メ ス ガ キ モ ー グ   作:一般通過血の指

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渋にモーグ様のイラストが徐々に投稿されてて嬉しかったので投稿します。
でもモーグ様の小説は相変わらず増えませんでした。

何で誰も書かないんだァッ!!!!!!(シャブリリの叫び)


姿無き母とはな……。

 

 

 とある褪せ人がモーグウィン王朝の一員となって暫く。

 

 モーグはいつもの大祭壇の上で、褪せ人の持つゴドリックの大ルーンを受け取って眺めていた。

 

「……それがかのエルデンリングの大欠片か」

 

 かつかつと足音が響く。モーグの元まで歩いてきたのは、血の様に紅い刀身を持つ刀を携えた一人の老兵。

 名は無く、ただ翁と呼ばれている血の指の一人である。

 

「――あぁ、翁か。あの褪せ人は決闘場に籠っている様だが、どうだ?」

 

「磨けば光る、時間をかければ幾らでも強くなるだろう」

 

 大ルーンを眺めていたモーグがニヤリと悪い笑みを浮かべる。

 

「敗れたか?」

 

「抜かせ、原石に敗れる程刃を鈍らせたつもりは無い。儂とエレオノーラとクラウディアはまだ無敗、カラスとヴァレーは八割、ネリウスで六割と言った所か」

 

「なるほど、確かに弱い。寧ろカラスや白面に僅かでも食い下がれている事が驚きだな。――あぁ、そういえば、そろそろか」

 

 そう言ってモーグは天を仰ぐ。空に浮かぶのは偽りの星空、変わる事無き夜天であるが、モーグにはまた別の何かが見えているのだろうか。

 

「時に翁よ、私が貴公を血の指に誘った時の言葉を覚えているか?」

 

「無論、覚えているとも」

 

 かつてモーグは血に魅入られた翁に戦いを挑まれ、その絶技を受けながらも翁を血の海に沈めた。それでも尚呪われた刀を手放さぬ翁に、モーグはこう言った。

 

 与えようぞ。渇くことのない修羅の生き様を。

 

 その言葉通り、翁は志を同じくする血の指達と切り結び、王朝の道を阻むものの悉くをその紅い刀で斬り捨ててきた。

 だが、ちりちりと喉奥が渇く様な不快感を募らせているのもまた事実だった。

 もっと血沸き肉躍る様な殺し合いがしたい。屍の山を築き、血の河を流す様な祭りの様な戦がしたい。

 

 ……それでも今は雌伏の時であるという事も理解しているのだ。根無し草だったあの時ならいざ知らず、モーグに仕え血の指となった今、翁にはこの王朝が露見する程の愚行を犯すつもりなど無かった。

 

 そんな翁の燻りを知って、我らが血の君主は嗤って言い放つのだ。

 

「――星辰が揃いつつある。翁よ、共に戦祭りへと往こうではないか」

 

 あぁ、この方の手を取って良かった。

 翁は、震える呪刀を右手で抑え、獰猛な笑みを形作った。

 

 

 

 

 モーグウィン王朝の決闘場で格上の戦士達との殺し合い――ほぼほぼ一方的に殺されたが――を経て己の力不足を痛感した褪せ人は、されど高みを見た事でより一層力を手に入れる事に邁進するようになる。

 目的も無く狭間の地を彷徨うよりかは、余程健全であろう。

 

 そんな褪せ人は、気分転換にモーグウィン王朝をぶらついていた。

 モーグのいる大祭壇と決闘場くらいしか見ていないので何となく大祭壇の下がどうなっているのか気になったのだ。

 

 ぶらつく許可はモーグから貰っているが、紅い秘文字の指輪を常時着用する事を義務付けられていた。

 

「私の血の匂いが無いと侵入者と間違われるからねぇ? 犬に噛まれて失血死したくないでしょ?」

 

 とモーグが言っていたので褪せ人は大人しく紅い秘文字の指輪を着けている。……犬に噛まれて失血死する事などあるのだろうか?

