デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第9-1.5話 ,蠢く者Ⅲ

 アイザック・ウェストコットは、イギリス、イースロー空港から日本の成田空港まで向かうプライベートジェットを降り、空港の専用ターミナで待たせていた車に乗り込み、に呑んでの宿泊先である東京都天宮市のホテルに向かっている最中。彼の対面に座っていた男──イザクは、手に持った本の胎動を感じ僅かに顔を歪める

 

「どうかしたのかい、イザク」

「……どうやらこの街にばら撒いていた情報源(メギド)が少々消されたようで、少々驚いてしまいました」

「そう言うことか、それで、感づかれたのかい?」

「いえ、偶然発見されただけでしょう。数だけは取柄のメギドをばら撒きましたから、核が見つからない限り無尽蔵に兵士は現れる……心配は無用です」

 

 心配をしていない様子でウェストコットにそう告げたイザクを見て、彼は瞳を閉じてから笑みを浮かべる

 

「そうかい……しかし、こうも短期間に往復が続くと、さすがに疲れてしまうな。どうだろう、いっそのこと日本に居を構えてしまうというのは」

「いいのではないですか、日本は住みやすい」

 

 ウェストコットの言葉を肯定するイザクに対し、彼の隣に座っていたエレンが鋭い視線を向けてくる。その視線を受け冗談めかして軽く肩を竦めたイザクを見た後、エレンは言葉を発する

 

「本来であれば、今回の渡日も延期していただきたかったくらいです。あんなことがあったばかりだというのに、よく自分の城をがら空きにできるものだと感心してしまいます。イザク、貴方も先の出来事を知っているのによくそんなことが言えますね」

 

 強い口調で言う彼女に対し、ウェストコットは小さく肩をすくめる

 

「そう褒めないでくれ、照れてしまうよ」

「誉めていません」

 

 最も、エレンが言っていることも間違いではない。イギリスのDEMインダストリー本社で行われた取締役会、そこでの出来事はエレンの物理的解決によって事なきを得たが、それを抜きにしてもウェストコットの事を快く思わない若手の取り締まり役会に準備期間を与え、再び反旗を翻される可能性が高い

 

「別に、それならばそれで構わないさ。隙あらばこちらののどを食いちぎろうとしてくるくらい野望に溢れた人間の方が、私は好きだよ」

「あなたはそれでいいかもしれませんが、後処理をする方の身にもなってください」

「善処するよ」

 

 神経質になっているエレンとは正反対に、ウェストコットは面白いと言った表情で言葉を返した

 

「それより、例の件は調べてくれたかい?」

「……はい、こちらです」

 

 エレンがカバンから取り出したのはクリップで留められた書類の束、それを受け取ったウェストコットはそこに印刷された写真と文字列の束に視線を落とすした

 

「……なるほど、十数年前に今の家の養子になった、か。そして妹には精霊 イフリートの疑い……よくもまぁ、ここまで揃ったものだな。いや、揃えた、と言うべきか」

「それは、五河士道に関する調査資料ですか」

 

 イザクがそう問いかけると、彼は資料へと目を向けたまま言葉を紡ぐ

 

「あぁ、彼は精霊と深く関わっているからね……プリンセス、ハーミット、ベルセルク、ディーヴァ……そしてイフリート。確認できるだけで六人の精霊が彼の元に集まっている。エレン、君はこれをどう見る?」

「……ラタトスクの関与は間違いないかと」

「それは間違いないだろう。精霊の力を封印することの出来る少年──それをラタトスクが利用しているのは疑いようはない。如何にそんな力を持っていようとも、巨大な組織のバックアップがなければ、これだけの数の精霊に接触を図る事は不可能だろう。だが──本当にそれだけ、かな」

「と、言いますと?」

 

 ウェストコットの言葉に、エレンは怪訝そうな表情を浮かべ、そう問いかける

 

「そのままの意味さ、この奇異で依歪な状況を作り上げたのは、果たして本当に、我らが御敵──ラタトスクの意思のみによるものなのかな」

「……他に、裏で糸を引いている者がいると?」

「さてね。だふぁもし仮にそうだとしても、我々のやることに変わりはないさ。そうだろう?」

 

 エレンは、数秒間ウェストコットの思惑を探るようにじっと顔を見つめたのち、こくりと首を前に倒した

 

「無論です」

「それでこそ、人類最強の魔術師。──準備ができ次第、早速動いてもらうよ。イザク、君もね」

「えぇ、承知していますよ。その為に手駒をばら撒いたのですから──それで、一体誰から始めるのですか?」

 

 その問いに対して、ウェストコットは手元の資料に視線を落としながら、言葉を続ける

 

「この資料に載っている精霊たちは、しばらく泳がせて置こうと思っている。精霊ではないがファルシオンも同じだ──もちろん、好機とあらば首を取っても構いはしないがね」

「どういうことですか」

「プリンセスが反転体となったことは記憶に新しいだろう。愛しき魔王が、我々の前にその姿を現したことは」

「はい」

「その原因となったのは他ならぬこの少年、イツカシドウだった。君が彼を殺そうとしたとき、プリンセスは絶望の淵に立ち、自らの領分を超えた力を強烈に欲し──結果、魔王 暴虐公(ナヘマー)の柄を掴むに至った」

 

 ウェストコットは資料を膝に置き、両手を広げる

 

「我らが焦がれてやまなかった魔王が、ああも容易く現れるなんて一体誰が想像できただろう。精霊は──少なくともプリンセスは、彼を心から尊び、信頼し、愛している。素晴らしいことじゃないか。彼らには、もっともっと信頼関係を深めておいていただこう……来るべき時のために、ね」

 

 その言葉を聞いたエレンとイザクの二人は、その意図を察する。五河士道と精霊たちの信頼が深くなればなるほど、それを失った時の絶望は深く、大きいものになる。それはファルシオン──トーマにも同じことが言える、彼らを失うのを恐れ、恐怖に苛まれた時、彼女たちは己の領分を超えた力を求める

 

「五河士道を、『鍵』としてお使いになるつもりですか」

「鍵、か。なるほど、良い表現だ」

「しかし、皮肉なものですね。ラタトスクの見出した、精霊をすくための秘密兵器が、我々の切り札にもなりえるとは」

 

 ウェストコットの言葉にそう返したイザクへと、視線を向けたエレンは言葉を続ける

 

「薬が毒となるのは、取り立てて珍しいことではありません」

「……それもそうですね。しかし、他の精霊を泳がせるのならば我々は誰を狙うおつもりで?」

 

 少し芝居がかった所作でイザクがウェストコットに問いかけると、その様子を見た彼は少し笑うと言葉を返した

 

「誰を狙う、それは君もわかっているだろう。誂え向きなことにASTから報告もあった。変身能力を持つ精霊 ──ウィッチが天宮市内で出現し、そのまま消失が確認されていないと」

 

 その言葉を聞いたイザクは、やはりと言う表情を見せた後。手に持っていたアルターブックを使い、天宮市内に放っていたアリメギドへとウィッチを探すよう命令を出した

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