デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
士道は、不思議な夢を見る
同じ時間を何度も繰り返す夢、同じ時間を異なる人物と過ごす風景
ある時は十香と
またある時は折紙と
それは二人だけでなく、四糸乃、狂三、琴里の場合もある
夢のはずなのに、変にリアルなその夢は、時にデジャブとなって士道を襲った光景を思い起こさせる
「……私は、何か間違っている?」
流れ続けていた映像が途絶え、ラジオのチャンネルをチューニングするかのように、謎の少女が士道の視界に映る
「一体何を……それは、望むべき結果……か?」
その少女は物思いにふけり、やがて一つの言葉を口にする
「……ならば、次にやるべきことは──」
そこで士道の意識は途絶え、誰かの声が耳に届く
「士道……起きて……もう朝だよ?」
「……ん……凜祢?」
「おはよう、士道」
士道がゆっくり目を開けると、ベットの脇にいた凜祢の姿が目に入る
「あ、あぁ、おはよう凜祢……。い、今のは……?」
「今の? サンバは踊ってないけど……また寝ぼけてるの?」
「あ、いや……そういうんじゃなくてだな……。最近、変な夢ばっか見てさ……」
「そっか……とりあえず、早く着替えて顔を洗ってくること。ご飯用意して下で待ってるからね」
凜祢はそれだけ言い残すと、部屋から出ていった
制服に着替えた士道がリビングに降りるとそこに琴里たちの姿はなかった
「……あれ? 俺一人? みんなは?」
「今日はなんか、みんな用事があるからって、もう出ちゃったの」
「え!? ……そ、そうなんだ」
少し困惑しながら士道が席に着くと、凜祢が温め直した味噌汁をよそう
「はい、お味噌汁、温め直してあるから」
「おう、サンキュ……。じゃあ、いただきます」
「はい、どうぞめしあがれ」
先に出たというみんなの用事を少し気にかけながら、士道は朝食を食べ進めた
朝食を食べ終えた士道は、家を出て凜祢と二人で通学路を歩く
「ねぇ、士道?」
「ん、なんだ?」
「今日の放課後、空いてるかな?」
突然話しかけてきた凜祢の言葉に、士道は少し困惑しながらも答える
「え? あ、うん」
「じゃあ、予約していい?」
「あぁ、もちろん」
「本当に? 怒られない?」
「別に断る理由なんかないしな。あと、怒られるって誰にだよ?」
「十香ちゃんとか、琴里ちゃんとか?」
「あー、いや……なんとか言っとく」
少し苦い笑みを浮かべながら士道がそう言うと、凜祢は少し安心したような表情になる
「そっか」
「そういえば凜祢、昨日トーマとなに話したんだ?」
「えっ、あぁ……普通の昔話だよ? 小さい頃一緒に遊んだこととか」
「そうだったのか、トーマが呼びだすくらいだからてっきりもっと重要なことかと」
「心配しなくても、大丈夫だよ」
「いや、心配はするだろ」
凜祢の言葉にそう返した士道は、更に言葉を続ける
「もし凜祢に何かあったらって考えたら、心配するなって言う方が無理だ」
「あ……えと……」
「あ、いや……あくまで幼馴染として……」
「う、うん。わかってる。勘違いなんて、してないよ?」
少し微妙な空気になったものの、士道たちは学校に辿り着いた
一方、昨日凜祢と会話をしてから、頭の中で色々なものがぐるぐると回っているトーマは、なんとか仕事をしているのだが。結果は酷いものだった
「おい、坊主」
「…………」
「坊主!」
「えっ、はい」
「お前さん、今日はもう帰れ」
「でも、これから宅配が──」
「それは今日俺がやっといてやる。……それに、今のお前さんは仕事ができねぇ程ひでぇ顔してるぞ」
トーマは店主にそう言われ、無理やり帰される。
やることも思いつかないトーマは、目についた公園のベンチに座ると、空を見上げる
「……はぁ」