 

 程なくして血を埋め尽くす程の血溜まりと、そこを歩く灰色の蛙の様な頭を持つ者達を見た。

 彼らはそれぞれ、木や石といった建材を抱えて何処かへと向かっていく。

 

「もしかして、モーグさまがおっしゃってた血の眼さまですか?」

 

 褪せ人の背に投げ掛けられる声。

 振り返ると、先程の者達と違い血の様に紅い蛙の様な者がこちらを見ていた。

 

「そうだが、貴公は?」

 

「ぼくは、モーグさまに血をわけていただいたしろがね人です。ことばはミケラさまにおしえていただきました」

 

「しろがね人? 聞いた事は無いが、貴公には名は無いのか?」

 

「……なまえはないのです。よびにくければ、アカ、と。赤はぼくたちのあこがれなのです」

 

 アカと呼んでくれと言った彼は、王朝に住まうしろがね人達で村を作っているのだという。

 

「血のきぞくさまにいえのつくりかたはおしえていただけたのですが、ざいりょうがたりないのです……」

 

 確かにそうだろう。石材はともかく、この地には満足に使える木材も見受けられない。

 

「血の眼さまはそとのせかいをじゆうにあるけるのですよね? どうかぼくのねがいをきいてはくれないでしょうか」

 

「成程、建材を私に取って来て欲しいという事だな?」

 

「はい。おかえしをおわたししますので、きがむいたらぼくにざいりょうをわたしてくださるとうれしいです」

 

 そう言ってアカはぺこりと頭を下げた。

 アカが言うには三種類の建材が欲しいとの事。

 

 一つ目は遺跡石。二つ目は神殿石。

 そして三つ目は聖血の木の芽と呼ばれる物。

 

「どこかに血とかかわりのあるきのめがあるらしいです。血のきぞくさまやモーグさまにおねがいして、おうちょうでもおおきくそだつきをそだてたいのです」

 

 何処となく可愛げのある風貌に、褪せ人は早くもアカに愛着を抱いてしまった。

 一先ず持っていた遺跡石と神殿石を全てアカに渡した。

 

「ありがとうございます、血の眼さま! おれいにこちらをどうぞ! ミケラさまのおはなとぼくのたからものです!」

 

 褪せ人から大量に建材を貰ったアカは笑顔で礼を言った。

 そして懐から袋を取り出し、褪せ人へと手渡した。

 

 ぺこりと頭を下げて他のしろがね人の元へ向かったアカを見送り、袋を開いてみる。

 そこには複数本のスイレンの花と、紅い血が入った小瓶が入っていた。

 

 ……今ある製法書の中にこれが使えそうなレシピが無いか探してみるか。

 たまに建材をアカの元に運び込む事に決めた褪せ人は、袋を仕舞い込んでその場を後にする。

 

 ――あぁ、そういえばブライヴやアレキサンダーが戦祭りが近いと言っていたか。

 ロジェールの事もあるし、リエーニエにいるらしいラニの元へ向かってからケイリッドに行ってみるとしよう。

 

 

 

 

 斯くして狭間の地には戦士が集う。

 

「……ほう、久しぶりだな。あの時は確かレナと名乗っていたか。トレントも息災の様で何よりだが、ここには何用で来た?」

 

「陰謀の夜の主犯と聞いたのだが」

 

「……なるほど、よく調べ上げたものだ。いや、調べた者は他にいるな? さしずめお前は、その者に乞われて来た遣いという訳だ。……だが、お望みの呪痕はここにはない」

 

「それでも場所に心当たりはあるのだろう? 十分だ。魔女ラニ、いや、月の王女ラニよ。私を貴公の目的に役立ててはくれまいか? なに、好きに使うと良い。貴公とて、好き好んで物乞いに施しをするつもりは無いだろう」

 

「ほう? お前が私の役に立つと、そう言うのか。仕えるでもなく、ただ使えと言うのだな。……面白い、魔女の協力者としてお前を存分に扱き使ってやろう。お前が求める物を報酬として出すかどうかは、お前の働き次第だな」

 

 リエーニエにて、褪せ人セルワ・カーラが魔女ラニの協力者となった。

 表向きは死の呪痕を求めるロジェールの為に。そして真なる目的である、死のルーンから最初の死者ゴッドウィンの大ルーンの残滓を探る為に。

 

 

 

「……ふむ、そういえば聞いた事があるな。リムグレイヴの東、ケイリッドの南端にある城で祭りが行われると」

 

