デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第9-6話, 七罪とデート

 デートの約束をしてから翌日、トーマは一人駅前で七罪の事を待っていた。そんな彼は自分の耳に付けたインカムに手を当てて、向こうに居る人物に声をかける

 

「あー、聞こえるか?」

『えぇ、問題なしよ』

「よかった、わかってると思うが────」

『今回はトーマ、貴方と七罪のデート。だから私たちからの指示は不要、でしょ?』

「その通り、七罪の精神状況やらはモニタリングを頼むが基本的にはこっち主導で動かさせてもらう」

 

 インカムの向こうに居る琴里たちが何を思っているのか、今のトーマにはわからないがデートに関する許可は取っているから問題ないだろう

 

『まぁ、そこら辺はわかってるわよ。とりあえず七罪はそっちに向かわせたから、後の事はお願いね』

「了解」

 

 フラクシナスとの通信から程なく、トーマの視界の端に見慣れたシルエットが映った。そこに居たのは昨日と同様に身なりを整えた七罪、中々こっちまでやってこない彼女を見て僅かな笑みを浮かべたトーマはその場から移動して彼女へと近づき、声をかける

 

「あっ……」

「よう、七罪」

「……うん、お待たせ」

 

 何とも言えない表情で自分の方を見る七罪に対して、トーマは笑みを浮かべると彼女に対して手を差し出す

 

「それじゃ、行くか」

「…………その手、なに?」

「デート何だ、手ぐらいは繋いだ方が雰囲気出るだろ?」

「……あっそ」

 

 おずおずと言った様子で七罪はトーマの手を取ると、二人で人通りの多い街の中を歩き始め────ようとした所でトーマは足を止める

 

「こっちじゃないな、七罪。向こうの道から行こう」

 

 そう言ってトーマが指を差したのは目の前に広がる人の多い道ではなく、人通りの少ない道

 

「な、なんで?」

「なんでって、人混みが多いのは苦手だろ、お前」

「そ、それはどうだけど……」

「それじゃ、行くぞ」

「あっ、ちょっと──」

 

 少し無理矢理と言った形ではあるが七罪の手を引いて人通りの少ない道を通り彼女とのデートを開始した

 

 

 

 同時刻、フラクシナスにて琴里たちは始まったデートの様子を観察していた

 

「令音。七罪の精神状態はどんな感じ?」

「……精神状態、好感度ともに良好だ。流石に付き合いが長いだけあるね」

「悔しいけどその通りね、仮に私たちだけだった場合。もう少し時間がかかってたでしょうから」

 

 琴里たちと同様に艦橋で二人のデート、その様子を見守っていた士道は琴里に対し声をかける

 

「なぁ琴里、トーマはどんな感じでデートするつもりなんだ?」

「さぁ?」

「さぁって、お前なぁ」

「どんな感じも何も、具体的なデートプランを聞いてないんだからどうしようもないでしょう」

「……それも、そうだな」

 

 トーマと七罪がどのようなデートをするのか、具体的な内容を聞いていない琴里たちは二人の事を見守るしかできなかった

 

 

 

 

 そんなフラクシナスを他所に、トーマは七罪の手を引いて真っ直ぐ迷いなく道を進んでいた

 

「それで、どこに向かってるわけ?」

「何処に……か、強いて言うならオレの行きつけの店だな」

「行きつけの店?」

「あぁ、教えるのはお前が初めてだけどな」

 

 トーマは出来るだけ人通りの少ない道を進み辿り着いたのは街の中にポツンと立っている喫茶店

 

「ここは?」

「世にいうブックカフェって奴だな。そんでオレの行きつけの店でもある」

 

 目の前から漂うオシャレな雰囲気に引き気味の七罪を他所に、トーマは慣れた手つきで扉を開く、カランと言う鈴のなる音と共に漂ってくるのはコーヒーの匂い

 

「こんにちは」

 

 トーマは七罪の手を引いて喫茶店へ入ると、カウンターから壮年の男性が顔を出した

 

