デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
遡ること、少し前―セイバーとファルシオンの決着がつくすこし前。新天宮タワーの内部に突入した普通とは全く違う風景が広がっていた。壁や床には、鉄でできたような植物の枝や根がはびこり、何を模したものなのか得体の知れないオブジェが、宙に浮いている
「な──っ! なんだここは……っ、どうなってんだよ一体……!?」
その光景に驚いていた士道だったが、ここで止まる訳にはいかない。この場所のどこかにルーラーがいるはず、そう確信していた士道は辺りを見回すがもちろんエレベーターなんてものはない
「……もしかして、あれって螺旋階段か……それなら登っていけば上に行けそうだ……よし!」
そう考えた士道は、何処までも続かのように思える螺旋状の道をただひたすら上へと進み続ける。喉はカラカラに乾き何度心が折れそうになったとしても、ただひたすらに真っすぐ進み続ける
「……自ら選びとった幸せさえ、貴方も否定するというの?」
「──ルーラー!?」
登り続ける士道の元に聞こえてきたのはルーラーの声、彼女は士道へと問いかけ続ける
「……この世界での貴方も、確かに幸せだったはずなのに。どうして? 幸せでいられる……それでは、いけないの……?」
今の自分を否定するような、この世界への魅力……しかしそれは間違っていると思う。だからこそ、士道はルーラーへと会いに前に進み続ける
「はぁ……っ、はぁ……っ、つ、着いたのか……!? こ、ここが……! 最上階、なのか?」
「やっぱりかぁ……」
最上階へと辿り着いたらしい士道が辺りを見回していると、そこに聞こえてきたのは聞きなれた声
「その声……凜祢、なのか?」
「あはは……来ちゃったんだね、士道」
「──り、凜祢ッ!? ……そ、それじゃ、やっぱり……?」
「ふふ……気付いてたんだね。全部……士道の考えている通りだよ。ルーラーは──私」
その言葉と共に、凜祢の身体が光に包まれ。精霊── ルーラーとしての姿となる
「どうして……どうしてなんだ……!!」
「どうしてもこうしてもきっとない。全ては私が生まれた瞬間から決まっていたの……私は凶禍楽園の支配者。そして、五河士道……あなたをこの世界に閉じ込めたのは、私」
「……なんで……なんでなんだよ! なんで凜祢がそんなこと!」
「私は最初から……幼馴染なんかじゃなかった。すべては偽り。私は自分の存在をみんなの意識に割り込ませていた」
「……ッ!?」
士道は、薄々気付いていた。積もり続けた小さな違和感は重なり、大きくなっていったが凜祢が精霊なわけがない──そんな風に自分を否定していた
「どうして、気付いてしまったの? ……ずっと、気付かなければ良かった。そうすれば、永遠に楽園の中にいられたのに……幸せで優しい世界──ねぇ、士道? 貴方も、そんな世界を求めていたんでしょう?」
「だから……だから俺たちを閉じ込めたっていうのか……? なんで、俺を……どうして……?」
「その答えは、貴方には必要ない……」
その言葉と共に、凜祢は言葉を止め、その手の平にバレーボール程の大きさの火球を作り出す
「待ってくれ凜祢! 俺の話を聞いてくれ!」
「……理解しては、くれな──」
「──俺はッ、おまえと帰りたいんだッ!!」
「……ッ!?」
「おまえは、本当の幼馴染じゃないかもしれない! この世界に俺たちを閉じ込めた張本人かもしれない! でも、でもな! そうだったとしても……俺たちの側にいて、一緒に泣いたり笑ったりした時間ってのは嘘にはならないだろ! おまえはとっくに俺の日常なんだ! だから、おまえと元の日常に帰りたいんだ!」
「し、どう……?」
ベール越しで見えないが、凜祢の心は確かに揺れている
「だから! だから、一緒に考えよう! この世界を出ても、俺たちが一緒にいられる方法を……俺が凜祢が、みんなが……。一緒にいられる未来のことを!」
「士道は……いつでも真っ直ぐだね。士道の言葉を聞いていると、だんだんその方がいいかもって思っちゃう……」
「……わかってくれるか、凜祢……?」
「でも……ごめんね、士道。あなたの望む未来は、存在し得ないの──」
「な……なんで!?」
「そんな風に言ってくれて嬉しかった……。一緒にいたいって言ってくれて、幸せだなって思った……」
「だったら──!」
「それでも私は……凶禍楽園を、この楽園を、このまま終わらせるわけにはいかないッ!」
「り、んね……? ま、待てッ!?」
「もう、戻れないってとっくに気付いてた。いつかこうなってしまうことも……わかってたと思う。だから、もういいの──さよなら、士道」
「り、凜祢……ッ!?」
士道との会話を終えた凜祢は、園神凜祢としてではなく──ルーラーとしての言葉を放つ
「
その言葉と共に、霊装は砕けた凜祢に纏わりつくように凶禍楽園が変化した触手がまとわりつく
「……っ!? これは……? り、凜祢……!? おい──ッ! く──! おい凜祢! どうしたんだ!」
凜祢の元へと近づこうとする士道のことを、触手が襲う
「うわぁッ! ……ぅ! ぐ……これじゃ、近づけない!」
