デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第8-7話, 七罪を探せ Ⅳ

 時間は遡り本日の昼頃、士道と琴里の二人は天宮東公園までやって来る

 

「何しけた顔をしてるのよ、悩んだ所ですぐに七罪の正体がわかる訳じゃないでしょ」

「そ、そんなにか……?」

「えぇ、ゾンビを見てる方がマシってレベルで酷い顔だったわ」

「まじか……けど、確かに琴里の言う通りだ。こんな事してる場合じゃないか」

 

 士道のその言葉を聞いた琴里は、フンと鼻を鳴らしながら加えていたチュッパチャップスの棒をピンと立てた

 

「わかればいいのよ、わかれば。悩んでるだけじゃ何も解決しないわ……昨日一人消された所為で、間違っていたらどうなるかもはっきりした訳だし」

「誰も、いなくなる前に……カードに記されてた最後の文って、やっぱりそう言うことだよな」

「でしょうね」

 

 琴里は士道の言葉を肯定すると、指を一本立てながら考えを並べていく

 

「ここからは私の予想になるけれど……恐らく一日が経過するごとに一人、容疑者が贋造魔女によって消されていくんじゃないかしら。そして、七罪に化けた『誰か』を除く容疑者全員が消えてしまったら、七罪の勝ち。それまでに七罪を探し当てることが出来たら、士道の──士道たちの勝ち」

「……俺は本当に、七罪を見つけられるのかな」

「泣き言は聞きたくないわ。一人消されたことによって私を含めても容疑者は減った、猶予はまだあるけど余裕がないのわかってる?」

「あぁ……わかってる」

 

 琴里の言葉に頷いた士道だったが、それからしばらくの間無言になる

 

「……それで、士道」

「ん? どうした?」

「次のスケジュールまで、あまり時間の猶予がないんだけど」

「え? あぁ、そういえば……」

 

 今気づいたと言わんばかりの士道に対して、琴里は口をへの字に歪める

 

「だから、私を調べなくていいのかって言ってるのよ」

「あ……」

 

 そう言われて、士道は目を見開き。自然と頭から除外していたことを思い出す。琴里もまた七罪が化けているかもしれない人物の一人である事。無論、ついさっき自分に発破をかけてくれたかわいい妹が実は七罪でしたなどと考えたくないが、ラタトスクの司令である琴里が偽物で、見つけることが出来ずそのまま成り替わられてしまった場合の被害は計り知れない

 

「そうだな、じゃあ、いくつか質問を……」

「……ここで?」

「え?」

「調査って名目はついてるけど、これ、一応デートでしょ」

 

 その言葉を聞いた士道は頬をかくと昨日の令音との会話を思い出す。実際に一人消されたという状況でそれどころではなくなってしまっていたが、これはあくまでもデートなのだ。琴里が事情に通じていると言っても事務的な質問で終わらせて良いはずがない。士道は小さく息を吐き、ベンチから立ち上がると彼女へ手を差し伸べる

 

「そうだな、少し歩くか」

「……ん」

 

 琴里は憮然とした態度を崩さないようにしながらも、少しだけ頬を赤く染めながら士道の手を取り、ベンチから立ち上がると、二人手を繋いだまま、公園の外縁部をゆっくりと歩いていく

 

「なんか……こうやって二人で歩くのも久しぶりだな」

「……そうね」

「一応聞いておくけど、六月にデートした場所って覚えてるか?」

「当然でしょ。オーシャンパークよ」

「はは……正解」

 

 士道の言葉を聞いた琴里はフンと鼻を鳴らす

 

「けど、もし私が七罪だとしたら、こういう質問にあんまり意味はないかもね」

「どういうことだ?」

「考えてもみなさい。フラクシナスへの搭乗は禁止されているとはいえ、私はおおよその調査の砲身を知ってるのよ。過去の事を調べておくのは当然じゃないかしら」

 

 そう言って琴里が嫌な笑顔を浮かべると、士道は頬に汗を滲ませる

 

「お、おいおい、冗談はよしてくれよ」

「冗談ならいいけどね。一応、あれよ、ほら……そう言うのに左右されない方法で、調べておく必要もあるんじゃないの?」

「? どんな方法だよ」

「たとえばだけど、反応を見るために……してみるとか」

「してみる? 何を?」

「そ、それは……ほら、あの、あれよ……キ……キ──」

「──あ」

 

 士道はそこで、一つ思い当たった事があって眉を跳ね上げる。目の前に居る琴里が他ならぬ本人であると証明できる可能性の高い行動。それを実行するため琴里に言葉をかける

 

「──琴里、少し目を瞑ってくれるか?」

「! あ……う、うん……」

 

 士道にそう言われた琴里は微かに頬を染めながら目を伏せる。彼女に対して近づいた士道は──

 

「……とうっ」

 

 ──その掛け声と共に琴里の髪を括っている黒いリボンを奪い去った

 

「……ふぇ────っ!?」

 

 括られていたはずの髪が肩を撫でる感触で自分に起こった異常に気付いたのか、琴里は素っ頓狂な声を上げると慌てた様子で自分の頭を触り、本来あるべき場所にリボンが無いことを理解し──

 

「う、うわぁぁぁっ!?」

 

 ──涙目になりながら自分のリボンを奪い去った士道に飛びかかる

 

「お、おにーちゃん! 何するの! 返して! 返してたら!」

 

