デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
フラクシナスへと一度戻ったトーマは美九たちと一度別れた後ラタトスクの所有する地下施設へ運んでいた。その施設内にある部屋の一室、フラクシナスの艦橋と似た作りになっている部屋の中へ入ると、中央に置かれていた椅子がくるりと回転し、そこに座っていた琴里が顔を見せる
「いらっしゃい、よくここがわかったわね」
「優秀な案内役に頼ったからな」
そう言いながらトーマはスマホの画面に映る鞠亜の姿を琴里に見せると、彼女も納得の表情を浮かべる。画面の中に居た鞠亜はペコリとお辞儀をすると画面の中から消え、フラクシナスへと戻っていた
「それで、七罪は?」
「丁度治療が終わった所よ。今は別室で休んでるわ」
琴里の言葉を聞いたトーマは軽く息を吐き安堵の表情を浮かべた後、今度は怪訝そうに眉をひそめた
「ところで、その引っかき傷はどうしたんだ」
「……気にしないで、野良猫に引っかかれただけだから」
「そうか、それなら気にしないでおく。それじゃあ、オレは少し七罪と話してくる」
「今は士道が対話を試みてるけど、お願いするわ……それじゃ、案内するわ」
「鞠亜たちに頼むからわざわざ案内して貰わなくても大丈夫だぞ?」
「協力者とは言えトーマは外部の人間、問題はないと思ってるけど一人でうろつかせるのは少し、ね」
「……そう言うことか」
自分が信用されていないともとれる発言だったが、トーマ自身この組織が秘密結社であることを理解しているためあまり追及はしない。彼女の案内に従い七罪のいる場所まで向かっていると、琴里はゆっくりと言葉を紡ぐ
「エレンの事もあるし、本当であればフラクシナスに収容するのがベストなんだけど……さすがに未封印状態の精霊をあそこに置いておくわけにはいかないしね」
「それもそうか」
未封印状態の精霊は天使の力を十全に振るう事が出来る。隔離エリアに収納するとは言えその力を使われた場合フラクシナスはひとたまりもないだろう。そう考えていると不意に琴里が足を止め、目の前にある頑丈そうな扉に視線を向ける
「ここよ」
「ここに七罪が居るのか?」
「えぇ、開けるわよ」
琴里は端末を操作した後、手のひらを当てると軽快な電子音が鳴り、扉がスライドする。琴里と共に中に入ると、想像よりもかなり広い部屋がトーマの目に映る。中には様々な機会が並び、部屋の中央には頑丈そうなガラスで仕切られた部屋があった。
その中に居たのは露骨に不機嫌そうな表情を浮かべている七罪と顔に引っかき傷を負った士道の姿が見えた
「一応聞くが、士道はどうだったんだ?」
「……見ればわかるでしょ」
「やっぱそうだよな、それじゃあ少し話してくる」
琴里にそれだけ言ったトーマは部屋まで歩いていくと、扉を開けて中に入る。扉が開いた瞬間、七罪はビクリと肩を揺らし士道もまた扉の方へと視線を向ける
「よう、二人とも」
「おう」
「…………」
「それで、少しは仲良くなれたのか?」
「まぁ、そこそこって感じだな」
「……別に」
「そうか、それじゃあ士道。タッチ交代だ」
「わかった、後は任せた」
士道が出て行くのを見送った後、トーマは備え付けの椅子に腰を掛けて彼女へと話しかける
「それで、何を話してたんだ?」
「別に何でもいいでしょ」
「まぁそう言うな……とりあえず、しばらく居座らせてもらうぞ」
何も答えない七罪の方に視線を向けた後、トーマはキッチンに備え付けられていたインスタントのコーヒーを作り始める。少し時間を置くとすぐにコーヒーは完成したため椅子に座り直して、少しぶりの休息を取る
それからしばらく時間が流れた頃、布団の中から少しだけ顔を出した七罪がトーマの方へと視線を向ける
「ねぇ」
「どうした?」
「本当なの、アイツが言ってた死にかけたとか、街を氷漬けにされたとかって話」
「あぁ、本当だぞ。なんならそこら辺の事件はオレも現場にいた」
