デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
「……こ、ここは? 戻って来たのか天宮市に……?」
「そう、みたいだな」
先ほどまで不思議な空間にいた筈の士道たちだったが、気が付くと見慣れた街の風景が辺りに広がっていた。しかし普段の光景とは異なり、空は赤く染まり空間そのものが異常を伝えているように見える
「──な!? なんだあれ……ッ!?」
士道が目を向けた先にあったのは新天宮タワー、街の中心に構えている筈のそれはこの異常に満ちた空間の中でも特に異質だった
「……あれは、新天宮タワー……なのか? どうなってんだよ一体!?」
「士道、少し落ち着け……今はとりあえずみんなと合流するのが最優先だ」
「あ、あぁ、そうだな。……そういえば凜祢は……」
そう言った士道の顔が曇る。もしかしたら士道の予想通り凜祢が精霊なのかも知れない……その考えが士道の表情を曇らせる
「士道! トーマ! 戻ってこれたの」
「──こ、琴里!? みんな! 無事だったのか!?」
「えぇ。どうやら出してくれたみたいね。だけど……天宮市全体の様子がおかしいわ。特に新天宮タワー……あれの禍々しさは半端じゃないわ」
「……あぁ、そうみたいだな」
「あら、心配事はそれだけでして?」
士道と琴里が話していると、近くにいた狂三が二人に向かって話しかける
「狂三……おまえは、味方って考えていいのか?」
「えぇ。この件については、協力をお約束いたしますわ。わたくしも巻き添えを食らうのは御免ですもの。──もちろん、信用してくれというつもりもありませんけれど」
「そんなこと言うなよ。おまえがそう言うなら、俺は信じる。だから、今だけでもいい。よろしく頼む」
「あらあら……士道さんにそこまで言われたら、わたくしも頑張らないわけにはまいりませんわねぇ。でも、一体どういう心境の変化なんですの?」
「俺さ……少しだけ、思い出したんだよ。この世界の中で、狂三とデートした記憶」
「へぇ……そうなんですの。わたくしにはまるでその記憶がありませんけれど」
「それは仕方ないって。でも、俺はちゃんと覚えてる。だから、おまえを信じてやれるって、そう思うんだ」
「うふふ、なるほど……面白い考え方ですわね。──それで、そういうことらしいですけれど、あなたはいかがいたしますの? いつまでも睨まれていては、疲れてしまいますわよ?」
狂三がそう言った相手は、近くで二人の会話を聞いていた琴里。狂三の事を睨んでいた彼女だったが、軽く息を吐くと口を開く
「……士道がそこまで言うなら、私は何も言わないわ。まぁ、巻き添えを食らいたくないっていうのは本当でしょうし、利害が一致している間は信用してあげる。自分の置かれている状況がわからないような阿保にも見えないしね」
「一応、誉め言葉として受け取っておきますわ」
狂三との会話をそこで切り上げた琴里は、士道の方を向く
「──で、どういうことなの士道?」
「え……? や……どうって言われてもな……」
士道は、琴里たちにこれまでの経緯をかいつまんで話し、最後に凜祢がまだ戻ってきていないことも伝える
「凜祢が……いなくなった?」
「あ、あぁ……そのままはぐれて……それっきりだ……」
「なるほど……それは心配ね。……で、他に気付いたことはないの?」
「……あ、あぁ。ない……よ」
「……そ。まぁ、そういうことにしてあげるわ。それで、トーマはどうやってあの場所に?」
「オレか? オレはこの剣が道案内してくれたんだよ」
「道案内って……一体どういう事よ」
琴里の言葉に少しだけ考えたが、単独でこの状況を打開するために動いていたことや、その結果力の大半を奪われていることを伝える。それを聞いた琴里は呆れるを通り越して何を言っても無駄だという思ったのは何も言わなかった
トーマが話終えてから程なくして十香が疑問を話し始める
「それにしても、なぜあのルーラーとやらは、シドーを狙っていたのだ?」
「それは、わからない。けど、俺は……もう一度、あのルーラーと話がしたい。何故だかわからない。けど、俺は思うんだ。ルーラーは本当は悪い奴じゃないかって」
「シドー……」
「もうこんなことやめさせて、みんなで一緒に、ここから出よう」
「うむ! 手伝うぞ、シドー!」
「ほ、本当か!?」
「うむ、無論だ!」
「私も──」
「え?」
十香の近くから士道に声をかけてきたのは折紙。その言葉を聞いて少し驚いている士道に対して折紙は言葉を続ける
「……言ったはず。士道が危険に首を突っ込むのを、黙って見ているわけにはいかない」
「……!」
「それに、士道のサポートが夜刀神十香だけでは心許ない」
「む! それはどういう意味だ! 鳶一折紙!」
「言葉そのままの意味。あなたの幼稚園レベルの読解力には憐みすら覚える」
いつものやり取りを始めた二人を、士道がたしなめようとした瞬間。世界が揺れる
「──士道、時間がないわ。のんびりしてたらこの世界が崩壊するわよ」
「なら、行くしかない! 俺達の街を壊させやしない! それに──ルーラー、あいつの真意を、俺はまだ確かめてない。一体なんでこんなことをしたのか……それすらまったくわかっていないんだ。ちゃんと話をすれば──もしかしたら、倒す以外の方法が見つかるかもしれない……!」
「士道……あなたやっぱり、底知らずの馬鹿ね」
「でも、だからこそ士道だろ?」
「えぇ──それじゃあ行くわよ、敵の居城へ。