「あぁ、トーマ君。いらっしゃい。そっちの子は……お友達かな」

「えぇ。冨加宮さん、奥の席借りても問題ないですか?」

「問題ないよ、相変わらずお客さんは殆どいないからね」

「ありがとうございます」

 

 喫茶店のマスター、冨加宮に許可を取ったトーマは、先に七罪を座らせてから自分も席に着いた

 

「……なんか、オシャレな所ね」

「おしゃれだけどそれ以上に静かな所だ、常連くらいしか人も来ないしな」

 

「一言余計だぞ、トーマ」

「あたっ」

 

 片手に盆を持った冨加宮はトーマと七罪の前にコーヒーを置くと、そのまま彼の頭を軽く叩いた

 

「あっ、えっと……ありがとう、ございます」

「気にするな、お代はこのアホに請求するから好きに頼んでくれ」

「いや、まぁそれはいいですけど……アホは酷くないですか?」

「実際アホなのは事実だろう……それじゃあ、ごゆっくり」

 

 それだけ言い残すと冨加宮はカウンターの方へと戻って行ってしまった。その様子を見送ったトーマは軽く頭を掻いてから、改めて七罪へと向き直る

 

「すまん、少し話し込んじまった」

「別に、気にしなくていいわ」

 

 その言葉の後、二人の間にはこれと言った会話もなく無言の時間が流れ始めた。互いに何をするという訳でもなく差し出されたコーヒーに口をつけたりして無言の時間を楽しんでいると、七罪がトーマに話しかける

 

「ねぇ」

「どうした?」

「その……なにも、しないの? 一応……デートなんでしょ」

「ん、あぁ。そうだな……けど、七罪だって最近は何かと慌ただしくてリラックスできなかっただろ? だからまずは、ここでゆっくり心を落ち着かせようと思ってな」

「なにそれ」

「自分でも何言ってんだろうなって感じだ」

 

 曖昧な笑みを見せるトーマに対し七罪は呆れのような視線を向けるが、当の本人はそんなことを気にする様子もなく最後の一口を飲み終えると、七罪に声をかけた

 

「さてと、それじゃあそろそろ次の場所に向かうか」

「……そうね」

 

 トーマは手早く会計を済ませると、喫茶店から出て次の目的地まで歩みを始める

 

「ねぇ、次は何処に行くの」

「オレとお前にとって縁のあるところだよ」

 

 そうして歩いていた二人が辿り着いたのは、住宅街の中にある公園。平日の昼間であるが故に人の少ないその場所はトーマと七罪が初めて出会った場所

 

「ここって……」

「オレとお前が初めて会った場所……正確に言うと、行き倒れてたお前をオレが介抱した場所だな」

「いつ思い出しても忌々しい思い出だわ」

「そう言うなよ、あの出会いが無かったら今のオレたちはないわけだし」

「それは……そうだけど」

 

 あの時と同じように、二人でベンチに座ると、トーマは上空に広がっている青空に視線を向ける

 

「オレは良かったよ、あの日、あの時、お前と出会えて」

「なにそれ、お世辞?」

「そんな訳ないだろ、本音だよ本音」

「あっそ」

 

 トーマのその言葉を聞いた七罪は、そっけなく返事をしたが耳がほんのりと赤くなっているのを確認すると笑みを浮かべる

 

「オレはさ、個人的に霊力を封印する必要はないんじゃないかって思ってるんだ」

「えっ?」

「そりゃあ、封印をすればASTとかDEMに狙われる心配もなくなる、安全って部分を考えるなら封印した方がいいとは思う……けど、お前達精霊はその力も大切な自分の一部だからな、それを手放せって言うのは少し違う気がしてさ」

 

 その言葉を聞いた七罪は、しばし考えを巡らせた後……トーマに対して一つ、質問をする

 

「じゃあ、今ここで……私が逃げても良いって事?」

「……あぁ、それがお前のやりたいことなら、オレはそれを尊重する」

「私の……」

「けどさ、そうじゃないって言うなら……一回だけアイツらと話してみてくれないか?」

「それは…………」

「すぐに、とは言わない。お前が話をしてもいいと思ったらで構わない」

 

