デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
午後六時
一通りの学校案内を終えた士道は、狂三、そして校門から無理やりくっついてきた十香を含めた三人で夕暮れの道を歩いていた
「まぁ、大体あんなところだ。わかったか?」
「えぇ、感謝いたしますわ。……本当は、二人きりがよかったのですけれど」
「は……はは」
冗談めかして言う狂三に対して、士道は苦笑いで返したが、正直士道は十香に感謝していた。あの後は何事も……なくはなかったものの無事に学校案内を終えた、終えたのだが案内途中も下手な場所に行ったら取って食われててしまいそうな雰囲気を、士道は感じ取っていた
「それでは士道さん、十香さん、わたくしはここで失礼いたしますわ」
十字路に差し掛かったあたりで、狂三はぺこりと礼をした
「え? お、おう……」
「む、そうか。ではまた明日だ」
士道と十香が小さく手を振ると。狂三は夕日の中に消えていった
「──あぁ、あぁ」
士道たちと別れ、一人夕日に照らされる道を歩いていた狂三は、そんな声を発した
「いけませんわね──少し、我慢しないと。せっかくですもの。もう少し学校生活を楽しみたいですわ」
彼女は自分に言い聞かせるよう呟き、ステップを踏むように体を回転させる
「……うふふ、お楽しみは、最後にとっておきませんと」
踊るように歩いていた狂三は、不意に何かにぶつかってしまう
「──とと」
狂三が踏みとどまってそちらを見ると、ガラの悪い男たちがたむろしていた。どうやら狂三がぶつかったのはたむろしていた男の背中らしい
「あらあら、申し訳ありませんわ」
狂三は頭を下げると、その場から立ち去ろうとするが、ニヤニヤとした男が狂三の事を止める
「おい、待てよお嬢ちゃん。そっちの不注意だってのに、それで終わりはねぇだろよ」
「あら、あら?」
キョトンと首を傾げている狂三の周りを、男たちが取り囲む
「おいおい、ちょっとマジで可愛いじゃん。ちょー大当たり?」
「ねーねー君ぃ、お名前なんてーの? ちょっと仲良くしようよ」
その男たちの言葉を聞いた狂三は自分がどういう状況なのかを理解する
「お兄さん方。──もしかして、わたくしと交わりたいんですの?」
妖艶な笑みを浮かべた狂三の言葉を聞いた男たちは、一瞬ぽかんとした後、額に手を当てて笑い始めた
「おいおい、交わりたいって。きゃー、露っ骨ー」
「いーじゃんいーじゃん話し早くって。君もそういうの好きなの?」
「えぇ、人並み程度には。──それより、少し場所を移しませんこと? ここでは人目についてしまいますわ」
その言葉を聞いた男たちは狂三と共に路地裏に入り、しばらくした後に男たちの悲鳴が辺りに響いた
「っ!?」
男たちの悲鳴は、士道の家に向かっていたトーマの耳にも届いた。そして聞こえた悲鳴が今いる場所からそう遠くない事に気づいたトーマは急いでその場所に向かったが、広がっていたのは凄惨な光景だった
「あら? トーマさんではありませんの」
そこら中にこびりついている血液と、その中心に佇む時崎狂三の姿。彼女はトーマの方にくるりと向くと、いつも通り妖しげな笑みを浮かべた
「……また、人を殺したのか」
「わたくしはただ、親切な方たちの
あたりまえの事を言っているであろう狂三に対して、トーマは感情の消えた瞳を向ける
「……オレとお前はある種の協力関係、だが……目で見たものを許容できる程、オレは人間出来てない」
いつの間にか出現した無銘剣の柄を強く握ると、トーマの身体は炎に包まれ、その姿を異形の戦士ファルシオンへと変える
「オレが、お前を無に帰す」
「あらあら、相変わらずですわね」
ファルシオンが剣を振るおうとした瞬間、全身を特殊な感覚が襲う
「──ち、一足遅かったですか……それに、今回は珍しい客もいやがりますね」
「悪いが、お前とアレを対話させる気はない」
「必要ねぇですよ、フェニックス……ナイトメアは私の獲物です」
