デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
第1-1話, 邂逅
『今日未明、天宮市近郊の──』
とあるマンションの一室、紫銀の髪を揺らす少女―誘宵美九はテレビを見ながらつまらなそうに言葉を発した
「また空間震ですかぁ、最近多いですねぇ」
「口ぶりが随分と他人事だな」
「だって実際他人事ですし」
「他人事って、お前も一応”精霊”だろうが、美九」
美九の話相手をしながらフライパンを動かしていた男―トーマ(本名不詳)は、完成した目玉焼きを皿に移すと同じタイミングでトースターから食パンが排出された
目玉焼きの皿とトーストの皿を両手で運び美九の前に置く
「ほれ、出来たからさっさと食べて学校に行け」
「お兄さんは食べないんですか?」
「オレは後で適当に食うから良いよ」
「えぇ、一緒に食べましょうよぉ」
「はぁ……いいからさっさと食え、遅刻するぞ」
自分の言葉が適当にいなされてることに気づいた美九は不服そうにしながら朝食を食べ始める。トーマはそれを確認しながら必要最低限の荷物がまとまったカバンを片手に持って玄関の方に向かう
「どこか行くんですか?」
「あぁ、空間震の場所が結構近いからな、一応確認しに行ってくる」
「はぁーい、いってらっしゃい」
美九のその言葉を聞きながら、トーマは玄関から出ていった
マンションから出たトーマはその足で空間震の起こった場所まで向かっていると、自衛隊の隊員に呼び止められる
「キミ、ここから先は立ち入り禁止だよ」
「入っちゃダメですか? この先にある職場を確認しに行きたいんですけど」
「空間震の影響で地盤が不安定になってるかも知れないから、流石に許可できないよ」
「やっぱりそうですか、それじゃあ職場の方には電話かけて聞いてみます」
来た道を戻り自衛隊員の視界から外れると、さっきまでの雰囲気を一変させ壁に背中を預ける
「自衛隊が来てるとなると、今回も空振りか……空間震の起こる場所でもわかりゃ苦労しないんだがな」
そう言いながらポケットから取り出したのはオレンジと黒で構成されている手のひらサイズの本
「こいつの事をもっと知るためにも、もっと精霊と接触する必要があるんだがな……物事はそう簡単にうまくいかないもんだ」
それから二時間後、トーマは少し寂れた外観の定食屋でフライパンを振るっていた
「坊主! 次は野菜炒め定食一つな!」
「はいっ」
昼前だというのに次々とくる注文を捌きながら、額に浮かぶ汗を拭う。そこそこ忙しい状況が一時間程続き、ようやく一息つくことが出来たトーマは厨房から出て席に座る
「いっつもわりぃな、坊主」
「気にしないでよ、おっちゃんには恩があるしこれくらいならいくらでも手を貸すって」
トーマがこの定食屋の手伝いをしているのは、住む場所の無かった彼を色々と助けてくれたのが定食屋の店主とその奥さんだからだ。
彼が初めて目を覚ました日、自分の事を一切覚えておらず空腹で行き倒れているところを助けられ、美九のマンションで世話になるまでの間この定食屋の二階を間借りして生活していた、その為トーマは定食屋の二人には返しても返しきれない程の恩を感じているのだ
「そういや坊主、最近あの嬢ちゃんとはどうなんだ」
「あの嬢ちゃんって……美九の事?」
「おう、いい加減二三歩前には進んでんだろ?」
「美九とはそんなんじゃないし……まずはアイツの人間不信を治さない事にはどうしようもないから」
「勿体ねぇな、あの嬢ちゃんも──」
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──────
警報が鳴った、空間震の発生を知らせる警報が
『──これは訓練では、ありません。これは訓練では、ありません。前震が、観測されました。空間震の、発生が、予想されます。近隣住民の明さんは、速やかに、最寄りのシェルターに、避難してください。繰り返します──』
「おいおいマジかよ、流石に急すぎんだろ」
「とりあえず避難しましょう、奥さんは?」
「今日は友達と買い物だ、流石に大丈夫だろ」
「わかりました、とりあえずオレ達も行きましょう」
トーマは店主を連れて近くシェルターまでやってくると、先に店主を行かせる
「坊主、お前は乗らないのか?」
「すいませんおっちゃん、少し忘れ物が……絶対に戻ってくるんで!」
「……わかった、気を付けろよ」
「はい」
シェルターの場所から離れ、建物の影に向かう
「ラッキーだな、接触できるならしたいが……考えるのは後か」
ポケットから本を取り出すと、腰にベルトが出現する。ベルトに本を装填すると、グリップを握り……引き抜く
『――抜刀』
炎を纏ったトーマの身体は変化していく。炎が晴れるとその場にいたのは仮面の戦士──ファルシオン
『虚無 漆黒の剣が、無に帰す』
身体に炎を纏ったファルシオンが鳥の形になり、その場から飛び立った
空間震が起こった場所の近くに降り立ったファルシオンは、眼下に広がる光景を見ると精霊以外にもう一人……どこかの高校の制服を着た少年の姿が目に入った
「あいつは──ッ!?」
『──兄さん』
「……何はともあれ、関係無い奴なら助けた方が良いか」
再び炎の鳥になったファルシオンは一直線に精霊の元まで向かい、剣を振った。金属同士のぶつかる甲高い音の辺りに響き渡る
「お前は──」
「──お前、いたいけな一般人に刃を向けるとかどういう神経してる?」
「私は──ただ私を殺しに来たものを追い払っているだけだ」
「あぁ、そう……因みに、話し合いに応じる気は?」
ファルシオンの問いに対して、目の前の少女は剣を向けるだけだった。それが返答だと受け取ったファルシオンもまた、剣を構える
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
「──?」
「……」
少年は二人の間に割って入ると、改めて少女の方を向く
「そのままでいいから聞いてくれ、俺は──君を殺しに来たんじゃない」
「──何?」
少年のその言葉を聞いたファルシオンは、構えていた剣を下げかけて……途中で止めた。視界の端に映ったミサイルを切り裂く為に、ベルトに剣を戻しもう一度抜刀する
「無粋な奴等だ」
『――抜刀 不死鳥無双斬り』
「う、うわぁぁぁぁぁッ──!?」
「あんまビビんな……って言う方が無理か」
「貴様……何故」
「別に──ッ!」
これ以上ここに来るのは不味いと感じたファルシオンは少年の首根っこを掴み後ろに後退してすぐ、迫ってくる攻撃を剣で受け止める
「鳶一──折紙……?」
「五河士道……?」
「なんだ、お前ら知り合いか」
「……ッ!」
折紙と呼ばれた少女は、ファルシオンから距離を取ると……次は少女の方に向かっていった。二人の少女による剣激を見ていると、首根っこ掴んでたはずの少年がいないことに気づく
「あれ? ……あーあ、伸びちまってる。とりあえず、ここで寝かしとくととばっちり受けそうだし今回はさっさと移動するか」
その言葉と共にファルシオンは炎の鳥となり、その場からいなくなった
変身する時の歌?ですがあえて省略して『抜刀』の部分だけ残しています