デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
『──どう? パペットは見つかった?』
『いえ、まだですね。見当たりません』
「こっちも見当たらないな……美九の方はどうだ?」
「私のほうもみつかりませんねぇ」
探し始めてから早くも二時間と少し、トーマたちは適度に休憩を挟みつつ探したのだが見つかる気配がない
『映像の方は?』
『解像度が荒いですが……なんとか』
『モニタに出してちょうだい』
休憩がてら雨をしのげる場所にやってきたトーマと美九もタブレットを使って映像を確認する
『精霊が
確かに、見ている映像の中の四糸乃はパペットを持っていない
『──反して、ASTの攻撃が着弾する前の映像では、天使の口元にパペットを確認する事が出来ます。この攻撃によって紛失したと考えるのが妥当でしょう』
『で、肝心のパペットは?』
『非常に煙が濃いため、確実ではありませんが……落下している影が確認できますので、攻撃の際に燃えてしまっているという最悪のパターンにはなっていないと思われます』
『……四糸乃が
『さ、探してみます』
「この調子じゃ、オレらじゃ見つけられそうにないな」
「そうですねぇ、見た感じ誰かが拾っていっちゃったんでしょうか?」
「見た目だけならだいぶファンシーだからな、気にいる奴は拾って持って帰っちまうかもな」
そんなことを話していると、士道たちを映した画面の向こう側から間の抜けた声が聞こえてきた
『四糸乃?』
『……!』
『……腹減ったのか?』
士道の問いに対して、四糸乃は顔を赤くして首をぶんぶん横に振ったのだが、そのタイミングでもう一度同じ音が鳴る。どうやら彼女のお腹の音らしい
『…………っ!』
『……どうしたもんかね』
士道のその問いに答えたのは、琴里だった
『──そうね。一度休憩もかねて食事してきたらどう?』
『ん……そうだな』
士道は前かがみになっていた姿勢を伸ばし、軽く伸びをしてから四糸乃に話しかける
『四糸乃、少し休憩しよう』
『……!』
『ほら。無理すんなって。お前が倒れたらよしのんが探せなくなっちまうぞ』
その様子を見ていた美九は少し感嘆の声を上げる
「へぇー、あの人、中々に天然たらしさんですねぇ」
「たらし?」
「はい、なんでしょうねぇ……なんとなくこれから色んな女の子に好かれそうな雰囲気が」
「なんだそりゃ」
「言っておきますけど、お兄さんもですからね」
「……あぁ、そう」
トーマはそれを聞いたものの、今は流して手に持っていた傘を開く
「これ以上探しても見つからない気もするし、俺らも帰るか」
「そうですねぇ……どうせなら私たちもお昼どこかで食べて行っちゃいます?」
「別にそれでもいいけど、ここら辺食う場所あったか?」
「どうせなら少し離れた場所まで行っちゃいましょう!」
「……わかった、パペット探しを手伝ってもらったわけだし」
とりあえず美九と共に、そこそこオシャレな洋食店に入って注文を終えると、繋ぎっぱなしにしてた士道と四糸乃の話し声が今度はインカムから聞こえてくる
『その……随分大事にしてるみたいだけど、あのパペット──よしのんって、四糸乃にとってどんな存在なんだ?』
『よしのん、は……友だち……です。そして……ヒーロー、です』
『ヒーロー?』
士道の問いの後少しだけ間が空いた後に言葉が続く
「よしのん、は……私の、理想……憧れの、自分……です。私、みたいに……弱くなくて、私……みたに、うじうじしない……強くて、格好いい……」
「そう言う事だったのか」
「どーかしたんですか?」
「いや、どうして四糸乃がよしのん……パペットにこだわってたのかがようやく分かってな」
「なるほどぉ、どんな理由だったんですか?」
「あの子にとって、あのパペットの人格は理想の自分なんだとよ。只でさえこっちに来たら世界の敵扱いだからな」
「理想の自分ですかぁ」
そう言った美九に対して、トーマは話しの種ついでに聞いてみる
「そう言う美九は、理想の自分とかはないのか?」
「そうですねぇ……私はやっぱり今の自分が一番ですねぇ。そういうお兄さんはどうなんですか?」
美九に聞き返されたトーマは、理想の自分について考えてみる
「そうだな……俺は今の自分が一番って言うか、今より前の自分を知らないから何とも言えないな」
「お兄さん……本当にそればっかりですねぇ」
「多分、自分でも考えたくねぇんだよ。……意識してるか意識してないかは置いといて、自分でもこっから先を考えたくないってのが本音なんだろうな」
