デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
美九の事について調べた日から数日が経った、最初こそワイドショーなどで取り上げられていた宵待月乃関連の話題も少しずつ取り上げられなくなった。それでもなお完全に取り上げられなくなった訳ではない
「おっちゃん、回鍋肉上がったよ」
「おう、そんじゃ次は……と言いたいところだが今日はここら辺で一旦打ち止めだな」
「なんか、今日お客さん少なくないですか?」
「坊主、カレンダー見てみろ」
「……あぁ、祭りですか」
「出店とかも出てっから自然と客足も少なくなる……店は俺一人でも大丈夫だからお前さんも祭り行って来たらどうだい?」
「オレは大丈夫ですよ、どうせ一緒に行く相手もいないですから」
「馬鹿野郎、嬢ちゃんが居るだろうが」
おっちゃんにそう言われたトーマだったが、流石に人の多い場所に美九を連れていくのはどうなのだろう、と考えていた。変装していたとしても目立つレベルで彼女の容姿は整っている。それに人間不信気味の彼女を連れ出すのもどうなのだろう……そんな感じでトーマが色々と考えているとおっちゃんが彼の肩を叩く
「ほれ、あそこ見てみな」
「……」
おっちゃんが指さした方に目を向けると壁の影から顔を出してこっちをじっと見てる美九の姿があった。トーマは軽く頭に手を当てた後ゆっくりと彼女の元に近づいていく
「……行くか? 祭り」
[いきます]
少しだけ悩んだ後、ホワイトボートに書かれた文字に対してトーマは軽く身体を伸ばしてから声をかける
「それじゃあ、準備してきな、ゆっくり待ってるから」
「っ!」
首を縦に振った美九は、少しだけ軽い足取りで二階まで上がっていく。トーマは自分の財布の中身を確認しつつある程度の散財を覚悟していると、おっちゃんが福沢さんを一枚差し出してくる
「えっ? 給料前借りするつもりはありませんよ?」
「バッカ、これからデートしようって奴が自分の財布の中見てなんか覚悟決めてんじゃねぇよ、持ってけ」
「いや、悪いですよ。ただでさえ世話になっちゃってるのにこれ以上迷惑かけるわけには──」
「こちとら息子にも孫にもかける金なんざねぇんだ。しっかり自立しちまってからな。だからちっとは面倒くらい見させろってんだ」
「いや、でも──」
「いいから持ってけ」
そう言っておっちゃんはトーマに福沢さんを一枚押し付けるとそのまま店の外まで出て行ってしまった
それから、トーマがネットニュースを読みながら待っていると、変装用の帽子と眼鏡をかけてじゃいるもののいつもの服装よりも少しだけお洒落をしている美九が二階から降りてきた。会話用のホワイトボードは紐を通して手放さないようにしている
「それじゃあ、行くか」
[はい]
と言った感じで街に出た二人な訳だが、記憶喪失なトーマは言わずもがな美九もこういった催しの際には仕事が重なっていたり騒ぎになるからとあまり赴く機会がなかったため何をしたらいいのかよくわかっていない
「あーっと、とりあえず何かしたいことあるか?」
「──―っ!」
[りんごあめ、食べてみたいです]
「了解、そんじゃとりあえず食い物が多めに出てる所行くか」
二人でりんご飴の屋台まで向かった二人は屋台の店主からりんご飴を二つ買うとその場を後にする。二人ともりんご飴初体験ということで歩きながら一緒に食べるのだが
「固いな」
「──」
りんごをコーティングしている飴が想像以上に固かったが食べているうちに中のりんごと一緒に飴を食べることが出来た
[最初は固かったけど、おいしいですね]
「そうだな、なるほど……りんご飴ってこんな感じなのか」
今まで食べた事のなかった新しい感覚に驚きながら屋台のを二人で見て回る、祭りということもあり案の定と言った感じの人込みに少しの疲労感を感じながら歩いていると隣を歩いていた美九がふと足を止める
「どうした?」
[あれ、やってみたいです]
その言葉が書かれたホワイトボード共に美九が指さしていたのは射的、確かに祭りと言えばの定番屋台の一つだ
「了解、そんじゃ行くか」
うなづいた美九と共に射的屋の前までやってきたトーマは店主に声をかける
「一回、お願いします」
「あいよ、これ弾ね。銃はそこに置いてあるの好きに使っていいから」
「わかりました」
とりあえず右端の方に会った銃を一つ手に取って美九に渡す、一回分で貰えたコルク弾の数は全部で六発。この手の射的は大物を狙っても威力が足りず取れないというのをテレビか動画か見たことを覚えていたがトーマがそれを此処で言うのはご法度だろう
「どれ狙う?」
トーマのその言葉に返事をする形で美九が指をさしたのはドロップ缶。少し重量はありそうだったが六発もあればギリギリ取ることは出来そうなものだった
