デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第4-3話, 水着対決…の前に

「……ま、ありがたいと言えばありがたいか」

 

 平日の朝、私服姿の士道は玄関に鍵をかけながら、小さな声で呟くとインカム越しに令音の声が聞こえてくる、

 

『……そろそろ十時だ。こちらからも先ほど四糸乃をマンションの屋上に転送した。もうすぐこちらに着くだろう』

 

 どうして平日の朝に彼が学校に行かず、私服姿で出かけようとしているのか、その理由はシンプルで士道たちの通っている学校、来禅高校は狂三の一件で学校にいる生徒・教師の多くが倒れ、一時意識不明状態に陥った事で臨時休校が決定したという訳だ

 琴里の事を優先したい士道にとっては、不謹慎かもしれないがありがたい事態だ

 そして、そんな士道は明日に控えた琴里とのデートの為に、とある訓練をすることになった

 

「それで、今日の訓練は何するんですか? まだ聞いてませんけど……」

『……あぁ。十香たちと合流したなら、そのまま天宮駅前に向かってくれたまえ。目的地はツインビルB館四階だ。……そこで、二人に水着を見繕ってやってもらいたい』

「も、水着……!?」

 

 どんな訓練をするのかを聞かされていなかった士道はその言葉に眉をひそめる、頬を赤くしながら目を泳がせる

 

『……そう、水着だ。資金は昨日渡しておいたね? それだけあれば十分なはずだ』

「や、そ、それはいいですけど……一体なんでまた水着なんて」

『……シン。君は明日、琴里と共にオーシャンパークへ行くんだろう? ならば当日緊張しないために、今から水着姿の女の子に目を鳴らしておく必要がある』

 

 令音は至極当然と言った風にそう言うと、士道は少し半眼を作って頬をびくつかせた

 

「……や、令音さん? さすがに俺でも、妹の水着姿に緊張なんてしませんってば……」

『……そうかな。まぁ、仮にそうだとしても、やはり、いや──だからこそこの訓練は必要だろう。オーシャンパークにいる少女は琴里だけではないんだ。せっかくのデートで他の女の子に目移りしているようでは困るんだよ』

 

 士道は即座に返事をしようとするが、数十秒前に想像だけで頬を熱くして、あまり偉そうなことは言えなかった

 

「はぁ……わかりましたよ……あの、せめて男一人だと心細いのでトーマも一緒に……」

『……彼なら今日はどうしても外せない用事があると言っていた』

 

 士道、精霊関係で明確に頼れる男手に頼れず……などと考えていると後方から靴音が聞こえてきた。十香か四糸乃だろうと思っていた士道は小さく手を上げながら振り向く

 

「おう、おはよ──」

 

 そう言っている途中で、士道は身体を硬直させる。そこにいたのは十香でも四糸乃でもなく、鳶一折紙だったのである

 

「お、折紙?」

「…………」

 

 折紙は無言でうなずく

 

「今日はどうしたんだ? こんなところで会うなんて珍し──」

 

 と言いかけて、士道はハッと肩を揺らし折紙に勘づかれぬよう自然な調子で口元を隠し、インカムに問いかける

 

「令音さん? これはもしかしてそっちの仕込みですか……?」

『……いや、少なくとも私は何も知らないな』

「そ、そうですか……」

 

 士士道は口元を隠していた手を横へ持っていき、頬をかいてから折紙に視線を戻した

 

「そういえば身体は大丈夫なのか? 昨日まで入院してたのに……」

「怪我自体は大したことなかった。あのあと検査をしてすぐ退院の許可が出た」

「そうか……そりゃ何よりだ。で、えっと……真那は?」

 

 士道がそう聞くと、折紙は微かに眉を動かした気がした

 

「まだ意識が戻っていない。……もし真那が目覚めていれば、ここに来る必要もなかったかもしれないのに。──でも、いい。士道に会えたのはとても僥倖」

「え、それって」

「シドー!」

『やっぱー、おっまたせー』

 

 士道が問い返そうとしたところで、隣のマンションから淡い色のキャミソールとスカートをまとった十香とサスペンダースカート姿の四糸乃がやってきた

 

「む?」

 

 満面の笑みを作ってた十香だったが、士道の隣にいた折紙の存在に気付くと、その表情が徐々に警戒色に変わっていく

 

「鳶一折紙……! 貴様、なぜこんなところにいる!」

 

