デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
燃え盛る街、広がり続ける炎、彼の眼下に広がっているのは、五年前の天宮市
「お前は……」
ファルシオンの目の前にいるのは、一人の精霊。花嫁衣装を思わせる純白の霊装を纏った少女がいた
何かを見てしまったのかその少女は虚ろな表情のままその場から動こうとしない。ファルシオンが彼女に近づこうした瞬間、光の粒子となり目の前の少女は消滅する
「一体、何だったんだ……」
その場に残されたファルシオンは、ただその場で呆然とすることが出来なかった
「──っ……」
トーマが目を覚まし、一番最初に目に入るのは医務室の天井
「……ここは」
「……起きたん、ですね……良かった」
身体を起こし、近くに目をやるとカーテンの向こう側から四糸乃が顔を出してくる
「四糸乃……あぁ、無事だ」
「良かった、です……」
「それより、士道は大丈夫なのか?」
「はい……今は、琴里さんに……会いにいってます」
「そうか、それなら……オレはもう少し横になってるから、四糸乃ももう休んでくれ」
トーマはそう言うと、再びベッドの上に横になり目を閉じた
それから、トーマがフラクシナスから帰ろうとしたところで、暗い表情の士道がやってきた
「おう、士道」
「……あぁ、トーマか」
「随分暗い表情だな、何かあったか?」
「いや……別に、何でもないぞ」
「……大丈夫そうには見えない、何かあったなら話くらいなら聞くぞ?」
「本当に大丈夫だから……心配しないでくれ」
士道はそういうと、トーマよりも先に転送され地上に戻っていった
「なんでもない……ね」
あからさまにそんな事無いだろって表情を浮かべたトーマは、自分もフラクシナスから地上に戻った
その日の夕方、日用品の買い出しに出ていたトーマが五河家に向かっている途中で、昨日よりもさらに暗い表情をしている士道と出会う
「どっか行ってたのか?」
「……少し、真那のお見舞いに」
「そうか、それで……その表情って事は、目的は果たせなかったんだろ」
「わかるのか?」
「わかる、とは言えないが予想はつく。目的を果たした人間の顔は少なからず明るいもんだからな」
「そんなもんか。それじゃ、俺はこれで」
「ちょっと待て……士道、オレに少しだけ時間をくれないか?」
トーマがそう言うと、士道は少しだけ不思議な表情をする
「あんまり時間は取れないけど……」
「それでもいい、少しだけオレに時間をくれ」
「わかった」
そして家の近くの公園まで移動した二人は、ベンチに腰をかける
「それで、一体なんなんだ?」
「士道、お前悩んでるだろ」
「別に、悩んでなんて──」
「嘘だな、いろんな事を抱え込んでる時の表情をしてるぞ」
士道の表情に驚愕の感情が浮かび、おずおずと聞いてくる
「……そんなにわかりやすかったか?」
「わかりやすかったな、ビックリするくらい……それで、何があったんだ」
少し話のを躊躇っていた様子の士道だったが、やがてポツポツと話を始める
「令音さんに、言われたんだ」
「言われたって、何を」
「琴里が、あと二日しか持たないって」
それを聞いたトーマの表情が、驚きに変わる
「どういうことだ?」
「令音さんが、琴里が自分の霊力に耐えられるのは後二日だろうって……」
「それで、お前はどうするんだ?」
「琴里をデレさせる……それは決まってるけど、なんか難易度高い気がしてな」
「あの性格だもんな、それで少しだけ表情が暗かったのか」
トーマは話を聞いて、少しだけ納得する。確かに急に自分の妹の余命が後二日しかないと言われたら受け入れるのは難しいだろう
「……後、琴里が言ってたんだ」
トーマが納得していると、士道はさらに言葉を続ける
「狂三と戦ってる時、急に意識がなくなったって……意識のないあいだに自分がなにか取り返しのつかない事をしてるんじゃないかって、それで五年前に誰かを殺してしまってるんじゃないかって……」
「だが、それはあくまでもそうだと仮定した場合の話だろ……実際のところはわからないんじゃ──」
「それだけじゃない」
トーマの言葉を遮った士道は言葉を続ける
「折紙の両親は、五年前精霊に殺されてる……もしかしたら、本当に琴里は──」
そこまで言ったところで、士道は言葉を止めた
「すまん」
「気にするな……だが、まだ琴里が折紙の両親を殺したって確証はないんだろ? なら、まだわからない」
「そうだけど、でも──」
「信じてやれよ、家族を……それに士道、今は琴里を救う事だけを考えろ。冷たいようだが……折紙の両親は既に死人だ、今のお前には救えない」
「そんな言い方──」
「するさ、今のお前は他人の両親の事なんて考えるな、ただ自分の家族を救う事だけを考えろ……大切なのは、今のお前がどうやって琴里を救うか、ただそれだけだ」
「そうだけど、でも──」
未だ吹っ切れていない様子の士道を見たトーマは、彼の胸ぐらを掴む
「士道、その優しさはお前の長所だと思う……だけどな、他人の言葉に惑わされて自分がやらないといけない事を見失うのは、優しさじゃないただ甘いだけだ」
