デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第4-7話,デート第二幕、そして…

「士道? あの三人は……」

「琴里。今すぐ着替えてアミューズエリアに集合だ」

「……は?」

 

 ようやく動けるようになった琴里が、フードコートまで戻ると、士道は突然そう言ってきた。その様子も先ほどまでとは違い、白いリボンの時の琴里を相手にしている時に近かった

 

「あぁ……フラクシナスから指示が出た? こっちじゃ上手くいきそうにないから遊園地エリアに変更ってこと? ふん、まぁ構わないけど──」

「いいや」

 

 琴里はフラクシナスから指示が出たのだと思い肩をすくめるが、士道が琴里の言葉を遮るようにそう言って、そのまま右耳に手を当てると、インカムを外してテーブルの上に置いた

 

「……っ、士道?」

「俺、実はプールより遊園地の方が好きなんだ」

「はぁ……?」

 

 意外すぎる士道の行動に、突拍子もない発言、それを聞いた琴里は眉間にしわを増やしながら唇を尖らせる

 

「何言ってるのよ、一体。ていうかそもそも十香と四糸乃は? いくら今の攻略対象外だからって、あの二人の精神状態を不安定にさせたら精霊の力が逆流して大変なことになるわよ? さっきの四糸乃を忘れたの?」

「忘れてなんかねぇよ。今あの二人はジャングルクルーズを楽しんでるさ、トーマにもついててもらってるし、神無月さんたちにも連絡したし、心配ねぇよ」

「……何の真似?」

 

 琴里は士道の意図を読めず、渋面を作りながら聞くと、士道は琴里の手を取ってニっと唇の端を上げてみせる

 

「遊ぶんだよ。──久々の遊園地だ、楽しみで仕方ない。着かれて眠っちまうまで遊びまくってやる。覚悟しとけよ、琴里」

「は、はぁ……?」

 

 戸惑っていた琴里は、そのまま士道に手を引かれていった

 

 

 

 そして、遊園地エリアへと移動した士道と琴里は巨大フリーフォールを堪能し終えたところだった

 

「よっしゃぁぁ! 琴里! 次は何に乗る!?」

「ちょ……ちょっと待ちなさいよ!」

 

 堪能し終えた士道は、琴里の手を引いたまま走り出したところで、琴里は声を上げながら足を踏ん張って士道の進行を妨げる

 

「ん、どうした琴里」

「どうしたじゃないわよ……っ! ちゃんと説明しなさい、説明を!」

 

 琴里は興奮した調子で叫びを上げてくる。まぁアミューズエリアについてすぐに引っ張ってこられ、有無を言わせず一番近くにあった絶叫系アトラクションに吶喊したのだから仕方ない

 

「説明? しただろさっき。実は兄ちゃん遊園地が大好きなのです」

「説明になってないわよッ! そんな理由で私を連れ回してるっての!?」

「ばっ、おまえ、そんな理由とか言うんじゃねぇよ。男は高校生にもなるとな、遊園地なんてそうそう行けないんだよ? 家族連れってのも何となく気恥ずかしい。男友達ってのももの悲しい。結局遊園地で生存が許されるのは、彼女持ちという特権階級だけなんだよ! 遊園地に来たくても来れない男子が、一体何万人いると思ってるんだ!」

「知るかッ! だいいち──」

 

 その途中で、琴里は何かに気付いたようにハッとして、声を窄ませていく

 

「か、かのじょ……」

「ん? どうした琴里。──あ、もしかしておまえ」

「! な、なんでもないわよ! 気に──」

「フリーフォールが怖かったのか? 何だよ、先に言ってくれればいいのに」

 

 士道は口元を押さえて笑うと、琴里は顔を真っ赤にして手を振り回す

 

「いたたたたっ、や、やめろって」

「るさいッ! このっ、このッ!」

 

 士道は何とかその構成から逃れると、今度はジェットコースターの搭乗口を指さした

 

「よし、琴里。今度はあれ乗ろうぜ」

「だから、人の話を聞きなさいよ!」

「あ、そうか。琴里の身体じゃ乗せてもらえないか!」

 

 士道がニヤニヤしながら言うと、琴里は顔を真っ赤にして再び突撃してくる

 