「……なんか、お兄さんは自分の事を話してる筈なのに他人の事を話してるみたいで、少し寂しいですね」
「そう言って貰えるだけ、幾分かマシだけどな」
少し変な空気になってしまったが、そこからは普通に食事をして店を出た
そんなことがあってから数日後、トーマは珍しくフラクシナスに居た
「それで、なんで俺はここに呼ばれたんだ?」
「今回に関しては、ここから見た方が良い気がしたからね」
「ここからって、なんかあったのか」
「えぇ、パペットの居場所がようやくつかめたのよ」
今日まで士道の方は士道の方でだいぶ色々あったみたいだが、その最中もフラクシナスではパペットの捜索が続けられ、それがようやく実を結んだといった感じのようだ
「それで、パペットは何処にあったんだ?」
「鳶一折紙の家よ」
「……は?」
「だから、ASTに所属してる鳶一折紙の家よ」
「あの鉄仮面みたいな女がファンシーなパペットを持って帰ったって事か?」
酷い言いようだが、トーマは鳶一折紙との接点はほぼ皆無に等しい、そしてトーマは鳶一折紙の事を戦場でしか知らないため、気が付けばこの認識になっていたのである
「と言うか、わざわざ士道に行かせなくても良かったんじゃないか?」
「それじゃあトーマが行ってみる? うちの機関員六人を全員病院送りにした魔物の巣窟に」
「……遠慮しとく」
『そういえば……十香の様子は?』
鳶一折紙の部屋まで向かっている途中だった士道が、こちら側に話しかけてきた
「相変わらずよ。部屋に籠ってるわ」
『……そっか』
トーマは大雑把にしか把握していないが、どうやら士道と十香の関係は結構拗れてしまっているようだ
『──よし』
何かを決意したらしい士道はマンションの入り口に向かって足を踏み出した。そしてエントランスにある機械に折紙の部屋番号を入力すると、すぐに彼女の声が聞こえてきた
『だれ』
『あ、あぁ……俺だ、五河士道だ』
『入って』
「士道の奴……本当に大丈夫なのか?」
「問題ないわ、私たちは私たちでパペット回収をしっかりサポートする手筈は整えてるから」
「そう言うもんか」
「そう言うもんよ」
『……じゃあ、手筈通りに』
「えぇ、任せてちょうだい」
士道が覚悟を決めてインターホンを押した瞬間、玄関が開く
『お、おう鳶一。悪いな、今日は無理言っちゃっ──』
挨拶の途中で士道は停止し、手土産として持ってきたお菓子の箱が落下する。それをモニタリングしていたフラクシナス艦橋も、彼女の装いを見て呆気にとられる
「なぁ……」
「なにかしら?」
「最近の女子学生ってのは、家だとコスプレが基本なのか?」
「そんな訳ないでしょ……」
何故かメイド服を着ていた折紙に対して、士道は顔中に玉のような汗をびっしりと浮かべていた
『ア、アノ……トビイチサン?』
『なに』
何故か片言になっていた士道だが、正直遊びに来た家の同級生がメイド服で出迎えてくるのに対していつも通り対応しろと言うほうが無理な話しである
『い、いや……なんて格好してんだ、おまえ……』
『きらい?』
『や……そ、そういうことではなく……』
終始折紙のペースに呑まれっぱなしの士道
『入って』
『お、お邪魔します……』
士道が折紙の部屋に足を踏み入れた瞬間、フラクシナス側の士道との通信にノイズが入る
「まさか──っ!」
「どうした?」
「ジャミングよ! 士道との通信ができない、なんとか復旧急いで!」
魔物の巣窟らしい場所の妨害工作である。クルーたちもなんとか復旧させようとするがいつまで経っても士道との通信が再開する気配はない
「……頑張れ、士道」
かなり人任せになってしまったが、トーマは
復旧作業を行っている最中、フラクシナス内部に警報が鳴り響く
「このタイミングで空間震か」
「多分四糸乃ね……場所を割り出して!」
「……座標が分かったら教えてくれ、とりあえず士道がパペットを回収するまでこっちでどうにかする」
「えぇ、もとよりそのつもりよ」
「司令! 座標出ました!」
「士道にやったみたいに落っことして貰って構わない、頼む」
「わかったわ……時間稼ぎ頼んだわよ」
空間震が起こった上空に投げ出されたトーマは落下しながら無銘剣を抜刀する
『――抜刀』
空間震が収まり、四糸乃の姿を確認してすぐにASTの姿も確認する事が出来た
「相変わらず、仕事の早いこって」
『――抜刀 不死鳥無双斬り』
ファルシオンは一度戻した剣を引き抜き、四糸乃とASTの間に炎の斬撃をぽっぱなす
「……っ!?」
「またフェニックスっ!? ……仕方ない、二手にわかれて! 私たちはフェニックスの相手をするわよ!」