「貴公も来るのか?」

 

「無論だ。星砕きのラダーンがラニの運命を留めているというのなら、行かぬ訳にはいくまいて。……それに」

 

「どうした?」

 

「相手はあのデミゴッド最強のラダーン将軍なのだろう? そのような者と戦えるというのは、戦士冥利に尽きるというものだ」

 

 暗き地下、永遠の都にて、月の王女の義弟たる狼騎士ブライヴが戦祭りの参戦を告げる。

 最強のデミゴッドをこの手で討ち果たし、留められていたラニの運命を再び動かす為に。

 

 

 

「うーむ、うーむ。……む? おぉ! そちらは壁の筈では!?」

 

「何をしているのだ貴公……」

 

「うむ、この坑道を抜けて戦祭りに行こうとしていたのだが、どうにも行き止まりだったので困っていたのだ」

 

「別の道を探せば良かろうに……。さて、道は開けたぞ。貴公も、ラダーンと戦いに行くのだろう?」

 

「勿論だ! そうと決まれば行くとしよう、戦祭りに間に合わぬなど笑い話にもならぬからな! ……む、少々手狭だなこの扉は」

 

 とある坑道にて、戦士の壺、鉄拳アレキサンダーが迫り来る戦いへ闘志を燃やす。

 強者との戦いで己の肉体をより強くする。それがアレキサンダーの、ただ一つの使命であるが故に。

 

 

 

 そして、褪せ人が関わらずとも戦祭りへ赴く者はいる。

 死衾の望む未来の為に戦う豪胆ライオネル、火山館から戦士の品定めに来たパッチ、同じ目的でセルブスが送り込んだ傀儡たる指巫女サロリナ、ただ己の信念を貫かんと訪れた大角のトラゴス。

 

 隠された王朝からは、二人。

 

 血に狂い、血に渇き、血に従い、血に生きる。

 呪われた刀を持ち、かつて修羅と呼ばれた男。血の指、翁。

 

 狭間の地を歩く仮初の姿として血の君主が作った存在。

 傷を広げて出血を強いる重刺剣と、とある血の指が作り出した杖を持つ、小さな角を生やした金髪の少女。王狩り、モルグ。

 

「あの大槍は持ってこないのか」

 

「あれ使ったら一発でバレるじゃん、各陣営の刺客がいる場で持ってくる物じゃないよ。後私は暇潰しで来たからぁ、パパ頑張ってぇ♡」

 

「儂は貴様の父親ではない」

 

「カモフラージュじゃん、乗ってよ~」

 

「断る」

 

「ちぇ、つまんないの~。……あぁ、来たぞ翁。我らの血の眼は随分と方々を駆けずり回ったらしい」

 

 最後に赤獅子城に辿り着いた褪せ人セルワ。

 悠々と歩く彼は右手に剣継ぎの大剣を、左手にツヴァイヘンダーを持っていた。

 

 斯くして戦士は集い、星辰は揃う。

 

「――勇者たちよ、よくぞ来た! 星辰は満ちた、祭りの時間だ!」

 

 誰も彼もが猛者ばかり。その一人足りとて雑兵等とは口が裂けても言えぬ歴戦の勇士達がここにいる。

 

「破砕戦争最大のデミゴッド、将軍ラダーンは、今、おぬしらを待っている!」

 

 だが、相対するは最強なり。戦神の子たる彼は、朱い腐敗に侵されて尚戦場に在る全てを殺し尽くしてきた。

 

「勇者たちよ、戦いたまえ! 誉れと共に大敵を葬り、大ルーンをその手にするがよい!」

 

 これより始まるはラダーン祭り。人馬一体の狂える英雄を殺し、勇者達がラダーンの大ルーンを我が物にせんと鎬を削る誉れ高き祭典である。

 

「――さぁ、戦祭りじゃ! ラダーン祭りじゃあ!!」

 

 一人の男を弔う祭りの幕が、切って落とされようとしていた。

 

 

 

 

 今回ラダーン祭りにモーグが付いてきたのは、ミケラの頼みを聞いたからだった。

 いつもの様に、モーグは大祭壇の繭の中で目を覚ましているミケラと抱き合っていた。

 

「一瞬だけでいい、ラダーンの腐敗を治せるかどうか試してくれないかい?」 

 