 そこまで言った瞬間、トーマは周囲に嫌な気配を感じ無銘剣を顕現させる

 

「! どうしたの?」

「嫌な気配がする……」

 

 その言葉が真実で会ったことを示すように、公園内の影からアリメギド……そしてその中心に居る他のアリメギドとは僅かに異なる存在──女王アリメギドが姿を現した

 

「最近よく見る軍隊アリ……だが、今回は女王アリもご登場か。七罪、下がってろ」

「でも──」

「大丈夫だ、死んでも死にきれない身体だからな……さっさと終わらせてくる」

 

 七罪が後方に下がったのを見たトーマは腰にブレードライバーを出現させるとエターナルフェニックスの本を取り出した──が、すぐに仕舞うと別の本を取り出した

 

「人のデートを邪魔する無粋な連中を焼き尽くしたい所だが……市街地ど真ん中の公園だ、今回はこっちで行く」

 

【玄武神話】

 

 一冊の本に呼応するようにブレードライバーは消失し、無銘剣はその姿を土豪剣へと変化させる

 

「真向から、叩き切るッ!」

 

『一刀両断!』

 

 トーマが天高く振り上げた土豪剣を思い切り振り下ろすと、周囲に土煙が舞いながらメギドへ向けて斬撃が放たれ、同時にトーマの身体を強靭な装甲が覆い隠した

 

『ブッた斬れ! ドゴ! ドゴ! 土豪剣激土!』

『激土重版! 絶対装甲の大剣が、北方より大いなる一撃を叩き込む!』

 

 トーマの姿がバスターへと変化すると、土豪剣を振るい前方に居るメギド達を薙ぎ払うとそのまま奥に居た女王アリメギドへ斬撃を喰らわせる

 

「はぁッ!」

!? 

 

 咄嗟に防御姿勢を取った女王アリメギドだが土豪剣の一撃はメギドの装甲を物ともせずその身体に刃を喰いこませ、傷口からメキメキと何かが砕ける音を周囲に響かせた。女王が攻撃を受けた事に気付いたらしいアリメギドは女王が距離を取れるようバスターに群がる……が

 

「纏わりついた所で……おりゃぁッ!!」

 

 バスターは腕に絡みついた二体のアリメギドを持ちあげるとその身体を使って周囲に居た他のアリメギド達を薙ぎ払うと土豪剣を持ち上げ、玄武神話ライドブックをリードする

 

「こいつで決める」

 

『玄武神話 ドゴーン!』

 

 瞬間、周囲の土や岩が土豪剣へと集まり刀身が巨大化してした。通常よりもはるかに巨大になった聖剣を構えたバスターは両足で大きく踏ん張るとその刀身を肩に担ぐ

 

「二連、大断断!」

 

 その言葉と共にバスターは横薙ぎに土豪剣を振るい周囲に居たアリメギドを一気に切り裂くと勢いを利用してその場でくるりと一回転しながら土豪剣を天高く振り上げると、女王アリメギド目がけて思い切り振り下ろした

 

────ッ!? 

 

 その一撃をもろに受けたメギド達はその場で爆発し、その姿を完全に消滅させる

 

「はぁ……はぁ……よっと」

 

 普段よりも重いモノを振り回したことによる疲労感を僅かに感じながらバスターが変身を解くと同時に土豪剣はその場から消失する

 

「ちょっと、大丈夫?」

「あ、あぁ……大丈夫。七罪こそ、大丈夫か?」

「まぁ、一応」

「そうか、良かった……けど、なんかこれ以上デートって感じもなくなっちまったな」

「そうね」

 

 トーマの言葉を肯定した七罪だったが、しばしの間その場から動かずにジッと視線をトーマへと向けていた

 

「? どうした」

「えっと、あの、トーマ」

 

 疑問符を浮かべるトーマとは対照的に何かを決心したような表情の七罪はトーマへ向けて言葉を発する

 

「あのね、お願いがあるの」

「お願い?」

「うん、実は────」

「……あぁ、わかった」

 

 七罪からのお願いを聞いたトーマはそれに対して肯定の言葉を返すと、二人そろってその場を後にした

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