デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第9-2話, 接敵

 七罪の様子を掴めずに数日が経った頃、天宮市から少し外れた場所にある森の中で、再び大人の姿へ変身した七罪は眼下に広がる街を眺めていた

 

「はぁ……」

 

 そんな彼女が浮かべている表情は晴れやかな表情ではなく憂鬱な表情。そんな彼女が考えていたのは、これから自分がどう動くべきかと言うこと、士道の事を許した訳ではないが本当の姿を知られてしまった以上姿を消すのも手段の一つ

 

「姿を消すのが、ベターかしらね──!」

 

 七罪が贋造魔女を顕現させた瞬間、自身に近づいてくる気配を感じ取る

 

「まさか、見つかった……? けど、ここで捕まるのは願い下げよ」

 

 顕現させた贋造魔女へと跨り、足場を蹴ると贋造魔女ごと身体が宙に浮かび、凄まじい速度で空を駆ける。木と木の間を這うように進んでいると、前方に遮蔽物が現れた事で僅かに速度を落とした瞬間、上空から放たれた光が七罪の居た場所の付近を深々と抉る

 

「……保護を目的とするわりに、随分と荒っぽい挨拶ね」

 

 居場所を補足されている以上、更なる逃走は不得手、そう判断した七罪は贋造魔女を降り、上空へと視線を向けると、浮遊していた人影は冷徹な眼差しで七罪を見つめながらゆっくりと地面へ降り立つ

 

「残念ですが、私は貴方が想像しているであろう組織とは関係ありません」

「ふぅん……まぁ、誰でもいいけど、私に何か用かしら?」

「知れたこと」

 

 七罪の目の前に降り立った、全身に白金の鎧を纏った女性──エレン・M・メイザースは背に負った長大な剣を引き抜き、言葉を返す

 

「──ウィッチ。あなたを、狩らせていただきます」

「へぇ……ま、無駄だと思うけど……できるものならやってみなさい」

 

 彼女の言葉に返した七罪もまた、贋造魔女の能力をいつでも行使できるように意識する

 

「無駄かどうか、やってみればわかります」

 

 警戒はしているものの、目の前に居る精霊が自分の実力を下に見ている。その可能性に気付いたエレンは不かいように眉を動かし、高出力レイザーブレイド──カレドヴルフを構える。

 そして、互いの視線が交差した瞬間──上空から数名の魔術師(ウィザード)が七罪の背後へ降り立った。エレンと共に七罪を追っていたDEMの魔術師たち、自分の速度についてこれなかった彼女たちだが、ようやく追いついたらしい

 

「遅いですよ」

「も、申し訳ありません。エレン様……!」

「ですが、我らにはあの速度は……」

 

 自分の言葉にそう返してくる魔術師たちを見て、エレンは小さく息を吐いた。ウィッチ追跡の任についているのは腐ってもDEMの魔術師、凡百の魔術師に比べても遥かに練度が高いはずだが、実際はこの体たらく

 再び七罪へと視線を戻したエレンは、改めて祟宮真那とジェシカ・ベイリーを失った損失がいかに大きいものかを理解する

 

「……なるほど、アイクの言う事をわからないではありませんね」

「執行部長殿、何か……?」

「何でもありません。戦いに集中してください」

 

「無駄話は終わったかしら?」

「えぇ、今しがた終わった所です」

「そう、まぁ私にはどうでもいいけど──ねッ!」

 

 その言葉に合わせ、七罪は贋造魔女を大きく振るうと霊力の光とそれに付随する霊圧が迸り、彼女を囲っていたエレンと魔術師たちに襲い掛かる。その攻撃に対し、エレンは小さく鼻を鳴らすと地面をトンと蹴り随意領域(テリトリー)を操作して上空へと飛び上がる、七罪の背後に居た魔術師も周囲に散開する

 

「この……!」

 

 周囲に散った魔術師たちが、七罪目がけて何発ものマイクロミサイルを射出される……が、七罪は贋造魔女の柄をトン、と地面当てる

 

「贋造魔女!」

 

