デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第Ⅶ章, 美九リスタート
第7-1話,現代Ⅰ 天央祭‐準備期間


 天央祭も近づいてきたと言うことで中々に活気づいてきた天宮市。トーマはというと美九からの頼まれごとをどう解決すべきか考えながら歩いていた

 

「さてと、どうするべきか……」

 

 噂と言うものは何処から出てきてどのように広がっていくのか不明瞭なのが最大の強みでもあり厄介な所でもある

 

「美九が天央祭で復帰する……ホントに一体どこから流れたんだか」

 

 大まかには分からないように見えるものの、薄皮一枚向けば色々な人が誘宵美九の噂を気にしている……そんな気がする

 

「人の噂は七十五日とは言うが、探りを入れるなら一体どこからだろうな」

 

 これからどうするかを考えながらトーマは店に向けて足を進める

 

 

 

 

 トーマが何をすべきかで頭を悩ませている一方、士道もまた自身に降りかかった予想外の出来事に頭を悩ませていた……というのも、士道は少し理不尽な多数決によって天央祭実行委員に任命されていた

 引継ぎ作業やらブース運営、予算の分配に各種伝達事項などの話をしているうちに気が付けば時刻は19:30分。膨大な情報を一気に頭の中に叩き込むことになった士道は、その後に近場の商店街で夕食の材料やらを買ってフラフラになりながらようやく帰路につけたのだ

 

「……ん?」

 

 士道の前方、眼に入ったのはつばの広い麦わら帽子を被り淡い色のワンピースを着た少女。そして何よりも目を引くのは彼女の左手に装着されているうさぎのパペット、その少女──四糸乃は塀に貼られているポスターを興味深げに眺めていた

 

「四糸乃?」

「……!」

 

 四糸乃の名前を士道が呼ぶと、ポスターに向けていた目を士道の方に切り替える

 

「あ……士道、さん」

『おー、見ぃーつけたー』

「どうしたんだ? こんな所で。もう暗いのに……」

 

 士道の発した疑問に対して、四糸乃は小さな声で返答をする

 

「……私、士道さんのお家にお邪魔してたんです、けど……士道さんの帰りが遅くて、琴里さんが心配してたから……それで……」

「そっか。でも、もう暗いぞ。二人だけで出てきたのは感心しないな」

「あ、あぅぅ……」

『怒らないであげてよー。四糸乃にも悪気はないのよー。士道くんが心配だっただけでさー』

「わかってるよ、ありがとな四糸乃」

「は、はい……!」

 

 四糸乃と合流した士道は、二人で並んで帰路につく──少し前に四糸乃は先ほどまで見ていたポスターの前で立ち止まる

 

「あの、えっと、一つ訊きたいんですけど……これって……一体……」

「ん? 天央祭だよ」

 

 ポスターに貼られていた天央祭のポスターに目をやると、十香たちにしたように天央祭についての説明をする。それを聞いた四糸乃は興味深そうにうなる

 

「そんなのが……あるんですね……」

『はー、楽しそうだねー』

「あぁ、楽しいぞー。良かったら四糸乃たちも来いよ」

「! い、いいん……ですか……?」

「もちろん。うちの学校でもいろいろ出展するから、遊んでいってくれよ」

『あっらー、よかったねー、四糸乃』

「う、うん……!」

 

「──ただいまー」

 

 そんな話をしながら士道は家に辿り着く、両手がふさがってしまっているため四糸乃に扉を開けてもらいつつ廊下の奥に向かって声をかける。玄関に荷物を置いて靴を脱いだりしていると、リビングの扉が開け放たれ、長い髪を黒いリボンで二つに括った少女──琴里が飛び出すと同時、士道の鳩尾に見事な飛び蹴りを放つ

 

「な、なんだよ、いきなり……」

「……それはこっちの台詞よ。あんでこんなに遅いのかしら? 一本の電話もなしに」

「悪かったよ。突然文化祭実行委員にされちまったんだ」

「実行委員……」

 

 少しバツが悪そうに士道がそう言うと琴里はどことなくほっとした様子を見せる

 

「……体調が悪くなったりだとか、そういうことはないのね」

「え?」

「なんでもないわ。それより、四糸乃を迎えに呼ぶなんてどういう了見よ。もう日も落ちてるってのに」

 

 士道は琴里の言葉に反論しようとして、一度言葉を止める

 

「ん、そうだな、すまん。今後気を付けるよ」

「あ……そ、その、琴里さん、士道さんは……」

「いいから」

 

 士道は自分を擁護しようとした四糸乃を制止する。その様子を見ていた琴里は一層不機嫌そうに顔を歪めると、リビングの方に歩いて行ってしまった

 