 十香は士道と折紙の間に割って入り、折紙に向かって威嚇じみた声を発する。しかし折紙の方は威嚇に怯むでもなく、ちらりと四糸乃の方に視線をやった

 

「ハーミット……? なぜこんなところに」

「……っ!」

 

 その言葉を聞いた四糸乃は怯えたように肩を揺らすと、折紙と十香の間にパペットが割って入る

 

『はーいはいお嬢ちゃん。四糸乃をいじめないでもらえるかなぁ? あんまりしかめっ面ばかりしてると、年取ったとき小ジワが増えるよー?』

 

 しかし、折紙はそんな挑発にも眉一つ動かさず、視線を士道に戻す

 

「どういうこと」

「え、いや、あの」

 

 しどろもどろになっている士道の右耳から、令音の声が聞こえてくる

 

『……面倒だな。なんとか誤魔化してくれ』

「な、なんとかって……」

 

 令音のあまりにアバウトな指示に士道が困り顔を作っていると、先ほどから肩越しに会話を進められていた十香が両手をバタバタと動かす

 

「む、無視するなっ! 貴様、一体何の用かと訊いているのだ!」

「──夜刀神十香。あなたに訊きたいことがある」

「なんだと?」

 

 小さく息を吐いた折紙がそう言うと、十香は訝し気に眉をひそめる。それは、士道としても予想外の台詞だった

 

「なんだ、訊きたいこととは」

「一昨日。空から炎を纏った精霊が現れたのを覚えている?」

「……っ」

 

 折紙の質問に、士道は息を詰まらせる。狂三との戦いの際、屋上にいたのは士道、トーマ、十香、真那、折紙、狂三の六人だ。その六人のうちトーマや狂三との接触は折紙には不可能、そして真那には話が聞けず、士道から詳細な情報を聞き出せなかったとなると、残っている十香に照準が向くのは当然のことだった

 

「れ、令音さん……っ」

『……落ち着きたまえ、シン。そう簡単にはいかないだろう』

「で、でも──」

 

 士道は自分が立てる心臓の音を聞きながら、十香と折紙に視線を戻す

 

「ふんっ、知っていたとしても貴様には教えてやらん!」

「…………」

 

 その言葉を聞いた士道は、少しだけ安堵の息を漏らすが、それだけではおわらなかった、折紙は無言&無表情のまましばしその場に立っていたが、静かに足を一歩引くと、すっと頭を下げる

 

「お願い」

「な……っ」

 

 予想外の展開に、士道だけでなく十香の表情を驚きに変わる

 

「や、やめんか! い、一体何が目的だ!」

「炎の精霊のことを教えて欲しい。お願い」

「わ、わかった! わかったから顔を上げんか気持ち悪い!」

 

 十香が叫ぶように言うと、折紙はすっと頭を元の位置に戻した

 

「それで」

「む……炎の精霊だったな。確かに見たぞ」

 

 十香の言葉に、士道は全身が緊張するのを感じた

 

「あれは……あれだな、うむ、赤かった」

 

 どうやら、問題なさそうだ

 

「──あとは?」

「む? あとは……そうだな、強かった!」

「それだけ?」

「ぬ。えぇと……こう、ブワー! という感じだった!」

「役立たず」

 

 目当ての情報を得られなかったであろう折紙は、十香に向かってその言葉を発した

 

「な、なんだとっ!? せっかく答えてやったと言うのに、なんだその態度は!」

「爪の先程度でもあなたに期待した私が愚かだった。まだ定点カメラかボイスレコーダーの方が存在価値がある」

「この、言わせておけば……!」

「ま、まぁまぁ、落ち着けって」

 

 士道は心の中でホッとしながら、十香の肩を叩いた。未だ怒りが収まっていないといった様子の十香だったが、素直に士道に従い静かになった

 

「──ところで、あなたたちは何をしているの」

 

 と、目的の情報を聞き出せなかったであろう折紙は、士道たち三人を見渡しながら口を開く

 

「ふん、誰がシドーに水着を買ってもらうことなどを貴様に教えるか!」

「水着を買いにいくの?」

 

 折紙の視線が士道の方を向く

 

「や、まぁ、その……そうなるかな」

「そう」

 

 そう言うと折紙は踵を返し、そのままもと来た方向へと歩いていく……が、数歩進んだところで足を止めると、わざとらしく手を打った

 

「そういえば、私は学校指定の競泳水着しか持っていなかった」

 

 などと言いながら、額に手を当てる

 

「このままでは、プールや海に行く用事ができた場合、非常に困った事態になる」

 