「よし、それじゃあ……と言いたいところだがオレもアドバイスできん。とりあえず頑張れ」
「っ!」
まずは一発撃ってみるが少し後ろに後退するだけで落っこちる気配はない。しかし真ん中に当ててこの威力という事は六発以内に十分に落とすことは可能だろうと考え、トーマは少しだけ美九にアドバイスをする
「缶の真ん中より少しだけ上を狙ってみればいいんじゃないか?」
その言葉にこくりと頷いた美九は、次の二発、三発とと缶の少しだけ上を狙ってコルク弾を放つと少しずつドロップ缶の揺れが大きくなり、五発目でパタリと缶は倒れた
「おっ、おめでとうお嬢ちゃん」
「上手いもんだな」
美九は少し恐る恐ると言った感じだったため代わりにトーマがドロップ缶を受け取って美九に手渡す
「どうする一発分余っちまってるけど」
[それじゃあ、あとはお兄さんがやってください]
「わかった……つっても、何を狙ったもんかな」
出来れば一発で仕留められる簡単なものを……と考えていると小さ目の紙袋を見つける。出来れば取りたいが最悪取れなくても良いかくらいの簡単な気持ちでコルク弾を装填して、紙袋に向かって放つ。コルク弾の当たった紙袋はしばらくぐらぐらと揺れ、ぱたりと倒れた
「おっ、兄ちゃん運がいいね……ほれ」
「ありがとうございます」
[それ、何が入ってるんですか? ]
「そうだな、じゃあ見てみる……前に少し移動するか」
さすがにいつまでも射的屋のまえに陣取っている訳にも行かず歩きながら紙袋を開けると中に入っていたのは金色の花のような髪飾りだった
[髪飾りですか]
「男が持っててもアレだし、いるか?」
[いいんですか? ]
「あぁ、タンスの中で眠らせるなら使ってくれた方がいいしな、それに今日の思い出ってのもあるだろうし」
[ありがとうございます]
髪飾りを受け取った美九はそれを胸の中心で抱きしめると柔らかい笑顔をトーマの方に向けた
それから、祭りの屋台を色々と見て回った二人は屋台から少し離れた所にあるベンチに座る
「はー、結構疲れたな」
トーマのその言葉にうなづいた美九は、軽く空を見上げた後。ホワイトボードに文字を書き込んでいく
[今日はありがとうございました、お祭り一緒に来てくれて]
「気にするなよ、事情が事情だしたまにはこうやって外に出ないと」
[でも、お兄さんが一緒に来てくれなかったら怖くて来れなかったと思います]
「そうか、それなら────」
言葉を続けようとした瞬間、二人に向かってカメラのシャッター音と共にフラッシュがたかれる。一体何なのかとトーマが視線を向けるとそこにいたのはカメラを構えた中年の男、その男はカメラを持ちながらニヤついた笑みでこちらに向かってくるとトーマを無視して美九に声をかけた
「いやぁ、まさかこんな所で特ダネが取れるとは思いませんでしたよ」
「……っ」
「スキャンダルで休業中の人気アイドルが一般男性と逢引とはねぇ」
怯えた様子の美九を無視して言葉を続ける、その様子を黙って見ていることのできなかったトーマは美九と男の間に入る
「あんた、彼女が怯えてるのがわかんねぇのか」
「おやおや、勇敢ですねぇ、とりあえず一枚」
おちょくる形で写真を一枚とってくる男に対してトーマの表情から少しずつ色が抜けていく。それに気づいていないのか中年の男は得意げに言葉を続ける
「とりあえずインタビュー良いですか? 裏営業でスキャンダルを起こしたアイドルと一緒にいる心境は?」
「とりあえず、黙れ」
「はい? 良いんですかそんな口きいて。こっちはいつでも情報を流す準備が────へ?」
得意げに語っていた男は目の前で起きた光景に呆然とする。その直後男に伝わってきたのは手に持っていたはずのカメラが急激に熱を帯びる感覚、何が起こったのか理解できない男に対してトーマは言葉を放つ
「黙れ、と言ったはずだ……それと、早くオレたちの前から消えろ」
男がその言葉を放ったトーマの方を見ると彼が持っていたのは漆黒の刀身にオレンジのエンブレムを付けた一本の剣
「け、剣? なんでそんなもの──」
「二度は言うが三度は言わないぞ。黙ってこの場から消えろ……さもないと、ここで貴様を無に帰すことになる」
氷のように冷たい視線を受けた男は真っ二つになったカメラをその場に落っことしながら大急ぎでその場から立ち去る。それを見たトーマは手に持った無銘剣を手放すと黒とオレンジの混ざった炎を巻き起こしながら消滅する
「大丈夫だったか、美──」
彼女の名を呼びきる前に美九はトーマに向かって抱き着く。少し驚いたトーマだったが彼女の身体が震えているのを見て、ただ彼女を抱きしめ返すことしかできなかった
前回のサブタイトル
本来追想Ⅲの所、追想Ⅳと表記してしまい読者の皆様に混乱を与えてしまった事
お詫び申し上げます