デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第8-6話, 七罪を探せ Ⅲ

 トーマが七罪が誰なのかを回答した翌日、早朝に連絡を受けたトーマはベランダに出て応答する

 

「何かありましたか?」

『よくない知らせだ……写真に写っていた人物──殿町宏人が消失した』

「……そうですか」

 

 通信端末を介し、令音から昨日の夜に起こった出来事を聞いた

 

 

 

 

 

 昨日の夜、十香・四糸乃・殿町、そして亜衣……だけの筈が何故か三人娘とのデート? を終えて家に帰って来た士道は令音と琴里の二人に今日あった事を伝えていた

 

「それで、士道。今日一日会話をしたわけだけど、何かおかしなことに気付いた?」

 

 琴里に問われた士道は、今日一日の事を思い返すが特に変わった所は見当たらなかった。強いておかしなところがあったのは十香だがそれも七罪とは一切関係のなかった。それ以外の四糸乃、殿町、そして三人娘も普段と変わった所はない

 

「まだ、わからないな。とにかく全員を見てみないと」

「ま……そうよね。そう言えばトーマの方は報告来てる?」

「……あぁ、少し前に報告を聞いたが、彼も耶倶矢、夕弦、美九の三人も不審な点は見受けられなかったとのことだ。身内贔屓が入っているとも言われたがね」

「それもそうか……私の方でも一応全ての音声をチェックしてるから、何かあったら伝えるわ」

「あぁ、頼むよ」

 

 士道、そしてトーマからどんな返事が返ってくるのかは予想出来ていたらしい琴里はそう言うと改めて士道の方を向く

 

「ま、とにかく明日に備えて今日はもう休みなさい。寝不足で予定が狂った、なんてことになったら承知しないんだから」

 

 足を組み替えながらそう言ってくる琴里に対して、士道は立ち上がるとこくりと首肯する

 

「そうだな、そうさせてもらうよ。令音さん、明日は何時からでしたっけ?」

「……ん、最初の予定は十時からだ。すまないが、学校は諦めてくれ」

「こんな状況ですし、仕方ないですよ。えぇと、最初の相手は……」

「……琴里、だね」

 

 令音の言葉を聞いた琴里は、ビクッと方を震わせる。その様子を見た令音は何かに気付いたようにポンと手を打つ

 

「……あぁ、そうか。やけに明日寝坊しないよう言うと思ったら──」

「──! ばッ! 別にそんなんじゃないわよ! 私はただ司令として────」

 

 そこで士道が自分へと視線を向けている事に気付いたらしい琴里はクッションを手に持つと思い切り投げつけてくる

 

「うわっ、おい、何するんだよ」

「うっさい! さっさと寝ろ!」

 

 そう叫んだ琴里は次のクッションへ手をかけたところで、士道はそそくさと自分の部屋に退散していった

 

 

 

 

 

 昨日の士道たちの状況を聞いたトーマは瞳を閉じて、言葉を発する

 

「絞り切れなかったが故に回答をしてない。その結果──」

『……あぁ、写真に写っている人物が一人消されるという結果だ』

「誰が消されるのかわからないって言うのは厄介ですね……わかりました、また何かあったら連絡します」

『……あぁ、了解した』

 

 そうして令音との話を切り上げたトーマは台所へ向かい朝食を作っていると、寝起きの美九が部屋から顔を出す

 

「おはようございます、お兄さん」

「あぁ、おはよう。今作り始めたばっかりだからもう少し待っててくれ」

「わかりました……けど、何かあったんですか?」

「いや……それより美九。今日は何か予定あるか」

「えーっと、普通に学校行こうかなって……融通は効きますけど平日なので」

「そうか、そういや今日は平日か」

 

 突然そんなことを聞いてきたトーマに対して美九は頭に疑問符を浮かべながら近づいていく

 

「何かあったんですか?」

「いや、何の予定も無かったら久々に一緒に出掛けないかと思ってさ」

「! それって、デートですか?」

「ん、あぁ……そうなるのか。けど平日なら普通に学校行ったほうが────」

「休みます」

「いや、行った方が」

「休みます、休みますのでデートに行きましょう」

「……そうだな、行くか」

「はい! それじゃあ準備してきますね!」

 

