デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
「なるほどぉ、じゃあ十香さんは拗ねちゃったんですね」
「そう言う事になるな」
その日の夜、夕食の準備をしているトーマは、美九に今日あったことを話していた
「でもぉ、十香さんを救った男の子……名前なんでしたっけ?」
「士道だ、五河士道」
「そうでした、その士道って人も中々に自分勝手ですねぇ」
「そこら辺は仕方ないと思うぞ、士道は今の今まで何の知識もなかったわけだし……もっと言うと、オレやお前と違って士道はついこの前まで完全に一般人だったんだ」
「そうですけどぉ」
「まぁ、あれだ……結局のところ認識の差って奴だよ。かれこれ一年くらい精霊に絡んでる俺らに、精霊を保護するために動いてるフラクシナス……というかラタトスク。比べちまうと士道はまだ精霊の存在を知って数週間だ。同じ意識を持てって言う方が無理な話だろ?」
トーマがそう言うと、美九はジト―っとした目を向けくる
「……どうした?」
「別に、やけにあの人の肩を持つんだなぁって……」
「肩を持ってるつもりはないんだが……ほれ、出来たぞ。運んでくれ」
「はぁーい」
完成した料理を美九と一緒に運ぶと、いつも通りの席に座って手を合わせる
「「いただきます」」
食前の挨拶をした二人は、いつものように夕食を食べ始める
そして翌日、ソファに座ってテレビを見ていた美九はダイニングテーブルで湯呑片手に本を読んでいたトーマに話しかける
「お兄さーん、暇ですぅ」
「……暇って言っても、雨だから何処にも行かねぇぞ」
「えぇ、いいじゃないですかぁ、デートしましょうよぉ」
「駄目だ、第一この雨じゃあどこに行っても──」
そこまで言いかけた所で一応耳に付けていたインカムが鳴った
「どうした?」
『あぁ、トーマ。今大丈夫よね』
「大丈夫だけど、どうした?」
『実は、よしのんがまた静粛現界したのを士道が見つけたの』
「成る程な、この前のアレか」
『そう言う事よ、タブレットは?』
琴里の言葉を聞いたトーマが辺りを見回すと、美九が使っている姿が見えた
「今は美九が使ってる」
「お兄さん呼びましたか?」
「あぁ、悪いんだけどタブレット貸してくれないか? 必要なんだけど」
「何かに使うんですか?」
「精霊関連でな」
「あぁ、そう言う事ですか」
そう言うと美九はタブレットを渡してきた
『それじゃあ、映像共有するわね』
「あぁ、頼む……後、出来れば映像の音声はインカムじゃなくてタブレットから出しといてくれ」
『そこら辺の操作はそっちでやりなさいよ』
「……苦手なんだよ」
「あっ、それじゃあ私がやりますよ」
共有された映像を美九がちょちょっと操作をすると、インカムではなくタブレットから音声が流れてきた
「よし、準備完了だ」
『オッケー……士道は、聞こえる?』
『……おう、聞こえるよ』
『このまま彼女を放っておくこともできないわ。とりあえずコンタクトを取ってみましょ』
『……了解』
映像越しに見える士道は深呼吸をすると、少女の方に歩いていった
「……そういえばお兄さん、あの精霊さんって何て名前なんですか?」
「確か、よしのんって言ってたはずだ……士道に聞いた」
「へぇ、そうなんですか」
『……じゃあ、声をかけるぞ』
『えぇ。──っと、ちょっと待ちなさい』
➀声をかけると同時に仰向けに転がって腹を見せ、敵意が無いことをアピール
②すぐさまギュっとハグをして、こちらの愛を伝える
③こちらが丸腰である事を示すため、全裸になって声をかける
「……なんですか、これ」
「選択肢だな、因みに美九はどれを選ぶ」
「そうですねぇ、全部論外ですけど。とりあえず➀じゃないですか?」
「そうだな」
『──総員、選択!』
とりあえずトーマ&美九は➀を選択した、そして表示された結果はすべての選択肢が拮抗した状態
『ち、結構割れたわね』
琴里が難し気に呟くと、少し遠くから声が聞こえてきた
『➀ですよ! 腹を晒すのは動物にとって降伏のポーズ! 相手も安心するはずです!』
『笑止! ②に決まっています! ウサギは寂しいと死んじゃうんですよ!』
『あれウサギのフード被ってるだけでウサギじゃないし! それより司令、絶対③ですって! こちらが得物を帯びていないことを示すには全裸! 全裸しかありません!』
『うっさいオールドミス! あんた高校生男子の裸が見たいだけだろうが!』
「……本当に大丈夫なんですか、これ」
「一応十香の時は役に……立ったと思いたいんだが不安しかないな」
その後少しだけ特に意味もない問答が続けられた結果、琴里がクルーを黙らせ士道に指示を与える
『──士道、声をかける前に服を脱ぎなさい』
『ごめんだよ!』
映像越しの士道が叫ぶと、”よしのん”がビクっと肩を震わせた
『……! やべっ』
『……ひっ、ぃ……っ』
今にも泣きだしそうな少女は右手をバッと高く掲げる。あの動作に身に覚えがあった士道は慌てて少女の事を止める
『ちょ……っ、待て! 落ち着け!』
『士道! 今から間に合うとしたら──➀よ! 腹を見せて転がりなさい!』