「すみません……私のせいで……」

「気にするなって」

 

 士道はその様子を見て、少しだけうなる。今日の事は極端な例だが、士道が修学旅行から帰ってきた当たりから琴里の様子は少しおかしい気がしている。普段の様子は変わっていないのだが、士道が少しだるそうにしていたりすると落ち着かない様子二なるのだ

 そうして考えこんでいても仕方ない、そう思った士道は少しだけ頭をかくと荷物を持ってリビングに歩いていった。四糸乃もそれに続き歩いてくるのを見ながら扉の方に目を向けると、扉が微かに開かれていること、そしてその隙間からジトッとした視線を放つ琴里の目が覗いていた

 

「な、なんだよ。まだ何かあるのか?」

 

 士道の言葉に応えたのは琴里の言葉ではなく可愛らしいお腹の音。頬を赤く染めた琴里を見た士道はカバンを下ろすと、表情を緩めた

 

「何か食べたいものはあるか?」

「……ハンバーグ」

「今からか?」

 

 それなりに時間がかかるメニューを言われた士道は現在時刻を確認する為に携帯を取り出すと、画面上に琴里からの不在着信がいくつも表示されている。その様子から見ても随分と心配をかけてしまったようである

 

「ちょっと時間かかるけど、いいか?」

「……ん」

 

 リビングには琴里以外にゲームをしている十香の姿もあった

 

「おおシドー、おかえりだ! というか琴里! 早く手伝ってくれ!」

「んー……四糸乃、お願い」

「えっ、えぇ……っ?」

 

 急に後任を任せられた四糸乃は焦った様子で十香の横に走っていく。すっかり騒がしくなったリビングの様子を見た士道はカバンを適当に放ると、手洗いうがいをしてからエプロンに手を伸ばし料理を始めようとしたところで、不意に琴里が声をかけてくる

 

「……ねぇ、士道。本当に何でもないのよね?」

「んー? なんだよー、心配してくれてんのかー?」

「ち、違うわよ! そう……十香よ、十香! 士道に何かあったら十香の精神状態が崩れて大変なことになるの! だからちゃんと体調管理しなさいよねって言ってるのよ!」

「へぇへぇ」

 

 士道が笑いながら、少し適当に返事をすると琴里はぶすっとした様子で視線を送ってくる。十香の方も自分の名前を呼ばれれて少しだけ二人の方を振り返るがゲーム画面にボスが登場したらしくすぐに振り向いた身体を戻した

 琴里はその様子を確認すると軽く息を吐いてから、士道の近くまで移動してダイニングチェアに腰をかけると、十香たちに聞こえないくらいの音量で言葉を続けてきた

 

「……でも、本当に気を付けて。いろいろと厄介な状況になってきたし」

「厄介な状況?」

「えぇ。いくつかあるけど……さしあたっては”ファントム”ね」

「ファントム……? なんだそれ。精霊の識別名か?」

「五年前。私たちの前に現れた正体不明の『何か』のことよ。いつまでも『何か』のままじゃ不便だしね。この前の会議で便宜的に識別名が付けられたの」

「あぁ……あの」

 

 五年前、琴里に精霊の力を与え、二人の記憶を封印した何か。存在そのものが謎に包まれ、目的や能力、そのすべてが謎に包まれていることから存在そのものが懸案事項である存在

 

「そしてもう一つは──例の会社ね」

「DEM社……か」

 

 士道の言葉を受けた琴里が首を前に倒す

 先月、修学旅行の際に姿を現し、士道たちに襲撃をかけてきた存在。魔術師──エレン・メイザースとワンダーライドブックに類似する正体不明のアイテムを使う男──イザクが所属していると思われる企業であり、表向きには様々な分野に進出している会社であると同時に一般公開されていないがASTが用いている顕現装置(リアライザ)を製造している会社でもある

 

「しっかし……未だ現実感ないな。あのDEM社があんなことを……」

「眠たいこと言ってんじゃないわよ。連中にそんな倫理観があれば真那だって──」

「真那……? 真那がどうかしたのか?」

 

 琴里の言葉を聞いた士道が眉をピクリと動かしたのを見て。琴里はしまったという表情になる。士道の実妹を称する少女であるが現在は狂三と戦いで重傷を負い入院している……と士道は聞いている

 

「どういうことだよ。真那に何か──」

 

 琴里の発言が無視できなかった士道は、夕食の準備を一時中断し琴里に食って掛かろうとした瞬間。琴里の携帯が鳴り響く、食って掛かろうと士道を手で制止した琴里が携帯を手に取る