「それならさっさと殺れ」
「言われなくても、そのつもりです」
その言葉と共に少女は、
あの後ASTと少し揉めそうになったが何とかあの場所から離れたトーマはその足で五河家に向かい、勝手に玄関を開けると見慣れない靴が一足置いてあった、それだけじゃなくリビングから何やら言い争うような声も聞こえてくる
「邪魔するぞ」
「えっ? トーマ?」
「おう、士道に琴里……それと、誰だ?」
「あなたこそ、兄様のお友達でやがりますか?」
互いに怪訝そうな視線を向ける二人の間に、士道が入ると改めてあの少女の事を紹介される
「えぇっとな、トーマ。彼女は祟宮真那」
「……祟宮真那です、兄様の妹です」
「中村透馬だ……苗字で呼ばれるのには慣れてないからトーマでいい。それより士道、どういう事だ」
「それが……俺にもさっぱり」
士道本人も困惑している様子だったので、とりあえず細かい事は気にしないでおいた
「それで、さっきまで何の話をしてたんだ?」
「えーっと、義妹実妹戦争?」
「なんだそのくだらない争い」
「「くだらなくないわよ! (ねーです!)」」
「……あぁ、そう」
その反応をみたトーマは、露骨に面倒そうな反応をする
「……それで士道、あなたは!」
「実妹、義妹、どっち派でいやがるのですか!?」
「え、えぇッ!?」
どうやらさっきの義妹実妹戦争発言で、流れが無理やりも元に戻されたらしい
「い、いや……どっち派って……」
『…………』
トーマは士道がどっちを選ぶのかを見ていると、ポンと手を当てて真那に話しかけた
「そ、そうだ、真那!」
「はい?」
「おまえ、昔の記憶がないって言ってたよな」
「えぇ、そうですが」
「じゃあ、今はどこに住んでるんだ? 家族と暮らしてるってわけでもないんだろ?」
「あー……っと」
その瞬間、真那の様子が今までと打って変わり歯切れの悪いものになる
「ま、まぁ、ちょっと、いろいろありやがるんです」
「いろいろって……」
「えーっと……ですね。こう特殊な全寮制の職場で働いてるというか……」
「職場……? 真那、今歳いくつだ? 琴里と同じくらいじゃないのか? 学校は?」
その言葉を聞いた真那は気まずそうに目を泳がせた
「そ、その……えーと……ま、またお邪魔しますっ!」
「へ……? ちょ、待っ──」
真那は士道の生死も聞かずに脱兎のごとく去っていった
「な……なんだったんだ、一体……」
士道が、そう言っている傍らで、琴里は真那の使ったティーカップを回収していた
「そういえば、トーマは今日何の用だったんだ?」
「あー……悪いが、士道と、それに琴里もちょっと来てくれ」
士道と琴里を呼んだトーマは、リビングから廊下に出た
「それで、私まで呼んで一体何の用よ」
「単刀直入に言うぞ……今回の精霊、時崎狂三から手を引け」
「は……っ?」
「それ、どういう意味」
協力拒否をした一件も含めて琴里はトーマに不信感を込めた視線を向けてくる
「そのままの意味だ、アイツは……時崎狂三は十香や四糸乃とは根本が違う」
「……トーマ、もしかして時崎狂三の事を知ってるの?」
「知ってるか知ってないかで言えば、知っている……その上での忠告だ、時崎狂三から手を引け」
それだけ言い残すと、トーマは五河家から出ていこうとする
「待ってくれトーマ! お前は、狂三について何を知ってるんだ!」
「具体的には言えない……だが、意味を知りたかったアイツの足取りを追え」
その言葉を最後に、トーマは五河家を出て行った
翌日、朝早くから琴里に呼び出されたトーマは彼女と対面していた
「待ってたわ、トーマ」
「それで、オレに何の用だ」
「トーマに話す前に、士道にも連絡をするから」
士道に連絡をした琴里は、一言二言話した後に少しだけ声を大きくした
「ちょっと待って士道。今……誰と話してたの?」
「だから、今、あなた近くにいる誰かと会話をしたでしょう。その相手が誰かを訊いてるのよ。十香? 鳶一折紙? それとも殿町宏人?」
