デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

10 / 128
第Ⅱ章, 四糸乃パペット
第2-1話, 変わらない日常、変わった日常


 朝日の射しこむマンションの一室、トーマの勤め先……と言うより手伝い先の定食屋は毎週日曜日が定休日であるため彼はリビングで湯呑を片手にテレビを見ていた

 

『今日の天気の時間です、本日は──』

 

 天気予報を確認したトーマは、少し体を動かして目の前の紙に文字を書き込んでいく

 

「予報は晴れ、そろそろ冷蔵庫の中も寂しくなってきたしスーパーにでも行くか……でも野菜はスーパーよりも商店街の方が安いんだよな……」

 

 彼が紙に書き込んでいたのは買おうと思っている食材と不足し始めた生活必需品の一覧表である

 

「食器用洗剤の買い置きも少なくなってきたな……そういや昨日、美九がシャンプーの替えなかったって言ってたっけ、それも買わないな」

 

 次々と書き込んでいくと結構な量になってきた

 

「久々にバイク出すか……そういや免許の更新いつまでだっけな」

 

 一つ終わるとまた一つ、次から次へとやる事が出てくる

 

「免許はとりあえず大丈夫か」

 

 今考えるべきことは考えた、と言った感じのトーマは手に持っていた湯呑の中身を一口飲む

 

「……平和だなぁ」

 

 

 

 

 

 等と彼が言った日の翌日、昼休みの時間に備えて作ってきた惣菜パンと弁当を購買に運び、在庫の数を確認してもらっているとドタドタと走っていく十香の姿が目に入った

 

「……元気だな」

「さっきの女の子の事ですか?」

「えっ、あぁ、はい」

「ホント元気ですよね、彼女」

「……あの子、いつもあんな感じなんですか?」

「そうですねぇ、この前転校してきたらしいんですけど……ずっとあんな感じですね」

 

 ホント、若いって凄いなぁなどと言ってる購買の店員さんの言葉を受け流していると、在庫を数えてた店員がトーマの元に向かってくる

 

「在庫数、ピッタリでしたよ」

「わかりました、それじゃあ俺はこれで」

 

 在庫の確認を終えたトーマは店員に頭を下げてその場を後にする。帰り途中に士道の断末魔らしきものが聞こえた気もするが……まぁ、それが彼の日常なのだろうと考えて車の方まで戻っていった

 

 

 その日の夕方、トーマが帰り道を歩いていると足腰弱ったおじいちゃんのような足取りで歩く見慣れた高校生の姿が目に入る

 

「おーい、士道」

「ん……あぁ、トーマか……」

「やけに疲れた顔してるが、どうした?」

「あぁ……実はな──」

 

 トーマが士道から聞いた話によると、十香が来禅高校に転校生としてやって来てからというもの、彼のクラスメイトである鳶一折紙との小競り合いが絶えないという

 

「ったく、あの二人少しは仲良くできねぇのかよ……」

「そこら辺は仕方ないんじゃないか? 霊力を封印されてるとは言え精霊とAST、水と油みたいな関係だったわけだし」

「そうだけどよぉ……」

 

 このままじゃこっちの身が持たないといった風の士道を見たトーマが苦笑いを浮かべていると、冷たいものが首筋にあたる

 

「ん……?」

「なんだ……?」

 

 気が付くと空はどんよりと曇り、ポツポツと雨が降り始めていた

 

「「……うわ」」

 

 二人の声がシンクロした

 

「雨かよ。おいおい、天気予報では晴れって言ってたじゃねぇか」

「最近多いな……って言ってたら降って来やがった」

 

 ポツポツと降り始めた雨は徐々に激しさを増していった

 

「おいおい、マジかよ……」

「ついてねぇな、今日に限って」

 

 士道はカバンを、トーマは自身の来ていた上着を傘代わりにして走り始める。そしてT字路を右に曲がった辺りで士道の足が止まった

 

「あ……?」

「どうした?」

「いや、あれ」

 

 士道の指さした方向を見ると、そこには少女がいた……ウサギの耳のようなものがついた大きなフードを被り、何故か左腕にウサギのパペットをつけた少女。

 

「士道、あの子──」

 

 士道にあの少女について言おうとした瞬間、少女は盛大にこけて、動かなくなった。ついでに彼女の左手にあったパペットは前方に吹っ飛んでいった

 

「……お、おいッ!」

「はぁ……」

 

「だ、大丈夫か、おい」

 

 士道が少女の方に向かったのを見て、トーマは吹っ飛んでいったパペットを取りに向かう

 

「……!」

「あぁ……よかった。怪我はないか?」

 

 士道がそうやって手を差し伸べると、少女はものすごい勢いで後退する

 

「……えぇと。そ、そのだな、俺は──」

「……! こ、ない、で……ください……っ」

「え?」

「いたく、しないで……ください……」

 

 二人の話を耳に入れながら、トーマは士道の方に近づいていった

 

「……なんかやったのか? 士道(変質者)

「いや、別に……というかなんか名前の呼び方おかしくなかったか!?」

「気のせいだろ」

 

「……!」

 

 士道と話すトーマが持っているパペットの存在に気づいた少女は駆け寄ってこようとして足を止める

 

「あの子、どうしたんだろう」

「多分このパペットが欲しいんだと思うぞ、士道……返してきてやれ」

「俺!?」

「あぁ、お前だ」

 

 トーマは士道にパペットを持たせて少女の元に行かせる……のだが士道が一歩下がるたびに少女は一歩下がる。何故か変な攻防みたいなものもあったが、なんとかパペットの返却に成功する