「ん? ん~、どうして?」

 

「腐敗の神の力を抑えられるかの試金石として」

 

 ミケラの妹、マレニアには腐敗の神が宿っている。故に力を振るう度マレニアの身体は腐敗に侵されていく。

 ミケラとしてはマレニアを救いたいが、いずれにしてもあの腐敗の力をどうにか抑える必要があった。

 

 それならばケイリッドの土でも持ってきて実験してみればいいのでは、とモーグは思ったがミケラは首を横に振った。

 ケイリッドの腐敗は、マレニアの開花の余波である。腐敗の神の力はごく僅か、その残りすら赤獅子の騎士たちによって焼き払われつつある。

 

 余波でケイリッドに腐敗を齎した開花をまともに食らい、今も尚生きているのはラダーンしかいないのだ。

 

「……なるほどね、腐敗の神の力が色濃く残っているラダーンを私の信仰する姿無き母の力で正気に戻せれば、マレニアの腐敗への対抗策にもなる訳か」

 

「あぁ、そうだった。それについてずっとモーグに聞きたかった事があるんだけど」

 

「んぇ?」

 

 唐突な話題の転換に困惑するモーグの首の後ろに両手を回して、ミケラは言った。

 

「――姿無き母って、君でしょ」

 

「……」

 

「モーグが血盟祈祷を使う所を何回か見たけど、信仰を介して神の力を借りるという行動が抜け落ちてたよね? 巧妙に隠蔽してたけど、僕祈祷についてはちょっと詳しいんだよ?」

 

「…………」

 

「さらに言えば、ずっと昔にモーグの歪な精神を整えてあげた事があったよね。睡眠と誘惑を使って何とかしたけど、神の方のモーグの精神は見た事が無かった。あの色はきっと、外なる神の色だったんだね」

 

「………………」

 

「あぁ、より正確に言うなら、生まれる前のモーグの魂に宿ったんだろうね。母様に気付かれなかったのは不思議だけど、そこは些細な事かな。――ねぇ」

 

 ミケラがモーグの背後へと回した手の力を強める。

 

「姿無き母って、君でしょ?」

 

 

 

 

 

 姿無き母は退屈だった。

 

 傷ついた落とし子を徒に放逐し、稀に帰ってきた落とし子を喰らう代り映えしない日々。

 別にそれでも良いのだが、かつて多くの世界で信奉され小さな生命の戦争を見てきた彼女にとって、信仰が薄れつつある現状は暇以外の何物でも無かった。

 

 彼女は無数の世界で崇められ、気に入った巫女に大人しめの落とし子を授けて現人神とした事も何度かあった。そうして小さな生命を見守っている内に、気付けば彼女の中に興奮や高揚と言った精神の高ぶりが発現した。

 薄っすらとではあるが、人の様な心を手に入れたのだ。

 

 そんなある時、何やら外なる神がわらわらと群がっている新たな世界を見つけた。

 

 まだ姿無き母の信仰が根付いていない世界を見つけたは良いものの、一際大きな神である大いなる意思とかいう良く分からん奴が先んじて信仰の種を撒いている。

 傷と戦乱を起こす為にこっそりと信託を授けてみても、大いなる意思に連なる者達に異端としてすぐに駆逐される事は目に見えていた。

 

 姿無き母は、その世界を諦めるでもなく憤慨した。小さな生命は争いを以て己が領地をより多く切り分けようと奮闘するというのに、他の神はまるで恭順の意を示すように細々と生きている。

 

 なんとつまらぬ光景だろう。なんとつまらぬ者達だろう。

 

 この状況はつまり、面白そうな場所を占領する先客が、ここで遊ぶなら自分に入場料と滞在料を払えと高圧的に言っている様なものだ。本来そこは誰の所有物でもないというのに!

 キレ散らかして落とし子をヤケ食いし出した姿無き母は決めた。信仰などは二の次に、大いなる意思を出し抜く事を優先しようと。

 

 なまじ人擬きの精神を得たせいで退屈が何よりも嫌いとなった姿無き母は、粘着質な暇潰しのターゲットを大いなる意思へと定めたのである。

 

 ……とはいえ、落とし子を無差別にばら撒いた所で出来る事などたかが知れている。

 称賛する事すら腹立たしいが、大いなる意思はやり手である。牙城を崩すにはちょっとやそっとの力では足りない。と、考えて。

 

 ふと、姿無き母は先程の思考を思い返す。

 ――現人神であれば、大いなる意思の監視を掻い潜れるのではないか?