視線を少し動かした先にあるのは新天宮タワー。謎のファルシオンと戦った場所、そして次に視線を動かして五河家のある方向に目を向ける。自分の妹と瓜二つの少女が死んだはずの妹の記憶を持っている、その事実がトーマを思考の渦に叩きおとしていた
「わからん事が多すぎる……気分は最悪だな」
いっそそのまま眠ってしまおうかと考えていると、顔にあたっていた太陽の光が遮られる
「ねぇ」
「……ん?」
倒れこんでいた身体を動かして視線を前に向けると、そこには一人の少女がいた
「君は──」
「ここで、なにしてるの?」
白い制服に金色の髪、そして赤い瞳の少女は。初対面である筈のトーマに向かってまるで知り合いのように話しかけてくる
「……何って、見ての通り」
「もしかして、無職ってやつ?」
「違う……今のオレじゃ碌に手がつかないだろうって無理矢理帰された」
「ふーん。……確かに、酷い顔だね」
今の自分の表情が見ず知らずの少女から見ても酷いものなのだと思ったトーマは、少しだけ笑みを浮かべる
「それで、何を悩んでたの?」
「どうしてそんなことを訊くんだ?」
「別に。ただ、アンタみたいなのが悩む事ってのが、どんなのなのか知りたいだけ」
その少女はトーマの横に腰かけると、同じように空を見上げている
「……そうだな、案外口に出したほうが考えがまとまるかも知れないな」
その少女に対して不思議な感覚を覚えたトーマは、ぽつりぽつりと話を始める。もちろん超常的な部分は出来る限りはぐらかしてではあるが
「──という訳で、どうすりゃいいか悩んでる」
「……それ、別に悩む必要ないんじゃない」
「えっ?」
「だって、どっちもアンタの妹には変わりないんでしょ。それなら……自分が何をすればいいのか、もうわかってるんじゃない?」
少女の言葉を聞いたトーマは、少し目を見開く
「自分が、何をすればいいのか……」
「うん、それじゃ頑張ってね」
そう言うと、少女はベンチから立ち上がる
「なぁ、君は一体──」
「きっと、その時が来たらまた会えると思う。けど、今は少しだけ……力を貸してあげる」
その言葉の直後。少女の身体は光に包まれ、ふっと消えた
「あの子は……?」
少女が消えてからすぐ、トーマは温かい力を感じる。その力がどこから溢れているのかを確認すると、ブレイブドラゴンと月の姫かぐやんの二冊が淡く発光していた
その日の放課後、授業を終えた士道は凜祢と共に一度家に帰り、私服に着替え二人で街を歩く
「さて、ちょうど小腹が空いてきたな。凜祢は何が食べたい?」
「えぇと……士道は?」
「ん、そうだなぁ……やっぱり、きなこパンかな? あのきな粉の甘さ加減の塩梅が絶妙なんだよな! 十香も好きだしさ!」
「……十香ちゃん、か……」
「ん? 何か言ったか?」
「ううん、私もそれがいいな」
士道の言葉に同意した凜祢だったが、その表情が一瞬だけ暗くなったように士道は感じた
「他にもいろいろお店はあるけど……本当にいいのか?」
「いいのいいの! がら、行こう!」
「お、おう」
少し誤魔化すように、凜祢は士道の手を引いてパン屋まで向かう
「いらっしゃいませー」
「あ、きなこパン、二つください」
「申し訳ありません。本日はもう売り切れてしまいまして……」
「あー、そうなんですか……」
きなこパンが売り切れていると聞いた士道に対して、店員は別のパンを薦めてくる
「こちら、新メニューのホイップクリームパンはいかがですか? 焼きたてなので、お薦めなんです」
「お、確かにいい匂いするな。どうする凜祢?」
「士道が食べたいなら、私も食べたいかな」
「そっか、じゃあ、それ二つください」
「はい、ありがとうございます」
ホイップクリームパンを二つ買った士道は店の外に出ると。凜祢に軽く謝る
「ごめんな、きなこパン売り切れてて」
「うん、でも、それもおいしそうじゃない?」
「早速食べてみるか?」
「焼きたてだから、おいしいかも」
凜祢にパンを手渡すと、二人で早速一口食べる