 

『やっはー、悪いねおにーさんたち。たーすかったよー』

 

 パペットは急に話を始める、よく見ると少女と士道を遮るような形になっていた

 

『──ぅんでさー、起こした時に、よしのんのいろんなトコ触ってくれちゃったみたいなんだけど、どーだったん? 正直、どーだったん?』

「は、はぁ……?」

 

 士道は戸惑い、トーマは無言で少女とパペットの方を見ていた

 

『またまたぁー、とぼけちゃってこのラッキースケベぇ。……まぁ、一応は助け起こしてくれたわけだし、特別にサービスしといてア・ゲ・ルんっ』

「……あ、あぁ、そう」

「よかったな士道、逮捕されなくて」

「どういう意味だそれ!?」

 

『ぅんじゃね。ありがとさん』

 

 二人のことなど気にせずに少女とパペットは走って行ってしまった

 

「何だったんだ……ありゃあ」

「……さぁな、それより士道。お前の家でタオル貸してくれ」

「えっ……あ」

 

 そこで、士道は自分がびしょ濡れであった事を思い出したらしい。全身余すところなく雨でぬれた二人は、とりあえず五河家に向かって歩き出した。

 

 

 歩くこと数分、五河家の玄関に辿り着いた士道は中に入ろうと玄関に鍵を差し込むと、小さく眉をひそめた

 

「どうした?」

「あぁいや、琴里の奴、ようやく帰って来やがったんだと思ってな」

「ようやくって、今まで帰ってなかったのか」

「あぁ、なんか色々事後処理で忙しくなるって先月連絡があったきりだ」

「それはまぁ何とも……」

「ここは兄としてしっかり言わないとな」

 

 そう言いながら玄関のドアノブをひねって家の中に入る

 

「ただいま。タオル取ってくるからトーマは待っててくれ」

「わかった、お邪魔します」

 

 トーマが玄関で待っていると、士道は慣れた手つきで脱衣所の扉を開け……固まった

 

「と、十香……?」

「な……ッ、し、シドー!?」

「あ、や、ち、違うんだ……! これは──」

「いッ、いいから出ていけ……っ!」

「ぐぇふ……!?」

 

 固まっていた士道は十香の右ストレートをもろに受けてへたり込んだ。

 

「災難だったな、士道」

「あ、あんにゃろ、本気で殴りやがって……」

「本気だったら半身バイバイだったと思うぞ」

「……それもそうだな」

 

 などと言っていると、脱衣所の扉が少しだけ動いた

 

「……見たのか、シドー」

 

 十香のその問いに士道はぶんぶんと首を横に振ると、扉が開き服を着た十香が出てきた。彼女の来ている服は一回りサイズが大きかったらしく。目の前にいる士道は少し目のやり場に困っている様子である

 

「な……っ、なんでお前がうちにいるんだ、十香……ッ!」

「何? 妹から聞いていないのか? なにやら、ナントカ訓練だとかで、しばらくの間ここに厄介になれと言われたのだ」

「く、訓練……!?」

 

 その言葉を聞いた士道は廊下の奥に目をやり、すっ飛んで行ってしまった

 

「……すまないがそこの少女よ、タオルを一枚とってもらえないだろうか」

「お前、この家の客か?」

「まぁ、客と言うか士道の知り合いと言うか……とにかく、頼む」

「うむ、少し待っていろ」

 

 十香からタオルを一枚取ってもらったトーマは適当に頭と、服の中から体をふいて家の中に上がる……服は二人が話している間に多少はマシになった

 

「落ち着いていられるか! な、なんで十香がうちに……? 訓練って、一体何のことだよ……?」

「それより、水浸しの友人置いていくのは酷いんじゃないか? 士道」

「あっ……す、すまん」

「ったく」

 

「そ、それよりも今日も令音さんと一緒に帰った筈の十香が何でうちに──」

「え? んー、それなら──」

 

 士道の問いに答えるように琴里が指をさすと、その方向に令音がいた

 

「……あぁ、邪魔しているよ」

「れ、令音さん? 何やってるんですか……?」

「……ふむ?」

 

 士道の問いに令音は考えるような仕草を見せる

 

「……あぁ、すまない。砂糖を使い過ぎたかな」

「いや、そうじゃなくて!」

 

 士道が、たまらず叫んだあと、軽く胸を叩いてから言葉を続けた

 

「どういうことですか? 十香は今、フラクシナスに住んでるんじゃ?」

「……あぁ、そうだね。まず説明をしなければならないね」

 

 封印されているとは言え、精霊は精霊。万が一の事があった時の為に十香はフラクシナスで生活していた、その為士道は自分の家に十香がいるなど微塵も考えていなかった訳である

 だから、そのことを令音に説明してもらいたかった

 

「……しかし、だ。その前に」

「その前に……?」

「……着替えてきた方がよくないかね、床が濡れている」

「あ」

「士道……俺の存在を忘れてたんならそれでいいから、とりあえず服を貸してくれ」

「……すまん」

 

 濡れた服から着替える為にびしょ濡れの制服を着た男と半乾きの服を着た男は二階に向かった




次々起こる今までと違う出来事
それが士道の精神を乱れさせる
何故、十香が五河家に住むことになったのか?
何故、あの少女はパペット主体で話すのか?
士道が受ける新しい訓練なのか?

その答えは…多分次回語られます

次回!状況説明in五河家!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。