 

「私よ、どうしたの──何ですって? えぇ、わかったわ」

 

 そう言うと琴里はリビングから出ていこうとする

 

「あ、お、おい! 話はまだ──」

「後にしてちょうだい。少し厄介なことになったの」

 

 

 

 

 

 丁度士道たちが帰宅したのと同時刻、トーマは制服姿の美九と共に帰路についていた

 

「迎えに来てくれてありがとうございます、おにいさん」

「気にすんな、これくらい別になんてことない」

 

 何気ない話をしながら二人でマンションに続く道を歩く。辺りはすっかり暗くなったと言ってもまだまだ周りに人は多い、出来るだけ人を避けながら歩いていたトーマと美九だったが、不穏な気配を感じたトーマはふと足を止める

 

「どうかしたんですか?」

「……いや、悪い美九。先に帰っててくれ」

「えっ? でも──」

「訳は後で話すから、今は何も聞かないで先に……」

「……わかりました。でも、絶対に危ないことはしないでくださいね」

「あぁ、わかってる」

 

 美九を先に帰らせたトーマは身を翻すと、嫌な気配を感じる方向に向かうが、そこは不自然なまでの静寂に包まれていた

 

「ここから嫌な感じがしたが……一体──っ!?」

 

 この場所に来て、辺りを見渡そうとした瞬間背後から感じたのは殺気、トーマは自身の方に向かってきたそれを寸での所で回避すると右手に無銘剣を出現させ火炎剣烈火の本をリードする

 

「流石の直感ですね」

「お前は、確かイザクとか言ったな」

「えぇ、覚えていてくれて嬉しいです、トーマくん?」

 

 トーマの前に姿を現したイザクは軽薄な様子を崩さないまま言葉を続ける

 

「しかしまぁ、まさかここで会うというのは少々予想外でした。今回は完全な私用でしたから」

「私用……どういう意味だ」

「そのままの意味です、私用……というよりちょっとした実験ですね。カリュブディスの新しい餌を調達しようと思いましてね」

「新しい餌だと?」

「えぇ。どうせなら見せておきましょう」

 

 そう言ったイザクは手に持った本を開くと空間に穴が開き。そこから一人の男がフラフラと歩いてきた。服装はボロボロで完全に憔悴しきった様子の男を見たトーマの顔に驚きの表情が浮かぶ

 

「そいつは──」

「知っての通り、とある事務所の元社長です。借金苦で苦しんでいたところに大金をちらつかせたらあっさりと実験台になってくれましたよ」

「お前、人間を一体何だと思ってる」

「私にとっては友以外の人間は等しく駒にすぎません……さて、長話が過ぎましたね。実験もここで締めにしましょうか」

 

 イザクはそう言うと男の中から一冊の本を引き抜くと、その本を開く

 

【ピラニアのランチ】

 

 本の中から溢れるように出てきたピラニアの群れは男に群がるよう食らいつき、辺りに血の海が出来る。男がその身体を完全に脱力させると同時にその姿はピラニアメギドへと変質させる

 ゾンビのように立ち上がったピラニアメギドはフラフラとした足取りでトーマに向かって襲い掛かってきた

 

「っ! ──三冊、いや今は二冊か」

 

【ブレイブドラゴン】

【キング・オブ・アーサー】

 

『烈火抜刀!』

 

 二冊の本を用いてその姿をセイバー ドラゴンアーサーへと変化させたトーマは襲い掛かってくるピラニアメギドに対して火炎剣を振るう

 

「お前、あの人に何をしたッ!」

「彼の持つ物語を糧に本を完成させたまで、まぁその過程で彼の命は消えてしまいましたがね」

「貴っ様──ッ!!」

 

 目の前に居るピラニアメギドの相手をしながらイザクの方に向かおうとするセイバーだったが、それを気にした様子はなくイザクは手に持った本と共にその姿を消した

 

「くそっ……」

 

 火炎剣とキングエクスカリバーを振るいピラニアメギドの相手をしていたセイバーは火炎剣で攻撃を防ぐとブレイブドラゴンのページをキングエクスカリバーの柄頭で押し込む

 

【ブレイブドラゴン】

 

 炎を纏った二振りの刀身でピラニアメギドへ斬撃を放つと、メギドは力尽きその場で爆発を起こした。メギドが完全に消滅したことを見届けたセイバーは本を引き抜きトーマの姿へと戻る

 

「……この情報、共有しておくべきか」

 

 美九に対して帰りが遅れる旨のメールを送ったトーマは、通信端末を取り出してフラクシナスに通信を繋げた

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