 少し眠そうだった状態から一気に目が覚めたらしい美九は軽い足取りで自分の部屋まで戻っていった。その姿を見送ったトーマもまた止まっていた朝食の準備を再開する

 

 

 

 

 

 朝食を食べ、一緒に外を歩きながら美九はトーマに話しかける

 

「そう言えばお兄さん、今日は何処に行く予定なんですか?」

「実は決めてなくてな。どうせなら歩きながら一緒に決めればいいか位に考えてた」

「大雑把ですねぇ……けど、それなら良かった」

「何処か行きたいところでもあったのか?」

「ふっふっふ、それは到着してのお楽しみです! 行きましょう、お兄さん」

 

 美九に手を引かれたトーマ、行き先を彼女に任せて少しだけ考え事を始める。七罪が仕掛けてきた今回の一件、既に自分はクリアしているが一番の不安要素は士道が七罪の事を見つけられるのか……だが、これまでの経験から士道なら何とかするだろうと言う信頼があるのも事実。これ以上変に心配するのは野暮かと考えた後に周囲に目を向ける

 視線の少し先に映ったのは琴里と士道のデートの際に一度だけ訪れた場所──オーシャンパークが視界に入る

 

「美九、もしかして行きたかった場所って」

「はい! 今週はハロウィンイベントで園内コスプレ自由なんですって!」

「成る程……それでその大荷物か」

 

 美九の持っているカバンは、普段使いしている物ではなくかなりの量が入る大きさのもの。一体何が入っているのかと思っていたがコスプレ道具が入っているとは思っていなかったトーマはそれならばその大きさになるかと納得する

 

「はい、それにコスプレしてるなら周りの目を気にせず、目いっぱい遊べますから」

「そうだな……それじゃあ、行くか」

「お兄さんの分のコスプレも持ってきてるんで、全力で楽しんじゃいましょう!」

 

 美九と一緒にオーシャンパークのアミューズエリアまで入ったトーマは更衣室の前で彼女からコスプレ道具一式を受け取り、着替えを始め……用途した所で手を止める

 

「……これは」

 

 中に入っていたのはいかにもファンタジーの剣士が着ていそうな服と紺色のコート。現代で着るには少々抵抗のあるものであったものの周囲を見ると自分に渡されたもの以上に派手な衣装に着替えている人物もいるのを見て、トーマは腹をくくった

 

 

 

 やけに身体に馴染んでいる衣装へと着替えたトーマは待ち合わせ場所に指定された中央広場で美九の事を待っていると、背後に気配を感じ振り返る。そこに立っていたのは魔法少女のような衣装に身を包み、目元を覆い隠すマスクをつけた美九が立っていた

 

「せっかく驚かそうとしたのに……気付かれちゃいました」

「流石にな……それより美九、その衣装少し派手じゃないか?」

「そうですか?」

「スカートの丈が少々な」

「お兄さん、えっちです」

「……そうだな、失言だった」

「ふふっ、冗談ですよ」

 

 目の前で笑みを浮かべる美九の姿を見たトーマは、少しだけ肩の力を抜いてから改めて彼女の全身に目を向けると彼女もその視線に気づいたのかバッと可愛らしいポーズを取る

 

「どうですか? 似合ってますか?」

「あぁ、似合ってる」

「よかったです。お兄さんもお似合いですよ」

「そうか、それなら良かった……それじゃ、そろそろ移動するか」

「そうですね」

 

 二人で遊園地の中を歩いていたトーマは、隣で楽しそうに歩いている美九へと視線を向ける

 

「? どうかしました」

「いや、随分と楽しそうだと思ってな」

「そうですか?」

「あぁ、いつもより浮かれてるように見える」

「それなら、きっとそうなんだと思います……最近は充実してたけど忙しくて、こういう機会は取れませんでしたから」

「……そう言えば、そうか」

 