 涙声で叫びながら、士道の持つリボンを取り返そうとぴょんぴょん跳ねている琴里の様子を見て、目の前に居るのは本物の琴里だろうと内心で息を吐く。彼女は常日頃から強いマインドセットを自分に施しており黒いリボンなら高圧的な司令官モード……つまり強い自分を保つことが出来る。逆にリボンを外したり白いリボンだったりする場合は無邪気な可愛い妹モードになる

 

「おにーちゃん! おにーちゃーん!」

「うん、やっぱり琴里は琴里だ」

 

 そう言った士道は、リボンの有無で本物かどうかを確認し終えたため、もうリボンを返しても問題ないのだが……最近白モードの琴里を見ていなかったためか、目の前で飛び跳ねる琴里の姿に、妙な可愛く見えて仕方なかった。ちょっとした意地悪心が働いた彼は琴里の目の目にリボンをぶら下げ、彼女がジャンプするタイミングを見計らい手を上に持ち上げるを何度か繰り返す

 

「う……うぅ……」

「わ、悪い悪い。ほら、琴里」

 

 最初はリボンを取ろうとしていた琴里だったがずずっと鼻をすすり始めたあたりで流石にやり過ぎたかもしれないと思った士道がリボンを手渡すと、琴里は凄まじい速さでそれをひったくり、髪を二つに括った

 

「士道……あなたねぇ……」

 

 髪を括った琴里はゆらりと顔を上げ、鋭い視線を士道に向ける

 

「い、いやー、よかったよかった。こ、琴里は本物みたいだな!」

 

 今のはあくまで見極めるための手段だった、と言うことを強調するように声を張り上げる……が、琴里はまるで声が届いていないかのように少しずつ士道へと近づく

 

「こ、琴里? 落ち着いて──」

「問答無用ォォォォォォッ!」

 

 その言葉と共に自信へと放たれた右ストレートを受けながら、士道は自身のやりすぎを悟った

 

 

 

 

 

 腹に受けたダメージを抱えながら、士道は来禅高校の進路相談室にて岡峰教諭の誤解を解き、少しの休憩を挟んだ後、次の人物との待ち合わせ場所まで向かう。その最中に昨日と今日の二日間であったことを思い出す。自分の会った全員、普段と変わった様子は見られなかったし令音たちに頼んで見せて貰ったトーマ側の映像にも不審な点はなかった

 しかし、その中でも僅かな違和感が士道で燻っている、その違和感が生み出す気持ちの悪い感覚をどうにかする為に頭をガリガリとかきむしっていると、インカム越しに声が聞こえてくる

 

『……シン、そろそろ目的地だ』

「……、あ……」

 

 令音に言われてハッと頭を上げた士道は、自戒を込めて深く息を吐いていると、士道の向かっていた方向から聞きなれた声が聞こえてくる

 

「士道」

「あぁ、折紙。すまん、待たせたか?」

「今来たところ」

 

『……一応監視をしておいたが、一時間前から待っていたようだね』

 

 折紙の言葉を聞いた直後、士道はインカム越しの令音に聞こえてきた令音の言葉を聞き、力なく苦笑した

 

「? どうしたの?」

「い、いや……ほら、折紙と出かけるのも久しぶりだなと思って」

「そう」

 

 相変わらず表情を変えない折紙だったが、そのまま言葉を続ける

 

「私も、嬉しい」

「お、おう……」

 

 何も変わっていないように見えても、折紙とも長く付き合っているうちに自然と感情の変化を何となくだが読み取れるようになってきた。それ故にデートと言う建前を使っての調査に少なからず士道も胸が痛くなった

 

「それで、何を見るの?」

 

 そう言った折紙はビルを見上げると、そこには巨大な映画の看板がいくつも飾られている。今回の折紙とのデート場所は映画館、なのだが

 

「そうだな……まだ決めてないけど……」

 

 士道は何を見るのか決めていなかった。その言葉を聞いた折紙はぴくりと眉を動かした。その様子を見た士道はマズいと考えてすぐに言葉を続ける

 

「いや、すまん、そうじゃなくてだな……あ、そうだ、これにしよう! よくCMもやってるし……」

 

 慌てた様子の士道を後目に、折紙は静かに言葉を紡ぐ

 

「それは、見たい映画があったから私を誘ったのではなく、私と出かけたかったから誘ったということ?」

「え? あ、あぁ。そう……なるのかな」

「…………」

 

 士道が曖昧に答えると、折紙は無表情のままその場でぴょん、と飛び跳ねるとその場でくるりと身体の向きを変え、すたすたと映画館へ入っていく

 

「あ、おい、折紙?」

「きて」

 

 折紙に連れていかれるままチケットカウンターへ歩いていくと、空いている窓口の前に立ち、販売員に指を二本突き立てて見せる

 

「──十九時三十分からんぼブラックファンタジア。恋人二枚」

「へっ?」

「え、えぇと、大人二枚でよろしいですか……?」

「構わない」

 

 目を丸くした販売員のお姉さんに対して、折紙はよどみない動作で会計を済ませチケットを受け取ると、そのうち一枚を士道に手渡してきた

 

「はい」

「あ、あぁ……ありがとよ。あ、今日は俺が呼んだんだし、俺が払うよ」

 

 士道はそう言って財布を出そうとしたが、折紙の手がそれを止めてきた

 

「あとで、いい」

「え?」

 

 士道が目を丸くしている間に、折紙はドリンクや軽食などの売っているカウンターに歩いて行ってしまった。折紙の意図がどういったものなのか今一つわからず、呆然としているとインカムから令音の声が聞こえてくる

 

『……なるほど、映画が終わってもすぐ帰さないつもりか』

「…………」

 

 その言葉を聞いた士道は、これからどうなるのかを考えて背筋が寒くなった

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