綺麗な星に還るまで   作:鈴川 掌

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 本日はこの小説を開いていただきありがとうございます。
 本小説はwordから直接コピー&ペーストしているのでルビ振りの残骸があるかと思いますが、そこら辺は気にしないでいただけると幸いです。
 作品向上の為アンケートに答えていただけると幸いです。
 1度1話を試験的に上下に分けてみます。1時間後に下は投稿されますので、一日一話という縛りは変わりません1話分毎日投稿します。


第五話 知らぬが仏(下)

 翌日、早雲さんが作ってくれた朝食を頂く、席に着いているのは、俺と早雲さんと白鳥さんの三人、明日からは刃菜子先輩と流氷さんが帰ってくる為、また賑やかな食卓となるだろうが、今日はそうもいかない。喧嘩を吹っ掛けた一年坊主と、その喧嘩に乗った三年ヤンキー女子と、その原因を作った人が一名、皆気まずいのか少し話題を出そうとするが、やはりギクシャクしてしまって話は長く続かない、一番に食べ終わったのは白鳥さん、食器を流し台に置くや否やすぐに稽古場の方へ向かっていく、その後俺と早雲さんも食べ終わり食器を洗い始める。

「よかったですね、模擬戦闘受けてもらえて」

「まぁ実際は、挑発して、怒らせて、無理やり参加させたようなものですけれど」

「はい、そう聞いています。でもダメですよ?亡くなった人をダシにするのは」

「反省してます…」

 窘(たしな)めるように言葉を発するが、顔は朗らかそのものであった。

「まさか瞬君が、他人にそんな態度を取る日が来るなんて、夢にも思っていませんでした」

「そうですね、自分でもそう思います」

 早雲さんが最後の食器を洗い終わり、その食器を俺が拭き終わると、頭に軽くデコピンをされる、決して痛くもないが大げさな反応をする。

「すみません、痛かったですか?」

「いーや、全然痛くないですよ?それじゃあ昼また。白鳥さんを、お願いしますね早雲さん」

 彼女は呆れた顔を見せ「わかりました」と答える。

「俺はもう先に行っているので、待ってますね」

「いってらっしゃい」

「いってきます」そう伝え寮を後にする。

 

 *

 

 稽古場に籠(こも)り何時間たっただろうか、アタシの武器はリボルバー型の銃、リロードは不要で、固有の能力は弾丸を見えなくする事、果たして銃程速いものを更に見えなくする必要性があるのかは疑問に思うが、今日はそれを遺憾なく発揮するつもりだ。出て来た的を西部劇のガンマンの如く早打ちで射貫く、長い息を吐き集中状態を解く、すると稽古場の扉の方から声がかけられる。

「銃美さん、時間です」

「わかったよ、理恵さん」

 気がつくともう昼になっていたらしい、彼女がもし来なかったら、アイツから逃げたと思われるのは少しぞわっとする。しかしアタシはそれ程までに集中できていた、前回戦った時から肉体も集中力もそこまで劣化せずにいる。これも彼女の献身的なサポートのお蔭なのだろう。

 彼女が用意してくれた守護省の車に乗り込み、アイツが待つであろう場所に向かう。

 

 *

 

 彼女、白鳥さんは予定の時間より少し早く来た、隣には早雲さんが居るので彼女が全て白鳥さんが遅れないように、手配しておいてくれたのであろう。

「白鳥さん、これ」俺はそう言って、イヤホン型の無線を投げる。

「どちらかが戦闘不能になるか、戦闘をするべきではない状況になった時、訓練を監督する早雲さんが、訓練の中止を言う為だけのもので、そっちの声がこっちに筒抜けになるなんて事はないから安心してよ」