 

 いつぞやの様に落とし子を送り込むのでは面白くない。姿無き母自ら赴くべきだろう。

 

 そして姿無き母は、己を「意思」と「力」の二つに分けて現人神を作り出す為に「力」を狭間の地へと送り込んだ。

 依り代として選んだのは、とある女王の身体に宿る双子の片割れ。子に力を与えるのは母の特権であるが故に、力の譲渡は誰に悟られる事も無く成功した。

 

 結果として性別が女性に変化し、双子の片割れに先んじて若干成長が早まったが、……まぁ些細な事であろう。

 

 己の力のほぼ全てを譲渡した以上、「意思」だけとなった姿無き母はとても矮小な存在となった。

 だがそれも面白い。姿無き母の力を他者が振るった時、この世界はどうなるか。見物じゃあないか。

 

 姿無き母の現人神となった彼女が狭間の地に傷跡を残し、神々を殺し尽くすのが先か。

 

 大いなる意思が吹けば飛ぶような存在となった姿無き母の「意思」を消滅させるのが先か。

 

 或いは、現人神となった彼女が姿無き母の「意思」に接触してくるかもしれない。

 

 その果てに何が起こるのか、外なる神である姿無き母であっても分からない。

 だがそれでいいじゃないか。全てを既知としては退屈という逃れられぬ猛毒が己が身を蝕むばかり。

 未知に触れる事こそが生命に活力を与える、それは神であっても同じことなのだ。

 

 ――あぁ、暫くは退屈しなくなりそうだ。

 

 姿無き母は、遥か彼方より狭間の地を見守り続ける。その目に好奇の色を滲ませて。

 

 

 

 

 

「――違うよ。私はモーグ、人の私も、神の私も。どっちもミケラの事が大好きなモーグだよ」

 

 モーグは動揺などせず、ミケラを抱き返してそう呟いた。

 

「確かに、私は血盟祈祷を信仰の有無に関わらず使えるし、血の指達が使う血盟祈祷の信仰は私に向かう。それでも私は、姿無き母じゃない」

 

「そっか。……分かった、信じるよ」

 

 モーグの訴えを聞いて、ミケラは柔らかく微笑んだ。

 まさか信じて貰えるとは思っていなかったとでもいうような顔をするモーグの頭を撫でる。

 

 正直に言えば、想定していた可能性の一つではあったのだ。

 姿無き母がその力のほぼ全てを譲渡し、モーグを現人神とする事は。そして、それが事実だったからこそ見えてくる物もある。

 

 姿無き母は狡猾だ。大いなる意思が支配する狭間の地を破壊するために正面から戦う訳では無く、己の力を悟られぬよう送り込み内部から崩壊させる。意思が混ざってる訳では無いにしても、モーグの思考を僅かに誘導する位の事はしていそうだ。

 

 名の通りに姿を見せぬ悪辣さは上位者としての悍ましさを感じさせながら、どこか人間的でもある。

 傷と戦を求めて自ら行動する辺り、刹那主義、享楽的でもあるのではないだろうか。だとすれば、かなり危険だ。

 

 そのような退屈を嫌う人の如き神が、最後の時まで観客であり続けるなどと、どうして言えようか。

 

「……変な事聞いてごめんね、モーグ。僕のお願い、聞いてくれる?」

 

「うん、翁と一緒にお祭り行ってくるね」

 

 ただの空想、何の意味もない推論だ。今は、まだ。

 だがもしもこの推測が正しければ、ミケラは新たに準備を整えなくてはならない。

 

 姿無き母を葬る為に、或いは、姿無き母に託す為に。

 

 




血の君主モーグ

お忍びで狭間の地を歩く複数のスタイルを持っており、その内の一つに血のヘリケーと杖を持つ「モルグ」がある。最小限に抑えてはいるが僅かに忌み血を残しており、鮮やかな金髪から見え隠れする小さな角をトラゴスさんがちらちら見てたりする。
血の指と血の貴族と特訓を重ね、魔術と重刺剣の扱いは本来の祈祷と大槍に勝るとも劣らない程。因みに「モルグ」とも決闘場で戦える。