そう言うと改めて新天宮タワーへと目を向ける。この異常な空間のなかでも一番異質で禍々しい光を放つ敵の居城に
「……本当なら、再生能力のないあなたを連れていくべきじゃないのかもしれないけど……ルーラーが精霊だとするなら、あなたの能力で力を封印することができる可能性があるわ」
霊力が完全に戻ってしまっている以上。今の士道には再生能力がない、しかしここで置いていくと言っても士道は聞かないだろう
「頼みの綱は士道、あなたよ。でも──くれぐれも気を付けてちょうだい。今のあなたはすぐに死んじゃうんだから」
「今回ばっかりはオレもやる事があるから護衛は出来ない……気を付けろよ」
「あぁ、わかってる」
「士道、私たちが力を貸すんだから、全部終わったら──」
「デラックスキッズプレートでも奢ればいいのか?」
「わ、わかってるじゃない。……絶対よ?」
「あぁ……約束する!」
「し、士道……さん……っ!」
「ど、どうした!?」
突然話しかけてきた四糸乃に対して、士道は少し驚いた様子でそちらを向いた
「ルーラーさんを……よろしく、お願いします。わ、私も……できる限り手伝いますから……っ!」
「四糸乃……」
『やー、これで士道くんも本気モード突入だね!』
「あのな、よしのん……オレはいつだって本気だぞ?」
『なるほどねー。じゃあ、よしのんも手伝ってあげようかなー?』
「あぁ、よろしく頼むぞ、よしのん」
『仕方ないなー、いっちょーかましたりますかー!』
再び世界が揺れる。それは先ほどよりも激しい揺れは、あまり時間がないことを示していた
「この状態であまり悠長なことはしてられないわね。行くわよ、士道」
「わ、わかった! なら目指すところはただひとつ──新天宮タワーだ! ルーラーは間違いなくあそこにいる!」
「そうね。恐らく、結界を支えているコアのようなものも、あそこにあるわ」
「結界のコアが……? もしかして、それを破壊できれば……。ルーラーを倒さなくても……」
「可能性はありますわ。でも、その前に寄り道が必要ですわね」
「……ん? 寄り道?」
「新天宮タワーの周りには結界が張ってあるんだ。それでオレもその結界を突破するために動いてたら力を奪われたからな」
「えぇ、結界の要を破壊しないことには近づけませんわ」
「結界の要って……まさか!? 狂三、覚えてるのか……? ってことは十香と折紙も……」
「要と言うのは、あのタワー前のモニュメントのことだろう?」
「池の貯水塔で変な敵に襲われた。あそこも要?」
「うふふ……そしてラストは神社ですわね。この三点が新天宮タワーの結界を支えている要なのでしょう?」
「──それじゃあ、始めるわよ。そう時間はないみたいだし」
改めて霊装を纏い直した琴里は、結界の要を破壊するために分かれることになった。場所は天宮タワー、貯水塔、駅前、神社の四か所だ
「天宮タワーのモニュメントは……そうね、四糸乃とよしのん、あなたたちでやれる?」
「は、はい……っ! や、やって……みますっ!」
『まー、大船に乗った気でいていいよー!』
「頼んだわよ。四糸乃、よしのん」
『ラジャー!』
「か、必ず……っ! 成功……させ、ますっ!」
一足先に四糸乃たちは天宮タワーにある結界へと向かっていった
「貯水塔は──」
「私が行く」
「え……」
「鳶一折紙?」
「あなたのためではない。士道のため。それに、あの場所には少し因縁がある」
「ふん……装備なしでやれるっていうの?」
「問題ない。もし市内全域がここと同じように無人なら好都合。──とっておきを、取りに行く」
「そ。なら……ASTのウィザードの力を見せてみなさい」
「……士道、待ってて」
そう言うと折紙は士道たちから離れて貯水塔へと向かっていく
「残りは……」
「……わたくしの出番で、よろしくて?」
「勝手に行けばいいじゃない」
「あら、全くつれないですわねぇ……きひ、きひひ……上等ですわ。あの程度……わたくしが一瞬で食らい尽くして差し上げましてよ?」
「……せいぜい期待してるわ」
「ひひ、ひひッ……! あなたとの決着も、楽しみにしておりますわァ」
何やら不穏な事を言っていた狂三に対して、士道は少し不安そうな表情を見せる
「お、おい、狂三……?」
「士道さん、心配ならご無用ですわ。わたくしなら、すぐに戻って参りましてよ……それでは、ごきげんよう」
「お、おう……頼んだぞ」
それを最後に、狂三も影の中に沈んでいき。残っているのは士道、琴里、十香、トーマの四人だけになった
「琴里? みんな行ってしまったが、私たちはどうするのだ?」
「また敵が士道を狙ってこないとも限らないわ。私たちは、皆が要を破壊するまで士道を守る。いい?」
「うむ!」
「……オレは一足先に新天宮タワーまで向かう。多分門番がいるからな」
「……わかったわ、トーマも気を付けて」
「あぁ、そっちも無事で」
トーマも士道たちから離れ、一足先に新天宮タワーへと向かった
「士道、あなたは今のうちにルーラーをどう説得するのか考えておきなさい」
「わかった」
その直後、更に激しい揺れが士道たちを襲う。それは着実にこの世界が崩れている音
「まずいわね……。崩壊の範囲が広がってる……」
「あぁ……急がないと、世界の方が先に──」
「む! 琴里! その前に別のものが来るぞッ!?」
三人の元にやってきたのは天使のような姿をした何か、それが敵だと言うことは一言でもわかる
「あ、あいつらは──!?」
「えぇ、やっぱり来たわね。十香! 出番よ!
