デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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EX1, 凜祢ユートピア
EX,1-1 序文


――抜刀 不死鳥無双斬り』

 

「──はぁッ!」

 

 人も動物も寝静まった夜、紅蓮の斬撃が放たれた。狙った先にいたのは天使のような姿をした存在、その存在に向けて放たれた斬撃は触れる寸前、塵となって消失する

 

「また……どうなってんだ」

 

 目の前の天使に対し、ファルシオンは切っ先を向けたまま観察を続ける。ローブのようなものを身に纏い、三対六枚の羽根を持つ天使は無機質にファルシオンの事を見下ろしていた

 

「対話をする気はなさそうだし……相手がどう出てくるかも──ッ!?」

 

 相手の出方を観察していたファルシオンに対し、天使は光弾を放つ

 

『一刀両断!』

「結局敵か、それなら──」

 

 放たれた光弾をバスターの防御力で防ぎきると、土豪剣に本を読み込ませようとして……その場に本を落とす

 

「なん──ぁ……」

 

 突如として身体全体の力が抜けていく感覚に襲われたバスターは、地面に膝をつく

 

『…………』

「力が……入ら……ねぇ」

 

 目の前に降り立った天使は、バスターに向けて光弾を放つ。その一撃は防ぐことできなかったバスターは、鎧が砕けるように変身が解け、トーマの姿に戻ると地面に叩きつけられる

 

「ぐっ──!」

『…………』

 

 倒れたまま立ち上がる事の出来ないトーマの前に、天使がやってくると彼の胸に手を当てる

 

「……っ! あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ────!!」

 

 自身の身体から何かを剝がされる感覚を最後に、トーマの意識は闇に消えていった

 

 

 

 

//?月?日//

 

 屋上の扉を開け放った瞬間、士道はそれが始まっているのを理解する

 

「シ、シドー……ッ!?」

 

 張り詰めた空気の中、名前を呼ばれた方を見ると、士道の探していた少女──夜刀神十香の姿があった

 

「と、十香ッ!」

 

 十香は来禅高校の制服ではなく、まばゆく輝く奇妙なドレス──霊装を身に纏っており、身体からは紫の光がゆらゆらと立ちのぼっている

 

「し、シドー……に、逃げろ……ッ!」

「んなわけにいくかッ!」

 

 十香を助ける為に士道は走り出そうとしたが身体が思うように動かない、それでもなんとか進もうとする士道を拒むかのように十香の身体から発せられた光の奔流が襲い掛かる

 

「──くッ!」

 

 瞬間、まるで深海の底を歩いているような激しい重圧と息苦しさが士道に襲い掛かる。それでも士道は、一歩ずつ踏みしめるように十香の元に足を運ぶ

 

「──っ!?」

 

 十香の元に向かっている途中で、士道の中から言いようのない力がどんどん流れ出ているのを感じる、そしてその行きつく先は──十香だ

 

「き、来てはダメだ……一緒にいては……シドーまで……」

 

 十香は自分の事を抑えるように、手に持った不釣り合いな大剣──鏖殺公を地面に突き立て、しがみつくようにして身体を震わせた。その表情には苦悶の表情が浮かんでいる

 

「おまえが、俺を拒んでも──」

 

 それでも、士道は歩みを止めず十香に近づいていく

 

「俺は、絶対……おまえを一人になんか──」

「シドー……! おまえを……こ……したく……ない──ッ!」

 

 ひどく悲しい顔をした十香は、声にならない声で叫ぶと、その身体から立ち上るオーラがさきほどより大きくなっていく

 

「──と、十香ッ!」

 

 気を抜いたら弾き飛ばされそうな光の奔流に抗うと、士道は十香に手を伸ばす

 

「シ──、ドー……ッ!」

 

 十香が絶望的なまでに悲痛な顔をして呻くように士道の名を呼んだ瞬間──士道の中から得体の知れない力が一気に流れ出した

 それに呼応するかのように、十香の握りしめていた鏖殺公が急激に強い輝きを放ちながら、だんだんと増長していく

 

「十香ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──ッ!!」

「シドォォォォオオオオオオ──────────ッ!」

 

 二人が手を伸ばした直後、士道の視界は白く塗り潰され、意識は途絶えた──

 

 

 

 

 

 とても、不思議な夢を見た

 ──五河士道が、特定の誰かと結ばれる夢を

 

 ある時は夜刀神十香と

 

 ある時は鳶一折紙と

 

 ある時は四糸乃と

 

 ある時は五河琴里と

 

 またある時は、時崎狂三と

 

 トーマは何度もその幸せな光景を見守り──死んでいった

 

 幸せな夢の最後はいつも同じ、正体不明の存在によって命を奪われる

 

「──さん」

 

 何度同じ夢を見たかわからない

 

「──に―さん」

 

 だが、その夢はやけにリアルで、まるで世界そのものが繰り返しているのではと錯覚を覚えるほどだった

 

「お兄さん!」

「んっ……誰だ?」

「もう、寝ぼけてるんですか?」

 

 トーマは聞き覚えのある声で目を覚ますと、そこには制服姿の美九が立っていた

 

「……美九?」

「はい、美九ですよぉ……それよりお兄さん、凄いうなされてましたけど、大丈夫ですか?」

「? あぁ、大丈夫……それよりすまん、すぐ朝飯を──」

「大丈夫ですよぉ、今日は私が作っちゃいましたから」

 

 急いで朝食を作ろうとしたトーマの言葉を遮り、美九がそう言う

 

「美九、お前料理できたっけ?」

「はい! 最近は凜祢さんに教えてもらって、簡単なものなら作れるようになったんですよぉ」

「そうか、それじゃあその凜祢って人には感謝しないとだな」

 

 トーマがそう言うと、美九は頭に疑問符を浮かべながら口を開いた

 

「お兄さん、本当に大丈夫ですか?」

「大丈夫だけど……オレ、変なこと言ったか?」

「変ですよ、まるで凜祢さんを知らない人みたいに言って」

「知らない人もなにも、聞き覚えないぞ」

 

 ここでどうにも話がかみ合ってないようにトーマは感じるが、その理由が美九の言った言葉で判明する

 

「お兄さん、本当に”自分の妹”の事を覚えてないとか言ってるんですか?」

「オレの……妹?」

 

 その言葉の意味が、トーマには理解できない。自分に妹はいない……と言うよりも、六年前この街にやってきたはずのトーマに、妹などいる筈がないのだ

 

「お兄さん……?」

「あ、あぁ……悪い、少し疲れてるみたいだ。それより美九、時間、大丈夫か?」

「えっ、あっ! ごめんなさいお兄さん! 遅刻しちゃうんでもう行きますね!」

「あぁ、いってらっしゃい」

「いってきます!」

 

 慌しく出ていく見送ったトーマの頭の中は、混乱したままだった




彼らの身に起きた異変
トーマの見た不思議な夢
目覚めたトーマが感じた記憶の齟齬

美九の言った凜祢と言う少女は誰なのか
そして、トーマの戦っていた天使の正体は何なのか

次回, 凜祢ユートピアEX1-2


≪お知らせ≫
流石にヒロインの個別ルートを同じ展開を書くわけにもいかないので、今回は凜祢ルートから開始させていただきます

個別ルートが見たい人は、PS3ソフト 凜祢ユートピア 又は PSvita/PS4ソフト 凜緒リィンカーネーションをご購入ください
凜緒リィンカーネーションは歴代2作品+凜緒リィンカーネーションなので、オススメです
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