 美九の言葉を聞き、最近の事を思い返すと確かに彼女と一緒に居る時間が前よりも短くなっている事に気付く。美九は仕事が忙しくなってきたしトーマはトーマで自分の仕事やフラクシナスに顔を出す機会が多くなり、家に居る時間が少なくなった

 

「はい、なのでこうして……一緒に出掛けられるのが嬉しくって」

「確かに、他を抜きで二人で出かける。それ自体は久々か」

 

 そんなことを話しながら一緒に歩いていると、二人の前に現在の美九と似たような格好をした少女が二人現れる

 

「あのー……すみません。それって、カノンちゃんですよね? もしよかったらなんですけど、写真撮らせていただけませんか?」

 

 おずおずと言った様子でそう言ってくる少女たちの姿を見たトーマは、美九の方に視線を向けると、彼女もトーマの方に視線を向けた後軽く頷くと笑顔を見せる

 

「はい、構いませんよぉ。そのかわり、格好よく撮ってくださいねー」

「あ、ありがとうございますっ! じゃあ早速……」

 

 カメラを構えたのを見たトーマは、少し離れた場所に移動すると始まった撮影会を眺めていたが、少し時間が経ったのを確認し、三人の方へと近づいていく

 

「あの、良かったらカメラやりましょうか?」

「えっ?」

「記念って事で、一枚くらい三人で撮ってもいいんじゃないかと思って」

 

 トーマのその言葉を聞いた少女たちは、二人で少し話した後におずおずとカメラをトーマに手渡してくる

 

「それじゃあ、お願いしていいですか?」

「もちろん、それじゃあ三人で寄って」

 

 三人に指示を出した後、各々がポーズを取ったのを確認しカメラのシャッターを押す。パシャリと言う音が聞こえた後、撮れた写真を確認したトーマは少女たちにそれを見せた後、カメラを返す

 その後、少女たちと別れた二人は改めて遊園地で遊び、遊園地から出た頃には日が傾き始める時間になっていた。

 

「いやー、遊びましたね」

「そうだな……楽しかったか?」

「勿論、可愛い女の子とも一緒に写真取れましたしね」

「……それなら良かった」

 

 二人で歩きながら楽しめたらしい美九の様子を見て、安心したトーマは軽く息を吐いて空を見る。そんな彼に視線を向けた美九は少し俯いた後、言葉を紡ぐ

 

「あの……お兄さん」

「どうした」

「お兄さん、もしかしなくても、また何かに巻き込まれてますよね」

「……どうしてそう思うんだ?」

「何となく……と言うか殆ど勘です。最近のお兄さんはいつもと少し違う感じがしたので」

 

 その言葉を聞いたトーマは、その場で立ち止まり少しだけ驚きの表情を浮かべたあと、今度は何とも言えない笑みを彼女へ向けて浮かべる

 

「伊達に長い付き合いやってるわけじゃないか」

「そーですよ……それで、お兄さんが今関わってることって、あんまり言えない感じの奴ですよね」

「あぁ、これに関してはオレ個人としての約束もあるからな」

「そうですか……」

「心配すんな、命に関わる事は絶対にないから……それと、もし何か困ったことがあったら。士道たちを頼れ」

「五河君たちを?」

「あぁ、アイツらならきっと何とかしてくれるからな」

 

 その言葉の後、トーマは美九にドラゴニックナイトとエターナルフェニックス、二冊の本を手渡す

 

「絶対に戻るから、その二冊は預かっててくれ」

「……信じて良いんですよね?」

「あぁ、半分は士道次第みたいな所はあるけど……信じても大丈夫だ」

 

 暫く目を伏せていた美九だったが、顔を上げると笑みを浮かべてトーマの方を見る

 

「わかりました! それならお兄さんを信じます。絶対に、帰ってきてくださいね!」

「あぁ」

 

 その言葉の直後、背後に現れた贋造魔女が放った光が周囲を覆い隠すとトーマはこの世界から消失する。その光景を最後まで見届けた美九は、瞳から溢れそうになる涙を抑えると、士道たちが居るであろう五河家へ向けて歩き始めた

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