そこからは、なんともまぁシュールな光景が繰り広げられていたが、なんとか天使を呼び出されることなく済んだ
『……せ、成功……したのか?』
『──多分ね。刺激しないように話しかけてみなさい』
そう言うと士道は寝転がったまま、少女に話かける
『よ、よう……』
『…………』
少女は何も答えない
『き、今日はどうしたんだ……?』
『…………』
何も答えない
『す、すごい雨だよな……』
『…………』
何ともシュールな光景である
「これ、傍から見たらあの人不審者ですよねぇ」
「……それは言ってやるな」
「それより、新しい選択肢でてきましたよ!」
そんなことを言っている美九が、この状況を楽しんでいるように見えたトーマだが、それは置いておいて視線を選択肢に移す
➀ねばり強く話しかけながら歩み寄り、距離を詰めていく
②一旦姿勢を立て直すため、退却する
③パペットを着けていないことを訊いてみる
「これはとりあえず③ですね」
「そうだな」
特に迷う事もなく③を選択すると、向こう側から琴里のうなり声が聞こえてきた。それからすぐ士道に指示を出す
『士道、③よ。パペットをなくしてしまって、探しているのかもしれないわ。とにかく何か反応が欲しいところだし、パペットのことを訊いてみなさい』
『……了解』
小さく首肯した士道は、改めて少女に向かって話しかける
『なぁ……もしかして、パペットを探してたりする……のか?』
『……!』
士道がそのことについて尋ねると、少女は目をカッと見開いて士道の元にやってくる……そして士道の頭を掴んで問い詰めるように揺さぶった
『……っ! ……っ!?』
『あッ、あてててて……っ! ちょ、止めろって』
士道がそう言うと少女はハッとしたように手を放した。彼女の様子をうかがうように身を起こした士道は、改めて問いかけをする
『やっぱり……あれを探してるのか?』
その言葉に少女は力強く頷き、その後すぐ不安そうな瞳を士道へと向けてくる
『……っ、す、すまん。俺もどこにあるかは知らないんだ』
士道の言葉を聞いた少女はこの世の終わりを告げられ矢ような顔をしてその場にへたり込むと、顔をうつむかせて嗚咽を漏らし始めた
「え、えぇと……」
『落ち着きなさい、士道』
➀「そんな奴のこと、俺が忘れさせてやるぜ」頼れる男アピール
②「俺も一緒に、パペットを探してやるよ!」優しい男アピール
③「実は俺がパペットだったんだ!」ユーモアセンス溢れる男アピール
『総員、選択!』
「美九的にはどれだ?」
「②一択ですねぇ」
「だよな」
トーマ&美九も②を選択。結果を見ると案の定②が一番多かったのだが、何故かそれ以外の二つにも一票ずつ入ってた
「②以外選ぶ奴もいるんだな」
「正直、理解できませんねー」
『士道、彼女と一緒にパペットを探してあげなさい』
『あ、あのだな、よしのん』
『……っ!』
士道のかけた言葉にびくっと反応した少女が手を振りかぶると、周りに出来た水たまりが隆起し、弾丸のようになって士道の座っている場所の近くに炸裂した
『す、すまんッ! 驚かすつもりはなかったんだ!』
どうやら警戒心は解かれていなかったようで、士道は無抵抗を示すように両手を上げながら言葉を続ける
『その……も、もしよかったら……お、俺も、パペットを探すの手伝おうか?』
『……!』
士道の言葉を聞いた少女は、力強く首を縦に振ってきた
『ええと……それで、なんだけど。パペットは、いつどこでなくしちまったんだ?』
『……き、のぅ……』
被ったフードを握り、顔をうつむけ、目元を隠すようにしながらたどたどしく話をする
『こわい……人たち、攻撃……され……気づいたら……、いなく、なっ……』
『ええと……? 昨日、ASTに襲われたのか』
その言葉を聞いた少女はこくんと首を縦に振る
『なるほど、あのあとか……』
『──こっちからもカメラをあるだけ送るわ。できるだけ彼女とコミュニケーションを取りながら捜索してちょうだい』
「……オレも現場に向かって、士道たちとは別方面から探すか? 人ではあった方が良いだろ」
『そうね、お願いするわ』
「それじゃあ、行ってくる」
「私も行きます」
「……わかった、行こう」
傘をさして士道たちの場所に向かいながら、話しを聞く
『よし……じゃあ、探すか、よしのん』
『……!』
少女は士道の言葉に首肯し、少し口をもごもごさせてから声を発してくる
『わ、たし……は』
『え?』
『私……は、よしのん、じゃなくて……四糸乃。よしのんは……私の、友だち……』
『四糸乃……?』
「あの子、よしのんじゃなくて四糸乃っていう名前だったんですね」
「みたいだな、てことはよしのんはパペットの名前か」
「あっ、あそこですよね」
「そうだな……それじゃあ、探すか」
とりあえず士道たちとは少し離れた場所を探し始めた
ついに始まったパペット捜索
そして明らかになった精霊の真の名前-四糸乃
はたして、行方不明になったパペットは何処にいるのか
士道たちは、パペットを無事発見できることは出来るのか
士道と十香は仲直りすることが出来るのか
次回、凍てつく大地