「……! うまいな! 焼きたての生地に、ほどよく甘いホイップクリーム! これはいける」
「ん、本当、おいしい。よかったね、士道」
「あぁ!」
凜祢の表情がすっかり元に戻った士道は安心しつつ。心の奥底でデジャブを感じていた
──あれ、俺……前も誰かとこのパンを食べたような……
その瞬間、士道の脳裏に十香とこのパンを食べた……と思われる記憶が僅かによぎる
「──!?」
「どうしたの、士道?」
「い、いや、なんでもない。当たりで良かったなってさ」
「そうだね。きなこパンはまた今度食べに来ようね」
「あぁ……」
少し微妙な雰囲気になってしまったが、士道は気を取り直して凜祢に話しかける
「よし! 地祇はどこに行く?」
「うーん、士道はしたいことないの?」
「そうだなぁ……やっぱ順当に行くなら、ゲーセンかなぁ……」
「じゃあゲームセンターに出発!」
「お、おう。それじゃ行こう」
「うん!」
二人はゲームセンターへとやってきた。夏の日差しで気温が上昇した屋外から冷房の効いた屋内に入った時に感じる、少しひんやりとした空気を受ける
「はぁー、涼しいね」
「……だな。夏場のゲーセンは避暑に持ってこいだ」
「そうだね。私もたまに涼んでもいいかも」
「ゲームをしてると、結局ヒートアップしちゃったりするけどな」
士道がそう言うと、凜祢はきょとんとした表情で言葉を放つ
「え、そうなの?」
「あれ? 凜祢とはゲーセンで遊んだことないっけ?」
「あ、うん……。実は初めてだったりして」
「そっか……そうだよな。そういう感じじゃないしな」
そこで、士道は再びデジャブを覚える、最近誰かを初めてのゲーセンに連れてきたような気がする、そんな感覚
「士道、どうしたの?」
「い、いや、何でもない。それより、凜祢は何かやりたいゲームとかないのか?」
「ん、私は初めてでよくわからないから……それよりほら、士道がいつもやってるのはどれなの?」
「ん? 俺か? 俺はこういうときはクレーンゲームかな。一人だと格ゲーとかもやるけど」
「ふーん、あの箱の中のぬいぐるみを取るの?」
「そうそう、やってみるか?」
「え? 私はいいよ。士道がやるのを見てるから」
凜祢は遠慮するが、せっかくゲーセンにやってきたのだ、遊ばなければ損だと士道は考える
「せっかく初めてゲーセンに来たんだから、遊んでいけばいいじゃないか。失敗したっていいんだし」
「ううん、私のことはいいから。士道は何か狙ってるの?」
凜祢にそう言われた士道は辺りを見渡すと、景品が目に入る
「え……そ、そうだな……うん、あれかな?」
「あれかぁ……確かにかわいいね。それじゃ私、応援してるから!」
「お、おう……」
士道はとりあえず女性陣が欲しがりそうな景品の入ったクレーンゲームの前に行く
「うまく取れるといいね」
「おう、じゃあ、一丁やってみっか!」
早速百円玉を入れて、チャレンジする。士道の操作でクレーンは順調に進み景品を掴む……のだが、すぐに落下した
「……お、惜しかったね! リトライリトライ!」
「……じゃ、じゃあ、もう一回だけ」
「頑張ってね! 士道!」
「お、おう!」
士道は気合いを入れてもう一度クレーンゲームに挑戦するのだが、結果はさっきと同じ
「ざ、残念だったね……」
「今日はもういいかな……そろそろ行こうぜ」
士道がそう言うと、凜祢は少し困惑したような表情を見せる
「……し、士道? いいの?」
「いいっていいって」
ゲームセンターから出た士道は、凜祢に言葉をかける
「……ごめんな、凜祢」
「……え? どうして士道が謝るの?」
「いや、さっきのぬいぐるみ、凜祢に取ってあげようと思ったんだ。けど、うまくいかないもんだな……」
「なんだ、そんなこと。別に私は平気だよ?」
「あぁ、サンキュな、凜祢」
士道がそう言うと、凜祢は笑みを浮かべて話しかける