 七罪が言葉を放った瞬間、贋造魔女の先端が放射状に展開し、中央に据えられた鏡が凄まじい光を放つ。その光がミサイルに触れた瞬間、ミサイルはキャンディやチョコレートと言ったお菓子へと変貌する

 

「な──」

 

 ミサイルを放った魔術師たちが目の前の光景を見て狼狽すると同時に、お菓子が周囲に着弾し。ポン! と言うコミカルなな音を立ててはじけ飛び、周囲に甘い匂いが漂った

 

「素敵なプレゼントをありがとう、それじゃあ私もお返しをあげる──贋造魔女!」

 

 七罪が再び贋造魔女を掲げると、周囲を目映い光で覆っていく

 

「……?」

 

 その光を受けたエレンは、自分の身体を襲った奇妙な感覚に、微かに眉をひそめる。同時に、周囲に展開していた魔術師たちの悲鳴があちこちから響いてきた

 

「う、うわぁっ!?」

「な、なんだこれは……」

 

 視線のみを悲鳴が聞こえた方へと向けると、そこには見慣れぬ子供の姿は何人も確認できた──否、よく見てみると視線に映った子供はみな、エレンの部下の特徴を残しているのがわかった。この奇妙な現象は七罪の贋造魔女が持っている能力の一つ、そう考えたエレンはカレドヴルフを握っていない左手に目を向けると、案の定視界に入ったのは自身の記憶よりも小さい手

 

「ふふっ、随分と可愛くなっちゃったわね」

「まだしょうぶはついていませんよ」

 

 小さくなった自身に対してくすくすと笑っている七罪に対して、小さくなった身体とそのままの大きさのCR-ユニットと言う妙にアンバランスな姿のエレンはそう言うと脳に指令を発し、随意領域を操作し、自分の状態を確かめる。

 筋肉量、骨密度、大赦機能、神経系、その他諸々がどうなっているのか確認すると、見た目相応に能力が低下しているという結果に辿り着く。舌を動かす筋肉すら見た目相応になり、発音さえ阻害されているあたり、厄介な能力だが

 

「──じゅうぶんです。あなたをころすには」

 

 舌足らずな調子でそう言った直後、エレンはカレドヴルフの柄を握り直して空を蹴り、一瞬のうちに七罪へと肉薄した

 

「ッ!?」

 

 その一撃に対して、咄嗟に防御の体勢をとった七罪だったが、エレンの逆袈裟斬りを喰らい体勢を崩す。そのまま防御の姿勢を取ることが出来ない七罪に対し、エレンは更にカレドヴルフを振り抜いた

 

 

 

 

「えっ……っ?」

 

 体勢を崩された七罪は、胸部から腹部がカッと熱くなるような感覚が通り抜け──七罪は後方に倒れこむ。僅かに霞んだ視界で、熱を感じた場所に視線を向けると夥しい量の血液が自分の身体から流れていた

 それを見た瞬間、強烈な痛みが七罪の身体を駆け抜ける

 

「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ……ッ!?」

 

 凄まじい痛みに、七罪は悲鳴を上げる。鋭い棘が全身を指していくかのような感覚。意識は朦朧となり、少しずつ視界が霞んでいく。いっそのこと意識を失う事が出来たらどれだけマシだろうかと思えたが、身体を走る痛みが意識を失う事を許してくれない

 

「う、そ……」

 

 慢心はしていなかった……が、目の前に居る魔術師の力を自分より下に見ていたのは事実だ、実際にASTの魔術師は自分でも撃退出来ていたし素人目にみても実力は大したことなかった……だが、目の前に居る魔術師は自分の身体を子供にされても尚、自身に攻撃を仕掛け、霊装ごと自身の身体を切り裂いた

 

「──なるほど、やはりちからはおちているようですね、わたしがあのしきんきょりで急所を外すなんて」

 

 倒れている七罪に向けて歩いてくるエレン、彼女が言葉を発している最中に身体が淡く発光し、もとの姿に戻る

 

「おや、元に戻りましたね」

 

