デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
目の前にいる怪物に襲い掛かったセイバーは、時々起こる一瞬の攻撃を無理やり振りほどいて攻撃を続ける
「はァッ!」
「この化け物が……ッ!」
「貴様が言うなァ!」
この世界の管理者権限を使い自身に攻撃を当たらないように操作していた怪物だったが、それも一時しのぎに過ぎず無理矢理力を込めて刀身を押し当て、切り裂く。無茶な動きを続けていたセイバーは、鎧の隙間から血を流し、青い装甲の一部は赤黒く染まっている
「このまま……ズタズタに切り裂いて────っ」
更に攻撃を続けようとした瞬間セイバーへの変身が解け、トーマの姿に戻る
「……急に、何で」
「は、はは……ハハハハハハッ! どうやら無茶な挙動が祟ったようですね!」
「ガハッ……」
「まったく、一時はどうなるかと思いましたが。天は私に味方したようですッねッ!」
膝をついていたトーマに蹴りを入れた怪物は、倒れたトーマを触手で拘束する
「それでは、貴方を消して貴方の力と身体を貰うとしましょう」
そう言ってトーマの身体に怪物が爪を突き立てようとした瞬間、怪物へ向けて紅蓮の砲撃が放たれる、それを避けた瞬間トーマを拘束していた触手は切り裂かれ。地面へと落下する
「トーマ、大丈夫か!?」
「人には無茶すんなとか言っといて、ボロボロじゃねぇか」
「全く、随分と無茶したみたいね」
「……士道、十香、琴里……どうして?」
「どうしてって、普通に敵倒してきたからに決まってるでしょ」
「万由里?」
「これは、どういう事でしょうか? 貴方達は確かに私が強化した駒に苦戦していた筈」
自身の場所まで琴里たちが辿り着いた事を理解できていない様子の怪物を見て、琴里は笑う
「あら? 鞠奈から権限を奪ったわりにそんなこともわからないのね」
「……なんだと」
「貴方が見た光景はフェイクよ、フェイク」
「フェイクだと? そんなもの誰も作れるはずが……まさかッ!」
琴里の言葉を聞いた怪物は、今まで自分で使っていた権限にアクセスしようとしたが。殆ど権限は取り返された後だった
「そう言うことよ」
「……さっきから、話が見えないんだが」
「あら? トーマ、ボロボロになって知能も士道レベルになったのかしら」
「どういう意味だお前」
「それについては、私が説明します」
その場に現れ、トーマの元に近づいてきた鞠亜は今までのシスター服ではなく、フラクシナスを彷彿とさせる鮮やかな白と黒の霊装に身を包んでいた
「……お前、その姿は一体」
「これは……鞠奈から託された力です」
時間は遡り、トーマが先に進んでいってから少し経った頃。美九に支えられていた鞠奈は、鞠亜の手を掴み自分に近づける
「鞠奈?」
「何ですか、鞠亜」
「……ううん、何でもない。ただ、こうして話すのは初めてだなって」
「そうですね……案外、話す機会はありませんでしたから」
「それもそっか」
本格的な出会いは少し前、それ以前は互いの事を殆ど知らなかった二人だが、まるで長年一緒にいた姉妹のように笑い合う
「あーあ……寂しさ紛らわすのって、こんなに簡単なことだったんだ」
「みたいですね……私も知ったのはつい最近でしたが」
「そりゃそうだ……今、すっごく満たされてる。負けて良かったって……思えちゃってる」
満足気な鞠奈の手を取り、鞠亜は言葉を紡ぐ
「私たちは、とても似ていますね」
「そりゃあ、貴方は私のデータを元にして生まれたんだから……当然でしょ?」
「そう言う意味ではありません。私も鞠奈も、特定の役割の為に作られた存在。私は精霊攻略のサポートを、鞠奈はフラクシナスの制御権奪取とトーマの力の回収」
「……そうね」
「ですが、トーマたちと触れ合い。もっと、一緒に居たいと思うようになりました」
そう言うと、鞠亜は鞠奈の手を強く握り瞳を閉じる。すると鞠亜から鞠奈へ、0と1の羅列が流れ込んでいく。送っているデータは、トーマたちと過ごした僅かな時間。そして、鞠奈から鞠亜へも、0と1の羅列が流れこむ。彼女から送られてきたのは、彼女の感じていた寂しさと、ずっと彼女と一緒に居てくれた一冊の本の物語
哀しみの物語は、一人の少女と出会い。ぬくもりを見つけた。一人ぼっち龍は自身と似た境遇の一人の少女と出会い。彼女の事を守りたいと願った、彼女の手を取ってくれるものが現れることを願い続けた
