デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第5-A 4話, 襲撃

 女子風呂でのちょっとした事件があった日の夜。耶倶矢と夕弦の二人は同じ部屋ではなく、耶倶矢は十香たちと同じ部屋、夕弦は折紙たちと同じ部屋とそれぞれ別の部屋で一夜を過ごすことになった

 

「くく……下等な人間共め。我と寝所を共にできることを光栄に思うがいいぞ。その心に我が高き名を刻むが良い。颶風の巫女、八舞耶倶矢の名をな」

 

 十香たちの部屋に泊まることになっている耶倶矢はテーブルに腰かけながら芝居がかった挨拶をする

 

「うむ、仲良くするぞ。よろしくだ!」

 

 十香は腕組しながらうんうんと頷き、それに合わせるように班員だった亜衣麻衣美衣を微笑を作る。彼女たちも急な増員は流石に驚いたもののすぐに適応しているあたり順応性が高い人たちなのだろう

 

「やーもー、かーわーいーいー。イタ可愛いー」

「髪さらさらー。ほっぺぷにぷにー」

「甘いの好き? ポッキー食べる?」

「や、やめんか、貴様等! 無礼であるぞ! んぐんぐ……」

「あっ! 美衣、私もポッキーが欲しいぞ!」

「はいはーい、いいわよ十香ちゃん。……て、ごめん。今耶倶矢ちゃんにあげちゃったので最後だったわ。ヤンヤンつけボー食べる?」

「な……なんだそれは!?」

 

 余りの順応性に流石の耶倶矢も気圧されがちだった。十香も十香で美衣の持っていた食べ物の方に気を取られてしまっている、そんな十香は置いておいて三人娘は耶倶矢に質問を投げかけられ、それに耶倶矢が答えると言った展開が続いていった

 最初は戸惑っていた耶倶矢も自然とその流れに順応し、楽しい夜を過ごせた……のだと思う

 

 

 一方で折紙たちと一緒になった夕弦はと言うと──

 

「請願。今晩お世話になります、八舞夕弦です。どうぞよろしくお願いします」

 

 と言った調子で、礼儀正しく挨拶をしていた、部屋の面々は礼儀正しすぎる夕弦の様子に逆に畏まってしまっていた。夕弦の入ったグループは元々大人しい子を中心に組んでいる、酷い言い方をすると人数合わせで生まれた集団であるため班員同士の会話もそこまで多くはなかった

 

「…………」

 

 一方、そんな様子を見ていた折紙はそんな雰囲気を微塵も気にかけていない様子である

 

「え、えぇっと……足痛くないですか? 座布団もありますんで、よかったら……」

「感謝。お言葉に甘えます」

 

 あまりの沈黙に耐えかねたらしい一人がそういうと、入口に立ちっぱなしだった夕弦はそんな言葉と共に班員たちの方に近づいてきた。それを見た一同(折紙を除く)は放念の息を吐き、部屋の雰囲気が少しだけ柔らかいものになる

 

「急な転入で色々大変でしょうし、わからないことがあったら何でも訊いてね?」

「多謝。お心遣い痛み入ります」

 

 またも頭を下げた夕弦を見た班員の一人が困ったように苦笑し、夕弦は下げていた頭を戻すのと同時に唇を開いた

 

「質問。では一つ、お訊きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」

「えぇ、もちろん。何?」

「請願。男性の気を引く方法をお教え願いたいのですが」

『え……ッ!?』

 

 僅かに頬を赤らめながらそう言った夕弦に対し、班員たちは固まる

 

「え、えぇと……? 今なんて?」

「復唱。男性の気を引く方法を、と。理性のくびきを取り払い、辛抱たまらなくしてしまう手練手管をご教授願いたいのです」

 

 真っ赤に染まっている班員たちの顔を見ていた夕弦の頭の中に浮かんでいたのは、炎を纏った剣を振るう一人の青年の姿。外見的には去年とあまり変化の無かったようだが精神的な変化があったように夕弦は感じた。それを感じると同時に夕弦はどうしようもなくあの男を繋ぎとめておかなければという思いに駆られたのだ

 

「そうねぇ……こう、偶然を装って手と手を触れ合わせるとか……?」

「い、いや、そんな少女漫画みたいな……」

「えぇ……じゃあどういうのがいいのよ」

「えっと、そうだなぁ……こう、飲みかけのジュースを渡してみるとか……」

「──甘い」

 

 本来そう言った話に耐性の無い少女たちの話を聞いていた折紙はその言葉と共に口を挟んだ。そして折紙は……突然の乱入に困惑するクラスメイトには目もくれず、夕弦に対し静かに語り始めた

 