「うん、じゃあ、次はどこに行こうか?」
「そうだなぁ。小腹が空いたのはさっき満足させたし、ゲーセンで涼んだし、あとは……」
「あとは?」
「うーん……凜祢こそ行ってみたいところはないのか?」
「じゃあ、士道のお気に入りの場所に連れてって?」
凜祢がそう言うと、士道はとある場所を思い浮かべて軽く頬をかく
「あー……まぁ、あると言えばあるけど……」
「じゃあ、そこでいい。そこがいい」
「おう……じゃ、行こう」
「うん!」
凜祢の要望でやってきた士道お気に入りの場所。その場所は高台公園──士道にとって、色々と印象に残っている場所だ
「そっか、高台公園なんだ」
「ほら、あそこからの眺めがいいんだよ」
「……私も眺めていいのかな?」
「そんなの許可とる必要ないって。でも、あんまり身を乗り出すなよ。危ないから」
「うん、気をつける」
二人は、目の前に広がっている光景に目を向ける
「……本当にいい眺めだね。街を身近に感じるっていうか……」
「……ここからだと天宮市が一望できるからな。この景色、好きなんだよ」
「うん、それに街にいたときより空気が涼しくて、気持ちいいね」
街の風景を見てる凜祢に少し目を向けた士道は、少しだけ安心する
「……なぁ凜祢?」
「ん? なぁに」
「今日……初めて言ってくれたな」
「何の話……?」
「ほら、自分がしたいこと言ってくれたの」
「あ……い、言っちゃ駄目だった? 私、わがままだったかな……?」
「いや、そうじゃない。逆だよ」
「……え?」
今日のデート、凜祢は士道の意見ばかり聞いて自分のいきたいところ、やりたいことを言っていなかった。それが士道にとっては少しだけ不安だった
「俺は……オレはもっと凜祢と一緒に楽しみたい。二人で一緒に作っていく……そんなデートがいいと思うんだ」
「……」
「いや、俺だけがしたいことばっかりしてても、それはちょっと違う気がしてさ……」
士道の言葉を聞いた凜祢は、少しだけ表情を曇らせる
「……どうして駄目なの?」
「え……」
「士道の好きなことをするのは、どうして駄目なの……?」
「いや、だから俺は凜祢と──」
「──士道が楽しいと思うことは私の楽しいことなんだよ? 私は士道のやりたいことに付き合うだけで満足だよ」
「本当、なのか……」
「本当だよ? 本当に決まってるじゃない……!
! どうして、そんなこと……言うの? わかってくれるでしょ? だって、私たち幼馴染なんだから」
「や! そ、そんなことないよ……ご、ごめん……」
その後すぐ、微妙な雰囲気になってしまった士道と凜祢は帰路につく。帰りがけ、今日のことを振り返った士道は凜祢はどこか無理している、そんな風に見えた
その日の夜、デートの失敗がかなり堪えていた士道は何とも言えない気分でベッドの上に寝転がっていると部屋の扉が叩かれる
「は、はい?」
「士道……」
「り、凜祢!?」
「ねぇ、今ちょっと時間あるかな?」
「ど、どうした?」
「う、うん……なんか、ごめんね? 今日のこと……」
「え……」
思わぬことを言われた士道は困惑するが、凜祢は言葉を続けた
「私、男の子とデートとか全然勝手わからなくって……」
「い、いや……別に謝るようなことでもないんじゃないか?」
「そ、そうかな」
「あぁ……だって、デートは二人でするものだし……。その……うまくいかなかったのは、俺のせいでもあると思うし」
「──ねぇ、士道。明日、また……デートしてくれる? 挽回したいんだ、しっかり者の私を」
「おう、もちろん付き合うぞ」
「うん……ありがとう」
「じゃあ……また明日ね。おやすみ、士道」
「おう、おやすみ」
凜祢との話を終え、再び一人になった士道は凜祢がもう一度デートに誘ってくれたことに対して。嬉しい気持ちを湧き上がらせていると部屋の扉が開かれる
「入るわよ?」
「あ、なんだ、おまえも来たのか」
