デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第6-7話,追想Ⅵ 再会

 トーマと誘宵美九が出会ってから半年、宵待月乃に関する話題もすっかり聞かなくなった頃。いつも通り仕事をしていたトーマはおっちゃんから声をかけられる

 

「坊主、わりぃがちっと買い出し行ってきてくれねぇか」

「わかりました、何かってくればいいんですか?」

「メモに書いてやっから少し待ってろ」

 

 おっちゃんはトーマにそう言うとメモを取りに店の奥まで向かっていく。一人残されたトーマは最近会っていない美九の事を思い出しながら物思いに耽る、結局、あの事務所の社長が美九の誘拐騒動を起こしてから数日後に、彼女の元マネージャーを含めた元従業員たちの告発によって、事務所は大炎上。そこから芋づる式にこれまでの不祥事が暴かれて倒産

 

「そんで美九はゆきさんの新しく作った事務所に移籍……というか再所属、か?」

 

 最も、再デビュー云々に関しては本人の意志に任せるらしいため、美九がどうするのかはトーマにとってもわからない。等と考えているとメモを片手に持ったおっちゃんが戻ってきた

 

「書いてきたぞ、ほれ」

 

 手渡されたメモの中身を見ると今回は食材というよりも厨房で使う洗剤などが主なようだ

 

「わかりました、それじゃあ行ってきます」

「おう、頼んだぞ」

 

 メモ帳片手に店を出たトーマ、今回は商店街じゃなくてホームセンターだな等と考えながら歩き始める

 

 

 

 

 

 元々所属していた事務所から元マネージャーである須藤ゆきが新たに作った事務所に所属することにした美九は再スタートについて悩んでいた

 

「どーすればいいんでしょう……」

 

 元は宵待月乃という名前でアイドル活動をしていた美九だったが、スキャンダルによって活動休止を余儀なくされ、そのまま宵待月乃としては引退の道を選んだものの心の中にはステージに立ちたいという気持ちは残っている。しかし最後に立ったステージで向けられたファンからの視線、それがトラウマとなり美九の中で一歩踏み出すことのできない

 

「こんな時、お兄さんに相談出来たら……なんて」

 

 最後のステージで抱えてしまったトラウマ以外で今の美九の心の中をほとんどを占めているのは他でもない彼女の事を救ったトーマのこと、事務所の手続きなどが諸々あり気が付けば助けてくれた本人と会う時間が全く取れていなかった、それに加え現在進行形でこれからどうするか否かを考えなければならない

 

「そんな風に言っても……多分私に勇気がないだけなんでしょうね」

『それなら、勇気をあげようか?』

「えっ?」

 

 悩んでいた美九の耳に聞こえてきたのは、自分以外の誰かの声──しかしその声の性別が何なのか判別することが出来ない、それどころか彼女の耳にはその存在が何て言ったのかすら聞きことることが出来なかった

 しかし、何故か彼女の脳は、その存在が何を言っていたのか、その意味を理解していた

 

「どういう意味ですか、勇気をくれるって?」

『そのままの意味だよ、私があなたに勇気をあげる』

「勇気を……」

『さぁ、これを手に取って……』

 

 美九の目の前にいる不明瞭な何かが目の前に見せたのは水色の結晶、神秘的な光を放つそれと相対した美九は意を決して結晶に向かって手を伸ばす。するとそれに反応するように美九の方へ進み、身体の中へと入っていった

 

「えっ……ぁッ……」

 

 その瞬間、美九に襲い掛かったのは自身の中に入り込んできた結晶から力が溢れ出す感覚。自分の中に異物が入り込んでくる感覚はやがて激痛に代わり美九を中心に光が溢れ出す

 意識を失う直前、彼女には目の前にいるソレが笑みを浮かべているように見えた

 

 

 

 

 

 

 ホームセンターからの帰り道、トーマが感じたのは霊力の奔流。それもこれまでに感じた事のないものだった

 

「この霊力……新しい精霊」

 

 精霊が現界する際には決まって空間震が発生する。しかしトーマは空間震の発生しない精霊の現界を一度だけ見たことがあった。後に最悪の精霊として五河士道たちの前に現れる時崎狂三

 

「時崎の霊力とは違う……とにかく確認を──」

 

 トーマは新たに出現した精霊の姿を確認をするため、人目につかない場所に移動しようとしたところ瞬間。何かが聞こえてくる

 

「これは、歌……?」

 

 聞こえてきたのは歌、周りにスピーカーは愚か大型のテレビすらない。路上ライブでもしてなければ歌など聞こえてこない筈の場所にも関わらずトーマの耳には歌が聞こえてくる。とても聞き馴染んだ声で

 

「まさか──」

「はい、そのまさかですよ。おにーさん」

 