「……あったかいね」
「……そうですね」
その様子を見守っていた美九は、少しずつ鞠奈の身体が光の粒子となっていることに気付くが、言葉を発するよりも先に鞠奈が起き上がり、鞠亜の事を抱きしめる。突然の行為に驚いた鞠亜だったが、すぐに笑みを浮かべると彼女の事を抱きしめ返す
「ずっと一緒よ、鞠亜」
「はい、ずっと一緒です……鞠奈」
その言葉を最後に、二人の少女を虹色の光が溢れ出す。突然溢れ出した光に目を覆っていた美九だったが、次第にその光は収まり。二人の居た方を見ると、そこには鮮やかな白と黒の霊装を身に纏った鞠亜の姿があった
士道に肩を借りたトーマは、鞠亜から話を聞き終えると目を閉じて呼吸を整える
「そうか……けどオレは結局救えなかったんだな」
「ちょっと、勝手に殺さないでもらえる?」
「……え?」
視線を向けると、先ほどまでとは違い瞳の色が青から赤みがかった黄色に変わった鞠亜が腕を組んで息を吐いていた
「やっぱり驚きますよねー、私も最初見たときビックリしましたもん」
「……鞠奈?」
「そうに決まってるじゃない。まぁ身体は鞠亜のだけどね……それよりも、アッチの化け物見た方がいいんじゃない?」
そう言った鞠奈が指を差したほうを見ると、完全に無視されていた怪物が苛立った様子でこちらをじっと見ていた
「貴様ら……この私を無視して話を続けるとは……舐められたものだなッ!」
激昂した様子の怪物の操る触手が、真っすぐトーマたちの元へ向かっていくが到達するよりも前に琴里たちの攻撃を受け消滅していく
「くッ……ならば!」
触手での攻撃が無駄であると直感した怪物は自信に残された権限を使いゴーレムやマーメイド、ピラニアメギドを再現し、召喚する
「む、また出てきたぞ」
「うわー、正直もう見たくないのが混ざってますねー」
「トーマは休んでなさい。こいつらは私たちがやるわ」
「……いや、もう大丈夫だ。多少回復したから一緒に戦える。士道も肩貸してくれてありがとな」
そう言ったトーマも頬を叩いて気合いを入れ直すと、火炎剣を手に取ると、彼の横に鞠亜が並ぶ
「トーマ、私たちも戦います」
「行けるのか?」
「はい……それに、鞠奈も目の前の怪物には借りがあると言っていますから。私たちもあなたと、そしてその子と一緒に」
そう言った鞠亜は両手を目の前で合わせると七色の光になり、トーマの手の中に収まる
【エレメンタルドラゴン!】
鞠亜たちが変化した新しいワンダーライドブック、エレメンタルドラゴンが現れた瞬間、ベルトに装填されていたプリミティブドラゴンが宙に浮き、トーマの目の前で止まる。それが何を意味しているのかを理解したトーマは、プリミティブドラゴンを手に取り本を開く
【プリミティブドラゴン!】
【エレメンタルドラゴン! ゲット!】
繋がった二冊の本をベルトに装填すると、今までとは違う荒々しい待機音が鳴り響き空間そのものを揺らす。聖剣の柄を握り一度目を閉じたトーマは一歩前に出ると、全力で聖剣を引き抜いた
『烈火抜刀! 』
「────変身ッ!」
その言葉と共に、トーマの周囲に骸骨の龍と炎そのものとも言える龍の二匹が現れた、そして二匹がトーマの周囲を回り始めると青い炎と赤い炎が立ち上がり、炎の渦を形成する
バキッ! ボキッ! ボーン! メラ! メラ! バーン! シェイクハンズ! ────
────エレメンタルドラゴン!
『エレメントマシマシ! キズナカタメ!』
炎の渦の中心が輝き、青と赤みがかった黄色い閃光と共に炎が霧散する。その中に立っていたのは二匹の龍が握手をしているような装甲を纏った炎の剣士──セイバー エレメンタルプリミティブドラゴン
「おぉ、すごいですねー」
「なんか派手ね」
「……なんか、若干ラーメン屋混ざってなかったか?」
「! ラーメン……」
「すごい、力が溢れてくる」
『そりゃあ、私と鞠亜が力を貸してるんだから当然ね』
『そうは言ってもまだダメージは回復しきっていません、気を付けてください』
「わかってる」
新たな姿になったセイバーは、改めて合流した琴里たちと共に眼前の敵を真っすぐ見据える
「はッ、人数が増えて新しい姿になった程度で勝った気になるとは舐められたものですね……まぁいい、その力ともども精霊たちを我が創造者たちへの手土産にしましょう!」
対峙していた怪物もは、召喚したメギドに加えシミー達を追加で増やした。そして少しの睨み合いの後、最後の戦いの幕が上がる