ミケラと同じくしろがね人に隔意は持っておらず、良い働きをしたしろがね人に血の祝福を施し、その血を紅くする事もある。モーグは銀より赤が好きなのだ。



血の指、翁
この世界線だと散歩している少女にいきなり斬りかかって返り討ちにされた変質者。同僚や褪せ人との殺し合いで楽しい日々を送っていたが、モーグと共にラダーン祭りへ向かう事になり有頂天。
褪せ人との戦績は未だ無敗。褪せ人は典型的な近接特化なので中距離から延々と戦技ぶっぱで勝ってる。誉れは浜で死にました。



しろがね人、アカ
モーグから血の祝福を受けたしろがね人の一体。自分達が人造生命体である事はクラウディアから聞いているが、それならモーグウィン王朝にまともな民がやってくるまでに王朝を発展させようと考えるいい子。間違っても遠距離から延々と弓矢撃ってきたりはしない。
石材を渡すとミケラのスイレンやトリーナのスイレンをほぼ無制限に渡してくれる。

言葉はミケラから教えてもらったが、あまり流暢には話せない。家を建てる傍らで他のしろがね人達に言葉を教えている。
いつか外のしろがね人に会ってモーグウィン王朝に来ないか勧誘しに行きたいと思っている。



姿無き母

外なる神の一柱。全然詳しい事が分からんのでこいつに至ってはほぼほぼ捏造。
シュブニグラス七割、ニャルラトホテプ三割、後ウボ=サスラとかアイホートとか適当にくっつけた感じの生態をしている。己の身体から「傷ついた落とし子」を産みだし、それを喰らうか他の世界に送り込む日々を送っている。

とある世界の巫女によるパーフェクト情操教育(迫真)により人っぽい精神の獲得に成功し、ただ何の意味も無く傷を求める訳では無く楽しいと思えるような戦乱を求める様になる。理不尽さは減ったが悪辣さは増えたので実質巫女が全ての元凶。

大いなる意思が我が物顔で狭間の地を占有している事にブチ切れ、暇潰しの名目で黄金樹の麓へ己の力という名のシロアリを送り込んだ。モーグが女の子になったのもこいつが原因。
現状はモーグに力の殆どを受け渡し、フルオート狭間の地崩壊RPGを楽しく眺めている。
――でも、君ならどう思う? ゲームの中でとても楽しそうな世界を駆けるキャラクターを見て、自分もこの世界で冒険してみたいと思いはしないだろうか?



しろがね人の紅血

隠された王朝に住むしろがね人、その中でも血の君主に祝福を受けた者の身に流れる紅い血液。

何の効力も持たぬ、ただ紅いだけの血。だが、だからこそその紅い血に彼らは救われた。自分達の生を肯定してくれるその紅を、王朝のしろがね人達は尊ぶのだ。



クラウディアの血盟杖

紅く光る結晶や宝石があしらわれた長柄の燭台。
血の指、血脈のクラウディアが血の君主の祝福を得て作り上げた杖であり、血盟魔術の威力を高める。

黄金樹への還樹という文化によって、数え切れぬほどの人の血と命が星を流れる地脈に混ざった。
地脈を流れる星の血液を汲み取る術をクラウディアは編み出したが、それは黄金樹が養分とする力を奪う異端であった。

故にこそ血の君主は、学院を追放され失意に狂うクラウディアに手を差し伸べたのだ。



書きたい所以外はバッサリカットしていくスタイル。ラニ様関係はもう少し書きたかったけどここの褪せ人君は既にモーグ様に仕えてるんだ、すまんな。
ちなみにブライヴ君のイベントは大体こなしてるしアレキサンダーも吹き飛ばして助けてるのでイベ回収的には割と細かく探索している。

ミケラはミケラで色々考えてますが、そんな事はどうだっていいです。次回はいよいよ戦祭り、いつも以上に捏造ポイントぶち込んでいく予定ですが、いつもの如く書きたい所以外はカットします。あんまし戦闘描写得意じゃないんや……。

続きはモグミケの供給が潤ったら書きます。
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