 ステージ衣装のような装いを身に纏った美九は優雅にトーマの前までやってきた。しかし、本来であれば騒ぎになってもおかしくない筈の出来事であるにも関わらずトーマを除き周りにいる人たちは不自然なほど気にする様子はない

 

「美九、お前……」

「お久しぶりです、おにーさん。やっと会いに来る決心が付きました、ホントあの人には感謝ですねぇ」

「そうだな……それよりお前、その姿は──」

「あぁ、これですか。誰かよくわからないけどその人がくれたんです。私に勇気をあげるって」

「そうかよ」

「あれ? 私の歌を聴いたのに随分とそっけないですねぇ、どうしてでしょう」

「お前の歌? どういうことだ」

 

 怪訝そうな表情のトーマとは反対に、美九は踊るようにステップを踏むとその場でくるりと一回転する

 

「そのままの意味ですよ──破軍歌姫(ガブリエル)

 

 美九が紡いだ名前、それに呼応するように地面は輝き巨大なパイプオルガンのようなものが出現し、美九の周囲には鍵盤が浮かびあがる

 

「どうです? 私の天使? 凄いでしょ」

「あぁ、そうだな。それより……精霊になったばっかなのに随分使い慣れた風だな、オレと会う前からその力を持ってたりしたのか?」

「変な事言わないでください。この力があったら多分おにーさんとは逢ってないですよ。それにあんな苦しい思いもせずにすんだと思います」

 

 その口ぶりからトーマはやはりさっき感じた霊力の奔流は美九が精霊になったのだろうと考えることは出来た。しかしそうなると次に気がかりなのは美九の天使の能力は何なのかと言うことになる

 

「むむ、おにーさん。私といるのに考え事ですか? 駄目ですよ、しっかり私のこと見てくれないと」

「馬鹿言うな、人間なんだから生きてりゃずっと考え事しかしてねぇ……それに、お前こそそんな力こんな公衆のど真ん中で使っちまって大丈夫なのか?」

「心配してくれてるんですか? でも大丈夫です、だって──」

 

 美九が指をパチンと鳴らすと周りに立ち何のアクションもしていなかった人たちはぞろぞろとその場から移動し始める。それを見ながら美九は銀色の瞳を妖しく輝かせる

 

「──みんな私の(ファン)になっちゃってるんですから」

「あぁ、そうかよ」

 

――抜刀』

 

 無銘剣の収められたブレードライバーを出現させたトーマは即座にライドブックを装填する無銘剣を引き抜く。姿を変化させ美九の元に近づこうとした瞬間、先ほど移動し始めた筈の一般人がファルシオンに向かって襲い掛かってきた

 

「なにっ?」

 

 襲い掛かってくる人々の事を避けるファルシオンは襲い掛かって来てる人々の動きが一般人のそれではない事に気付く。まるでに人形のように操られていると、そう言ったように感じる

 このままでは埒が明かないと考えたファルシオンは炎の翼を出現させると上空へと対比する。それを追うように美九もまたファルシオンの対面まで浮遊する

 

「なるほどな、これがお前の力か……美九ッ!」

「はい、便利ですよねぇ。私の歌を聴いた人はみんな私のファンになって。私の言うことを何でも聞いてくれるんですから……まぁ一番効いて欲しかった人に効いてないみたいなんで私にとってはあってもなくても変わらない力ですけどね」

「そうかよ、にしても随分流暢に喋るようになったな……おまけに性格も少し悪くなったか?」

「失礼ですねぇおにーさんは、私以外にそんな事言ったら嫌われちゃいますよ」

 

 先ほどから美九と話していたファルシオンだが、ここで疑問がようやく確信になった。目の前にいる少女──誘宵美九は完全に手に入れた力に酔いしれてしまっている

 

「美九、今のお前は酒におぼれてるようなもんだ」

「そうなんですか?」

「あぁ、だからその力を手放して──」

「それは嫌です」

 

 言葉を遮り、さっきとは一転した真剣な口ぶりで、美九は拒絶の言葉を口にした

 

「せっかく勇気を出せたのに、この力を手に入れて、またステージに立とうって思えたのに……それを手放すなんて嫌です」

「そうか……それなら──」

 

 ファルシオンは、ゆっくりと無銘剣の刀身を美九へと向ける

 

「俺は、お前を切る……切って、お前をその呪縛から解放する(救い出す)

「そうですか……それなら私は──」

 

 美九は、ゆっくりとトーマへと手を差し出す

 

「私は、あなたを魅了します……魅了して、あなたを私の虜にします(手に入れます)

 

 その言葉と共に、ファルシオンは斬撃を、美九は声による衝撃波を相手に向かって放つ

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