デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第5-B 2話, その双子、精霊につき……

 トーマの視線の先では、二つの閃光がぶつかりあう。少し遠目であるため明確な姿は確認できないがそれから感じる霊力は紛れもなく精霊のもの

 

「精霊……でも、何だこの違和感」

 

 視線の先に感じるのは間違いなく精霊の霊力であることに間違いはないが、それ故にトーマは少し違和感を覚える。目の前で起きているのが精霊の戦いであるのだが、それは異なる霊力同士のぶつかりあいではなく限りなく同一の存在によるぶつかりあい。それがトーマの中に違和感を作り出していた

 

「とりあえず、確認をしない事には──ッ!?」

 

 トーマが無銘剣を取り出そうとした瞬間、突風が吹き荒れトーマの前に二人の精霊が舞い降りた。

 

「──やるではないか、夕弦。さすがは我が半身と言っておこう。だが──それも今日で終いだ」

「反論。この戦いを制するのは、耶倶矢ではなく夕弦です」

「ふ、ほざきおるわ。いい加減、真なる八舞にふさわしき精霊は割れと認めたらどうだ?」

「否定。生き残るのは夕弦です。耶倶矢に八舞の名はふさわしくありません」

 

 トーマの存在に全く気付いてない二人……耶倶矢と夕弦と言う名前らしい二人は八舞と言う精霊の座を争っているらしいことがわかった

 

「ふ……無駄なあがきよ。我が未来視(さきよみ)の魔眼にはとうに見えておるのだ。次の一撃で、我が颶風を司りし魔槍(シュトゥルム・ランツェ)に刺し貫かれる貴様の姿がな!」

「指摘。耶倶矢の魔眼は当たった(ため)しがありません」

「う、うるさいっ! 当たったことあるし! 馬鹿にすんなし!」

 

 最初はどこか芝居じみた喋り方だった耶倶矢だったが夕弦からの指摘でボロが出る辺りどうやら思春期特有の病気(ちゅうにびょう)を患っているようだった

 だが、トーマが見たところ殺伐とした殺し合いというより仲の良い姉妹の喧嘩程度にしか見えなかったため、まぁほっておいても大丈夫だろうと心の中で考えて観戦に徹する

 

「要求。夕弦は耶倶矢に具体的な事例の呈示を求めます」

「くく……それは、あれだ。ほら……次の日の天気とか当てたことあるし」

「嘲笑。下駄の裏表と変わらない魔眼(笑)の効果に失笑を禁じ得ません」

 

 相変わらずトーマの様子に気付いていないらしい二人を見てて思ったことは、あの二人は確かに一つの霊力を元に生まれた存在ではあるものの現状どちらに依存するわけでもなく確固たる”自我”を形成している事。それこそ二人が争っている”八舞”という一人の精霊から二人が分裂したというよりは、元々二人で一人の精霊”八舞”であると言われた方が自然なくらいである

 

「だ、黙らんか! 我が魔性の瞳術を愚弄するとは、万死に値するぞ! 我を怒らせた代償、その身を以て思いすりぇッ!」

「あ、噛んだ」

「噛んでないし! ……って、へ?」

 

 トーマの声が聞こえていたらしい耶倶矢と夕弦の二人は視線を向け、少し驚いたような表情を見せた

 

吃驚(きっきょう)。まさか人間がいるとは……」

「まさか、我らが戦場に足を踏み入れた事さえ気づかせぬとは──」

「それは単純にお前ら二人がオレをそっちのけで喋ってたからだろ」

「うっ……そ、それよりも我らが神聖なる決闘に水を差されたこと、それはどう落とし前をつけるつもりだ人間よ」

「疑問。そもそも耶倶矢が噛まなければ良かったのでは?」

「うっさい、夕弦は少し黙ってて!」

 

 やっぱり致命的に仲が悪いようには見えない二人の事を見つめながら、耶倶矢の言った落とし前についてを少し考えた、トーマはとあることを思いつく

 

「……そうだな、落とし前。つけさせてもらう」

「なに?」

「怪訝。一体何をするつもりですか?」

「いやなに、勝手に話を聞かせて貰ったところによると二人は八舞って言う一つの椅子を争ってる、違うか?」

「いや、相違ない」

「なら、オレが出来る落とし前の付け方は一つ。お前らに戦いの場を用意することだ」

 

 トーマのその言葉を聞いた二人は怪訝そうな顔を向けたまま、トーマの方をじっと見つめる

 

「して、貴様が提案する戦いとは一体何なのだ」

「それは……売上対決だ」

「困惑。売上対決……ですか?」

「その通り、今オレが住ませて貰ってる飯屋なんだが、中々に客が入る。そこでだ、二人にはそこの売り上げの合計で競ってもらう。期間は三日……どうだ?」

「異議。それでは貴方は得をするかもしれませんが、夕弦たちにメリットがありません」

「メリットはある」

 