扉を開け、部屋の中に入ってきた琴里は士道の様子を訝しんでしたが、士道は気にせず話しかける
「そうしたんだ琴里、こんな時間に」
「一応、士道に伝えておこうと思って」
「?」
「今日、奇妙なものがフラクシナスの観測に引っかかったの」
琴里の言葉を聞いた士道は頭に疑問符を浮かべる
「奇妙なもの?」
「えぇ、フラクシナスに記録されてるどの精霊のものでもない霊派の反応を確認したの」
「それって、新しい精霊がいるって事か?」
「おそらくね……まぁ、それだけなら精霊を探すだけでよかったんだけど。今日、ある特定の時間帯にぐっと不安定になったの。その霊波パターンの歪み具合もほぼ一致してる」
「……その特定の時間帯ってのは?」
「だいたい十六時前後ね……」
「なるほどな……」
琴里の言葉を聞いた士道は、新しい精霊の身に何かがあったのだろうと推測していると、琴里は更に言葉を続ける
「今、その霊波パターンのデータを中心に、令音に詳しく分析してもらってるんだけど……不思議なのよね」
「不思議……?」
「似てるのよ……デート中の精霊の精神グラフに──」
「え!?」
「それも、失敗したデートのものにね」
「……っ」
それを聞いた士道は、頭の中に嫌な考えが思い浮かぶが……それを振り払って改めて琴里と会話を続ける
「奇妙でしょ? 私も分析しているうちに、まるで精霊のデートをモニタリングしているみたいな気分になったわ」
「たまたまじゃないのか?」
「誰かさんと一緒にしないで。そこまで間抜けじゃないわ」
「だ、誰かさんって……」
「それくらい自分の胸に聞きなさいよ」
琴里が誰の事を言っているのか、心当たりしかない士道は心の中で息を飲む
「いい? フラクシナスには過去の精霊攻略の時、あなたがデートで失敗した時のデータも保存してある。あなたと精霊の失敗したデートのデータと、今日の霊波パターンのデータを分析したら……ビンゴだったわ」
「……失敗したデートのデータ……?」
その言葉を聞いた士道の頭の中に、振り払ったはずの考えが再び蘇る
「何よ? 何か心当たりでもあるの?」
「い、いや、なんでもない。何も……」
「まぁいいわ……私たちはこのまま分析を続ける。だから──」
「──俺は自分の仕事をすればいいんだろ?」
「そう、わかってるならいいわ。それじゃ、私は寝るわね。おやすみ」
「あぁ、おやすみ……」
一人になった士道は、頭の中にある考えを振り払おうとするが、どれだけ考えても同じ結論に辿り着いてしまう。フラクシナスに保存されているデータは、他でもない士道の行ったデートの結果だ。それは成功したデートのデータも失敗したデートのデータも変わらない
もしも、新たな精霊と他の誰かがデートした場合、その霊波パターンも異なる筈だ……それなら導き出せるのは一つだろう
士道が今日デートをした相手は──凜祢だ
そして、そのデートは成功したとは言いがたい。トラブルがあって──失敗、している
琴里の言葉が真実ならば、未知の精霊には少なからず士道が関わっているということがある。そして士道が関わり、デートをしたのは凜祢のみ。そのことから導き出せる結論は一つ
「──は、ははッ! いや……そんな、まさか……。そんなこと、あるわけない」
その結論は突拍子もない事実。だが、それが本当に事実だとしたら、馬鹿馬鹿しいにも程がある。そう馬鹿馬鹿しすぎて笑いがこみ上げてくるほどに
──五河士道の幼馴染は、園神凜祢は精霊である、などと言う真実に
ずっと一緒にいた筈の幼馴染が精霊であるはずない、そう信じたい士道は布団を被ると部屋の電気を落とす。完全に眠る直前、ヒビの入る音が士道の耳に聞こえてきた……ように感じた
気付きたくない真実
深まっていく疑惑
新たに確認した未知の霊波
デートの中で士道の感じたデジャブ
物語は終わりへと近づいている
次回, 凜祢ユートピア EX1-6