 士道が無言でいると、折紙はちらりと後方に視線を送ってきた

 

「非常に困った事態になる」

「……えぇと」

 

 士道がリアクションに困っていると、インカムから令音が話しかけてくる

 

『……シン。仕方ない。彼女も誘ってあげたまえ』

「だ、大丈夫ですかね……? その、十香とか、四糸乃とか」

『……仕方あるまい。どうせこの調子では、無視していったところで後をつけてくるだろう。それにまぁ、サンプルの女の子が増えること自体は悪いことではないしね』

「う……」

 

 安易に想像することの出来る場面を想像し、士道は額に汗を滲ませると、はぁっと吐息をこぼし未だわざとらしく困った仕草を続けている折紙に顔を向ける

 

「よかったら、一緒に行くか?」

「行く」

「な──!」

 

 折紙が身体を士道たちの方に向き直り、うなずくと同時、十香が愕然とした様子で肩を震わせる

 

「な、なぜだシドー! 今日は私とシドーと四糸乃とよしのんだけで買い物ではなかったのか! なぜよりにもよって鳶一折紙が一緒なのだ!」

「ま、まぁ、そう怒るなよ。あいつも困ってるみたいだし」

「ぐぐ……そうはいってもだな」

 

 十香が納得いかないと言った様子でいると、折紙が平然とした調子で深く頷いた

 

「そこまで嫌ならば仕方がない。私は一緒に行くのをやめる」

「! な、なんだと?」

 

 あまりの素直さに十香が訝し気な表情を向けていると、折紙は軽やかな足取りで士道の元に戻り、手を取ってすたすたと歩いていった

 

「ま、待て! 何をしている!」

「私と士道で水着を買いに行く。あなたはハーミットと行くといい」

「な、なぜそうなるのだ!」

「あなたが私と一緒は嫌と言った。だからこれは仕方のないこと」

「な……それはあれだ! そういう意味ではなく──」

 

 十香の言葉の途中で、折紙は士道の手をさらに強く引いてきた。それに引っ張られる形で士道も足を動かしてしまった

 

「シドー! この──手を離さんか!」

「しかし、それでは私とあなたが一緒に買い物に行くことになってしまう」

「そ、そうなのか……!?」

「そう。それはもうどうしようもない」

 

 困惑したような十香の声に、折紙は自身満々にうなずいた。十香はしばらくの間唸った後、悔し気に口を開く

 

「わ、わかった、もう貴様と一緒でいいからシドーを離せ!」

「そう。私はいや」

「──っ!?」

「一緒に行きたいなら、お願いは」

「な……な……」

 

 十香は自分が今の状況が理解できず、士道と折紙の顔を交互に見る

 

「できないならば構わない。私と士道だけで行く」

「ちょ、ちょっと待て! た、頼む! お願いだから私も連れていってくれ!」

 

 十香がそう叫ぶと、折紙は士道を掴んでいた手の力を緩め、ゆっくりと十香に視線を定めた

 

「いや」

「な……っ!」

「……おい」

 

 その言葉を聞いた十香は今にも泣いてしまいそうな顔を作った。今までずっと黙っていた士道だったが、流石にその様子を見かねて半眼を作りながらため息を吐く

 それから、少しの間話し合いがなされ、結局買い物には折紙もついてくることになった

 

 

 

 

 

 士道たちが折紙と遭遇する前、もっと言うとトーマの元に令音から連絡が入る前

 美九を学校に見送った後、朝食の食器を片付けていたトーマの目の前に、突如として無銘剣が現れた

 

「無銘剣……なんで急に」

 

 不審に思ったトーマは、食器を洗う手を止めて無銘剣に触れた瞬間。頭の中に入ってきたのは、あたり一面が竹に囲まれた場所

 

「──っ!? さっきのは……一体」

 

 トーマが意識を取り戻したころには、既に目の前から無銘剣は消えていた。さっきの光景が何だったのか考えていると、ポケットの中に入れていた携帯が振動する

 

「もしもし?」

『……今、少し時間は大丈夫かい?』

「令音さん? えぇ、大丈夫ですけど」

『……そうか、実は頼み事があってね』

「頼み……ですか、オレに」

『……あぁ、実は今日、シンの訓練で十香たちと水着を買いに行くことになっていてね。頼めるなら引率役をお願いしたかったんだ』

 

 令音の言葉を聞いたトーマは少しだけ考えてみる、確かに時間はあるが、無銘剣に見せられた映像が頭から離れなかった

 