士道ともう少しだけ話をしてから電話を切ると、改めてトーマの方を向いた
「どういうことか説明してもらいましょうか、トーマ」
「……説明って、何をだ?」
「決まってるでしょう、どうして”殺された筈”の時崎狂三が学校に来ているの?」
「それに関しては、士道と合流してから話す」
そして、時は進み昼休み。琴里たち合流した士道が見せられたのは昨日の映像。そこにはファルシオンと真那、そして狂三の姿があった
「ん? これって……真那にトーマ?」
「えぇ、昨日の映像よ。──周りをよく見て」
「な……っ」
何の変哲もない住宅街の一角にいたのは、ファルシオンと真那だけでなく、奇怪の鎧を纏った人間たちの姿も確認できた
「AS……T?」
「えぇ。──なぜか昨日、急にASTの反応が街中に現れたらしいの。クルーの一人が念のためカメラを飛ばしてみたらしいんだけど──確認してみて驚いたわ」
琴里が、足を組み替えながら首肯する
「な、なんでASTが、それにトーマまで……」
「そりゃあ、精霊がいるからでしょ……」
「俺は霊力を感じたからだ」
「……でも、空間震は起こってないぞ。周りの住民も避難してないじゃないか。もし精霊が暴れたら──」
「……まぁ、暴れる前に仕留める自信があったんだろう」
「……っ」
その言葉を聞いた士道は息を詰まらせる
「で、でも、なんで真那が──」
その瞬間、映像の中にいる真那の身体は淡く輝き、全身に白い機械の鎧を身に纏った、そしてそれに呼応するように狂三の装束も霊装へと変わる、そして……映像の中で、狂三の命は刈り取られた
「……こ、れって」
吐き気を抑え込み、士道がようやく言葉を発する
「……見ての通りだ。昨日、時崎狂三はAST・祟宮真那に殺害された。重傷とか、瀕死とかではなく、完全に、完璧に、一分の疑いを抱く余地もなく、その存在を消し潰された」
「そん、な──」
「……わかったろ、俺がお前らに手を引けって言った理由」
そう言うと、士道たち三人はトーマの方を向く
「トーマは知ってるの、彼女が生きている理由を」
「……詳しい理由は分からないがな、時崎狂三は殺しても死なない」
「……トーマにも詳しい原理がわからないのなら、私たちもお手上げね」
「まぁ、俺的には手を引いて欲しいが、どうするかはお前らに任せる……それじゃあな」
物理準備室を出ていくと、そのまま微かに霊力を感じる方に向かって走りだす、階段まで辿り着いたトーマが上を見上げると無数の白い腕に掴まれている折紙と、それを見ている狂三の姿があった
トーマは右腕に無銘剣を出現させ、地面を力強く蹴って一気に接敵し、折紙の事を掴んでいた腕をぶった切る
「……ッ!?」
「あら? 昨日ぶりですわね、トーマさん」
「火遊びが過ぎるぞ……時崎狂三」
「こわいこわい、こわーい剣士さんも出てきたことですし、わたくしは教室にもどらせていただきますわ」
そう言った狂三は、トーマの横をすり抜けていこうとする
「こんなでも、オレは結構機嫌が悪い……何をするのか知らないが、これ以上オレを怒らせるな」
「言いがかりはやめてくださいまし、あなたはあなたの、わたくしはわたくしの目的のために……でしょう?」
その言葉を最後に、狂三は教室の方に戻っていった
「……無事か?」
「無事、それよりその剣は……」
「気にするな、何処にでもある只のコスプレ道具だ」
未知のナニカを見るような視線を向けてくる折紙の事を無視して、トーマはその場から去って行った
そして、来たるべきデートの日……交差していた歯車が回りだす
深まる狂三への疑念
真那の正体やトーマの忠告
それぞれの思惑が交差するなか
いよいよ始まるトリプルデート
次回 ナイトメア
《information》
この世界には”仮面ライダー”の概念が存在しない
つまり、精霊もトーマの変身するファルシオンやバスターも”人の形をしているだけの化け物”である事に変わりはない