「うむ! 任せるがいい! シドー! そばを離れるな!
迫りくる敵を眼前に捉え、十香と琴里はそれぞれの天使を構える
士道たちと別れた四糸乃とよしのんが天宮タワーに辿り着いてすぐ、辺りの気配が変わる
「あ……! よ、よしのんっ!? あれ……っ!」
四糸乃たちの前に現れたのは、士道たちの元に現れたのと同型の何か
『さー! 行くよー! 四糸乃ーッ!』
「う、うん……っ、
四糸乃の周りに吹雪が顕現し、その中心から巨大なウサギ型のパペット──四糸乃の天使が顕現した
「……よくよく縁があるようですわね。ここには──」
神社へとやってきた狂三はそう言うとすぐ、顕現させていた短銃を構える
「うふふ……さぁ、おいでなさい?」
狂三が短銃から弾丸を放つと、それを防ぐように天使型の何かが出現する
「あら、あなたがわたくしのお相手をしてくださるんですの?」
攻撃を仕掛けてきた狂三を迎撃するように、天使型の何かが攻撃を仕掛けてくる
「あッはははははは! どこを狙っておりますの? わたくしは──こちらでしてよ!」
狂三は天使型の何かに一撃を加える
「ふふッ……ご心配なさらないで。お楽しみは──これからですわ」
その言葉を最後に狂三と天使型の何かは、戦闘を再開した
新天宮タワー、結界に覆われたその場所の入口を護るように奴は立っている
「…………」
トーマの姿を確認すると、入口から数歩歩みを進め無銘剣を構えるが……トーマは火炎剣を出現させようとしない
「……?」
「決着をつける前……お前に謝らないといけない事がある」
戸惑っている様子のファルシオンを前に、トーマは軽く頭を下げる
「オレはお前を、ただの力の集合体だと考えていた……だが違った、お前は命令されたからじゃない、自分の意志でこの場所を守ってる……そうだろ”オレ”」
トーマのその言葉を聞いたファルシオンはブレードライバーに装填されていたブックを閉じ、引き抜いた。するとファルシオンの肉体を形成していたエネルギーが霧散し、もう一人のトーマが現れる。しかしトーマと違い髪の色は薄い桃色の髪に茶色の瞳……それは間違いなく”園神凜祢”の兄と言って差し支えない容姿だった
「……あぁ、お前の言う通りだ。トーマ」
「なら、わかってる筈だ……こんなことをしても、本当の意味で彼女は──凜祢は救えない」
「……わかってる、だが。それでも俺は──妹を守る」
「やっぱり、対話での解決は無理みたいだな”園上冬馬”」
「……当然だ、俺はお前の忘れていた
その言葉を最後に、トーマと冬馬の二人は互いの手に持った本を開く
【アメイジングセイレーン】
【ブレイブドラゴン】
【月の姫かぐやん】
「「変身!」」
本をベルトへと装填し、心の中に浮かんできたその言葉を紡ぐと──剣を引き抜く
『――抜刀』
『烈火抜刀!』
放たれた斬撃は中心でぶつかりあい、互いの元に戻る
『虚無 神獣の炎で全てが無に帰す』
『ドラゴン とある物語 二つの属性を備えし刃が研ぎ澄まされる!』
青白い炎と深紅の炎、それぞれ異なる炎を纏い変身したセイバーとファルシオンは剣を構え……駆け出した
次回, 凜祢ユートピア EX1-8