 元に戻った身体の調子を確かめるように、左手を握ったり開いたりしたエレンは、再び七罪へと視線を落とす

 

「さて、どうしましょうか。私としては生け捕りでも、殺して霊晶石(セフィラ)のみを取り出してもよいのですが」

 

 冷淡に言葉を発してくるエレンの姿を見て、七罪が感じたのは死が自分へと迫って来る感覚。目の前の状況にただ恐怖していると元の姿に戻った魔術師たちが七罪の周囲を囲う

 

「執行部長殿。いかがいたしますか」

「生かして連れて行きましょう。この傷なら暴れる事はないと思いますが……厄介な能力を持っているようですし、念のため四肢を落としておきましょう」

「──ひ……ッ」

 

 息を詰まらせ、上手く力の入らない身体を何とか動かそうとする七罪を見ながら、エレンが振り上げた剣を下ろそうとした瞬間────淡い水色をした骨が彼女の剣を弾いた

 

「これは────ッ!」

 

 その一撃を受けた直後、七罪と周囲を囲んでいた魔術師へ向けて桃色の弾丸が放たれる

 

「え……?」

 

「間一髪みたいだな」

「間に合ってよかったです」

 

 七罪の事を守るようにエレン達の前に立ったのは見知った姿の男と、鎧のような淡い桃色の霊装を纏った少女

 

「な、なんで……ここに……」

 

 七罪がその言葉を言った直後、周囲の気温が下がり、パリパリと音を立てて、魔術師の随意領域ごと周囲を凍らせていく。周囲に居た魔術師たちは随意領域を解除した後、空中へと逃げようとしたが再展開するよりも凄まじい風が魔術師たちを吹き飛ばした

 

「くく! 賢しい戦術だ、だが!」

「残念。夕弦たちがいる以上、空は我ら八舞の領域。悪手と言わざるえません」

 

 七罪の元にやってきた彼女たちから少し遅れる形で、十香と士道の二人も七罪の元にやって来る

 

「無事か!」

「七罪! お前……怪我して……!」

「士道、七罪の事を頼んだ」

「あぁ、待ってろ七罪! すぐに治療してやるから」

 

「ウィッチだけでなく、プリンセスにベルセルク、ディーヴァ、それにこの冷気はハーミット……アイクからは様子を見るようにと言われていますが、こうして目の前に現れたのなら話は別でしょう」

「こっちが数的には優位何だが……隠し玉があるみたいだな、周りから嫌な気配が漂ってきてるぞ」

「やはり気付いていますか、ならば遠慮なく」

 

 トーマに対して言葉を返したエレンは、パチンと指を鳴らすと木の影から無数のアリメギドが姿を現した

 

「それじゃあ士道、任せたぞ」

「あぁ」

「十香、フラクシナスに移動するまで、士道たちの事任せられるか?」

「うむ、任せておけ」

 

 士道と七罪がフラクシナスへと移動するまでの間、二人の事を守る役を十香に任せると、美九と共にトーマは一歩前に出て、腰に無銘剣の納刀されたブレードライバーを出現させた……が、すぐにベルトは青い炎に包まれ火炎剣を納刀したソードライバーへと変化する

 

「……今回はどうしてもって事か」

 

 勝手にベルトが変化した理由を察したトーマは懐からプリミティブドラゴンとブレイブドラゴンの本を取り出す

 

「人工精霊の核に使った禁書ですか」

「あぁ、好き勝手使われて文句があるみたいだ──いくぞ」

 

 トーマの声に答えるように本のページが開かれ、現れた骨の腕がブレイブドラゴンを装填する

 

【ブレイブドラゴン ゲット!】

 

 ベルトにプリミティブドラゴンを装填したトーマは、火炎剣の柄を逆手で持ち、ベルトから引き抜いた

 

『烈火抜刀!』

『バキッ! ボキッ! ボーン! ガキッ! ゴキッ! ボーン! プリミティブ────ドラゴン!』

 

 青い火花を散しながら、トーマの姿はセイバー プリミティブドラゴンへと変化させると、火炎剣を構え戦闘態勢に入った

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