本小説はwordから直接コピー&ペーストしているのでルビ振りの残骸があるかと思いますが、そこら辺は気にしないでいただけると幸いです。
作品向上の為アンケートに答えていただけると幸いです。
弓の大きな声と、必死に伸ばされている手を見て、尋常ならざる事が起きているのはすぐに理解できた。隣をみれば後ろでじっとしていたはずの蛇みたいな奴が、もうすぐ近くそばに来ている。思わず目を閉じてしまいたい光景なのに、目を閉じたくない。頭の中には、ああ私は死ぬのかと納得してしまっている自分と、まだやりたい事が残っているのにと、嘆いている自分が居る。18歳だけどもう少し身長が欲しいとか、もっとゲームがやりたいとか、あとはそうだなぁこんな状況でくだらない事ばかりが、思いつくけど、唯一後悔があるとすれば、父の様になりたかった。誰からも尊敬されていたあの人に、誰からも憧れで、その憧れを皆から奪ってしまったせめてもの贖罪(しょくざい)として、自分の命を賭してでも。でもあの世で父と会えるのであればそれもいいかと人生に区切りをつけ、目を閉じる。
*
目の前で二人も居なくなった、どちらも私の責任だ。もっと私が回りを見ていたら、もっと敵を早く撃ち墜とし終わっていれば、二人が死ぬ事はなかったのだから、例えじゃんけんで決めたリーダーであっても、私はそれでもリーダーであったはずなのだ。ならば私のやるべき事はただ一つ、二人の命を奪ったアイツに報いを与える事だ。
弓を引き限界まで力を溜めて矢を放つ。
「あの二人の痛みを受け入れろぉぉぉー!」
その怒号も空しく、放った弓は先ほどまで竜型が居たところを通過し空へ軌跡だけが残る。
「偏差が足りないなら!」
もっと偏差をつけて弓を構え引き渾身の力を込めて放つ。
「これでどうだ!」
しかし今度は先ほどと距離が違う為か、それでも竜型が通りすぎた後を通る。疲労で弓を引くのも厳しくなっている、射(う)てるのはあと一射かもしれない。しかし彼らの為にやるんだ、私が。つい昨日まで彼らと仲良くなるつもりなんてなかった、それでもこんなに彼らに情を向けてしまうのはなぜだろうか?同じ守人だから?いや違う、話したのはたった二日かもしれないがそれでも彼らは私の友人だから、願いは違うとしても本質は変わらない仲間だから。我ながらチョロいと思ってしまう、しかしそんな事を考えていると心に余裕ができてきた。
弓を引き矢を生成する、もう集中力も残っていない…でもこの一射に全てを賭ける。
「……える?……さん!…こえる?」
幻聴だろうか?耳元にある無線からはノイズ交じりではあるが…これは自分にとって都合の良い幻聴だろうと疑わずにはを得ない。しかしそれでも確かに彼の声が聞こえた。
凄まじい衝撃が体に走り、私は死んだんだと思っていた。しかしどうも違和感が拭えない、なぜなら自分の体がまるで暴風警報が出ている最中(さなか)に外を歩き続ける、そんな感覚が残り続けている。どうもおかしいと思い目を開ける、そこにはこの世にはもう居ない事を覚悟していた彼が、瞬が私を抱え空を飛んでいる。
「しゅ…しゅぶぶぶぶー!?」
「舌咬むから黙って今は俺に抱き着いてて、離れたら後ろの奴に丸のみされて死ぬよ?刃菜子先輩」
彼が、瞬が私を正面から抱きかかえ、後ろの空飛ぶ蛇みたいな奴から逃げている。色々聞きたい事があったが、何も言わず彼の首に手を回し、腰に足を回す。まるで赤ん坊みたいで恥ずかしいなぁと思ってしまったが心の中に留める、この状態なら話せると思い口を開こうとしたが、それは瞬に阻まれる。
「刃菜子先輩、俺の耳に無線機を付けて。俺のさっき爆破で壊れちゃったのと、今の状況じゃゆっくり止まって付けるなんて事もできないし」
「お、おう、わかったぞ」
言われるがまま彼の耳に無線機をつける、そうすると彼は地上に居るであろう弓に話かけ始める。
「聞こえる?流氷さん!聞こえる?」
どうやら返答は無いらしい、もしかしたら理恵はもうあの怪物に巻き込まれてしまったのかと考えてしまうが。
「聞こえるわ!ああ良かった、生きているのね。でもごめんなさい。車石先輩は…」
「大丈夫、刃菜子先輩は助けて今は空を飛びながら逃げてる所」
そういいながら顔を近づけてくる瞬、声を聞かせてやれってことか。いきなり顔を近づけてくるからびっくりした。
「大丈夫だぞぉー弓、今はなんとか瞬にしがみついているから心配すんな」
「あぁ、良かった本当に車石先輩が無事で……」
感極まってすすり泣きの音が聞こえてくる、嬉しい反応をしてくれるじゃないかこいつめ。
「なんか俺と反応違い過ぎない?」
「気のせいよ、大丈夫なんていいつつ爆風に巻き込まれた愚か者の事なんて、怒っていないわ」
「ハイハイ、じゃあこいつを倒す作戦はある人いる?」