「トーマ……」
「家族なら信じてやれ、たとえ鳶一折紙の言った事が真実だったとしても、それが本当に真実だと判明するまで……お前は自分の妹の事を信じて、救うために手を伸ばせ」
「信じる……か、そうだよな」
少しだけ吹っ切れた表情になった士道を見たトーマは、手を放す
「少しは吹っ切れたか?」
「あぁ、ホントに少しだけどな……あっ、そういえば令音さんに呼ばれてたんだった」
「それなら先に言ってくれ」
「すまん、トーマも来るか?」
「……いや、オレはやめとく」
「そっか、とりあえず……話を聞いてくれてありがとな」
「こっちこそ、話してくれてよかったよ」
それだけ言い残すと、トーマは士道と分かれた。マンションへ続く帰路を歩き始めた
翌日、トーマがいつものように朝食を作っている様子を眺めていた美九は、その様子に少しだけ違和感を覚えた
「お兄さん、何かありましたか?」
「ん? いや……何でも、なくないか」
「ですよねぇ、それで何があったんですか?」
「美九は、もし大切な人が意識の無い時に取り返しのつかない事をしてる可能性があったら、どうする?」
「随分と限定的な質問ですねぇ……それって、あくまで可能性の話ですよね?」
「そうだな、可能性の話だ」
「なら、私は大切な人が何もしてないって可能性を信じます」
トーマは目の前で作っているフレンチトーストに目を向けながら、美九の言葉に耳を傾ける
「やっぱり、そうだよな」
「当たり前です、本当に大切な人なら信じて当然です」
「確かにそうだよな……よし、出来たぞ」
「待ってましたぁ!」
フレンチトーストを皿に移し、美九の前に皿を一枚置き、トーマ自身ももう一枚の皿と一緒に席に着く
「「いただきます」」
二人で手を合わせて、ナイフとフォークを使ってフレンチトーストを食べ始めてすぐ、食事をする手が止まる
「どうした?」
「お兄さん、実はですね……アイドルの活動を再開しないかって、連絡が来たんです」
「──そうか、確かに活動休止から半年、意思確認には良い時期かもな」
トーマの同居人、誘宵美九はかつてアイドルをしていた──宵待月乃と言う名前で、彼女とトーマが出会ったのもアイドル活動をしていた時期だ。それから彼女は一度引退し誘宵美九として再び芸能界に戻った。人ではなく精霊として
「でも……正直迷ってます」
「迷ってる……か」
「はい、アイドルの活動は再開したいと思ってます……けど、いざそうなるとやっぱり──」
美九は少し震えながら言葉を続ける
「やっぱり、怖いんです」
「……」
トーマはそれに対して、何も言わない
「アイドルの活動はしたいです、歌だって唄いたい……でも、また”あんな事”になるのが、私怖くて……」
精霊として芸能界に戻った彼女の生活は順調だった
しかし、ある時を切っ掛けに声を失った。自分にとって一番大切なものを──そして精神が不安定になっていたところで、彼女は再びトーマと再会し霊力を封印された
宵待月乃としての彼女と、
「だから……私は、どうしたらいいですか?」
「──その答えを、他人に求めるな」
縋りつくような表情の美九に対し、トーマは冷たく言い放つ
「美九、オレは同居人だ……思う存分頼ってくれとも思ってる。だけど……自分で出さないといけない答えを、オレに求めるのは頼るんじゃない、ただ依存してるだけだ」
「そう……ですよね」
「あぁ、オレが答えを決めるんじゃダメだ。……それで、美九。お前はどうしたいんだ?」
「……まだ、わかんないです」
「それなら、ゆっくり考えればいい……ゆっくり考えて、お前の心と対話をすればいい」
それだけ言い残すと、残りのフレンチトーストを食べきり、食器を洗うために移動しようとしたところで後ろからの衝撃を受ける
「……ごめんなさい、少しだけ、少しだけでいいので……背中を貸してください」
「……わかった」
震えている美九に対し、トーマはしばらく背中を貸していた
新たに現れた疑惑
新たに現れた悩み
それぞれの道を、それぞれが悩み
士道には、新たな試練が課せられる
次回, 五河シスター 第4-3話
予告とタイトル変えてしまってごめんなさい
タイトル変わったのでそっちも修正しました
PS.美九とトーマの過去話も必ずやります
原作4巻までは規定路線で進んでますが、4章終わった後どれがいいですか?
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Ⅰ,凜祢ユートピア【ゲーム1作目】
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Ⅱ,狂三スターフェスティバル【OVA】
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Ⅲ,八舞テンペスト【原作5巻】
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Ⅳ,宵待ビギニング【本編より少し前の話】