その士道の元に、再び触手が襲い掛かってくる。士道の元に近づいた触手は一振りの剣によって切り払われる
「無事か! シドー!」
「本当、学習能力がないわね。あれだけ無茶は駄目っていったでしょ?」
「……士道、遅くなった。ごめん」
「十香、琴里、折紙……」
「だ、大丈夫……ですか……っ! 士道……さん……っ!」
『すけっとさんじょー!』
士道へと向けられた攻撃は、新天宮タワーの内部へとやってきた十香たちによって振り払われる
「あ、あぁ……! みんな……ありがとう!」
「──!? 士道、後ろ!」
「ぇ……ッ!?」
士道の背後から迫りくる攻撃は漆黒の弾丸によって破壊された。士道への攻撃を破壊したのは短銃を構えた狂三
「……駄ァ目ですわよ? おしゃべりに夢中になり過ぎて、余所見ばかりしていては」
「く、狂三! すまない……助かった!」
「いえいえ、わたくしは当然のことをしたまでですわ。それに、今回はそういう約束でしてよ?」
「あぁ、そうだったな。でも、ありがとう」
「うふふ……まったく、士道さんは馬鹿正直過ぎますわ」
「次が来るわよ狂三、油断しないで!」
士道と狂三の会話を遮るように、琴里が言葉を放った
「あらあら、わたくしと士道さんのお話を邪魔するなんて、相変わらず無粋な方ですわね」
「うるさい。そんなことより、あなたは自分の仕事をちゃんとしなさいよ。そういう約束、なんでしょう?」
「ひひっ……ひひっ……きひひひひ! まァったく、頭の良い子は嫌いですわァ!」
「士道! なにぼさっとしてんのよ! 正直、私たちでもどこまで持つかわからないわ!」
放たれる攻撃を叩き落としながら、琴里は士道に言葉を続ける
「士道……あなたしかいないのよ! この状況をなんとかできるのは──ッ!」
その直後に放たれた攻撃を防いだ琴里はその場で動きを止めると、その場に倒れこんだ
「琴里……!?」
「あの技……わたくしたちの意識を刈り取るようですわ。士道さん……これはまずい状況ですわよ! わたくしたちから離れないでくださいまし!」
「わ……わかったッ!」
なんとか攻撃を防ぎ続けるが、少しずつ十香たちの体力の消耗も激しくなってくる
『烈火抜刀! ドラゴニック必殺斬り!』
『抜刀! 神獣無双斬り!』
その刹那、周りを覆っていた触手を切り裂くように、二つの斬撃が放たれる
「すまん士道! 待たせた!」
「……凜祢」
「あらトーマさん……来て早々で悪いのですけれど、士道さんの事をよろしく頼みますわ」
「わかった、こっちは任せろ」
遅れてきたトーマたちも加わり、攻撃から士道を守り続けるが……ついにスタミナを切らした四糸乃の動きが少し止まる
「はぁ……はぁ……」
『四糸乃、だいじょーぶ?』
「……う、うん! まだ、頑張れ……ッ!?」
一瞬の、ほんのわずかな隙を突かれた四糸乃は攻撃をくらい、その場に崩れ落ちる
「四糸乃! くそっ!」
「気持ちは分かるが、止まるなシドー!」
「十香!?」
「シドーはルーラーに話があるのだろう!? 四糸乃も琴里も大丈夫だ! だから、シドーは私たちを信じて先へ行け!」
「士道、私がサポートする。安心して欲しい」
「まったく、困ったお方ですわねぇ」
「彼女を救えるのは五河士道、お前だけだ……妹を頼む」
「士道、道は切り開く。だから真っ直ぐ彼女のところに」
「みんな……わかった!」
自分のなすべきことをするために士道はルーラーの元へと進んでいくが、近づけば近づくほどにその攻撃が激しくなっていく。そして一定距離まで辿り着いた瞬間放たれた光弾と触手の同時攻撃によって、狂三と折紙がダメージを受け、その場に崩れ落ちる
「申し訳、ありません……力、及ばず……」
「士道、ごめん……な、さい……」
「二人とも、大丈夫だ。必ず俺が何とかしてみせる!」
士道を守る存在が十香やトーマたち三人だけになっても尚、剣を構えルーラーの元へと向かう
「私たちが最後まで援護するぞ!」
「おう! 任せる!」
「うむ! 任された!」
そして、進み続け後一歩でルーラーの元へと辿り着く場所までやってくる
「もう少しだ……もう少しで、届く!」
「危ない、シドー!!」
死角から士道へと向けて放たれた一撃を十香が庇い、その場に膝をつく
「なっ……!?」
「私なら大丈夫だ、シドー……だから、ルーラーに、会いに──」
「十香……!? すまん……!!」
そうして進み続け、凜祢の眼前まで辿り着く。しかし、至近距離からの攻撃が士道に直撃する瞬間ファルシオンがその攻撃から士道を守る
「ぐっ──ッ!」
「……ッ!」
「お前、なんで──」
トーマの問いに答えず、ファルシオンは士道の方を見る
「五河士道……頼む、凜祢の……妹の、心を──」
その言葉の直後、ファルシオンはベルトから引き抜いたアメイジングセイレーンの本を士道へと託し、意識を失った
「士道……その本を使えば凜祢と意識を繋げられる、それがどういう世界なのかはわからない──それでもお前なら凜祢を救えるはずだ」
「それは……どうすればいいんだ?」
「本を開けば自ずと導かれる、頑張れよ」
士道は凜祢の近くでアメイジングセイレーンの本を開く。その直後、士道の意識は遠のき──完全に途絶える
次回, 凜祢ユートピア EX1-10