「馬鹿にすんじゃないわよ! ジェットコースターの制限って百十センチとかじゃない! 流石にそんなに小さくないっての!」

「えぇ? でも怖いんだろー?」

「舐めるんじゃないわよ! むりそ士道の方がおしっこ漏らさないか心配ね!」

 

 そんなことを言い合いながら、士道と琴里はジェットコースターに搭乗し、士道の口車に乗せられたのことに気付いたのは、安全バーが完全に下がってからだった

 

 

 

 そんな士道と琴里の様子をモニタリングしているフラクシナスの艦橋では、神無月が落ち着かない様子で腕組みをしながら靴底で床を叩いていた

 

「うーむ……大丈夫でしょうかね。士道くんは」

「……いや、むしろ琴里に限っては、こちらの方がいいのかもしれない」

 

 艦橋下段に座った令音が、画面に映る士道たちの様子を見ながらそう言う

 

「そうですかねぇ」

「……あぁ、シンもやるじゃないか。少し余計な気を回しすぎたかもしれないな」

 

 丁度、士道と琴里はお化け屋敷が入ったところで、神無月があぁっ! と声を発した。どうやら士道と琴里は手を繋ぐ繋がないの問答をしているようだったが。一見すると仲のいい兄妹の光景であるため、クルーたちには神無月がどうして声を上げたのかわからなかった

 

「ど、どうしました、副司令」

「士道くん、せっかくのお化け屋敷だっていうのに、何をもったいないことを……!」

「え……? ちゃんと手も繋いでいるし、何も問題ないように見えますが……」

「何を言ってるんですか! なぜ司令に抱き着かないのですか! 合法的に司令の柔らかな肢体を堪能でき、もしかしたらその後に固い靴の底で顔に跡を付けていただけるかもしれないのに……ッ!!」

 

 クルーたちが、一斉に頬に汗を垂らすが、士道たちのデート風景を見ている神無月の暴走は止まらない

 

「あ、あぁ……! 士道くん、何てことを……!」

 

 お化け屋敷を出てゴーカートに二人で乗った様子を見て、神無月は再び悲愴に満ちた声を上げる

 

「なぜ一緒にカートに乗るのですか! そこは司令だけをカートに乗せ、自分は足で走るべきでしょう! サディスティックにほほ笑みながら迫る司令のカート! 次第に詰められる距離! そして執拗なアキレス腱への攻撃の果てにその場に倒れこんだなら、苛烈なバンパーの洗礼が身体を蹂躙する……ッ! あぁ、司令! お慈悲を! お慈悲を!!」

 

「士道君、インカム捨てて正解だったかも」

 

 一人悶える神無月の姿を見ながら、クルーの一人が呟いた言葉に、他の全員は同意した

 

 

 

 

「はふぅ……っ」

 

 息を吐いた琴里が、中央広場のベンチの上に身体を投げ出す。時刻はもう五時を回っていた。士道と琴里はアトラクションを制覇しそうな勢いで遊びまわった

 

「あー……ちょっとやべぇわ。遊園地舐めてたわ。超楽しいわ」

「ふん、子供なんだから。高校卒業までにはおしめが取れるといいわね」

「スプラッシュコースターではしゃいでたお前に言われたかねぇ」

「な、なんですって!?」

 

 琴里は不満げに声を上げるが、すぐにはぁと息を吐いて姿勢を元に戻した

 

「ふん……まぁいいわ、疲れたし。それに……まぁ、つまらなくはなかったし」

「ん、そか」

 

 そう言うと士道はもう一度大きく身体を伸ばした

 

「しっかし……遊園地なんて来たのどれくらいぶりだったけか。父さんも母さんもほとんど家にいないから、随分……」

「五年前よ」

「え?」

 

 琴里は即座そうに答えると、士道は素っ頓狂な声を発した。琴里は一瞬ハッとした顔を作ったが、仕方ないと言った調子で、言葉を続ける

 

「家族みんなで遊園地に行ったのは、五年前が最後。それからは一度も行ってないわ」

「よく覚えてるな。そっか……五年も前になるか」

 

 五年前、それは五河家が最後に遊園地に行った年でもあり、琴里が精霊になった年、そして……鳶一折紙の両親が死んだ年でもある

 士道は無言のままベンチを立つと、隣に座った琴里と向かい合う位置に足を落ち着けた

 

「……何?」

 

 琴里は小首を傾げ、数秒後には何かに気付いたように肩を小さく震わせる

 