 その言葉と共に、トーマの身体は炎に包まれファルシオンの姿へと変化する

 

「驚愕。その姿は……!?」

「貴様は、一体──」

「オレはファルシオン、無銘剣虚無に選ばれた剣士。それでお前達に提示するメリットだが……オレがお前ら二人の負けた方を斬る、それでどうだ?」

「……いいだろう、貴様の提案、我は受けよう」

「承諾。夕弦も構いません」

「そうか、それじゃあ二日間っていう短い間だが……よろしく頼む」

 

 

 そして三人は飯屋に移動することになったのだが、その前にトーマはある事に気付いた

 

「そういえば二人とも、その服装どうにかならないか?」

「この服か……ふむ」

「具申。具体的にどういう服にすればいいのかを見せていただければ霊力で作れるかと」

 

 夕弦がそう言うと隣にいた耶倶矢もうんうんと頷いた。少し考えた後にトーマはスマホを取り出して適当に服を検索してTシャツにジーパンと言うシンプルな服装の画像を見つける

 

「とりあえずこれで頼む」

「了承。わかりました」

「あまり気は乗らないが、仕方あるまい」

 

 そう言うと耶倶矢と夕弦の全身を霊力の光包み込み、光が晴れた時には写真通りのシンプルな服装に変わっていた

 

「よし、それじゃ行くか……あぁそれと、オレの名前はトーマだ。こっちが本名な」

「トーマか、我が名は耶倶矢! よろしく頼む!」

「返答。夕弦は夕弦と言います、よろしくお願いします」

「あぁ、短い間だけどな」

 

 

 

 

 

 

 そして耶倶矢と夕弦の二人にびっしゃびしゃになった買い物袋を持って飯屋に戻ったトーマはフミに正座させられていた

 

「それで、何処ほっつき歩いてんのかと思ったら、まさか女を口説いてくるとはいい度胸だねぇ坊主」

「いやこれには深い事情がありまして……それに人手は多い方がいいかと──」

「戯言抜かすんじゃないよ……けどまぁ良いさ、坊主の言う通り人手が増えるのは悪いことばっかりじゃないからね」

 

 そう言ったフミはトーマの後ろにいた耶倶矢と夕弦に目を向ける

 

「あんたら、名前は?」

「か、耶倶矢……だ」

「恐縮。夕弦……です」

「耶倶矢に夕弦だね。わからない事はそこの坊主に聞きな、精々足を引っ張んないようにするんだよ」

 

 それだけ言い残して立ち上がる、店の奥まで引っ込んでいってしまった。残された耶倶矢と夕弦の二人は、正座したままのトーマに目を向ける

 

「……ねぇ、もしかしてトーマって──」

「それ以上言うな、頼むから」

「微笑。先ほどはそれっぽい雰囲気を出してたのに、この場所では案外下っ端さんなのですね」

「言うなって言ったよな? それとその微妙にあったかい笑顔やめろ、なんか虚しくなるから」

 

 やたら生暖かい視線を向けてくる夕弦にそう言いながら、トーマは立ち上がると軽くズボンの裾をはたく

 

「それじゃあ二人には──」

「二人にやってもらうのは接客だよ、さっさとこれつけて客の相手してきな」

 

 いつの間にか奥から戻ってきたフミは手に持っていた薄紅色のエプロンを耶倶矢に、浅縹(あさはなだ)色のエプロンを夕弦に投げて渡す

 

「面倒事は起こすんじゃないよ、もし起こしたら叩きだすからね」

「うむ、任せよ!」

「承諾。夕弦にお任せください」

 

 その言葉のすぐ後、二人の間で軽く火花が散ったもののいよいよ勝負が始まった

 

 

 

 耶倶矢と夕弦が表に出て行ってからすぐ、自分も仕事に戻ろうと思ったトーマに対してフミが話かけてくる

 

「坊主、ほらよ」

「えっ──っとと、なんですかこれ」

「何って、見たらわかるんだろ。ノートだよ」

「いや、そりゃ見たらわかりますけど何で急に……」

「これから必要になるんじゃないのかい、あの子たちに何吹き込んだのか知らないけど、面倒事ならそっちで勝手にやりな」

「えっ、フミさんもしかして──」

「さぁね、ほら、さっさと仕事に戻んな!」

「は、はい!」

 

 八舞姉妹の決着の日まで、残り三日




邂逅したトーマと八舞姉妹
ひょんなことから二人の勝負に水を差したトーマ
そんな彼が提案したのは売上対決

期限は三日を終えた時、二人の精霊はどのような結末を迎えるのか
トーマはどんな結末を掴み取るのか

次回,八舞テンペスト《Before》 第5-3話


≪Before≫は多分、次回で終わると思います
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