 こうして修学旅行一日目の夜は更け、二日目が始まる

 因みにカメラマンとして同行していたエレンは、一日目の夜何故か始まった枕投げに巻き込まれそこそこひどい目に遭ったのを此処に記しておく

 

 

 

 

 

 修学旅行二日目

 トーマは一人、パラソルの中に入って士道たちが浜辺で遊んでいる様子を眺めていた。風景を眺めながらもトーマが特に注視していたのはあのエレンと言うカメラマンだった、一見普通のカメラマンのように見えるがトーマは彼女から折紙に感じたものと同種の気配を感じ取り一応警戒対象として考えていたのだが……正直現状を見る限りだとあまり不審な行動はとっていない

 

「何を黄昏ておるのだ、我が盟友よ」

「発見。見当たらないと思ったら、こんな所にいましたか」

「……あぁ、お前達か」

 

 トーマが目を向けた先にいたのは互いに色違いのビキニを着た耶倶矢と夕弦だった。元々美少女である二人といま彼女たちの纏っている水着は嫌味なほどマッチしており、場所が場所なら声をかけられまくっている事だろう

 

「……才子佳人ってこういう事を言うんだろうな」

「さいし……かじん?」

「疑問。一体どういう意味なのですか?」

「大雑把に言うと理想的な男女の事を言うらしい、二人とも元々美人だったからな。これなら世の男はほっとかないだろうなと思ってな」

「そ、そう? ……美人、かぁ」

「謝辞。ありがとうございます、とても嬉しいです」

 

 トーマの言葉を聞いた二人は顔を赤らめる、それから少しだけ沈黙が流れたのだが流石にそれが耐えられなかったのか耶倶矢の方が無理やり話題を振る

 

「そ、そういえば! トーマ……昨日どこか行ってなかった?」

「もしかして、見てたか?」

「ううん。でも、お風呂であった時なんか疲れてそうだったから」

「別になんでもねぇよ、気になることも解決したし……本当にお前らは心配する必要ない」

「疑惑。それならどうして、少し浮かない顔をしていたのですか?」

「ここ一年で、自分でもビックリするくらい心配性になっちまってな……それよりお前ら、泳いで来なくて良いのか?」

「要望。実はトーマにお願いがあって探していたのです」

「お願い?」

 

 トーマがそう言うと、夕弦は自分の手に持っていた容器を差し出してくる

 

「請願。よろしけれれば日焼け止めを塗って頂けないでしょうか」

「あぁ、そういう……いいぞ」

 

 トーマはそう言って夕弦に差し出されていた容器を手に取るとパラソルの中から出て夕弦と耶倶矢を手招きする

 

「とりあえず背中はやってやるから、自分で濡れる所は自分でやれよ」

「承諾。わかりました」

「わ、私も良いの?」

「あぁ、一人やるのも二人やるのも変わんないからな」

「そ、そっか……それじゃあお願いしようかな」

 

 素の口調に戻ってる耶倶矢は先に寝そべっていた夕弦の隣に寝転がった。トーマは容器から液を出して軽く手に馴染ませて、最初に耶倶矢の背中に触れた

 

「ふぁ……っ」

「大丈夫か?」

「う、うん。大丈夫……っ」

 

 それから日焼け止めを塗り進めているのだが、その間も耶倶矢はやたら官能的な声を上げていたためトーマは自身の心を無にして塗り続けた

 

「よし、耶倶矢。終わったぞ」

「はぁ……はぁ……あ、ありがと……」

「催促。次は夕弦の番です、さぁトーマ。どうぞ」

「はいはい」

 

 とろけて突っ伏している耶倶矢の横にいた夕弦に急かすよう言われたトーマは、改めて液を手に馴染ませて、夕弦の背中に日焼け止めを塗り始める

 

「っ……!」

 

 夕弦の背に触れた瞬間、彼女の身体がピクリと震える。流石双子と言うべきか耶倶矢と似た反応を見ながら塗り続ける

 

「痙、攣。ぅ……あ、っ」

 

 耶倶矢の時と同じように無心で塗り続け、終了する

 

「よし、塗り終わったぞ」

「感、謝。ありがとう……ござい、ました」

「よし、それじゃあ少し休んで遊んで──っ!」

 

 そう言いかけたところで何かの気配を感じ、そちらの方を見る

 

「トーマ、どうかした?」

「何でもない……少し、飲み物でも買ってくる」

 

 二人にそう言ったトーマは浜辺から離れて一瞬だけ気配を感じた方に向かう

 

「さっきの感じ、昨日街を探した時に似てる……この前のアレが復活したのか、別の個体がいるのか」

 

 それからしばらくの間、何か不自然な場所がないのかを探したのだが目立った異変は見受けられずその場を後にしようとしたところで、前からやってきた人とぶつかりそうになる

 