「正直二手に分かれられると困るんだが……っ!」
ミサイルをぶった切って別方向に行ってしまった四糸乃の方に目を向けるが、中々にまずそうだ
「この際だ……新しい力を試してみるか」
【ワンダーワールド物語 土豪剣激土】
土豪剣激土の名を冠する本を無銘剣にリードすると、無銘剣そのものが炎を纏い別の剣へと変化した。剣を握ったファルシオンは変化した剣に対応しているブックを認識し、取り出す
【玄武神話】
「はぁッ!」
『一刀両断!』
『激土重版! 絶対装甲の大剣が、北方より大いなる一撃を叩き込む!』
六角形の結晶のようなものがファルシオンの周りに集まり、身体全体を覆うと、その姿はファルシオンとは異なる戦士──バスターへと変わっていた。そんな彼に向かってミサイルが放たれるが、先ほどまでとは違い強固な鎧に包まれているバスターには傷一つつかなかった
「悪いが……少し寝ててくれ」
『激土乱読撃!』
辺りに散らばった瓦礫が一つに集まり、巨大化した刀身の側面をASTの隊員に思い切り叩きつける、テリトリーで守られているとは言え、強力な一撃を叩き込まれたらしばらくは動くことが出来ないだろう
「ふぅ……それより四糸乃は──ッ!?」
少し離れた場所から、咆哮が聞こえてくる……そしてそれと同時にバスターを襲ったのは今までとは比較にならないほど強烈な冷気。土豪剣で体への直撃は防いだため上半身は問題ないが下半身は凍り始めていた
「流石にまずいな」
『虚無 漆黒の剣が、無に帰す』
バスターからファルシオンへと戻ると、炎で凍結していた下半身を溶かし、そのまま上空へと非難する
「琴里、何があった!」
『四糸乃の天使の力よ……でも、あれじゃあ近づけないわね』
「それじゃあ、どうするんだ?」
『……大至急、士道の所に向かって』
「何か策があるんあろうな」
『えぇ』
「分かった、信じるぞ」
ファルシオンは炎に包まれると、そのまま士道がいるマンションまで向かう
「な……っ、なんだよ、こりゃあ……っ」
マンションの前まで行くと丁度辺りの光景に愕然としている士道が目に入った
「士道!」
「トーマ、なんなんだよこれ」
『──警報が聞こえなかった? 四糸乃よ』
マンションからでた事でようやく士道のインカムとの通信状況が回復したらしい
『それより、精霊が出現するまで何をしていたの? 屋外に出るまで随分時間がかかったようだけれど』
「……玄関に仕掛けられてたトリモチに掴まってて」
「玄関にトリモチってどういう事だよ……」
「それより琴里、これが……四糸乃の仕業だってのか?」
『えぇ』
士道は氷で覆われた街を見渡しながら言うと、琴里が言葉を返してきた
『あまり悠長に構えていられるような状況じゃないわね。本来なら排水されるべき雨水まで取り込んで凍結しているから、このままの状態が続けば、地盤や地下シェルターの方にも深刻な影響が出る可能性があるわ──四糸乃を止められるのは、あなたと、そのパペットだけよ。行ってくれるかしら?』
「当たり前だ。四糸乃も、街も、あのままにはしておけない」
『……シン、私のほうからも一つ、いいかな?』
覚悟を決めた士道に対して、令音が言葉を発する
『……いろいろと調べてみたが──どうやら、君の疑問はあながち間違っていなかったようだ』
どうやら士道は何かを話していたようだが、トーマは詳細については知らない
『……時間がないから手短に伝えよう。四糸乃は──』
令音が説明してくれたことを把握した士道は、改めて決意を固める
「……琴里」
『──よろしい。それじゃあトーマ、士道のタクシーよろしくね』
「あぁ、任せろ」
基本的にはいつもこの感じだからいい加減慣れたといった風にトーマは言葉を返すと、士道の事を担ぐ
「手荒になるが、文句は言うなよ」
「おう!」
士道の事を抱えたトーマは四糸乃の進行方向に向けて、炎の翼をはためかせ、飛び上がった
着実に迫るタイムリミット
士道は四糸乃の力を封印出来るのか
追伸、一話完結にしようと思ったら
原作の残りページ的に2話構成になりました
ごめんなさい
次回、凍える大地《下》
【information】
土豪剣激土(本作ver.)
WW物語土豪剣激土を無銘剣虚無にリードする事で使用可能
性能的には原典と大差なし
使用者の意志で無銘剣へと戻す事が可能
無銘剣虚無(本作ver.)
剣の在り方から原典と異なる聖剣
元々はとある聖剣であったが、現在はその力の大半を失い
名前を失った抜け殻(無銘の剣)になっている
剣の名を冠したWRBをリードする事で、見た目と能力が変化する