 イヤホンを繋げながら話かける、そうして早雲さんに目をやると彼女は理解したのかインカムを頭に着け。

「あー、あー、マイクテスト、マイクテスト」という風に声を出すと互いのイヤホンから彼女の声が良く聞こえてくる。

「わかった、で?いつ始めるんだ?こっちはいつでも準備はできてるぞ?」

「焦んないでよ、まさかその恰好のまま戦うつもり?天成してやるちゃんとした模擬戦なんだから」

 天成と唱えいつもの服装に変化する。

「わるかったよ、急かしすぎたな。……天成」

 気怠そうに唱えると、彼女を光が包み服装が変わっていく、色は雲と青空が丁度よい感じで調和した水色のような色と、服装は刃菜子先輩程ではないがとても動きやすそうな和装に変化した。

「じゃあ俺はあっちにいくから準備できたら、早雲さんに連絡してね、そしたら早雲さんがカウントダウンか何かで開始を告げてくれると思うから」

 

 *

 

 そう告げアイツは森の中に入っていくが、しかし疑問に思った事があった、これはどうしても確認したい事だったのでルール違反に、当たるかもしれないが理恵さんに相談する。

「理恵さん、これもし遭難したらどうするの?」

「大丈夫ですよ、位置情報は二人のスマホやイヤホンから発信されていますし、そもそもそこまで広い森でもないので天成した貴方達であれば、すぐ森の外へ出られると思います」

「教えてくれて、ありがとう理恵さん、こっちはもう準備できたよ」

「わかりました、ではカウントを数えさせていただきます」

 3…2…1…0

始まった、さぁどこからでもかかってこい、どこから来てもいい様、常にトリガーには指を掛けておく。しかしアタシの予想が甘かったのか、集中しきれていなかったのか、それともアイツの事を見くびって舐めていたのは、アタシの方だったのか、模擬戦は一瞬で終わりを告げた。

「来る!」

 足音が聞こえたその瞬間トリガーを引く、しかし当たりもせず後ろの木に弾痕が残るだけ、一体どこに?と思うが否や、その時に全ては終わっていた、横腹に強い衝撃を受け宙に舞い、更に上から地面へと叩き落とされ、意識が朦朧とする、アタシが最後に見た者は、空中に浮く彼の姿だった。

 

 今回の模擬戦はなにも、白鳥さんの鈍った体を慣らすためのものではない、自分のまだ良く分からない能力についての実験が殆どで、そもそも勝たせる気も無い。だから彼女には負けても本心は打ち明ける事を約束した。

 戦闘開始位置を決め自分の手を切る、当たり前のように血は出てくるが宗谷地方奪還の時は半ば無意識ではあるが、自分で形を変えれた、その感覚を思い出し前回同様、血の壁を作ってみると、それは簡単に再現でき、体に戻そうとすれば傷口に血液が戻っていく、次に血で手裏剣の様なものを作りそれを投げる、今度も自分の思った通りの形を成し、それでいて自分の思い通りに動かせるが、それと同時に立ち眩みを起こす。成程自分が触れていれば血は自分の中にあるのと変わらないが、触れてなければ血を抜かれているのと変わらないという事だろう、自分の元に血でできた手裏剣を戻す。しかしそれでも少量であれば外に出して自由に動かせるという事、それができるならと血で薄く小さい壁を二つ作る。

「早雲さんこっちは準備できました」

 早雲さんがカウントダウンを開始し0になる、0になった瞬間なるべく音を出さず空に浮く。そして先ほど作った血の壁で歩いているような音を出しつつ進ませる、少し時間が経った時一発の銃声が鳴り、響きわたる、銃声の下へ最高速で向かい白鳥さんの死角に入り横腹を蹴る、勿論天成をしているので普通の蹴りではなく10m程白鳥さんが飛ぶ、追い打ちをかけるよう宙に浮いた白鳥さんを蹴り落とす、これで彼女は意識を失った。

