デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第2‐3話, 不機嫌な雨

 来禅高校への配送の帰り道、乗ってきた車まで戻ったトーマは時計を確認する

 

「もうすぐ昼か……今日はどうすっかな」

 

 エンジンをかけてパーキングブレーキを戻す、最後にギアを動かして車を発進させる

 

「店戻って適当にまかない作る許可貰うか……ッ!?」

 

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──────

 

 車を走らせていると、街中に空間震警報が鳴り響く

 

「空間震か」

『トーマ、聞こえる?』

 

 周りに避難している人が多い中、トーマは車の中で状況を把握するとインカム越しに琴里の声が聞こえてきた

 

「聞こえてる……それより、精霊の場所は?」

『タブレットに座標を送るわ』

「助かる、そっちは士道のサポートに専念してくれ……俺は自分で現場に向かう」

『わかったわ』

 

 通信を切ってから程なくして、カバンの中のタブレットに空間震の座標が送られてくる

 

「空間震の範囲から外れてるが、結構近いな」

 

 車から降りたトーマは建物の影に移動し、ベルトを出現させ……引き抜く

 

――抜刀』

 

 剣を引き抜いたトーマの身体は炎に包まれ、その場から飛び立つ……目標は精霊の出現地点だ

 

 

 

「……ここか」

 

 降り立ってからすぐ、空間に広がった一滴の光を中心に世界が歪む。そして、爆音が広がるとともに空間が削り取られた

 

「タイミングバッチリって感じだな……って、雨?」

 

 さっきまで快晴だった筈の空は、どんよりと曇りぽつりぽつりと雨が降り始める

 

「……あの子は」

 

 空間震の中心にいた少女は、昨日に士道と一緒にいるときに出会った、左腕にパペットをつけた少女

 

「あの時感じた違和感は、そう言う事だったのか」

 

 なぜ彼女が空間震もなしに現れたのか、原理は分からないが前にも似たような事態に何度か遭遇したから特に気にはしない。などと考えていると上空から何かがやってくる

 

「AST」

『トーマ、聞こえるわね』

「あぁ、聞こえてる……それで、どうする?」

『いつも通り、暫くトーマは様子を見てちょうだい』

「……了解」

 

 様子見を始めてすぐ、目の前に広がったのはいつもの光景。ASTが攻撃をした所で精霊に対する決定打にはならない

 

「精霊が移動した、追跡する」

 

 精霊とASTが移動したのをみたファルシオンも動き始める、暫く追跡していると精霊は大型デパートの中に入る

 

「どうする、追跡するか?」

『いえ、トーマはそのまま待機して……今、士道が精霊と接触しようとしているから』

「わかった、とりあえずASTが邪魔しないように牽制でもしておく」

『ちょっと、何を──ッ!?』

 

 琴里の言葉を無視してファルシオンはASTの前に姿を見せる

 

「──フェニックスッ!」

「悪いが、お前達にはしばらくここで立ち往生してもらう」

「なんですって?」

 

 隊員の言葉を無視して、ファルシオンはASTへの警戒を緩めず士道たちの会話を聞いてみると、中々に順調なようだった

 

『──案がい、いい感じじゃない。そもそもが人なつっこい性格なのかしらね。好感度も上々よ。今すぐキスしようっていっても、拒まれはしないんじゃないの?』

『……おいおい』

 

 この調子なら大丈夫そうか、そう思った矢先ファルシオンに向かってミサイルが飛んできた

 

――抜刀 不死鳥無双斬り』

 

「オレに対する攻撃の許可は出たって訳か」

 

 ファルシオンに向かって放たれる攻撃をすべてぶった切り応戦を続けていると、インカムから警報音が聞こえてくる

 

「おい、何があったのか?」

『最悪の緊急事態が起こったのよ』

「最悪の緊急事態……だと」

『えぇ……今、士道たちと十香が一緒にいるわ』

「マジかよ」

 

『と、十香……?』

 

 想像以上に最悪の事態に軽く眩暈が起きそうだったが、デパートの中の出来事は士道に任せるしかない

 

『シドー……今、何をしていた?』

『……っ、な、何って』

『──あ、あれだけ心配させておいて……』

『え……?』

『女とイチャコラしてるとは何事かぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』

 

 その言葉と共に、ファルシオンの元にも若干の霊力が伝わってきた

 

「霊力、逆流してんじゃねぇか」

 

 デパートの中では痴話喧嘩、そしてデパートの外ではファルシオンとASTがドンパチ……実にカオスな状況である

 