「え、あの、その……もしかして」

「琴里」

「ふぁ、ふぁい……っ!」

 

 士道が静かに名前を呼ぶと、琴里が間の抜けた声で返す

 

「し、士道……? その、うん、まぁ確かにそろそろ頃合いだとは思うんだけど……その、せ、せめてもう少し、ひとけのない場所にいかない?」

「なんでだ?」

「な、なんでって……」

「別にいいじゃないか、ここで」

「っ……!」

 

 士道の言葉を聞いた琴里は、赤くなっていた顔を更に赤くすると、声にならない叫びを上げた

 

「その、だな、琴里」

「……! な、なに……」

「訊きたいことがあるんだ」

「! き、キスしたいとかそんなはっきり……って、え?」

 

 真っ赤になっていた琴里は、キョトンと目を丸くする

 

「え、えぇと? 悪い、琴里は今──」

「う、うるさい! 何よ、訊きたいことって。早く言いなさいよ!」

「あ、あぁ……」

 

 少し話の行き違いがあったようだが、士道はこほんと咳ばらいをして琴里の目をジッと見つめ直す

 

「あのだな。琴里。おまえ五年前──」

 

 その瞬間、士道は周りの音が少し遠くなるのを感じる、それがASTの展開する随意領域(テリトリー)のようだと思った直後、上方から琴里のいる場所に向かって何かが向かってくるのが見え、凄まじい爆発音が響き渡る

 

「な……」

 

 何が起こったのかわからず、しばらくの間身体を硬直させるが、士道の身体には傷一つついていない

 

「琴里!」

 

 煙が晴れ、琴里のいた場所が見えるようになると……琴里の座っていた場所は粉々に破壊されていた。どうしてこんな事が起こったのかを薄々理解することの出来た士道はバッと顔を上げ──そこにいた人物を見て、またも息を詰まらせる

 

「っ、折紙……」

「──士道。ここは危険。離れていて」

 

 上空に居たのはCRスーツを身に纏い、その背後に小型の戦艦のような兵装を装備した折紙だった。その武装を見て士道は確信する──琴里を撃ったのは、鳶一折紙だ

 一拍置いて、周囲の客たちもその異常事態に気付いたようで、辺りから甲高い悲鳴がいくつも響き、逃げ去っていく

 

「折紙──! おま、え。今、何をしたのかわかってるのか……ッ!?」

「──五河琴里を殺した」

 

 士道の叫びに対して折紙の返事は、あまりにも簡素なものだった

 

「……殺した、ね。随分とまぁ、お手軽に言ってくれるじゃないの」

 

 全身を震わせた士道が、言葉を発しようとした瞬間。焔の壁に守られた琴里が、上空に立っていた

 

「鳶一折紙。あなたはもう少し賢明な人かと思っていたのだけれど……警報も鳴っていない、避難もできていない中でミサイルぶっ放すようなクレイジーな女だったなんて知らなかったわ」

「…………」

 

 折紙は無言で視線を鋭くすると、兵装を開き琴里に向かってミサイルの雨を降らせる

 

「……! 琴里!」

 

 迫りくるミサイルに対して、琴里は悠然と手をかざすと、紅蓮の焔が立ち上がりミサイルを飲み込み、融解させた

 

神威霊装・五番(エロヒム・ギボール)!」

 

 琴里がそう言うと同時に、焔が身体に纏わりつき、琴里の服を焼いていく。そして、焼かれた服を上書きするように、霊装が形成された

 

「灼爛殲鬼!」

 

 霊装を纏った琴里の言葉と共に、炎が集結し巨大な戦斧を形作った

 

「見つけた……ようやく……ッ!」

 

 炎を身に纏った精霊、その姿を見た折紙の表情が憤怒に染まり、琴里を睨みつけた。そして折紙が軽く息を吐くと、先ほどまでとは比べ物にならない量のミサイルが琴里に襲い掛かる

 

「ふん……随分と行儀の悪い武器を使うわね」

 

 ミサイルの直撃を受けた琴里だったが、傷つくことはなかった

 

「く──」

 

 折紙が苦し気に顔をゆがめると、もう一度ミサイルを発射するが、今度はそれだけではない

 

「指向性随意領域(テリトリー)・展開! 座標固定(二二三、四三九、三六)……ッ!」

 