「っと、すいません」

「いえ、こちらの注意不足なのでお気になさらず」

 

 トーマはぶつかりそうになった人の方を見る、お高そうなスーツを着て赤い色の髪が特徴的なその人物はアジア系ではなく東洋系、どちらかと言うとエレンに近い国の出身なのだろうかなどと考えていると男が不審そうな顔を向けてきた

 

「……なにか?」

「いや、そういうわけじゃ……」

「そうですか、では私はこれで──また会う日を楽しみにしていますよ、園上冬馬(ファルシオン)

「えっ?」

 

 すれ違う直前、男にそう言われたはトーマは後ろを振り向いたがそこには既に、男の姿はなかった

 

 それから、何事もなくことは進みあっという間に二日目も夜を迎えた

 

 

 

 

 

 

 夕食の後、腹ごなしの運動もかねて散歩でもしようと出かけた士道は、一人浜辺で剣を振っているトーマの姿を発見する

 

「トーマ?」

「ん、あぁ。士道か……こんな時間に珍しいな」

「俺は腹ごなしの散歩かな、そういうお前は剣の練習か?」

「あぁ、最近怠ってたからな。いい加減またやり始めないとどんどん腕が鈍っちまう」

 

 そう言ったトーマだったが、話しながら地面に剣を肩に担ぐと士道の方を向く

 

「そういうお前は、修学旅行楽しんでるか?」

「そりゃあな、流石に昨日の風呂は死ぬかと思ったが」

「アレに関しては仕方ない」

「一人でそそくさ逃げた癖によく言うよ」

 

 士道の言葉を聞いたトーマはそれを笑い流すと、少し間をあけた後に改めて話し始める

 

「──なぁ、士道。耶倶矢と夕弦は……楽しんでるか?」

「ん? あぁ、何だかんだ言っても馴染めてるとは思うよ」

「そうか、それなら良かった……楽しそうなのは知ってるが、馴染めてるかはわからんからな」

 

 安心したように息を吐いたトーマは手元に出現させていた剣を消して、止まっているホテルの方を指さした

 

「それじゃあ俺たちもそろそろ──っ!?」

「トーマッ!?」

 

 戻るかと言う言葉を発する前に、トーマの身体は強い衝撃を受けて後方に吹き飛ばされる

 

 

 

 

 丁度士道とトーマが話していたころ、自分の部屋にいた十香と耶倶矢の二人は外から不穏な気配を感じとる

 

「──なんだ、この感じは」

「何やら面妖な気配。十香も感じたか」

「うむ、なんといえばわからないが……嫌な感じだ」

 

 互いに感じとったものが同じだと理解した二人は三人娘に気付かれないように部屋の外に出ると、同じタイミングで夕弦も自分の泊まっている部屋から出てくるのが見えた

 

「夕弦!」

「意外。まさか耶倶矢と十香も同じタイミングで出てくるとは思いもよりませんでした」

「そうだな……して、夕弦。感じた気配はやはり」

「同意。耶倶矢たちの感じたものと同じだと思います」

「しかし解せぬな、一体何が──」

 

 耶倶矢がそう言いかけた直後、耶倶矢と夕弦の二人は先ほどとは異なる気配を感じ取った。それはかつて自分たちを救った者──トーマの振るっている無銘剣の力。そう気づいた二人は顔を見合わせるとホテルの外に出る為走りだした

 

「わ、私も行くぞ!」

 

 二人から少し遅れた十香も、急いで後を追っていった

 

 

 

 

「大丈夫か!」

「あぁ、心配ない……それより、少し離れてろ」

 

 そういうトーマの視線に映ったのは、昨日倒したばかりの怪物──カリュブディス。しかしその姿は昨日とは異なり体の中心には一冊の本が埋め込まれ、左半身には赤の意匠が追加され、武器も巨大鉈ではなく槍になっている

 

「昨日の奴の別個体……いや、考えるのは後か」

 

 無銘剣を取り出したトーマがエターナルフェニックスの本を取り出そうとしたところで無銘剣の刀身が赤く輝き、その姿を火炎剣へと変えた

 

「火炎剣に変わった? 本もリードしてないのに──って、あぶねッ!」

 

 その現象に困惑したトーマだったが、カリュブディスによって放たれた攻撃を寸での所で回避する

 

「まぁ、変わったって事は今回はこれで行けって事なんだろうな」

 

【ブレイブドラゴン】

【キング・オブ・アーサー】

 

 二冊の本を装填したトーマは、力強く聖剣を引き抜いた

 

『烈火抜刀!』

 

 すっかり聞きなれたその音声と共にトーマの身体は炎を纏いセイバーへと姿を変える、火炎剣とキングエクスカリバーの二本を構えたセイバーはカリュブディスに向かって走り出す

