デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第Ⅷ章, 七罪サーチ
第8-0話, 魔女とトーマの前日譚


 これはトーマが宵待月乃──美九と再会するまでの間に起こった出来事

 季節は秋、収穫を祝い、悪霊を払う宗教的行事、ハロウィンを数日後に控えた日の出来事。トーマは、世話になっている定食屋の店主からハロウィンに備えてお菓子の仕入れを頼まれ商店街までやってきていた

 

「……おっちゃんめ、オレがそう言うの得意じゃないってわかってるだろうに」

 

 記憶を失っているトーマは、自分があまりそう言ったものを食べないのもありどのようなお菓子を買えばいいのか頭を悩ませつつ商店街を歩いているとトーマの後方で何かが倒れる音がした

 

「ん?」

 

 後ろを振り向くと倒れていたのは魔女のような服装をした緑髪の少女が倒れていた。倒れている少女から微かに霊力を感じたトーマは軽く息を吐くと彼女の事を背負って歩き始めた

 

 

 

 

 

「ん、んん……あれ? ここ……どこ?」

「目が覚めたか?」

「えっ? ────ッ!!??」

 

 公園のベンチで少女を休ませていたトーマは、目を覚ました瞬間にもの凄い勢いで距離を取り、木の影に姿を隠す。そんな少女の姿を見て少し呆気に取られていると彼女は影から少し顔を出してこちらに視線を向けてくる

 

「……どういうつもり?」

「えっ?」

「だから、私みたいなのを助けてどういうつもり……何か目的があるんでしょ」

「目的って、行き倒れてたら普通助けるだろ……強いて言うなら死なれちゃ困るからだよ」

「……死なれちゃ困る?」

「あぁ、精霊があんなところで行き倒れてたら何されるか分かったもんじゃない」

 

 精霊、その言葉を聞いた瞬間、隠れていた少女は更に警戒心を強める

 

「アンタ……どうして精霊のこと知ってんの」

「知り合いにいるからだよ、それに──よっと」

 

 トーマは無銘剣を召喚するとエターナルフェニックスをベルトに装填し姿をファルシオンへと変化させる

 

「こんな風に、オレもそっち側だ」

 

 ファルシオンの姿を見た少女は、おずおずと彼の方に近づいてくると、近づいて来て木の枝でつつく

 

「……なにこれ」

「わからん、オレの力らしいんだが……どうやって手に入れたのかそもそも何なのかさっぱり覚えてない」

「覚えてない?」

「あぁ、記憶がないからな……今はオレを拾ってくれたおっちゃんの所に下宿しながらその日暮らしだよ」

「……それ、都合のいいように利用されてるだけじゃん」

「それでもいいんだよ、住む場所は確保できてる訳だし……オレ自身も感謝はしてるしな」

 

 ファルシオンはそう言うと無銘剣とベルトを消してトーマの姿に戻る。人間の姿に戻った少女は再び木の陰に逃げようとしたが、その瞬間ぐぅという音が周囲に鳴り響いた

 

「……飯、買ってくるか?」

 

 少し顔を赤らめながらこくりと頷く少女を見たトーマ、少し笑みを零した後コンビニへと向かった

 

 

 

 

 

 おにぎりやお茶など軽食を買い、改めて公園に戻ってくるが見回す限りの場所にあの少女の姿はなかった

 

「……いない、やっぱりか」

「いるわよ」

「いないだろ、空耳か?」

「ここよ、ここ」

 

 声の聞こえてきた方を見ると、公園異立っていた一本の木がぽんっと少しポップな煙と共に箒の形をした天使を持った少女が姿を現した

 

「こういう能力なの、私の贋造魔女(ハニエル)は」

「贋造魔女……何が出来るのか気になるが今は、ほれ」

 

 少女に向けてコンビニの袋を渡すと、少女はそれを受け取った後ベンチに座りおにぎりを開ける。その後、無言でおにぎりを食べていた少女の隣に座っていたトーマは、隣から視線を感じそちらに顔を向ける

 

「どうした」

「……別に」

「そうか」

 

 そうは言ったものの少女が何か言いたいのではないかと思考を回し、トーマは一つの結論を出す

 

「そう言えば、名前を名乗ってなかったな。オレはトーマ……苗字はない、よろしく」

「……七罪、よろしく」

 

 短い会話を続けた後、七罪は袋にゴミをまとめる

 

「ごちそうさま」

「もう行き倒れる心配はないか?」

「……うん」

「そうか、それじゃもう行き倒れるなよ。じゃあな」

「ちょ、ちょっと待って」

 

 もう行き倒れる心配のないことがわかったトーマはその場を去ろうとしたが、七罪に服の裾を掴まれる

 

「まだなんかあるんでしょ?」

「いや、特に何もないけど……」

「う、嘘。ここまでやっておいて何もなし何てありえない。言いなさい、何が目的なの」

「だから特に目的とかないって……強いて言うなら未来への投資だ」

「未来への、投資?」

 

 何を言っているのかわからないと言った様子の七罪を見たトーマは近くにあった木の枝を手に取ると公園の地面に丸を書き軽く叩く

 

「この丸が今のオレだ」

「うん」

「そんで、さっきお前に飯を渡したのは無償の善行……それを積み上げていけば────」

 

 トーマは丸から真っ直ぐ線を伸ばしていき、少し離れた場所にもう一つの丸を書く

 

「──未来のオレにきっと良いことが起こる」

「……なにそれ」

「それくらい考えても罰は当たらないだろ、ここで良いことをしとけば未来の自分にいいことが返ってくる。そう考えておけば無償の善行も悪くない」

「けど、結局それが返ってこなかったら意味ないじゃない」

「未来なんて誰にもわからないんだ、良い方に考えてても損はしない」

 

 トーマの言葉を聞いた七罪は呆れたような表情を浮かべながら口を開く

 

「アンタ、もしかして底なしのバカ?」

「どうなんだろうな。自分じゃわからん……まぁ、また行き倒れそうになったらオレの所に来れば飯くらいは出してやるよ」

 

 それだけ言い残して、トーマは公園から去っていく。その背を見送った七罪もまた、贋造魔女を顕現させた後その場所から姿を消した

 

 

 

 

 

 

 

 それから時は進み現在へと至るまで、七罪がトーマの前に姿を見せることはなかった。しかしそれはあくまでも”彼女”としての姿だ、時に彼女以外の姿に化けトーマの前に現れる、そうした交流を続け、二人の関係も赤の他人から時々時々出会う知人へと変わっていった

 これから始まる物語は、そんな二人の物語……ではなく、七罪が士道と出会う所から始まる。奇妙で、色々な人に迷惑をかけるハロウィンのお話

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