 自身の周りに結界を形作られた琴里は眉をひそめた直後、放たれたミサイルは結界をすり抜け琴里に直撃した

 

「はぁ……っ、はぁ……っ、はぁ……っ」

 

 士道の目から見ても、琴里よりも折紙の方が消耗が激しいように見えるが、先ほどの一撃を受けた琴里もただでは済まない……そう思っていた

 

「やってくれるじゃない。見たことない機体ね。新型かしら」

 

 そう言いながら、琴里が軽く手を振ると、僅かにダメージを負っていた身体とその霊装を、無傷の状態に復元していったのだが、琴里は顔を歪めて、左手で側頭部に押さえながら苦しげな声を発する

 

「く……力を、使い、過ぎ……」

「クリーヴァリーフ──解除・展開!」

 

 それがチャンスだと思った折紙は、れいざーブレイドの刃が光の帯となり、灼爛殲鬼と琴里の身体に巻き付いた

 

「指向性随意領域(テリトリー)──展開!」

 

 その言葉と共に、琴里の周りに再び円形の結界が形成される

 

「討滅せよ──ブラスターク!」

 

 その声と共に、魔力光の奔流が琴里に向かって放たれ、直撃する

 

「琴里──!」

 

 士道はのどを潰すほどの勢いで叫びを上げるが、辺りを破壊する魔力光の余波でまともに声は届かない

 

「……っ、……っ」

 

 武装を使った折紙は憔悴した様子で方を下ろした瞬間、折紙の背後に灼爛殲鬼を振り上げた琴里が現れた

 

「──灼爛殲鬼」

 

 焔の刃が、折紙に襲いかかる。その一撃を喰らった折紙は巨大な装備ごと地面に叩きつけられたが、琴里はそんな様子を冷たい眼差しで見下ろし、右手に握った灼爛殲鬼をもう一度折紙に向かって振り抜いた

 

「く……防御性随意領域(テリトリー)──展開!」

 

 折紙は奥歯を噛み締めながら、そう唱えると折紙の周囲に展開されていた随意領域(テリトリー)が装備と折紙の身体に張り付くようになったが、琴里は躊躇いなく灼爛殲鬼の刃を振り下ろす

 

「く──ぁ……っ!」

「あら、さっきまでの威勢はどうしたの? 私を倒すんでしょう? 私を討つんでしょう? 私を殺すんでしょう? なら早く飛びなさい。切っ先を、銃口を私に向けなさい。でないと──ふふ、あなたが先に死んでしまうわよ」

 

 苦悶の声を上げる折紙に対し、琴里は灼爛殲鬼の刃を振り下ろし続ける

 

「止めろ琴里! それ以上やったら──」

 

 士道は琴里を止めようとするが、その声は届かず。凄絶な笑みを浮かべた琴里は折紙の随意領域(テリトリー)に焔の刃を叩きつける

 

「……っ、か、は──」

 

 幾度目かの斬撃を受け、ついに折紙の随意領域(テリトリー)が破られ、巨大なユニットのコンテナ部分に灼爛殲鬼の刃が傷をつける

 

「……なんだ。もう終わり? つまらないの」

 

 冷めたように言った琴里は、巨大なユニットから降りると──

 

「灼爛殲鬼──【砲】(メギド)

 

 戦斧から変形させた大砲の砲門を折紙の顔に突きつける

 

「いいわ。──戦えないのなら、あなたはもう、いらない」

「琴里ッ! 止めろ! 琴里ぃぃッ!」

 

 士道は叫び、琴里と折紙の元に駆け出すが、その間にも灼爛殲鬼の砲門に炎が吸い込まれていく

 

「イフ……リート……ッ!」

 

 絶体絶命の状況であるにも関わらず、琴里を憎々しげに睨みつけた折紙の言葉に対し、琴里もまた不機嫌そうに表情を歪める

 

「……嫌な名前を知っているわね。一体どこで調べたのかしら?」

「そうやって……殺したの? 五年前……私のお父さんと、お母さんを──ッ!」

「え──」

 

 折紙の言葉を聞いた瞬間、琴里の発した声はいままで明らかに違う声だった




始まってしまった戦い
届かない声
戻らない過去

絡みついた運命は、戻ることはない

次回, 五河シスター第4-8話



正直五河シスターは重要な話過ぎて
トーマの出番を増やせないし、下手に改編出来ない

原作と変わらなくてごめんなさい
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