作戦かぁ?作戦、作戦、と頭を使っていると名案が思い付く。
「あるぞ、私が剣を大きくして真っ二つに……」
「「却下」」
全てを言い切る前に却下されてしまった、いい案だと思ったのに。
「でも最終的には俺と刃菜子先輩で斬るしかないとは思うけど、でもその隙を…流氷さんやれそう?」
「やれるかやらないかじゃなくて、やらなくちゃいけないんでしょ?わかっているわ」
「じゃあその隙を作れたら、俺がアイツの機動力を削ぐから最後は…刃菜子先輩よろしくね」
「おうともさ」
*
やってみせるとは言ったものの、私にはもう一射できるかどうかの体力と、二人が生きていた事への安堵で失われてしまった集中力。しかしそれでもやるしかないのだ、外す訳にはいかない。
弓を引き、矢を生成し、力を溜める。外す訳にはいかない、ここで外してしまうと折角二人が生きていた事も、無意味になってしまう。失敗するわけにはいかない、絶対に…絶対に。
「大丈夫、失敗してもカバーはするよ、一人で背負いこまないで」
「弓、安心しろ、どうなろうが私が真っ二つにしてやる」
その声を聞きとても安心できた、一度瞬(まばた)きをする。その瞬間、敵がどう動くか、車石先輩達が、どのように動いて逃げているかが視えた気がした、そのまま弓を引きなおし矢を生成する、すると矢がどういう軌道を描くかも視える、偏差を合わせていき、するとレイダーと交差する地点が一つ視える。これならば、当てられる。
「当てるっ!」
*
「当てるっ!」といい彼女が矢を放つ、一瞬どこに射っているんだ?とも思ったが、彼女の放った矢は吸い込まれるように竜型レイダーに当たり、動きが止まる。チャンスは今しかない。
「刃菜子先輩!」
「おう」
刃菜子先輩の返事と共に彼女を高所へと投げる、バーニアの残りは少ないがここで失敗すればもう二度とチャンスはない。故に全開で行く。
「ハァァァァァー」
竜型の飛行能力に関わっていそうな、羽やひれを高速で斬り落として行く、最後の一つの部位を斬ると同時に、バーニアの出力が落ちその場で浮くのがやっとになるが、レイダーの動きだけは完全に停止させることに成功する。
「刃菜子先輩!」「車石先輩!」
*
二人が私の名前を呼んでいる。ここで失敗をすれば全てが無駄になる、だけど後輩二人にここまでしてもらって失敗をする私ではない。気力も体力も限界だ、だが今ここで出せる、全ての力を振り絞り大剣を巨大化させる、長さを10倍20倍へと伸ばしていき、25mにはなっているだろうか?それを全力で地面に向かって思い切り振りかぶる。
「いっけぇぇぇぇぇーー!」
*
刃菜子先輩が竜型を斬りおとすと同時に、彼女も力を使い切ったのか、力なく落下していく、流石に天成で身体能力が普通の人の比ではないが、この高さから落ちて無事でいられるとは思えないので、残りのバーニアを使い切る事を前提として、刃菜子先輩の元まで進み抱きとめるが、それと同時にバーニアも切れて落下していく。
「わああああ、落ちるーーー」
なんて言いながら落ちていると後ろから首根っこを掴まれ抱きかかえられる。誰かは言うまでもないだろう。
「もう、最後の最後まで安心させてくれないわね、貴方は」
「リーダーに頼りきった勝利だからね」
フフっと笑みを零す彼女に向かって俺も笑顔を返す。
流氷さんが地面に足をつけると、星空の空間に居たはずの竜の様な蛇は、音もたてずに消滅していて、地面に突き刺さった刃菜子先輩の巨大な剣がその場に鎮座する。そして気づくと、戦う前までいた砂と森しかない大地に戻ってくる。その場でゆっくり流氷さんに降ろされ俺も抱きかかえていた刃菜子先輩を地面に寝かせる。
「疲れたー」
刃菜子先輩がそう言うと、自分も地面に倒れる。もう一歩も動きたくないし暫く眠っていたい。
「そんな事より、アナタどうやって生き残ったの?あの近距離の爆風から」
彼女も横に倒れながら、問いかけてくる。
「いや、ヤバい死ぬって思ったら傷口から血がドバっと出てきて、守ってくれたんだよね、まぁそれでも爆風をもろにくらったんで気を失っちゃっていて、起きたら刃菜子先輩が食われそうになってて本当に焦ったよ」
「血がドバってそれ大丈夫なの?」
「守ったら普通に傷口に戻っていったし、今は普通の傷口だし大丈夫じゃないかな」
「でも悪いねバーニアに血液操作なんて能力持っちゃって」
「私だって新たな能力らしきものが手に入ったわよ」
「へぇーどんな?」
「うまくは説明できないし今見せる事も出来ないけど、未来……予知?」
何故疑問形なのか問いかけようと思っていたら、視界の端から結界が凄い勢いで迫ってくる。備えようとしても、もう立つ力が残っていない、どうすればと考えている内に結界は俺たちを素通りして、海の奥までいって止まる。これはどういう事だろうか?