 その途中で振るわれる槍の攻撃を何とか捌き続け剣の射程まで辿り着いたセイバーはカリュブディスに向かって火炎剣を振るうが、その一撃は槍によって防がれる

 

「こいつ、昨日のと違って動きが素早い」

──────―

 

 防いでいた剣をひねるようにして捌いたカリュブディスは拳をセイバーに叩き込んだ

 

「ぐ──ッ」

──────―

 

 続けて繰り出される蹴りを何とか回避したセイバーだったが、無理な体勢での回避だったためバランスを崩す

 

「やべ──」

 

 それを見逃さなかったカリュブディスによって槍が突き立てられようとした瞬間、暴風がセイバーとカリュブディスの間に割って入る

 

「大事ないな、我が盟友よ」

「助力。八舞姉妹、助太刀に参上です」

 

 暴風が晴れるとその中から出てきたのは耶倶矢と夕弦の二人。霊装を完全顕現させているあたり本に封じられていた霊力は完全に二人に戻ってしまっているのだろう

 

「色々言いたいことはあるが、とりあえず助かった……オレの方はもう大丈夫だから、士道を──」

「それはいらぬ心配だ」

「同意。助っ人は夕弦たちだけではありません」

「それって──」

 

「シドー!」

 

 どういうことなのか聞こうとしたセイバーだったが、聞こえてきたその声を聞いて納得する

 

「大丈夫か、シドー」

「あ、あぁ」

 

 十香と士道が合流した以上、もう心配はないだろうと思ったセイバーがカリュブディスへと目を向けたようとするが、すぐにそれをやめる

 

「耶倶矢、夕弦」

「……わかってる、士道たちと合流でしょ?」

「警戒。確かにこれは、合流した方がいいかもしれません」

 

 そう言うと、三人の身体に風が纏われ士道たちの元まで一気に後退する

 

「ど、どうしたんだ?」

「流石に離れとくのはマズいと思ってな、目の前のアイツ以外にも……何かいる」

「何かって、一体──」

 

 士道がそう言いかけた直後、士道たちの影となっていた部分から次々と人影が現れる。フェイスヘルメットのような頭部に細身のボディ、人間とは逆向きの足関節に巨大な腕部。人の形をしているが明らかに人ではないそれは、五人の周りを囲むように出現した

 

「なんだ……こいつら」

「DD-007 バンダースナッチ……といっても、わからないでしょうね」

 

 士道の声にこたえたのは、人形の影から現れた一人の女性。ここ二日の修学旅行ですっかり見慣れたその女性を見た士道は目を見開く

 

「ぬ? お前は……」

「エレン……さん?」

「本来の目的はプリンセス──十香さん一人でしたが、まさか優先目標であるベルセルクまで居るとは……多少の想定外もありましたが、まぁ良しとしましょう」

「あんた……一体何者だ。まさかAST……!?」

「ほう、対精霊部隊のことをご存じですが。──しかし、残念ながらハズレです」

 

 エレンはその言葉と共に手を掲げると、それに合わせるようにバンダースナッチは姿勢を低くして一斉に飛びかかってくる。それに合わせるようにカリュブディスもセイバーたちの方に向かってくるのが見える

 

「二人ともッ!」

「心得た!」

「了承。迅速に離脱ですっ!」

 

 セイバーの声を聞いた耶倶矢と夕弦は地面に向かって風を叩きつけてその場から離れると、森の中まで一気に移動する。それを見ていたエレンは森の中に目を向けるとゆっくりと歩き始めようとして、足を止める

 

「随分と遅いご到着でしたね」

「ディナーの時間でしたのでね……ですが、しっかりと仕事はさせていただきますよ」

 

 男はそういうと一冊の洋書を手元に出現させ、パチンと指を鳴らした。すると手に持った洋書がパラパラとめくり、森を覆うように巨大な結界を作り出していく

 

「さぁ、山狩り……いいえ、この場合は森狩りと言った方がいいんでしょうかね」

「どちらでもいいです。始めます」

 

 エレンを先頭に下バンダースナッチたちはぞろぞろと森の中に入っていく

 

「さて、私たちも始めましょう」

──────―

 

 男は手に持った洋書のページを数枚破り、宙に放つとページに書かれていた文字が染み出し、ぼろ布を纏った怪物――シミーが無数に出現する。その怪物たちを引き連れた男もゆっくりと森の中に入っていった




襲撃を受けた士道たちは森へと姿を隠す
新たね敵の出現に新たな力を得たカリュブディス
そして怪物を操る男の存在

迫ってくる新たな敵に対し、これからどう動くのか
セイバーはカリュブディスに勝つことが出来るのか

次回, 八舞ウィッシュ 第5A-5話
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