「……すみません、手伝いたいんですけど今日はどうしても外せない用事があって」

『……そうか、時間を取らせて悪かったね』

「いえ、こっちも手伝えなくてすいません」

 

 それだけ言って電話を切り、トーマは残りの洗い物を終わらせると家を出た。彼が探すのは、無銘剣の見せた映像の場所

 

 

 

 

 そして、時は戻り現在。折紙を加えた士道たちは水着売り場に到着する

 

「そういえば、シドー」

「ん? なんだ?」

 

 水着売り場に着くと、十香が話しかけてきた

 

「水着とは、一体何なのだ?」

「え?」

 

 十香の問いに、士道は目を丸くするが。まだ学校の体育でもプールの授業が始まっていないため、十香が水着の存在を知らないのも無理ないかと納得する

 水着の事を説明するのに少しの恥ずかしさを覚えながら士道は口を開く

 

「ん……そうだな、水着っていうのは──」

「新型の対精霊用殲滅兵装の一つ。発動と同時に搭載された顕現装置(リアライザ)が臨界駆動を開始、弾頭を分子レベルに分解、放出し、霊装をも容易く通り抜け、対象の対組織を復元不可能なレベルまでずたずたに分解する。その際の苦しみは筆舌に尽くし難く、あまりに非人道的であるという理由で対人使用は国際法で禁じられている」

 

 と、折紙が士道の言葉を遮り嘘を並び立てる。それを信じたのか十香はひっと息を詰まらせた

 

「……ほ、本当かシドー!?」

「いや、そんなわけ──」

「本当。まさか彼がこの兵装の存在を知っているとは思わなかった」

 

 再び、士道の言葉を遮る形で折紙が話す

 

「な、なぜシドーはそんなものを……」

「それは至極明快かつ単純な理由。対精霊殲滅兵装は、精霊に向けるほかない。きっとあなたたち二人が油断したところで、後ろから奇襲をかける算段」

 

 その言葉を聞いた十香は顔を青くして身を固くし、折紙から隠れるように士道の陰に立っていた四糸乃も小さく息を詰まらせる

 

「う、嘘を吐くな! シドーがそんなことをするはずがない!」

「……っ、わ、たしも……そう、思い、ます……」

 

 十香は叫び、滅多に声を上げない四糸乃もそういう

 

「そ、そうだろう、シドー」

『いや、折紙の言う通りだ。いつおまえらを殺してやろうかと思っていたのだー』

 

 士道が首肯しようとしたところで、折紙が鼻をつまみ全く似ていない士道のモノマネをする

 

「ま、まさかシドー、本当に……!?」

「いや全然似てねぇだろ騙されんなよ!」

 

 士道の言葉を聞いた十香は、自分が騙されていたことにようやく気付くと、怒りでか恥じらいでか知らないが顔を赤く染める

 

「おのれ、卑怯なり鳶一折紙! 私をたばかったな!」

「なんのことかわからない」

「……二人とも、店内では静かにな」

 

 士道を挟んで言い合いを始めた二人をなだめると、改めて士道は水着について説明する

 

「水着ってのはその名の通り、水に入る時に着る服の事だよ」

「水に……? それだけのためにわざわざ着替えるのか?」

「あぁ、水に濡れた服がびしょびしょになって気持ち悪いだろ?」

「おお、なるほど!」

 

 十香は納得すると、改めて水着を選び始めようとしたところで、不思議そうに店内を見回し、首を傾げる

 

「それで、シドー。水着と言うのはどれのことなのだ?」

「ん、そこら中にかかってるの全部そうだよ」

「! な、なんだと……?」

 

 士道がそう言うと、十香は恐る恐るワンピースタイプの水着を手に取って眺め、何かに気付いたようにハッと顔を上げる

 

「なるほど、そうか。これの上に何かを着るのだな?」

「いや……それだけだけど」

「こ、これでは身体が隠しきれないぞ! なぜこんなに面積が小さいのだ……!?」

 

 士道がそう言うと、十香は戦慄に染まった表情でそういう

 

「、や、まぁ……動きやすいから、じゃないか?」

「ぬ、ぬう……確かにそうかもしれんが、これではまるで鳶一折紙のナントカスーツではないか……さすがに少し恥ずかしいぞ」

 

 十香のその言葉に、折紙はじとっとした視線を向ける

 

『……まぁ、とにかくどれか試しに着てみてもらいたまえ』

 