「奪還成功ってことでいいのかしら?」
「わからん」
「うおおおおおおお、復活ッ!」
刃菜子先輩が急に起き上がる。
「見ていたか!私の大活躍!」
「最後のいいとこ取りでしょ、MVPは流氷さんだよ」
「なんだとぉー?」
「ならワーストはアナタね」
「そうだーそうだー」
確かに俺は死んだと思わせ、心配をかけたのだし、その評価も受け入れなくてはと考えていたら、結界内に入ってから一切繋がる事のなかった守護省との無線機が突然繋がる。
「結界がそちらに向かっていき、ずっと応答がなかった無線機も急に繋がるようになったんですが、そちらで何か変化はありましたか?」
もしかして?と続ける守護省の人間に対し、刃菜子先輩はふっふっふと鼻を鳴らしながらこう答える。
「聞いて驚くなッ!宗谷地方は!私達の手によって奪還したッ!」
無線越しから歓声が聞こえる「それはそうと迎えに来てくれ、私達はもう疲れて動けん」と刃菜子先輩が伝えると食い気味で「了解しましたッ!」という声が聞こえて来た。そんなに嬉しそうな声をだす守護省の人達の影響か、こちらまで嬉しくなってしまう。
救援部隊のヘリが来てそこに乗りこんだと同時に、俺たち三人は緊張の糸が完全に切れ、眠りについてしまった。
明るい光に当てられ目を覚ます、重い瞼(まぶた)を必死に開けると覚えのある天井が目の前に広がる、ここは昨日まで自分が眠っていた病院であろう、そして自分は日光を浴びて起きたのではなく、照明の明かりによって起きたのだと、首を横に向けることで理解できた、窓からは日差しなんてどこにも見えず、どこまでも暗い空、民家の光と街路灯の光が広がり、車のライトが動いていく、夜になると街であればどこでも見える特有の景色。こう言っては何だが、あの戦いで見られる満天の星空の景色は、まるで光害に邪魔をされずに見る夜景の様に本当に美しいものだったのだと改めて思ってしまう。
ベッドの周辺には刃菜子先輩が椅子に座りながら、自分の腕を枕にしベッドに突っ伏して眠っていて、その隣には椅子に座ったまま背もたれを上手く使い、器用に眠っている流氷さんが居た。この景色を見て自分達が今日やり遂げた事は妄想でも空想でもなく現実であったと認識できる。
余りにも二人がぐっすり眠っていて、起こすのも些か躊躇(ためら)われた為、横のテーブルに置かれていた自分のスマホを手繰り寄せ、起動させる、時間は既に21時を回っており、通知の欄には『守護省、渡島・檜山地方並びに宗谷地方奪還!!結界は北海道全域へ』と似たような事が書かれたニュースが何件も溜まっていた。奪還できたのは、守人が頑張ったからだよ。なーんて思っていると、不意に扉をノックされビクッとしてしまう。看護師だろうか?とも思ったが声が聞こえて来た瞬間看護師ではない事は理解できた。
「失礼します」
「どうぞー」
そう言うとボトボトと何かを落としたと同時に必死に涙を見せぬように、目に涙を溜める早雲さんが立っていた。
涙を流さないのは俺の為だろうか?それとも彼女自身の為だろうか?わからないが、彼女はゆっくり、ゆっくりと近づき俺の前に立つと、自分の胸で俺の顔を覆うように抱きしめる。これはとても嬉しい事なのだが少し息が…できない。ふと頭に水気を感じ、あぁやっぱりこの人は優しい、優しすぎるのだと理解する、昔あんな事を言った自分をここまで想い、涙を流してくれるのだ、しかも俺の負担にならないよう必死に涙を堪えて俺の見えない所で涙を流してくれる。その気遣いに憧れると同時にこんな思考が頭を過(よぎ)る、俺の事をそこまで考えてくれなくていいのにと、そんな思考を持つ自分自身に嫌気が差す。
一頻(ひとしき)り涙を流して落ち着いたのか少し離れて笑顔を見せる。
「おかえりなさい、瞬君」
「ただいま、早雲さん」
本日はこの小説を読んでいただき更に後書きまでも来ていただき本当にありがとうございます。
あらすじでも、申し上げたようになろうでも投稿はしていますので一日一話投稿はしていきますが待てないという、大変ありがたい感情を持って頂いた方は、なろうに行けば今書けている部分までは投稿されています。
そして毎度毎度ではございますがよろしければ、この作品の私的でも構いません、あんまり小説を読んだ事無い方でも構いません、できれば読みづらかったり、理解しづらかった文があればお教えいただけると幸いです、一先ず完結まで残り数歩という所まで来ているので直すのはすぐには出来ないと思いますが、ご指摘頂いた所を直せるよう精進していく所存であります。
小説の文字数について
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このままの文字数でよい
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5000字の方がよい
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3000字の方がよい
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2000字の方がよい