間抜けな事はないでしょうし。フフッ」
この人も先ほどまでは、厚顔無恥な存在だと思っていたが認識を改めよう、この人は良い人である、己の言動を反省しているのがなによりの証拠だ。
「一つだけ質問いいかな?」
「ええ、僕に答えられることならなんなりとお答えしますよ?」
「君女の子だよね?なんで一人称を僕って言っているの?」
なんだそんな事か大した理由もないし、今日このような地獄で出会った縁だ教えてしまおう。
「僕が僕と言う一人称な理由?簡単な話ですよ、幼少期家の形式と言うべきかなんというべきか、男の子として育てられたみたいなそんな話ですよ」
「そうかい、それは少し複雑な事を聞いてしまったね…」
「いえいえ、お気になさらず、恐らくもう少しでまた空を飛べるようになりますので」
「ごめん、もう一つだけ質問いいかな?」
今度はなんだろうか空を飛べる理由なんて聞かれても僕には全く答えられないが。
「君はどうしてそこまで上機嫌なんだい?」
上機嫌なんだろうか?僕は確かに心が弾んでいるような気もしなくもない、なぜだろうか?いや答えは決まっているか。
「そうですね、貴方が身の程を弁えた人と言う事を知れたからかもしれませんね」
「そ、そうかい」
自分の頬触る、確かに少し吊り上がっている気がする。もしかしたらこの光景を見て自分は喜んでしまっているのかもしれない、僕と言う人間は残念な事に少し歪だ、その歪の原因を作った象徴でもある人間が世界が壊れて始めて少しうれしいのかもしれない。
けれど心美君が待っているはずだ、そして彼女は出来る限り皆を助けたいと願うだろう、ならば僕は、彼女を支えてあげるだけだ。
「天成」
また姿先ほど纏っていた姿に戻る。
「さぁお手を」
彼の手を掴み空へと飛び立つそこからは、他の人同様彼は悲鳴を上げ忍野村へと到着する、違うのはここからだった。
「お前は何者だ?」
皆が僕を警戒した目で見てくる、まぁいきなり世界がこんな事になっている中、空を飛ぶ少女が目の前に現れれば、誰だって警戒する。もしかして敵なんじゃないかと、自分達を殺しに来たのでは無いかと。
僕は彼を降ろし、天成を解く。
「怪しいものではありません、私は忍野(おしの)令華(れいか)と言います、どうぞお見知りおきを」
丁寧に頭を下げるが信じてもらえそうには無い、どうしたものかと考えると騒ぎを聞きつけたのか心美君がこちらへ向かって走ってくる。よかった彼女も無事にここまで辿りつけたのかと安堵する。
「ちょっと富士さん?その人には近づかない方が…」
「よかった、無事だったんですね?令華先輩!」
静止を振り切って抱き着いてくる。あぁようやく自分が安心できるところに帰ってこれた、本当に今日は疲れた。
「ただいま、心美君」
僕も彼女に抱き返すが肝心な事を忘れていた。
「あ、心美君僕の背中今ちょっと怪我しているから触らないでくれ…」
抱き着かれた手が背中に当たる。
「痛い…」
そう呟き僕は体を脱力させる、体力も限界だったからかもしれない、だが彼女にもう一度会う為の無理が祟ったのであろう。最後に声を振り絞る。
「心美君、お願いがある」
「令華先輩!なんですか?」
「僕を担いでどこか眠れる場所へ…」
「令華先輩?令華先輩!」
「静かにしてくれないか、心美君。僕は今大変疲れているんだ」
「そ、そうですよね」
彼女に抱きかかえられゆっくりと意識を手放す、本当にもう疲れた…。
第一話完
本日はここまで読んでくださりありがとうございました。
明日0時に、次話が投稿されますので、よろしければお読みいただけると幸いです。
小説の文字数について
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このままの文字数でよい
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5000字の方がよい
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3000字の方がよい
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2000字の方がよい