 彼女を抱きかかえた所で早雲さんが無線で止めにかかる。

「瞬君それ以上はダメですよ?」

「わかってますよ、天成も解けてしまってますし、今から早雲さんの所に持っていきますので、看病してあげてください」

「わかりました、準備しておきます」

 早雲さんが居る守護省の部屋に入ると、そこは和室なのか床は畳になっており、そこに布団を用意している早雲さん。

「ゆっくり、銃美さんを布団の上に置いてあげてください」

 言われた通りに、白鳥さんを布団の上に置くと、彼女は掛布団を乗せこちらを向く。

「瞬君…なぜここまでやってしまったんですか?」

「ちょっとした実験をしたかったって言うのと、一度で模擬戦を終わらせる為ですね」

 白鳥さんには悪い事をしたと思っている、自分も連戦ができるかはわからなかったし、そもそも白鳥さんだけがあの奪還作戦で生き残ったのは、彼女が並外れた実力を持っていて、それで彼女だけが生き残れた、という可能性もあった、だからこそ最初から本気を出さざるを得なかった。

「そうですか…言い分はわかりました、ですが私の言いたい事がわかりますね?」

「貴方がやった事は、昔俺がやられていた事と同じと言いたいのでしょう?」

「そうです、銃美さんが弱者とは言いませんが、貴方が一方的に勝てる戦いを相手に仕掛け、結果その通りに進み彼女は気絶するまで追い込まれました」

「ごめんなさい」

 素直な気持ちが出る、幾ら何も知らない人が知ったような口を聞いてきたのが無性に腹が立ったとしても、ここまでやる必要はなかったと理解する。

「わかればよろしい」

 すると彼女が目を覚ます。

「ここは?」

「守護省の一室です」

「そうか…アタシは負けたんだったな」

「そっちがその気ならもう一戦できますよ?」

「いや、いい…負けを認めるよ」

「ならよかった」と話した途端、まだ昼だというのに空が暗くなる。

 雲が太陽を覆い隠したにしては暗すぎる、俺は窓の外を見るとそこにはありえないはずの光景が広がっていた。満天の星空が永遠に続く場所。あの中に居る、目の前にはレイダーが見え、いつでも戦えますと言わんばかりの臨戦態勢。

「早雲さん?白鳥さん?」

「叫ばなくても聞こえているよ」

 白鳥さんが後ろから歩いてきて、成程いつも通り守人のみが、この空間に入ったのかと理解し、なぜいきなり?亀裂も無く、いきなり夜の様に周りが暗くなったことは…一旦考えるのはやめ天成する。

 白鳥さんも納得はしないものの、やらなくてはいけないという考えになったのか、遅れて天成をする。

「人型が多いけど、今回は後ろに大型もいないし、ていうか蟹型も居ないけど」

 魚型とも言うべきレイダーが20体程、魚の形をしているが、胸(むな)鰭(びれ)とも言える所から数本の異様な触手が生えている、他レイダー同様ならば異形そのものを囲う輪はないので、爆発の特性はないのであろうか??

「浮いてる魚は任せますね」

「わかった、そっちこそヘマするんじゃねーぞ?」

 そんな口が聞ける時点で、気絶の悪影響はなさそうだ。

 戦闘が始まる、魚型は白鳥さんに任せ、こちらは人型を倒していく。人型は他レイダーと違い空中を浮遊する事がなく、歩行が主な移動手段で、足を切れば這いずるしかない等、無力化は簡単であり、そして今の所爆発する事もなく、体を真っ二つにする、ズタ袋の頭と体を切り離す、そうする事が致命的な一撃で、そうすれば輪の付いていないレイダー同様消滅していく。

 しかし自分の戦闘スタイルと、この質ではなく量を追求し質の部分を埋める、人型というのは、自分と相性が悪かった。今回は前回の襲撃より数も少ないはずなのに、ジリ貧になっていく、刃菜子先輩という広範囲に攻撃できる者が、どれ程重要かを理解する、

「おいちょっと、相手を変われ」

「いいけど、その銃じゃ厳しくない?この量を捌くの」

 無線で白鳥さんから、そう言われるが6発装弾式の銃では、この量を相手するのは厳しいのではないだろうか?

