デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
空間の裂け目に背を向けながら、琴里は灼爛殲鬼を振るい目の前のシミーを焼き尽くしていくが、彼女が焼き尽くすよりも多くシミーは補充され続けた
「……ったく、キリがないわ」
「言っても仕方ないでしょ、元々無尽蔵に湧いてくるのはわかってた事でしょ?」
「わかってたにしたって多すぎでしょ」
「それに関しては、それだけ相手が私たちを消したいって事なんでしょうね」
琴里と話していた万由里は、雷球を複数作り出してシミーの間へと投げ込む、雷球は無尽蔵に増殖し続けるシミー達の中心まで到達すると爆ぜ、電撃を受けたシミーはその場で消滅する
「せめてもの救いは、一体一体はそこまで強くないって事かしら」
「何て言ってたら、それも間違いになりそうよ」
「……みたいね」
琴里と万由里の視線の先にあったのは、シミー達が融合し一体の巨大な怪物に変貌する様子。ゴリラを思わせる巨大な化け物に変貌したシミーは、二人へ向けて拳を振りかぶる
「あっぶな……」
「一撃は重そうだけど、やっぱり動きは遅いわね──雷霆聖堂!」
「灼爛殲鬼ッ!」
攻撃を避けた二人は、目の前にいる化け物が見た目通りパワーはあるがスピードはないと理解し、雷霆聖堂の雷球と灼爛殲鬼の斬撃で同時攻撃を仕掛けるが、敵の皮膚が分厚く思うようにダメージが入らなかった
「固ったいわね」
「速度はないけど、パワーと頑丈さはありそうとか。絵に描いたような敵……それで、これからどうする?」
「やることは変わらないわ、私たちはあの裂け目が閉じないかを見ながら敵の相手をするだけ」
「……そうよね」
目の前にいる巨大な敵、そして再び湧き始めたシミー達に面倒そうな視線を向けた二人だったが、スイッチを切り替えそれぞれの武器を再び構え直す
電子の世界、マザールームに繋がる道の途中。自分たちへ向かってくるシミーを蹴散らしながら、士道と十香はゴーレムメギドの相手をする
「……くッ」
「シドー! 大丈夫か!」
「大丈夫、けど普段から身体は鍛えとかないと駄目だな……疲れてきた」
「む? 疲れたのなら少し休むか? その間私が──」
「いや、大丈夫だ。いくぞ十香」
「そうか? それならいいが……」
そんな話をした直後、攻撃を仕掛けてきたゴーレムメギドを切り払い。追撃を加える、その一撃に合わせるように士道も鏖殺公を振るい確実にダメージを与えて、後退させた
「よし、この調子で──ッ!?」
「どういう事だ、回復したぞ!?」
そのままの勢いでゴーレムメギドを倒し切ろうとした二人だったが、目の前にいたメギド河シミー達を吸収し回復したのを見て驚きの表情を浮かべる。回復したメギドは二人の驚き、硬直した瞬間を見逃さず頭の腕を分離すると二人へ向けて飛ばした
「! しまった」
「こんっのッ!! 大丈夫か、十香!」
「すまないシドー、助かった」
「気にすんな、こっちも今まで何度も助けられてるからな」
士道の手を取り、十香は立ち上がり鏖殺公を構え直した。それを見た士道も鏖殺公を構え直し、再び敵と向き合った
二つの場所で戦いが始まっている中、ファルシオン達三人は鞠奈の居る場所──マザールームを目指し真っ直ぐ進んでいた
「感覚的にですけど、だいぶ進んだんじゃないですか?」
「そうだな、鞠亜。鞠奈までどれくらいかわかるか」
「はい、もうすぐ──この座礁、ここから繋げれば鞠奈の所にいけます」
「よし、行こう」
鞠亜が通路の先に手をかざすと、扉が開くように空間が割れ、今までとは違う赤く染まった空間が姿を現す。三人はその空間を真っすぐ進んで行くとその先に彼女はいた
「随分とゆっくりとした登場ね、
「色々と準備に手間取ってな」
「あっそ、けどそんなのどうでもいいわ……ねぇ、トーマ」