「ふーん、そうなんだ」
「なんだ、今まで散々な目に遭ったからお前がやった事なんて何ともないって言われたか?」
「まぁ、そんなとこ」
いかにも士道の言いそうな事だと思ったトーマは少し笑った後コーヒーに口をつける
「アイツ、今の私がそんなに悪くないとか、魅力があるとか言ってきた。そんな訳ないのに」
「毎回思ってたが、七罪は自分を卑下しすぎだな」
「……まさか、アンタもアイツみたいなこと言うつもり?」
「あぁ、士道の言う通り、お前は自分が思っている以上に魅力がある、オレの見た限りだと……他の精霊に劣らないレベルのな」
「バッカじゃないの? そんな事あるわけないでしょ」
少し頬を赤らめてそう言った七罪に対して、トーマは特に表情を変えることなく言葉を返す
「オレが滅多なことがないと嘘言わないのを知ってるだろ?」
「それは……そうだけど」
「少なくとも、オレはお前との会話で嘘をつくつもりはない」
「……ロリコン」
「ロリコンではない」
その後、特に会話をすると言った事はなく静かな時間が流れた後、その日はそれ以上何かを話すと言った事はなくトーマは彼女との面会を終えた
トーマが部屋から出たところで、スマホから着信音が鳴ったかと思うとひょっこりと鞠奈が顔を出す
『やっほー』
「鞠奈? 何かあったのか」
『五河士道たちから伝言を預かっててね、それを伝えに来ただけよ』
「なるほど……それにしても珍しいな。こういうのは基本鞠亜が担当すると思ってたが」
『基本的に二人で一つの私たちでも、全部を一つで共有するのは何かと面倒なのよ……それで権限の一部を私に移譲して別々に行動したらどうなるのかを試してるのよ。この
そう言ってくるリとその場で一回転すると、改めて彼女の全体像をはっきりと見ることが出来た。髪型は通常のロングではなくポニーテールへと変更され、黒いシスター服のような衣装は特に変わっていないように見えるが袖が長袖から半袖に変わっていたりスカートがショートパンツになっていたりと細々とした変化が見受けられた
「良いんじゃないか、鞠奈らしいと思う」
『そ、それならいいわ……それで預かった伝言だけど、明日あの子相手に何か仕掛けるみたいだからよろしくだって』
想像以上にざっくりとした伝言を聞いたトーマは頭に疑問符を浮かべながら彼女に言葉をかける
「何かって、随分とアバウトだな」
『アンタには中立を保って欲しいんですって。まぁ良いんじゃない? 自分のやったことをやり返されてるだけだし』
「……それもそうか」
確か自分も似たような事をやったかと思ったトーマは説明の消化不良感を無理やり押し込める
「伝言は確かに聞いた。オレはオレで成り行きに任せることにする」
『了解、それじゃあ私は戻るとするわ』
「もう戻るのか? 実験ならもう少しここに居ても構わないぞ」
『言ってもらえるのは有り難いけど、少し支障が出てるっぽいのよねぇ』
何とも言えない表情をしている鞠奈の言葉を聞き、トーマは首をかしげる
「支障?」
『えぇ、今までの状態なら情報の処理を私と鞠亜の二人で分散してたからその分、より多くの事が出来るようになってたの』
「二人いる分処理が早くなってたって事か」
『そう言うこと、けどこうして二人で別々の行動をして権限を片方に偏らせたらその分、私に出来る事は少なくなるし鞠亜のやることが増える。端的に言うと今のままだと私が鞠亜と一つになる前の状態に戻ってるの』
「って事は、二人になって上がってた分の処理は……」
『私が増える前の状態に逆戻りって事……はぁ、本当なら権限を均等に分散するのが良いんでしょうけど私は元々よその子だしねぇ、ここら辺も要検討ね』
「……大変そうだが、頑張ってくれ」
『言われなくてもよ、それじゃあね』
そう言うと鞠奈の姿が画面からふっと消える。それを見送ったトーマもまたスマホをポケットにしまった後、明日何が起こるのかを考えつつ帰路についた