『……シドー。おまえが行っていた大事な用とは、この娘に会うことだったのか?』

『あ、いや、それは……』

 

『トーマ』

「どうした」

『万が一の事を考えて、士道の所に向かって』

「了解」

 

 逃げていたファルシオンは踵を返してASTの方を向き、剣にブックをリードさせる

 

『永遠の不死鳥──無限一突』

 

 立ち止まったAST相手に斬撃を放ち、爆発を起こした隙にその場から撤退する

 

「ASTは何とかした、それで……士道たちの居場所は?」

『三階よ』

「わかった、大至急向かう」

 

 インカムの向こう側から十香の乱心した声が聞こえてくる。これは本格的にまずいかも知れない

 

『よ、よしのん……?』

『わ……ッ、私は! いらない子ではない! シドーが……シドーが私に、ここにいていいと言ってくれたのだ! それ以上の愚弄は許さんぞ! おい、何とか言ったらどうだ!?』

 

「いったい何が起こってる」

 

 炎の鳥の状態で三階まで辿り着くと、奥の方から話しをする声が聞こえてくる

 

「ぬ。な、なんだ? 邪魔をするな。今私は、こやつと話しをしているのだ」

「──かえ、して……っ、くださ……っ」

 

 人気の全くないデパートの中だから、小さい声でもよく響くし、ファルシオンもすぐに士道たちの姿を見つけることが出来た。ファルシオンになったことで強化された視力で様子を見ると、十香の手にはあのパペットが握られていた

 

『──何してるの士道。よしのんの精神状態まで揺らぎまくりよ。早く止めなさい!』

「な、なぁ、十香。その……それ、返してやってくれないか?」

「…………っ!」

 

「片方を立てるともう片方がへそを曲げる……面倒すぎるだろ」

 

 そう思った矢先、今までよりも激しい霊力を感じ、それと同時にファルシオンの状態になっていても貫通する程の冷気を感じる

 

「……っ、氷結傀儡(ザドキエル)……っ!」

 

 少し離れた場所から様子を見ていると、精霊の召喚した人形は白い煙のようなものを吐き出した

 

「まずいかッ!」

――抜刀 不死鳥無双斬り』

 

 士道たちと天使の間を遮るように炎の斬撃を放ち、士道たちの前に立ちふさがる

 

「トーマっ!」

『このタイミングで天使を顕現……ッ! トーマ、今すぐ士道と十香を連れて逃げなさい!』

「あぁ、わかっ──ッ!?」

 

 わかったと伝えようとした矢先、少女の天使は低い咆哮と共に身を反らした。

 そうするとデパート側面部の窓ガラスが次々と割れ、フロアの内部に雨が侵入してくる……いや、侵入してくるのではなく、雨が窓ガラスをたたき割って侵入してきたと言った方が適切かも知れない

 

「いぃ……っ!?」

 

 そして、天使はゆっくりと十香の方を向くと、透明な弾丸のようなものが放たれた

 

「……ッ! 十香!」

「な……っ、シドー!?」

「はぁッ!」

 

 数おびただしい数の弾丸の大半を斬撃の炎で消し去ることが出来たもののも凝った一部は士道たちのいた場所を穿った

 

「……ぁっ」

 

 そして、炎の斬撃で雹の弾丸を打ち消したと思っていたファルシオンだったが。何発かの弾丸をその身に受け、膝をついてしまった

 

「……っ」

 

 その様子を見ていた士道は十香を庇うように立つが少女の天使は見た目に似合わぬ機敏な動きで割れた窓から屋外に飛び出していった。その途中で──十香の手から床に落ちたパペットを、口に当たる部分でくわえて

 

「た、助かった……のか?」

『……えぇ。反応は完全に離脱したわ。なかなか無茶をするわね、トーマも士道も』

「や……でもなんでいきなり──」

「いいから早く離さんか……ッ!」

 

 十香に肩を掴まれた士道、その場に転がされた

 

「のわ……っ!?」

 

 今の今まで士道の腕の中にいた十香は、頬を紅潮させるというよりも駄々をこねる表情を作りながら、その場に立ち上がった

 

「と、十香……?」

「……っ! 触るなっ!」

「いて……っ」

 

 どうやら厄介なことになっているのはあの精霊だけではなく十香もらしい、身体は修復されたが体力は殆ど残っていないトーマはその場に寝転がって目を閉じた




不機嫌になった十香
入り乱れるそれぞれの想い
何故少女は急に天使を出したのか

次回、すれ違ってまた出会って
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