彼女はファルシオンの方へ視線を向ける
「貴方はさっき、自己満足の為に私を救うって言ったよね?」
「あぁ、言った。そしてそれを実行する気に変わりはない」
「そう……それじゃあ私も私の自己満足の為に、貴方達を消し去る」
そう言った鞠奈は、懐からプリミティブドラゴンの本を取り出し自分へと押し付けた。前回戦った時と同じように骨の手が鞠奈の身体を包み込みその姿を少女から怪物へと変貌させる
「覚悟は良い?」
「鞠亜は下がってろ。美九、鞠亜を頼む」
「りょーかいです」
鞠亜の事を美九に任せたファルシオンは、炎を翼を展開し鞠奈へと接敵をする
「──ふっ!」
「あら怖い、前とは違って無駄話はなし?」
「する必要あるか?」
「なりわね、やることは────決まってるからッ!」
ただお互いの目的を果たす為に、ファルシオンと鞠奈の二人は互いの剣をぶつけ合う
「そう言えば、鞠奈はオレが欲しいとか言ってなかったか?」
「えぇ、言ったわ。けどここで貴方を消せば現実の身体とそこに宿った力は手に入る!」
「そう事は上手くいかねぇよ……上手く事ははこばせねぇッ!」
「言葉なら何とでも言える、けど貴方にはそれを実現する力はないじゃない!」
ファルシオンと鍔迫り合いを続けていた鞠奈だったが、今の位置では間に合わない場所に骨を出現させる
「何も出来ない癖に、私を救うなんて言わないでッ!」
「あぁ……そうだな。けど、今のオレは一人じゃない」
死角からファルシオンに向けられた攻撃を弾いたのは、鞠亜の事を守っていた美九。彼女はその攻撃の後、鞠奈へと言葉をかける
「鞠奈さん、貴方が何を思ってるのか……私たちにはわかりません」
「なら、大人しく消えて! 私の目的を果たさせてよ!」
「それは出来ません。だって……今の鞠奈さん辛そうですから」
「辛そう? 私が? そんな訳ないでしょ……だって、私がなすべきことを成せばきっと────「この寂しさを、埋めてもらえる……か?」 ──ッ」
ファルシオンの言葉を聞いた瞬間、鞠奈の攻撃をする手が止まった。それを見たファルシオンもまた攻撃の手を止める
「鞠奈、人間は心のどこかに孤独を抱えてる」
「……急に、なに?」
「お前と同じって事だ、どこかで孤独を感じてるから誰かと一緒に居たいって思うんだ……お前もそうなんじゃないのか?」
「……そんな訳ないでしょ、私は一人で良い」
「なら、どうして私”たち”って言うんだ」
「それは……」
鞠奈が言葉に詰まったのを見て、ファルシオンは本を閉じてトーマの姿に戻り、彼女へと向けて走り出す
「! 来ないで──」
自分の元へ向かってくるトーマの姿を見た鞠奈は、骨の手を伸ばして攻撃をする。しかしその攻撃は当たることなく少しずつトーマと彼女の距離が縮まる
「お前がオレをどう思おうと構わない、偽善者だと思うなら勝手に思えばいい……ただ、その本を使った時に感じた寂しいって思いを、少しでも埋められるなら……オレはその手を掴む」
「勝手な事、言わないでッ!」
外れていた攻撃が、次第にトーマへと当たりはじめ、受ける傷が少しずつ大きくなっていく
「お兄さん!」
「大丈夫だ……鞠奈、オレは自己満足でも、お前の孤独を一緒に抱える!」
トーマがその言葉を放った直後、微かに鞠奈が放っていた攻撃が弱まる。その一瞬を見逃さなかったトーマは残りの距離を一気に詰めると鞠奈の手を掴んだ
「「────あ」」
「掴んだぞ、鞠奈」
その瞬間、異形の姿だった彼女は少女の姿へと戻る
「トーマ、私は……」
「自己満足だって言っただろ、お前の孤独も、その子の孤独もオレが一緒に背負う。だから……一緒に行こう」
「私、私も……ッ!?ぁ、ァァァァァァァァ――――ッ!!」
トーマの言葉に鞠奈が返事をしようとした瞬間。鞠奈の背中を突き破り無数の茨が出現し、トーマたちの居る空間そのものを飲み込んだ