 その様子を眺めていると、士道のインカムに令音からの指示が入る。士道は了解を示すようにインカムを小さく小突き、口を開く

 

「ま、まぁ……とりあえずどれか気に入ったのを試着してみてくれ」

 

 そう言うと折紙は即座にうなずき、十香と四糸乃も恥ずかしそうに首肯する

 

「よし……では勝負だ、四糸乃!」

「え、えと……お手柔らかに、お願い……します」

「勝負って……何かするのか?」

 

 二人のやり取りに首を傾げた士道がそう問いかける

 

「うむ。今日私と四糸乃とで、よりシドーをドキドキさせた方に、シドーとデェトする権利をくれるらしいのだ」

「な……!?」

 

 予想外の返事を受けた士道は目を剥いてインカムを叩くと、すぐに令音の声が聞こえてくる

 

『……どうせなら、少し難易度を上げておこうと思ってね』

「そ、そんな──」

「ところでシドー!」

「な……なんだ、十香」

「シドーは、一体どうやったらドキドキするのだ? 走るのか? いっぱい走るのか?」

「……それは、うん、ドキドキしそうだな」

 

 士道は頬に汗を垂らしながら苦笑していると、四糸乃の左手に装着されていたよしのんがカラカラと笑い声をあげる

 

『あーはは、違うよー。男の子をドキドキさせるっていったら。一つしかないじゃない』

「ぬ? ではどうするのだ?」

『んー、ま、四糸乃の敵に塩を送るってのは本意じゃないけどぉ? 何も知らないコにただ勝ってもつまんないしねー。ほいほい十香ちゃん。ちょっとこっちに来たんさい』

 

 十香を招いたよしのんは何やらひそひそと伝える、十香の顔がポンッと赤くなった

 

『ま、どーせ四糸乃には勝てないと思うけど、せいぜいがーんばってねー』

 

 よしのんは四糸乃を引っ張って店の奥へと歩いていった

 

「お、おい、十香……? 一体何を──」

「はふん!」

 

 呆然としている様子だった十香に士道が触れると、十香はへんな叫びをあげて身体を震わせた

 

「と、十香?」

「ぬ……いや、すまん。なんでもないぞ。しかし……そうか、困ったな。シドーはああしないとドキドキしてくれないのか……」

「いや、だから一体何を聞いたんだよ!」

 

 などと士道が叫んでいると、背後から音もなく折紙が現れる

 

「──ルールは把握した。士道とのデート権は私がもらう」

「な……っ! き、貴様は関係ないだろう!」

 

 十香が顔を厳しくして折紙を睨みつけるが、当の本人はそれを意に介さず、水着を何種類か持って試着室に入っていった

 

「ぐ……あ、あの女だけにはデェト権を渡すわけにはいかん……ッ!」

 

 そう言うと、十香も近くにあった水着を手に取って、折紙の隣の試着室に入っていく

 

「……えぇと」

 

 フラクシナス主催、士道をドキドキさせろ! デート権争奪水着ファッションショー……士道本人の了承なく、開幕

 

 

 

 

 士道が変な女難に見舞われている頃、トーマは腰ポーチに水と方位磁針、右手には杖替わりの無銘剣、左手には天宮市全域の地図と言う、見る人が見たら不審者にか見えない恰好で、郊外の森の中を徘徊していた

 

「……どこだ、竹林。というか……ここは何処だ」

 

 朝食の片付けを終えたトーマは、そのまま休まず無銘剣の見せた映像の場所を探しに出ていた。とりあえず竹林探すなら天宮市一帯の山を見回っていけばいいだろうという思考で、出かけた彼は……今現在遭難している

 

「……無銘剣は何も言ってくれない」

 

 訳の分からないことを呟きながら、トーマは竹林を探す為に再び歩き始めるのだった




いよいよ始まった水着対決
実況は神無月、審判は士道
果たして誰に軍配が上がるのか

そして、前話のシリアスから一転
気楽思考で散策に出て遭難したトーマの運命はいかに

次回, 五河シスター、第4-4話

この章が何話で完結するのか…それは作者にもわからない

PS.この章終わったら、またアンコールの話を書こうかな

原作4巻までは規定路線で進んでますが、4章終わった後どれがいいですか?

  • Ⅰ,凜祢ユートピア【ゲーム1作目】
  • Ⅱ,狂三スターフェスティバル【OVA】
  • Ⅲ,八舞テンペスト【原作5巻】
  • Ⅳ,宵待ビギニング【本編より少し前の話】
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