「っは、心配すんな、アタシのこれは見た目だけだ、リロードなんて必要ねぇよ」

「成程ね、じゃあ頼むよこっちは残り何匹?」

「そいつ動きが速いわ、銃弾を見てから避けるわ、で相性が最悪だから能力を使って10体倒せた位だと思うが…」

 そういえば彼女の能力はなんなんだろうか?そう思いながらも、すばしっこく動く魚型に追いつくべくバーニアを稼働させ一気に上へと上がる。魚型と同じ目線まで上がると、水槽に餌を入れられた魚が如く一直線に突っ込んでくる、それをギリギリで避けてカウンターを食らわせようとするが、それよりも先に触手に触れられる。

「なっ」

 左手が触れられ左手の痺れが止まらなくなった、流氷さんが居てくれたらと思う事はこれ以上ないだろう。

「回避は大きく、詰める時は相手に捉えられない速度で切り込む」

 口に出し自分に言い聞かせる、もしこれで右手も痺れたようなら、試合は終了青池瞬の一生は終わる、だからこそ気を引き締める。

 痺れを確認し、ここぞとばかりに魚型が食らいついてくる、ある程度近づいた瞬間バーニアを切り急降下し、もう一度バーニアを起動させ敵に切り込む。

 それを繰り返していくうちに、被弾もせず魚型の殲滅(せんめつ)が完了し、下を見ると白鳥さんも凄い速さの早打ちで的確に、そして動きながらも人型の急所を打ち抜いてみせる、あの正確な早打ちを見ると早期決着をつけておいてよかったと、心から思う、最後の一体を打ち切り周りに敵が居ない事を確認して下に降りる。

「お疲れ様」

「ああ、お疲れ」短い言葉しか交わさないが連携もできた、これからも問題なく過ごせるであろうと思っていると彼女の方から口を開く。

「なぁ?いきなりで悪いが、お前が言っていた本心ってなんなんだ?」

「あぁ、それを言うのを忘れてたね、簡単な話だよ俺の、本心は心から早雲さんに幸せになってほしいと、思っているそれだけだよ」

「どの口が言うんだよ、幸せから遠ざかっている原因の一つだろうが」

「それは…確かにそうなんだけど色々とあるんだよ、事情ってもんがさ…」

 そこで異変に白鳥さんが気付いた、本当はもっと早く気付くべきだったのかもしれないし、でもこれからの事を考えると気づかないで正解だったのかも否、不正解だったのかもしれない。

「ところでどうやって戻るんだ?奪還作戦の時は相手の全滅が、空間から出る唯一の方法だったが」

「俺たちもそうだったけど……ん?」

 だいぶ遠く、俺たちが最初に居た方向に人型二体が居るのが見える、もしあそこが境界線なのだとしたらマズイと思いバーニアを全開で起動させる。

「ちょ…おい…」

 突然の行動に困惑した声を白鳥さんは上げるが、今は話している場合ではない。

「間に合えっ」

 余りの速度に体に圧がかかる、しかしどれだけ急いでも人型が辿り着いてしまった瞬間、空間に亀裂が入り旭川の街が見える、外に出ようとする人型二体を止めようと、必死に手を伸ばすが、一体のレイダーがまるで我が子を庇うが如く体を投げ出し、俺を止めにかかる。しかしその行為の意味はわからなかったが、人型の決死の覚悟も空しく刀はその人型を貫く。外に出してしまったレイダーを追い、急いで亀裂の外に出る、しかしそこには人型レイダーの姿はどこにも見えず目の前には、風に煽られ飛んでいく男児ものの服だろうか?それがどこか虚しく、空を漂いながら落ちていくだけであった。

 

第五話 完

 




 本日はこの小説を読んでいただき更に後書きまでも来ていただき本当にありがとうございます。
 あらすじでも、申し上げたようになろうでも投稿はしていますので一日一話投稿はしていきますが待てないという、大変ありがたい感情を持って頂いた方は、なろうに行けば今書けている部分までは投稿されています。
 そして毎度毎度ではございますがよろしければ、この作品の私的でも構いません、あんまり小説を読んだ事無い方でも構いません、できれば読みづらかったり、理解しづらかった文があればお教えいただけると幸いです、一先ず完結まで残り数歩という所まで来ているので直すのはすぐには出来ないと思いますが、ご指摘頂いた所を直せるよう精進していく所存であります。

小説の文字数について

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